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#4220 BCG接種が武漢コロナ感染症死亡率を下げる? April 13, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 驚きました。BCGが武漢コロナウィルスに効くという研究が目白押しになりそうです。
人口百万人当たりで死亡率を見ると「人口100万人に対する死者数の割合の上位3国はスペイン(338.8)、イタリア(311.7)、フランス(202.1)。米国では56.7、日本は0.69となっている。」
現在時点でという限定がつきますが、日本はイタリアやスペインの1/600しか亡くなっていません。
日本人のBCG接種率は98%です。これが自然免疫や訓練免疫を賦活しているらしいというのです。
「この研究グループは、BCGのこのような効果を「訓練免疫(trained immunity)」という新たな概念として提唱している。つまり、自然免疫が働きやすくなるように“訓練された”状態になるというのだ。」
 誤解のないように、ぜひオリジナルの記事をお読みください。

https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/コロナにbcgは「有効」なのか%ef%bc%9f東北大・大隅教授が緊急解説/ar-BB12wvYW?ocid=spartandhp

 水道が整備されていてどこでも手洗いが励行できることやマスクの着用に抵抗がないことなどを除いても、死亡率が著しく低い。そのことから類推できるのは、感染した場合の重症化率も低いということ。免疫の仕組みを考えると、BCG接種によって自然免疫の強化や訓練免疫による免疫システム賦活化効果で、不顕性感染や軽い症状で終わっている感染者の割合もずっと高くなっていると推定しうる。
 BCGによって免疫が賦活化しているとすると、花粉症やアレルギーが欧米の人たちよりも多くなるというマイナスの面もある。

 BCGは結核予防のためのものでしたが、それがその後の人生で免疫を賦活化する=訓練免疫の効果があるということ。
感染爆発しても、人口の98%がBCG接種済みの日本人の死亡率は欧米の1/50くらいにしからならない可能性がありそうです。
罹りにくいということと、罹っても自然免疫や訓練免疫の賦活化効果で重症化する人の割合が小さい、そして無症状の人や軽い風邪のような症状で終わる人が多いのが日本での武漢コロナウィルス感染症の特徴だという結論が導き出せそうです。
ヨーロッパでBCG接種の臨床実験が始まっていますから、研究の進展に注目したい。


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#4219 緊急事態宣言下の東京から帰還事情:手作りマスク April 12, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 毎年恒例の春休みは東京で過ごしている。わたしは2週間、女房殿は+1~2週間、今回はぴったり4週間だった。
 緊急事態宣言が4/7になされた。
 4/11の羽田⇒中標津便シルバーシートを取ろうとしたら、9日から欠航。24日と27日に便があるがおそらく満席になる。感染が怖い。急遽、羽田⇒釧路便に変更した。16時15分発、17時55分着の便である。航空便の相次ぐ欠航からみると、実質的に国内は緩い都市封鎖になりっつある。

 初めて釧路空港まで車で行った。コンキリエで40分ほど休憩して、釧路に入るちょっと手前から自動車専用外環道を通ると案外早く着いた。20㎞ほどを20分で通過。街中を通ると40分かかっていた。13時25分に出発したが、釧路空港の駐車券には16時21分と印字されていた。

 釧路空港はがらんとしていた。土産物店は客がいない。2店舗でお菓子を買った。

 予定時刻通りについたが、下りてきた乗客は30人足らずであった。全日空だがエアドゥの機体とCAだったという。席が狭かったとは女房殿の弁。
 京王線で新宿駅まで、電車はガラガラ。新宿で山手線に乗り換えたのは14時ころだが、同じ車両には10人ほどしか乗客がいなかったという。東京で35年間暮らしたが、山手線がそんなに空いていたのは見たことがない。浜松町からのモノレールもガラガラ。羽田第2ターミナル駅が終点だが、下りた乗客は十数人だったという。
 買い物をして帰りたかったので、帰りは下を走ったが、道路はガラガラだから、スムーズに走れた。イオンの六花亭でお菓子とケーキとおにぎりを買って帰ってきた。

