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#1712 ブカツは高校メイン(8):ブカツ段階論そして「本質は何か」 Nov. 5, 2011 [73.ブカツ]

 いよいよラスマイ、ユニークでまっとうなTさんのブカツ論は佳境に入る。
 小中学校と高校と大学でブカツの目標を分けるのである。教える生徒が一生そのスポーツと係わることを考えるとき、小中学校では何を重点に指導すべきか、中学校では何を重点に指導すべきか、大学では・・・と身体の成長段階や技の熟達の程度に応じて指導目標を具体的に設定している。生徒が一生涯その武道が続けられることを願って展開する、いわばブカツの生涯戦略論だ。


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 前稿http://maruta.be/gakusyu/118#commentsにて、コメントをいただきました。また、MEIKO AIKOKU BLOGさんの記事(http://blog.livedoor.jp/meiko_aikoku_blog/archives/51724566.html)も深いものがあります。

 どうやら、運動部の小中学校における過剰な練習とその反動での燃え尽き症候群で高校生になったら、小中学校でやっていた種目の運動をやめてしまうとう現象は全国的なもののようです。
 これは指導者、また子供らの親が、「本質をまったくわかっていない」ことに原因があると感じました。
 ここでいう本質、とはなにか。
 ひとつの実例をご紹介します。
 知り合いに柔道の指導者がいます。この方はもう40年以上も柔道少年団を指導している方です。 その指導の具体的方法は、「背負い投げと大外刈り以外は投げ技を教えない」そして、「小中学校までは基礎をがっちりやる」さらに、「団体選で勝つためにわざと引き分けを狙うようなことはさせない。負けてもかまわないから子供らには全力で勝負させる」(実際に、自軍選手のひとりが団体で勝つためにわざと引き分けたのを見て、大会後、その子の両親の前で、その子をぶん殴ったそうです。ちなみにそのときは、団体で全道優勝したにも関わらず、です)
「柔道は、大学生のときに完成すればいい」
「小学校、中学校のときは、基本だけをやる」
「一番大事なのは、柔道を生涯続けるという気持ちになってくれることだ。それがだめでも生涯スポーツを続けようと思ってくれればそれでいい」
 私が惚れた語録の数々です。
 そしてあるひとの前で、こう言ったそうです。
「我々は基礎を作る。高校で体力を作る。柔道の完成は大学でお前らに任せる。どうだ。間違っているか、俺は?」
 相手は直立不動でこう答えたそうです。
「間違っていません、先生! それこそ我々が目指す柔道の姿です!」
 この相手とは、山下泰裕。日本柔道史上屈指の柔道家、東海大学教授、日本柔道連盟理事、です。おそらく過去の柔道家で山下と互角にやれるのは木村政彦くらいでしょう。

 この老指導者の門下から、東海大学へ数々の逸材が進んでおり、その礼をするために山下が釧路の道場を訪問した、そのときのエピソードです。ちなみに、この老指導者の門下からはオリンピック選手が出ています。
 小中学校で、運動部に入る子どもに対しては二通りの指導方法があると思います。
 長くその運動を続けようと思っていない子には、楽しく運動させ、健康づくりを優先させる。
 もしも長くその運動を続けようとする子がいれば、基礎をがっちり作り、その運動を好きになるようにさせる。そのためにスポーツ障害が起きないよう、無理な稽古はさせない。(同じ運動を長く続ければ続けるほど、同じ箇所への障害の発生率は高くなります。だから、生涯同じスポーツをやろうという子に対しては、何よりボディケアを優先して接し、その知識も与えなければなりません。最初に与えるのは決して「根性」ではないのです)
 柔道では小学校のときに全国大会の上位に入った子が、高校、大学では無名の選手になってしまった、ということが珍しくありません。運動競技では高校生から大学生にかけ、肉体のピークが来ますから、単に根性でスタミナとパワーだけを作ってきた選手(=根性主義の似非指導を受けた選手)は、ここで追いつかれ、技術力で抜かれます。
 それがわからない指導者は、指導する資格はないですし、わかっていながら、選手寿命を縮めるような指導をあえてするならば、言葉はきついですが、犯罪行為だと思います。
 冒頭に言った「本質」とは、「スポーツ指導も教育の一環であり、教育とは生涯を通して行われるものだという認識」です。
 だから、運動部指導の本質を理解していない指導者や親は、学力指導の本質もまた理解していない可能性が高い。
 あ、これは……ひょっとして、釧路の基礎学力不足問題の原因の一端を、えぐってしまったかも知れません。

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

部活は高校メイン_勝利のためには

部活は高校メイン_理想の運動部



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#1704 ブカツは高校メイン(7):厳しい練習とは Oct. 30, 2011 [73.ブカツ]

 Tさんの6回目のブカツ指導論である。
 論旨は明快、"過度な練習と厳しい練習は違う"。過度な練習は障害を引き起こし選手生命を縮め、厳しい練習はトレーニング時間の短縮を実現し、スポーツ障害を最小限に制御する。

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 誤解が生じるといけないと思い、「部活は高校メイン」シリーズを通してのコモンセンスとして次のことをお断りしておきます。
 どんなスポーツであれ、競技大会を目的とするならば、厳しい練習は不可避である。
 しかし厳しい練習と過度な練習は違う。
 過度な練習とは、選手にスポーツ障害を引き起こすような、強度×時間をもった練習である。
 過度な練習のレベルは、選手の年齢、性別、トレーニング性によって変わる。
 過度な練習は選手生命を著しく縮め、結果として斯界の発展を妨げるものである。
 目先の競技大会の勝利のために過度な練習を選択することは、麻薬を服用するに等しい。