①釧路空港駐車場から
 1時間150円である。1日700円で最大14日まで停められる。中標津空港駐車場の方がずっと広いのではないだろうか。建物は釧路は3階で、3階がレストラン街。中標津は2階建て。釧路の方がずっと乗降客が多いので、もっと大きい空港を想像していた。平成3年にオヤジが大腸癌の手術をしたときに、初めて釧路空港に降り立ったが、それ以来だ。
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②到着ロビー前にある椅子には3人しか座っていなかった。飛行機がついたら7人ほどに増えた。
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③奥のほうが出発カウンターだが客がいない
 航空会社は経営がたいへんだ。夏のボーナスは昨年の半分もでないだろう。内部留保を吐き出すからゼロ解答はないだろう。
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④到着案内ディスプレイ
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⑤全日空ショップで六花亭バターサンドを購入
 ここで買うとマイルがつくんだ。この反対側のお店でロイズの生チョコを買う。
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⑥手作りマスク
 明日からこのマスクを使用する。裏にキッチンペーパーを折りたたんで入れて使えば何度も使用できる。
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⑦手作りマスクの裏側
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 東京の家にはミシンがあるから、小学生になる孫と子どものためにマスクを十数個作って渡してきたらしい。マスクがお店で買えなけりゃ庶民は工夫してしのいでいる。娘から同じ職場の人へも「おすそ分け」したらしい。困ったときはお互い様。 
 アベノマスクは極東の町にはまだ届かない、要らなくなっちゃった。(笑)





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#4216 東京都の新型コロナ感染者数推計:12日間の累計実績値からの曲線回帰式 April 10, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 3/24から4/4までの東京都の感染者データを使って専門家が計算式を導き出した。12日間の累計データをカーブフィッティングしただけの単純な計算式であるから、誰が計算してもこうなる。

 y=1.155^x

*https://gunosy.com/articles/awCCx?fbclid=IwAR23ngyGtyCIfW1EFCdqez5dYcUH-q1MtGxtUnif1gv1SXXHLhBIbOSLrJk
(図3の計算式を参照)

 xは日数である。
 3/31の累計感染者(PCR検査陽性)数は521人である。累計グラフの3/31の棒をクリックすると累計人数が確認できる。3/24日から4/4日までの東京都の新型コロナ陽性患者数累計データは次のようになっている。
 171⇒212⇒259⇒299⇒362⇒430⇒443⇒521⇒587⇒684
   ⇒773⇒889

**https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

 4/30の累計感染者数は次の式で求められる。

 521人×1.155^30=39291人

 20%が肺炎を起こし重症になっているのでそれを使うと7800人の重症患者が治療を受けることになる、全員が同時に治療を受けるわけではないが、この時点まででも5000人ほどは同時に治療が必要な患者が存在するだろう。施設も治療に当たる医療スタッフも足りない。イタリアのように医療崩壊し、治療を受けられない患者が続出し、死亡率はイタリア並の10%になるかもしれない。だから、こういうことが起きるかもしれないという前提で、これから2週間でどれだけ準備できるかにかかっている。

 この指数関数の式から、4/30の東京都の累計感染者推計値は39291人である。4/29までの累計値を引くと4/30一日の新規感染者数がわかる。
 521人×1.155^29=34018
 39291-34018=5272
 引くと、4/30の東京都のPCR陽性の新規患者数推計値は5272人である。このうち重症者が20%とすると一日だけで1000人以上になる。

 61日後、つまり5/31の東京都の患者累計推計値は何人か?
 521人×1.155^61=3422462人

 300万人の東京都民が新型コロナ感染者となる。この辺りでpeak-outするのだろう。

 さまざまな手が打たれるから、こんなに大きくはならないが、東京都だけで累計百万人の新型コロナ陽性患者発生はありうるかもしれない。1/10以下に押さえ込むには通勤電車を何とかしないといけない。内部留保が厚い一部上場企業に通勤抑制要請を出したらいかが?中小零細事業者への売上減にあるていどの補償をだしてあげないといけませんね。自殺者が激増しそうです。
 4/7に緊急事態宣言が安倍総理から発出された。さて、実のある具体策は?

<余談:新型コロナの猛威>
 ●昨日(4/9)の東京都の新規陽性患者数は181人。
 ●新千歳国際空港は3月21日から国際線に離発着する飛行機なし、4月いっぱいは閉鎖になった。
 ●道内の新規陽性患者は2日続けて二桁を記録。パンデミック第二波が押し寄せつつある。

<余談-2:仕事のやり方や教育のやり方に変化をもたらす>
 ●リモートワーキングが増えているが、新型コロナが終息したときに働き方が劇的に変化しているのではないか?
 ●教育現場へのネット授業導入が劇的に進む。僻地で学ぶ成績上位層の子どもたちは、授業の進捗速度が自分でコントロールできるネット授業へシフトしていくだろう。すでにZ会がタブレット端末授業を配信している。利用者は学校の授業とZ会ようなタブレット配信授業を日常的に比較するようになる。それが何を引き起こすのか興味深い。タブレット端末授業では得られないようななにかが学校の授業にも、小規模の塾の授業にも求められるになるかもしれない。それぞれの在り方が変容を受ける。
 ●小さな飲食店が数万件単位で消滅する。
 


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#4215 米国から日本のCOVID-19検査体制にクレーム:大慌ての日本政府 April 8, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 医師会や対策専門委員会や東京や大阪の首長が要請していた緊急事態宣言をあれだけ渋っていたのに、なぜ日本政府は4/8突然に緊急事態宣言を発することになったのか?