 厳しい練習をすれば、練習時間は比較的短くて済み、スポーツ障害リスクも最小にとどめられる

 きちんと最新のトレーニング理論、トレーニング手法を学び続けていれば、生徒の障害のリスクを最小にしながら最大の効果を上げられるものです。
 たとえば……ある中学校では夜の7時過ぎまで、廊下でダッシュ練習をさせているクラブがありました。おそらくそういう運動部は珍しくないのでしょう。
 私は大学時代、ハンドボール部にもいたので、ダッシュ練習の効果はわかります。
 合宿時には、一日6時間近く練習し、そのうち半分くらいの時間、ダッシュしていたこともあります。しかしこれは、大学生で、しかも日常の練習でも相当な強度を維持していたからできたことです。
 しかし小学生や中学生の場合、骨格や筋肉が発展途上なので、過度な負荷を与えると、成長が阻害され、或いは障害を受けやすくなります。
  ただしやり方次第では、きつい厳しい練習であっても、障害が起こりにくい(つまり疲労回復が早い)、練習を編み出せます。むしろ、きつい練習のほうが練習時間は比較的短く済み、回復が早いため障害が起こりにくいと言うべきでしょうか。(かつて私が稽古していた極真会小樽道場の稽古時間は1時間30分でしたが……大学のハンドボール部の練習に換算して3時間くらいのハードさで、いつも半死半生で下宿に帰っていました)
 上記のダッシュ練習で言えば、ダッシュの目的は、①反射能力の獲得 ②無酸素運動のトレーニング性の獲得 ③無駄の少ない動作の獲得 ④超短時間における走力の獲得 などです。
 これらを鍛えるのに、単純に30メートルダッシュをえんえん1~2時間もやる必要はありません。

 ①については、ダッシュの最初の動作だけを繰り返す練習方法があります。
 ②については、様々な方法があります。短時間に脈拍を高める手法として、古典的なのはインターバル走。それ以外だと、マスクトレーニング。また、本当に無酸素状態(息を止める)でのその場ダッシュなどの方法。このとき、脈をきちんと計測し、効果が出るよう、かつ事故がおこらないようにします。(脈拍180を超えた者は休ませる)
 ③については、そもそもそういう無駄のない動きをゆっくりと教え(教えられないからダッシュをえんえんと繰り返させるのかも知れませんが)、それを徐々に速くしていく。空手の打撃動作の習得方法です。
 ④については、走力獲得に必要な筋肉群をきちんとウエイトトレーニングで鍛える(これも敏捷性を高めながらやる方法があります)

 ちなみに走力の本職である陸上短距離のトレーニング方法は、毎回全力ダッシュ、みたいなことはしません。筋肉は全力の動きに慣れてしまい、いつも全力で走っているとそれ以上速くならないからです。フォームの獲得とウエイトトレーニングを積み重ね、全力ダッシュはめったにやらない、というのが短距離のトレーニングです。……って、30年前に勉強しましたが、今はもっと進んでいるかも知れません。 
 その他、ですが古武術の理論を取り入れた、合理的な動き、なんてのもこの数年、研究されています。
 それはともかくとして、
 基本的なことですが、単純なダッシュは無酸素運動なので、繰り返しやったからといって、有酸素能力はさほど高まりません。(苦痛に対する耐性がつくのでスタミナがついたような気になるだけです。有酸素能力向上のためには低負荷での長時間運動が効果的です) 一種のウエイトトレーニングだと思ってもいいです。その割に骨格や靱帯への衝撃が強烈なので、練習に取り入れるときは強度と回数には細心の注意が必要です。こんなトレーニング理論のいろはも知らないで、体ができあがっていない生徒を指導するのだけは、やめていただきたいなと思う次第です。
 ダッシュ練習だけで言えば、障害が起こるほど回数多くやるのは、まったくの無駄。短い時間でそれ以上の効果を上げることは、それほど難しいことではありません。

 

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

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#1703 ブカツは高校メイン(6):小中学校はスキルを Oct. 30, 2011 [73.ブカツ]

 Tさんのブカツ指導論の6回目である。わたしはこれを読んで複数のブカツをやり視野を広げることも大事なことだと思った。得るものが異なるし、異分野への応用が利く、そうした実例を彼の体験を語ることで教えてくれているようにも読める。
 主たる論点は、小中学校でスキル中心のトレーニングをさせ、過度なトレーニングをやってはいけないということ、ブカツを指導している先生たちにお読みいただきたい。

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 どうやら、釧路地域における基礎学力不足問題は、小中学校期における福祉問題の他に、基礎学力を養成する機会の課題、そしてもうひとつ、過剰な運動部活動も原因となっているようです。
 福祉問題と基礎学力養成機会については門外漢なので、過剰な運動部活動をいくぶんでも低減する提言を試みます。
 要するに、小中学校期におけるトレーニングの方法についての知見です。
 私の運動歴は、小中学生のときに柔道、高校生のときに器械体操、大学生のときにハンドボールとフルコンタクト空手、社会人になってから空手を続けると同時に、数年前に、柔道少年団の指導を手伝ったときに嘘を教えてはいけないと集中的に研究した柔道、1年ちょっとの期間で総合格闘技、また大学生以降は空手の役に立てようと、ウエイトトレーニングと、一般啓発書レベルでのトレーニング理論の研究、ああそれから、一時期空手に役立てようと、2年間近く集中的にエアロビクスとジャズダンス、数ヶ月ほどはクラシックバレエ……となっています。剣道と杖道もほんのさわりだけやったことはありますが、これは語れません。
 なお、武道論については三一書房の『武道の理論』シリーズに触発され、唯物弁証法をもちいた理論構築と検証に少しはまりました。

 全般的な傾向として、個人競技が多いのですが、ハンドボール部(大学)のときは、北海道二部チームで優勝し、一部に上がった時の右サイドをやっていました。球技はそれほど飛び抜けた力はありません。まあ平均的な選手だったかと思います。ちなみに空手をやりながらハンドボールをやったのは、極真空手部が大学になく(後で自分で作りました)、支部道場でやっていましたが、走り込みの必要を感じたので、ハンドボールをやってれば走れるだろうという、結構適当な発想からです。実際、嫌というほど走れました。
 高校時代に器械体操部にいて、後輩の指導に当たった経験が、スポーツ指導のためには非常に役立ちました。たとえば野球だったら、ボールを投げたり、バットを振ったりは、どんなに運動神経が悪いひとでも「形としてはできる」わけですが、器械体操はたとえば「後転跳び」を教えたら、できるできないの境目が極めてはっきりしていて、いくらやっても「形としてもできない」場合があったため、極めて的確な指導能力が必要とされるのです。このときの経験が後に、大学生で空手の上級者になって道場で指導したとき、目の前の40人くらいの道場生の動きを、割と短時間に把握して、ひとりひとりの形の崩れとその原因を理解し、直す、という能力に役立ちました。(下手な指導者は、形の崩れしか注意しませんが、なぜ形が崩れているのかを含めて指摘し指導するのが大切なのです)

 とまあ、若干の経験があることから、その範囲の中で小中学校の過剰な運動部活動をいくぶんでも低減する提言を試みます。
 まずこの稿では、ひとつだけ申し上げます
疲れたら技を覚えられない
 という真理です。

 未熟な指導者、或いは古いやり方を繰り返すだけの指導者、最新のトレーニング法の吸収を怠っている指導者に多く見られる欠点は、「技術」「体力」「精神力」「戦術」などのどれを鍛えているのかの意識がないまま、単にダッシュさせたり、単に模擬試合(スパーリング、乱取)させたりすることです。
 これらの中で、もしも小中学生にそのスポーツを生涯やってもらいたいと思うのなら、技術を優先的に教えるべきです
 技術、いわゆるスキルトレーニングについては、立ち方から入って歩き方、構え方。スポーツの種類によらず、これらの基本(=合理的な形と体の使い方)を身につけさせるところからすべてが始まります。土台の形が崩れないようになったら、上体の動きをつけていきます。(別稿で詳述しますが、「技の崩れ」はスキルトレーニングにとって重大な課題です。これに対する解決策をもっていなければ、ひとさまを指導することはできません。)
 このときに注意しなければならないのは、十分に身に付いていないスキルを訓練しているときに、息が切れるような状況に選手を追い込まないということです。

 「魔術師」「知将」と呼ばれたプロ野球の名監督三原修氏は、二流の選手の長所を引き出して成果を上げていました。選手にハードトレーニングを強いないその指導法に疑問を感じたある人が尋ねました。
なぜ、選手をしごかないのですか
 そのとき三原監督は、
疲れていては、技を覚えられませんから
 と答えたそうです。
 技を覚える段階と、技をどういう状況でも使えるように磨き上げる段階では、指導法は違うのです

                             つづく

 

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

部活は高校メイン_勝利のためには

部活は高校メイン_理想の運動部

 

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 基本の型が大切なことはビリヤードでも同じ。だから、構えを見ただけでその人が身につけているスキルのレベルのおおよそは検討がつく。武道は言うに及ばない。


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#1702 ブカツは高校メイン(5):まず準備運動 Oct. 30, 2011  [73.ブカツ]

 Tさんのブカツ指導論5回目である。準備運動を心拍数を上げることと筋肉や靭帯の可動域を広げるという二つの目的にわけて分類しているところがユニークである。たしかに、これらは排反しているから、両方を同時には出来ない。つねに地頭で考え、試して確認するところがTさんらしいところだ。

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 部活の指導をしていらっしゃる指導者や父母の皆さんにとっては「よけいなお世話」になるかも知れませんが、いちおう世間の常識的な線での、準備運動について提言します。
 というのも、スポーツ障害の原因として「不十分な準備運動」が意外と多いからです。
 「馬鹿にするんじゃない。準備運動なら、たっぷり汗をかくほどやっている」
 という指導者や父母が多いと思いますが、ま、それが間違い。

 運動の性格によって、準備運動の深さは異なりますが、共通項は
①心臓を一定の拍動域まで高める(汗をかく準備運動)
②主たる関節を、運動種目の範囲を少し超えた稼働域まで曲げ、伸ばす(いわゆるストレッチ)
 のふたつです。

 それで、私が見てきた範囲では特に、球技系の運動部と柔道部は、①はいいとこいっていますが、②がほぼ壊滅状態。
 ちなみに、私が所属していた大学のハンドボール部の練習メニューをご紹介します。

 1 キャッチボール(軽く投げ、徐々に強く、遠くに投げる)
 2 ランニング
 3 ダッシュ(体育館の長辺をダッシュし、短辺を流す)
 4 手足の体操(ラジオ体操より軽め)
 5 柔軟体操(とは言っても、反動をつけて、痛いところに近い部分でやめる)
 6 並行走でのパス
 7 三角パス
 8 ダッシュアンドシュート
 9 3対2でのフォーメーション
10 5対5でのフォーメーション
11 キーパーノック
12 基礎体力づくり
13 整理体操

 うろ覚えですが、ざっとこんな感じでした。
 ここで、1~3は、①のアップ法です。4と5がおざなりでみんなすませていたので稼働域は、ぜんぜん広がっていません。つまり②についてはやっていないも同然。
 するとどうなるか。
 足首、膝、腰、などが、故障しやすくなります。(1によって肘と肩の準備運動には多少なっているので、肘と肩は多少、まし)
 ストレッチは、たとえば予期しない動きで足首が曲がったり、腰に重圧がかかったり、膝の靱帯が大きく伸びたりしたときに、怪我を防ぐ可能性を増大させるための、予防策です。この予防策については、どんなに汗をかく準備体操をしても、ストレッチの代わりにはなりません。
 そしてこのストレッチの深度は、球技選手は一般的に、ひどく浅い。(実は柔道選手も浅くて、故障者が結構続出していますが)
 ストレッチ方法も、「いっち、にい、さん、し」とばかり、反動をつける例が多いようですが、これは絶対禁止です。靱帯を痛める可能性がある。
 ストレッチは「ゆっくり、深く、時間をかけて」が定石です。ものの3分くらいで終わるのはだめ。少なくとも15分くらいかけるべきです。
 それも、足首、膝、股関節、腰、肩、肘、手首、首と、たっぷりやります。
 私自身は空手の稽古の前のストレッチを最低15分、できれば30分くらいやっています。ジャズダンスとエアロビの手法を取り入れています。自分では空手用のストレッチ方法としは、ほぼ完成の域だと思っていますが、こういうのは競技ごとに若干異なるのと、言葉で説明するのが難しいのでここでは説明しません。
 市販のテキストを参考にしながら、競技独特の動きを想定してそれをアレンジし、いいものを作ってみてください。
 なお、次のような考えは禁止です。
「子どもは大人より体が柔らかいから、そんなにがっちりストレッチしなくてもいい」
 子どもでも固い子はいますし、柔らかく見えても、全部の靱帯が柔らかいわけでもないので、やはり一通り稼働域を広げる必要があります。
 一方、体操やダンスなどでは②はいいのですが、①をあんまりやらない。
 バレエのバーレッスンでは、私も何度か体験しましたが、空手の稽古のストレッチなんか子どもの遊びだと思い知らされるほど、不自然に体を伸ばし、絶叫をかろうじてこらえて、やっと開放されたら、こんどはスプリットジャンプで道場……じゃなくてスタジオを飛び跳ねたりします。「おいおい、いきなりそんなに動いたら、体が温まっていないのに、危ないじゃないか」と思ったものです。
 準備体操は時間の無駄、と思っている指導者や父母がいたら、ただちに認識を改めねばなりません。