 米国は3月23日、日本を渡航禁止と滞在者に帰国を促すレベル3に指定した。その理由を4/4付の日刊ゲンダイが報じている。
*https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/271425?fbclid=IwAR2aC_eWitHdlfmUlLCefNUfCxPfHd0mEbnXz7JVl0eGrgAe2OIxqTw_8F8
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在日米国大使館は3日、HP上で日本に滞在する米国人に対し、強く帰国を促す通知を出した。日本での新型コロナウイルスの感染急増を受けてのものだが、日本政府の対応のマズさをズバリ指摘している。
幅広く検査を実施しないという日本政府の決定によって、新型コロナウイルスの罹患率を正確に把握することが困難になっている今後数週間にわたり、医療体制がどのように機能しているかを予測するのが難しい
 政府は、今月1日にPCR検査は1日9000件以上実施できる態勢を整えたとしているが、厚労省によると、同日の検査実施件数はわずか3604件にとどまっている。
 安倍首相は2日の衆院本会議で、「全相談件数に占める検査実施の報告件数が少ない都道府県については、背景や事情をフォローアップする」と語り、実態調査に乗り出したようだが、「検査過少」は2月から幾度も指摘されてきたではないか。何をいまさら――。

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 検査の網を広げていないから、感染の実態がつかめないし、したがって今後日本の医療体制がどのようになるのか予測もできない、日本政府の新型コロナ対策は検査数が異常に少ないので信用できない。ありていに言うと、意図的な情報操作だと指摘しているのである。

 米国大使館ホームページには日本を渡航禁止、滞在者引き上げのレベル3に指定した文が載っている。
**https://jp.usembassy.gov/ja/health-alert-us-embassy-tokyo-april-1-2020-ja/
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米疾病予防管理センター(CDC)による日本への渡航情報: CDCは3月21日、日本におけるCOVID-19の状況から、レベル3の警告(不要不急の渡航中止)を発令しました。
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(高校生は青字の「レベル3の警告」の文字をクリックしてください。英文の解説ページへジャンプします。PISAの読解力テストではネット情報を統合して問題を分析して、考え、解決法や新たな問題を発見することを要求しています。日本の高校生はこの部分が実に弱い。弊ブログを読むことはPISAが要求する、ネット時代の新しい読解力育成にきっと役に立つでしょう。
*https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/日本の15歳が「読解力低下」oecd調査があぶり出す学校教育/ar-BB12hPcr?ocid=spartandhp)

 これに慌てた日本政府はあれだけ渋っていた緊急事態宣言を出さざるをえない状況に追い込まれたようにみえる。ドイツは50万テスト/day体制をとっているが日本は4/1時点でわずか3604テストしかPCR検査がなされていない。これでは同盟国の米国が日本政府が国内の感染実態を隠蔽していると受け取るのも無理はない。検査数が少なければ、感染者数も実態よりもはるかに小さくできる。

 一方で、原子力空母セオドアルーズベルト内で新型コロナ感染者が100名以上出て、運用不能に陥っている。乗員は4000名、全員が退避するわけにはいかないので、1000名は船内に残っていなければならない。個室をもっているのは上級のものだけ。100名が3段ベッドで寝泊まりしている部屋もあるという。下級の乗員は複数で一つの部屋を共有している。これでは感染の防ぎがない。艦長がグアムで半数の乗員を下ろして検査するよう本国へ要請をだしたが、解任されたという噂が流れている。米海軍の太平洋上での運用に支障が出始めている。空母ですらこういう事態が起きているから、もっと狭い原子力潜水艦でも同様の事態が発生しているかすぐにも発生しかねないと考えるべきだろう。