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

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部活は高校メイン_理想の運動部


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#1701 呼吸とこころ Oct. 30, 2011 [73.ブカツ]

  「#1699 ブカツは高校メイン(4):ストレッチのコツ Oct. 27, 2011 」のコメント欄で私は呼吸とこころの関係に言及したところ、旧友のEさんから面白いメールをもらったので紹介したい。私のコメントを再掲した後でEさんのメールの関連部分を紹介する。

http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-10-27
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大事なことを忘れていました。
ストレッチをしながら呼吸のコントロールをすると、こころがとってもリラックスするんです。
座禅をしながら呼吸に意識を集中するとこころが穏やかになります。
なんの根拠もありませんが、たぶんこころと呼吸はどこかでつながっています。ストレッチは呼吸のコントロールを通じて身体とこころの緊張をほごしてしまう効果があるのだろうと思います。

何かで腹が立ったときには呼吸が荒く浅くなっていますが、そういうときは呼吸をゆっくり長くすることで心の中にともった怒りの火を消すことが出来ます。

穏やかなこころは穏やかな呼吸と共にあるようです。
こころはこころでコントロールできませんが、呼吸でかなりコントロールできるようです。
5年4ヶ月前にスキルス胃癌の手術をするために入院したときベッドの上や廊下の隅でストレッチを繰り返していました。やっているときは頭の中が空っぽでした。死の怖さは消えていました。手術まで約一月、穏やかなこころを維持できました。

イチローは打つ瞬間にボールがはっきり見えているのでしょうね、そうでなければ守備のいないところを狙ってボールを飛ばすなんて芸当が出来るわけがありませんね。どこへでも狙ったところへ打ち分けるには筋肉の可動域が広くなければ不可能ですね。センスのよさも必要です。類稀な動体視力+柔軟性、両方をもっている、本当にすごい人です。
by ebisu (2011-10-28 00:02) 

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 根室の高校生がギリシア語やラテン語の原義に言及した解説を目にする機会はなかなかないだろうから、Eさんの解説を楽しんでもらいたい。
 若い人たちの学問への興味をかきたてる一助になれば我々団塊世代にとってこれにすぎる喜びはない。
(西洋哲学を学ぶ場合はこういう言葉の原義知識を抜きには無理があるように思える)

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 最近のブログに「こころと呼吸はどこかでつながっている云々」とありましたが、御参考までに、古代ギリシア語の話をひとつ。
 ギリシア語の「こころ」をラテン語表記にすると psyche となります。psychology やpsychoanalysis、さらには我々が若い頃にはやったpsychederic 等もこの psyche の派生語です。
 ところで Oxford で出している Greek-English Lexicon で psyche をひいてみると最初に出てくる訳語は breath となっています。その後に ラテン語でいう anima, esp. as the sign of life, life, spirit, 次の分類として the soul or the spirit of man, heart 等々と続きます。古代ギリシア人も<こころ=呼吸>と考えていたようですね。
 昔、読んだ説によると、ギリシア人は人間が死んだとき魂はどうなるかと考えて生前と死後の人体の違いを調べたところ、わずかながらも体重が減っていたのを発見し、呼吸が停止して肺から呼気が抜けて死んだときに魂もいっしょに消えてしまったのだ、と考えたとありました。分ったような分らないような話ですが、それでも数千年も時を隔てた人間の息吹に触れることができたようで、じつに爽快な気分になったことを覚えています。
 ストレッチを通じて<こころと呼吸は通じている>と感じるのとは多少、様相が違うようですが、それでも呼吸とこころの通有性を実感できるという点では、ずいぶんと興味深い話ですね。


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 自分の身体の反応に耳を傾けてストレッチを楽しめば、こころと身体そして呼吸の関連などいろんなことに気づかされる。真向法やヨーガや太極拳もそうした「仲間」だろう。呼吸とこころの関係については、気がついてから81年頃にこの本にめぐり合った。
  『大安般守意経に学ぶ 釈尊の呼吸法』村木弘昌著

 お釈迦様もこころと呼吸の関係に気づいておられたと知ってうれしかった。こころの問題を抱えている方や呼吸や瞑想に興味のある人は一度読んでおいていい本だろうと思う。
(この本の全部を理解する必要はない。自分の身体の声を聞きながらやってみればわかることがたくさん見つかる。たとえば、
"真の呼吸法とは入息を先とせず、出る息をしぼり出すことにある。出しきれば、おのずから同量の息が入息となって現れる"p.282
 呼吸法はヨーガの本やDVDで実習してみるのもいいし、真向法でもいい。それらを試してからこの本を読むとなるほどと思うところが増えるだろう。世の中に修業という体験を伴わないと理解できないことはたくさんある。)

著者とタイトルは一緒だが、表紙のデザインは変わっている。版を改めたのかどうかはわからないが、私のもっている本の奥付には「1979年3月31日第一刷発行 1981年12月16日第六刷発行」となっている。

釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ

釈尊の呼吸法―大安般守意経に学ぶ

  • 作者: 村木 弘昌
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 単行本

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#1699 ブカツは高校メイン(4):ストレッチのコツ Oct. 27, 2011 [73.ブカツ]

 もう三十数年前になるのだが、用事があって帰郷した。向かいの床屋のお爺さんと居間で話しをしていたら、「体が硬くて・・・なんとかならないか」というので、中学生のころから自己流で続けている方法を"伝授"した。なんてことはない、実演して見せたのである。2年ほどしてまた用事ができて根室へ戻ったら、そのお爺さんニコニコ笑って、胸がつくようになったよと喜んでいた。
 その頃で80歳に近かったから、効果は確信していたが、期待以上で驚いた。その方法がTさんの提唱するストレッチとほとんど一緒、類は友を呼ぶの類だろうか?Tさんとは縁がありそうだ。

 私は今でも開脚して胸がぴたりと床につく。5年半前に胃癌で全摘手術を受けるまではブリッジして立つことができた。逆立ちして向こう側に倒れて足がつくとそのまま立つこともできた。手術をしてから傷跡がつるような気がしてやらなくなった。ヨーガの逆立ちも30分くらいは気持ちがいいのでよくやっていた。
 ストレッチの極意は「息を吐きながら、ゆっくり、反動をつけずに、気持ちがいいと感じながら」身体を伸ばしていくことである。開脚して胸を床につけながら音楽を聞いてもよし、本を読んでもよし。身体はのびのびし、呼吸は静かになり、息は身体の隅々までいきわたる。朝起きて窓を少し開けて空気をいれ、ベッドの上でストレッチしてから起きることにしている。気持ちがいいのである。

 Tさんの指導理論の4回目は準備運動とストレッチである。私も偶然類似の方法を40年間やっているから、Tさんの方法が間違いないものであることに太鼓判を押せる。身体は硬いが柔軟な頭脳をお持ちのブカツ指導の先生たちどうぞお試しあれ。

 可動域が大きくなるからメリットは大きい。空手でも柔道でも相撲でも野球でもボクシングでもおおよそ武道やスポーツと名のつくものには効果がある。とくに武道は腰の柔軟性が技の威力に直結しているからね。

(私の手刀や素手のパンチは術後に筋力が著しく衰えたのでほとんど威力がないのだろう。10回前後できた懸垂すら1回もできぬ。しかし、高校卒業の頃はプロのボクサー並のスピードがあった、そしてパンチは重かった。一度測定してみたが、踏み込まずに身体の回転を加えて打つだけで200kg近い威力があった。一歩踏込み、身体のひねりを加えて長いリーチで素手で人を殴ると頭蓋骨を破壊しかねなかった。胸を叩けば胸骨や肋骨を折ることになる。小学生時代に4寸あるいは5寸角の廃材を鉞(まさかり)で叩き折ったり、弾力のある生木の焚き付けを手刀や拳骨で叩き折ってトレーニングしていたから、危なくて人を叩くことができなかった。スピードと力を入れるタイミングの両方が揃わなければナマ乾きの木を叩き折ることはできない。一種の"気合"のようなもので叩き折るのであり、自分の命に危険が及ばない限り使ってはいけない"技"である。よいこは危ないからこういうバカなトレーニングはやらないように。)

 では、Tさんの体験的ストレッチ論をお読みいただきたい。

ブログ"大学受験と高校受験と教育ブログ"より
「ブカツは高校メイン:まずは準備運動(補足)ストレッチのこつ」全文掲載


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 ストレッチ方法の基本を説明しておかないと、前稿http://maruta.be/gakusyu/127だけでは少々不親切だと思いましたので、下記に説明します。
 およそ、ひとりで行う「素人」のストレッチの訓練方法として、現時点で最高峰クラスだと、自負しています。
 なぜか。
 ストレッチは実は、できる人には簡単にできるので訓練方法があまり研究されてこなかった。
 たいていのスポーツはストレッチがいい加減なので、訓練方法は考えられなかった。
 そしてストレッチが不可欠なスポーツは、たいてい、補助者が負荷をかけて半ば強引に柔軟性を高めるので(大相撲や器械体操)、ひとりでできない。
 ジャズダンスなどは元々柔軟性に自信のあるひとがやることが多いので、適当にやっていても柔軟性が高くなるので、訓練方法が発達しない。
 などの環境のため、体の硬い素人がひとりで柔軟性を無理なく高めていくストレッチの訓練方法は、ほとんど研究されてきませんでした
 器械体操、バレエ、ジャズダンス、エアロビクス、空手、合気道などのストレッチ方法を組み合わせる中で、私がまとめた、股関節部分のストレッチの一部だけですが(全部は説明が面倒で)、なるべくわかりやすく(文章では限界がありますが)説明します。うぬぼれているわけではありませんが、この方法を指導したら、体が硬くて45度くらいしか脚が開かなかった子が130度くらいまで10分で開くようになりました。
①マットの上に尻をつき、右脚を右方向に伸ばす。左脚は膝を折って、足の裏を股間につけるようにする。そして右脚のほうへ、体を横にしながら倒す。このとき左手は大きく伸ばし、頭の上の方へ、指を伸ばして指し示すようにすると効果がより高まる。「痛い」と感じるところのちょっと手前で、10秒止める。呼吸はゆっくりと吐く。できたら逆をやる。
(股関節のストレッチというと、たいてい、両脚をいきなり大きく開いて前屈したりしますが、これは体の硬い方には痛いだけ。痛くて嫌だからストレッチも身が入らず、効果が薄い。ところが片脚だけにすると、わりとたやすく体を倒せます。これはジャズダンスのストレッチ方法です)
②両脚を片方ずつ何回かやったら、股関節は少し伸ばしても良い状態になっています。そこで、ここで始めて開脚。ただし、角度はそれほど大きくとらない。前屈しても痛くない程度。くれぐれもいきなり180度開脚しようと思わない。その上で、両手をマットにつける。背筋は伸ばす。丸めない。ちょっと痛いと感じるところまで、両手の位置を前にずらす。ちょっと痛いところで10秒程度止める。呼吸はゆっくりと吐く。
(開脚前屈のストレッチですが、反動をつけたら効果が半減。背中を丸めると効果がなくなります。脚は膝を曲げるとNG。膝を曲げなくてもいいくらい股関節の角度を狭くしてください。この方法は、開脚角度を狭くして良いというのが私オリジナルの部分で、他は、一般的なストレッチ方法です)

 上記の②がクリアできたら、(ここから私オリジナルの手法ですが)右脚のすぐ内側に右手を伸ばす。つまり上体をやや横に倒すような姿勢になる。右脚の付け根だけが痛くなるので、少し痛いくらいのところで10秒止める。呼吸はゆっくり吐く。できたら逆もやる。これを交互に何回か行う。
(上記いずれも、止める時間を10秒としていますが、家庭で行う場合、止める時間を5分程度にすると、さらに効果は劇的に上がります。これは打撃格闘技のストレッチ方法です)

④上記の③ができたら、正面に両手を戻す。さっきの②よりも手が届く位置が伸びているはずです。つまり、稼働域が広がったわけです。そしてここで、(これはクラシックバレエで習った方法ですが)両足を足首から回転させ、後ろに倒して横に伸ばす運動をし、同時に脚の裏の筋を伸ばす。反動をつけずに徐々に筋を伸ばす効果があります。

⑤上記の④ができたら、股関節を無理ない範囲で広げる。たぶん「嘘!」と思うくらい広がるはずです。そうしてら、②~④までを繰り返す。

 一応ここまでにしておきます。

 これで160度くらいまで股関節が広がるようになったら、別な手法で今度は180度開脚を達成していく方法がありますが……たいていのスポーツではそこまで必要ではないので省略。
 上記のポイントは、「反動をつかわない」「ひとりで無理のない範囲でやる」「時間と回数をかける」「姿勢をまっすぐに保ち、背中を丸めない」などです。そしてこれらはストレッチ全部に共通するこつです。

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

部活は高校メイン_勝利のためには

部活は高校メイン_理想の運動部


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#1698 ブカツは高校メイン(3):クールダウンの重要性 Oct. 26, 2011 [73.ブカツ]

 3回目になった、今回はクールダウンの重要性と具体的な方法が語られている。前回は段階的指導論の輪郭が語られた。体育会系のブカツを指導している先生たちの参考になるだろう。
 もちろん、優れた指導論は他にもたくさんあるだろう。切磋琢磨ということがある、こういう知を共有することで釧路と根室の子どもたちがスポーツ選手として致命的な故障を抱えることなく、文武両道の道に生涯を通じて励むことができたら幸いである。
(運動能力の高い生徒の数人が過度なトレーニングで故障を抱えブカツを断念した例をみたので、ebisuはブログでブカツ指導論を採り上げている。その子どもの生涯を考えて、いまどういうとレーニン語をさせるべきか、ブカツ指導にあたられている先生たちは深くお考え戴きたい。)

ブログ"大学受験と高校受験と教育ブログ"より
「ブカツは高校メイン:まずは準備運動(補足)の補足 クールダウン」全文掲載

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 すみません、大事なことを説明し忘れていました。
 クールダウンです。
 これも、おそらく、エアロビクス以外のすべてのスポーツで、相当軽んじられています。
 クールダウンとは心拍数を徐々に落とす、練習終了時の運動方法ですが、この概念は球技スポーツをやっている人のほうがたとえば体操競技やダンスや武道をやっている人より理解されています。
 しかし、クールダウンの際、特に腰のストレッチをすることは、エアロビクス以外のほぼたいていのスポーツは、やらないか、やっても簡単に済ませています。
 腰のストレッチをクールダウンに入れないことは、実は、疲労物質がたまっていくことで、長期的に見てスポーツ障害の原因になりやすい。空手は特に腰の筋肉を使用するのですが、稽古終了時にはあまり腰のストレッチをしません。そのため、流派を問わず、腰を痛める選手が少なくありません。柔道もまたしかり。野球やラグビーもそうではないでしょうか。
 エアロビクスのストレッチ方法は、非常に優れているのですが、結構時間がかかります。ウオーミングアップで10~15分とって、クールダウンで同じだけ時間をとると練習時間が短くなるので、ここは重要な腰の部分だけやって終わりましょう。前に説明した開脚前屈の方法でいちおうOKです。それにもしも加えると、次の方法がお勧めです。
①横向きに寝る
②上になった方の脚の膝を曲げて前に出す(上に出すのではなく、横に出す)
③膝頭を体の下になったほうの手で押さえ、下に引く
④この上体で、曲げた膝を伸ばし、足先を遠くに伸ばす
⑤逆をやる
 たぶん真っ向法かな、古来の日本の整体術を応用した動きのはずです。
 非常に気持ちがいいですから、ご家庭でもどうぞ。

 

参照

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#1697 ブカツは高校メイン(2):勝ちにこだわってはいけない時期がある Oct.25, 2011 [73.ブカツ]

  指導段階論とでも命名しておこう。武道の指導には段階があるというのがTさんの主張である。とくに基礎作りの段階である小・中学校であまり勝ちにこだわると、体の発達段階を無視した過度な練習に陥りやすく、それは子供たちの身体の故障の原因ともなるから、指導する側はその辺りを充分注意しなければならない。
じつは勉強も一緒で、小中高の時代にパターン練習中心の受験勉強をやりすぎてはいけない強い副作用の現実を知らないから躍起になってできのよい小中高生にパターントレーニングを課して得点をあげようとする先生たちがいる。学校を卒業したらそんな勉強の癖は害になる。パターン練習で解決のできる現実の問題なんてほとんどないからだ。
 大きな責任を負うことになる40代以降に、任された目の前の問題をまったく解決できないことに気がついてパニックに陥るからで、それがうつ病の引き金になる。職責の大きさと自分の能力のアンバランスに押しつぶされるのだが、かわいそうなことになる。受験エキスパートほどそうなりやすい傾向がある。ニムオロ塾ではそういうことにならないような指導をしている。目の前を見てそして30年先をみて両方のバランスで指導している。注意すべきはK大やW大よりも上のクラスだ。
 ものごとを根っこから考えて納得しないと前に進めないタイプの人間がいる。パターン練習中心の受験勉強に拒絶反応を起こせば大学受験はたいへん不利になる。受験エリートの道からはそれてしまうが、それだからこそ大学受験に失敗するくらいの方が社会人となったときには強い思考の柔軟性を保持しているケースが多いから、どんな苦境でも粘り強く考え、直感的判断を間違えない人間がそういう集団から出てくる。)

 高校でちょっとやったことがあるだけだから私は柔道のことはよくわからない。だが、ビリヤートのことなら少しわかる。素晴らしい先生たちに少しずつ習った。キャリアも通算すると20年くらいはあるだろう。才能がなかったせいか腕のほどはセミプロクラスでストップ。皇族のビリヤードコーチをされた吉岡先生(昭和天皇)の魔法のようなアメリカン・セリは目の前で何度も見せていただいた。小学生の頃の私には実に品の良いお爺ちゃんに見えた。スリークッション世界チャンピオンの小林先生(現在の天皇)にも新大久保駅前の「ビリヤード小林」の常連会にいたころ教えてもらう機会があった。この常連会には駿台予備校の著名な数学講師A先生にお誘いいただいた。5種目チャンピオンのディリスのビリヤード・サマースクールに参加するためにヨーロッパへ行くくらいの凝り性な人で、プロクラスの腕前である。この常連会にはKさんというキャロムゲームのアマチュア全日本チャンピオンもいた。
 東京八王子の町田先生にも少しの間教えていただいた。「プロだからレッスン料をとるのだが、あなたはレッスン料は要らないから毎日来なさい」と2~3ヶ月、週に何度か教えていただいた。町田先生というのはアーティスティック・ビリヤードで世界大会銀賞を獲った町田正のお父さんである。このビリヤード場には素振り用の鉄製キューがあった。息子さんの方にも八王子駅前のシルクハットというお店でボークラインを3ゲームお付き合いいただいたことがある。へたくそな私の申し出に嫌な顔をされずに応じてくれた。いい思い出になった、感謝している。いろいろあったから、"筋目"はちょっといいのではないかと自負している。
 ビリヤードも基礎作りの段階では目先の勝負にこだわってはいけない。いや、生涯を通じて目先の勝負にこだわってはいけないのだ。たくさんみてきたが、目先の勝負にこだわる人は確かに上手にはなるが、不思議と小さくまとまってしまう。ギリギリのところで勝負を賭けて自分の技倆の限界を試すくらいの人が大きく伸びる。そういう場面でチャレンジできない人にビリヤードの神様は降臨してくれない
 Tさんの柔道指導理論はビリヤードにも通じるものがあるというのがebisuの感想。

 前置きが長すぎた、どうかTさんの語るところに耳を傾けていただきたい。ブカツを指導なさっている先生たちの参考になれば幸いである。

ブログ"大学受験と高校受験と教育ブログ"より
「ブカツは高校メイン:勝利のためには」全文掲載
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 前稿までのストレッチ関係の記事は、子どもたちに過度な練習を強いている指導者にもそうでない指導者にも共通して必要な事項で、子どもたちのスポーツ障害(とそれによるスポーツ離れ)に対する最低限の予防線として、最初に提言すべき事項として掲載しました。(本当は「立ち方」論を書いていましたが、あまりにマニアックなので後回しにしました)
 これは稽古、練習の、一番はじめに意識すべき「訓練管理」の方法でした。最優先すべきテーマだったからです。
 そして本稿では、「過度な練習」と批判されてはおもしろくない、という指導者や父母がいたとして、そういう方たちにも興味をもっていただけるであろうテーマを設定しました。
 それは「勝利」です。
 小中学生の時期に勝利にこだわりすぎることは、「過度な練習」の原因群のひとつになると考え、コメントします。
 スポーツの指導に当たる者は、学力指導に当たる者と同じ視点をもたねばならない。それは、「眼前に立つこの子の、生涯にわたる教育過程に対して、現時点で自分はどの範囲を担い、どこまでその成果に協力できるだろうか」というマクロな視点です。
 この視点を邪魔するものがあります。それは「目先の勝利」です。
 この子は何年後にか大成するだろう。それを邪魔しないよう、今は基礎をゆっくり、強く作りたい。これが正しい指導者の気持ちです。
 ところが、たとえば父母からの圧力、自分のメンツ、あるいは別のなにかからの圧力で、「すぐ成果を出せ。今出せ」と迫られることが指導者にはあるでしょう。
 そういう場合、もしも子どもたちが勝つまでの能力を現時点でもっていなかったら、どうしましょう?
 勝たせるために、上達論ではなく、勝負論に徹した訓練を課しますか?
 あまりに勝負論に偏った指導は、麻薬と同じで、子供らをむしばみ、そのスポーツを生涯にわたって続けようと言う意欲を消滅させます。
 勝たせるために、たとえば、体力ドーピングをさせようとして、夜の7時過ぎまでダッシュの練習をさせますか? 
 ダッシュの過度な連続は、無酸素運動に対する苦痛を麻痺させ、一時的には運動能力を最適化します。効果は確かにあります。ただし、子どもたちの障害を引き起こすリスクも高い。どうしますか?
 さきにみもふたもないことを断言します。非難していただいても結構ですが、たぶん、6割方は真実だと思っています。それは、
小中学校の運動部の成果は、指導者の能力に比例する
 えー、思わずしんとしてしまいそうですが、つまり、これはなにかというと、「指導者がそのスポーツに熟達していなければ、子どもたちは強くなれない」
 さらに踏み込んで言えば、
指導者の力量の差が、子どもたちの競技能力の差として現れる
 この差を、「子どもたちへの過度の訓練で埋めよう」としてはいけません。絶対にいけません。
(凡庸な能力の指導者が自分の能力を埋めようと間違った動機をもった場合、子どもたちに過度な練習をさせる可能性が高まり、結果として子どもたちが潰される。これは、指導者ばかりでなく親にも言える)

 具体的な事例をひとつ。
 極真会館(空手)が分裂するだいぶ前、北海道で最初の高校生大会が開かれました。
 このとき、私は釧路支部長でした。
 釧路支部の高校生たちを率いて大会に臨みました。大会は個人トーナメントですが、勝ち抜きの度合いに応じて、団体としてのポイントも得られて、個人戦と団体戦の順位がそれで決定されるという特殊ルールです。
 前にも書きましたが、ここで私は、釧路の高校生選手たちに、ローキックを主体にした戦術を指示しました。それには明確な理由がありました。
 当時の北海道極真会の支部長で、私より強いひとは札幌の本部指導員だけでした。他の支部長の力量はほぼ、理解しています。だから、それらの支部長が指導する内容もおおよそ理解していて、その結果、それらの支部の選手の戦法と力量も、ほぼ、推測がついていたのです。
 明確なゲームプランもなく、ただ胸へのパンチとハイキックもどきを組み合わせるだけ……私の読みは、ほぼ的中しました。
 これに対して、最も有効な戦術が、ローキックをたたき込み続け、延長戦で勝つことでした。こういう戦いを、他の支部の支部長たちは実践していなかった。だから当然、防ぎ方も自分の門下生に教えていなかった。
 この結果、釧路はぶっちぎりで第1回大会で団体、個人とも優勝、団体戦がなくなった第2回大会でも、個人戦優勝でした。(この、個人戦で優勝した高校生は後に一般大会で全道優勝し、本部職員になりました)
 これは、指導者(私)が、対戦相手の指導者の能力を把握していたから、それに最適化した戦法を事前に用意できたことが、大きな理由でした。
 自慢話をしているのではありません。子どもたちを勝たせるのが至上命題ならば(それ自体を私は認めませんが、仮に至上命題だったとして)、まず指導者は対戦相手の長所と短所をすべて押さえ、こちらの選手の最も優れた力の部分で相手の最も弱い部分を攻略する方法を考えるべきです。(これがゲームプランというものです)
 それができない、やる気がないからと言って、子どもらをしごいて、短期間だけ強くして勝とうというのは、恥ずべき行為です。(もちろん、そんな指導者は釧路にはいないと信じてはいますが)
 実のところ、小中学生ばかりでなく、高校生までの部活は、その戦果は、ひとえに指導者の能力に左右されます。その能力とは、しごく能力ではなく、主には上達論と勝負論(戦術)です。だから、どうしても勝ちたいなら、子どもたちの前に、自分を磨き上げるべきです。

 

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

部活は高校メイン_勝利のためには

部活は高校メイン_理想の運動部


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#1696 ブカツは高校メイン(1):理想の運動部 Oct. 24 , 2011 [73.ブカツ]

 ブカツについて理詰めで効果の高い指導をしている人がいないか探していたときに、Tさんの指導論にぶち当たった。半年ほど前のことだ。シリーズで紹介するので一つ一つじっくりお読みいただきたい。
 ブカツを指導しておられる先生たちの多くはこれでいいのだろうかと悩んでおられるのではないか?そういう先生たちの参考になれば幸いである。

 基礎作りは「入力」重視でアウトプットは後回し。これは国語や英語の指導にも通じる。基礎を造りセンスを磨くためには大量のインプットが不可欠なのである。深く突き詰めるとブカツの指導は学科の指導に通じる。浅いところを泳ぎ回っていたらいつまでたっても気がつかぬ領域だろうとはebisuの感想。

ブログ"大学受験と高校受験と教育ブログ"より
「ブカツは高校メイン(1):理想の運動部」全文掲載
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 えー、前稿http://maruta.be/gakusyu/130にて、だいぶきわどいことをご提言してしまいました。

 実例が私の例だけでは納得もされないでしょうから、という理由ばかりでなく、ぜひとも理解していただきたい実例がもうひとつあるので、追伸ということでお話いたします。
 市内のある中学校に、すばらしい指導者(柔道部顧問)がいます。
 彼は(友人です。格闘技仲間で、寝技では私は一度も勝てませんでした)、人間としても立派で、子どもたちの信頼も篤く、しかも嫁さんも美人という(笑)、ちょっとしゃくなくらいのギフト(たまもの)をもっています。
 大学生時代は、猛烈な稽古をして、格闘技術を積み上げました。たぶん私程度の比ではありません。
 その彼の指導方法です。

 某中学校柔道部の稽古メニュー

1 準備運動(前転などのマット運動的運動、受け身、倒立歩行、準備体操、ストレッチ)
2 技術説明
3 30秒打ち込み 40本(技の確認。40秒に10本以上打ち込み:普通のペース)
4 10秒打ち込み 20本(反射能力とスピードを重視して。10秒に10本以上打ち込めるように)
5 乱取り(寝技3分3本、立ち技3分7本)
6 スーパーサーキット(大学レスリング部の基礎体力づくりメニュー……私がやったらすぐ死にます)
7 試合

(2時間くらいで全部終了。午後6時前に生徒は下校できます)

 メニュー自体は、全国の柔道部の練習と大差ありません。一度東京に行ったとき、講道館の練習を午後4時30分の春日少年団から、一線級がやる9時くらいまで見ましたが、春日少年団の稽古メニューも同じようなものでした。

 では上のメニューの質の、何が違うか

 まず、乱取り回数が異常に少ない。たいていの柔道部、柔道少年団ではこの倍から3倍やっています。
 逆に、打ち込み回数が異常に多い。なにせできる者は30秒打ち込みと10秒打ち込みで、600回以上の技の反復をやることになります。
 普通の柔道部、柔道少年団が乱取り(スパーリング)回数が多いのは、試合に近い形(アウトプット)を数多くやればそれに比例して力が伸びるという誤解を指導者の多くがもっているからです。特に小中学生のときは、技がまだまだ未熟な時期ですが、このときに試合に近いこと、アウトプット中心にやってしまうと、「技が崩れる」現象が起きます。スポーツの技術は「技を作る」「技を使う」という大きく二つの段階があり、スパーリングや試合をやると「技が崩れる」ので、それを修正するため「技を作る」ことを頻繁に行わねばならない。そうしながら試合でも使える完成度の技ができたときに「技を使う」ことが完成します
 このメカニズムを理解している指導者は、ほぼ皆無。
 彼は理解しているのです。
 しかも乱取りを軽視しているわけでなく、密度を濃くしている具体的には、乱取りを勝手にやらせっぱなしにしないで、まずい動きがあればその組に対してすぐに的確な指導を行う。つまり乱取りは根性養成の場ではなく、技術獲得の場になっている
 普通の道場が乱取りを多くする理由としては、スタミナ作りを兼ねる場合があります。(私はあまり感心しませんが)
 その点で、乱取りが少ないとスタミナづくりができないのでは、と思われるかも知れませんが、そこを補う(というよりは本来この形なのですが)のが、スーパーサーキットです。極めて短時間に、ものすごい密度の体力作り運動をします。私はやる気にもなりません。やったらすぐ倒れるだろうと思っています。このため、「厳しい練習」を短時間行い、「脈拍を上げ」「俊敏性を向上させ」「使える筋肉を作り」それらの結果「スタミナとパワーを同時に獲得」が可能となっています。
 整理体操がないのが気になりますが、ここではふれません。
 さて、こういう理詰めなメニューを組んで指導している彼なので、さぞや現場での具体的な練習方法も論理的か、というととんでもない。
 選手に向き合うときは、もう、往年のスポコンマンガも裸足で逃げ出すほどのアナログ指導です。
「いいか、大腰(技の名前)は、腰から入ってな」
 と、生徒の目の前で技を実演します。
「はい」
 生徒は次にどんな技術指導があるか緊張して見守ります。
で投げるんだ!」
 ぜんぜん技術指導じゃねえ~

 別の所ではきっちりと理詰め。集中的に柔道を研究した私でも文句のつけようのない技術指導をします。しかし、生徒に気持ちを与えなければならない(つまりメンタル強化の)場合は、「魂の指導」を行う。
 私がこれまで数々見てきたスポーツ、武道、格闘技の指導者たちの中で、彼はダントツで、一番です。
 柔道が本職だから、こういう指導をできたわけではありません。彼は別の格闘技出身です。そして私は見ています。彼が釧路への赴任が決まり、柔道部の顧問を引き受けることになった後、柔道のうまい人にお願いして柔道を習っていたことを。恥も外聞もなく、別の格闘技ならトップのくせに、柔道着を着てなんども負けながらも必死に技術をあるいは技術指導の方法を吸収していました。
 ちなみにこの中学校は、柔道部の全員が、柔道未経験者でした。体も大きい者はほとんどいません。それでも主力が3年生のときに、市内団体優勝をした上に、全道ベスト8に入りました。
 過度な練習も、優秀な経験者も必要ない。指導者の本当の意味での熱意と合理的な練習により、成果は上げられるのです

 

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

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