***https://www.afpbb.com/articles/-/3276445
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【4月1日 AFP】米軍の空母「セオドア・ルーズベルト(USS Theodore Roosevelt)」の艦長は国防総省に対し、空母内で新型コロナウイルスの感染が拡大し状況が制御不能になっているとして、乗組員の隔離に向けた迅速な支援を要請した。米国の2紙が3月31日、報じた。
 空母のブレット・クロージャー(Brett Crozier)艦長は4ページにわたる書簡で、現在米領グアム(Guam)の港に停泊している空母の乗組員約4000人の間で感染拡大が止まらない惨状を説明。米地方紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)によると、「われわれは交戦中ではない。水兵らは死ぬ必要はない」と述べた。
 クロージャー艦長は空母の「空間は元来、制限されている」ことに触れ、「感染症の拡大が続き、加速している」と言明した。
 クロージャー氏は、乗組員全員を船内にとどめておくことは「不必要なリスク」であるとし、ほぼ全員をグアムで下船させ隔離できるよう要請。「配備された原子力空母の兵員の大半を下船させ、2週間隔離することは異常な措置にみえるかもしれない」としつつ、「これは必要なリスク」だと主張した。
 サンフランシスコ・クロニクルによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が確認された乗組員の数は100人を超えている。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)も報じたこの書簡について、米海軍はその内容を確認していない。(c)AFP

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 日本政府が8日に出した緊急事態宣言は、米国からの強い指摘に驚いたからではないのか?
 緊急事態のときには国民と真摯に向き合い、信頼関係を築こうという姿勢が大事だ。なんど世論調査をしても、安倍総理を信用できないという国民が8割もいる、情けない。しかし、代わりがいないし、米国に言われると、昨日までとはまるで違うことをしだす変わり身の早さはなかなかのもの。そういう人が総理大臣であるときに戦後最大の国難が襲ってきた。

<余談:新型コロナ対策の要点>
 通勤電車が密閉・密集・密接の三つの密の最たるものだろう。ここを何とかしないと爆発感染が抑えきれるようには思えない。通勤電車で感染したら「感染経路不明」となります。
 医療関係企業や生活必需品の生産、そして物流企業を除く一部上場企業へ非常事態宣言下の拠点の1か月休業要請を出したらいい。法人企業統計では500兆円前後の内部留保がある、その大半が東証一部上場企業だろうから、補償なんて出さなくても2年間売り上げゼロでも耐え切れます。こういう時にこそ上場企業は内部留保を吐き出したらいい。自己株式買い取りで株価を上げ、内部留保の薄い米国企業にはできない政策です。経営者が10億円を超える報酬を手にし、配当の多さを競い、非正規雇用を増やして社員の人件費を削り、利益を内部留保せずに株価を上げるために自己株式消却にお金を費やす、そういう経営スタイルが感染症の前に無力であることが証明されてしまいました。
 武漢コロナウィルス感染症騒ぎがおさまったら、政府の借金減らして、せっせと内部留保を積み上げないと、災害は目白押し。極東沖の400年に一度の巨大地震は20mクラスの津波を伴ないます。富士山が噴火したら、首都圏は完全麻痺、最近関東周辺で地震が多発しているから直下型地震がいつ起きるかわからない。九州で巨大自然災害が起きるかもしれぬ。災害対策用の内部留保が必要なことぐらいは誰にでもわかる理屈だろうが、備えはまるっきりない。日本人は何か事が起きてからでないと対応できない民族なのか?近々起きる自然災害を予想して、具体的な対策を練り、準備しておくことができれば、自然災害は人災を伴なわずにすむ。

 一部上場企業に勤務する者たちの首都圏の通勤停止なんて要請を出すのに、利益が減るので経団連は猛反対するだろうね、政権も吹っ飛ぶかもしれない。でも大半の一部上場企業は「要請」にしたがいますよ。
 政権維持なんてケチなことを考えている場合じゃありません。感染爆発をしばらく回避出来たら、その間に準備して万全の体制で爆発を迎えたらいいじゃありませんか。それで政権がぶっ飛ぶなら本望と思うくらいの保守政治家はいないのですか?
 日本には伝統的な商道徳がある。大きな企業こそ信用を大事にしたらいい、政治家もね。
売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし

 休業補償は中小零細業者と中小零細企業に勤務する者たち、そして非正規雇用や派遣社員。一部上場企業の社員や公務員は給料が減るわけではないから対象外。わたしのような年金受給者も同じ理屈で除外。

<余談-2:内部留保>
 企業が蓄えている内部留保が非常時には絶大な力を発揮することはすでに書いた。内部留保の厚い企業は1年間売上がゼロでも社員に給料を支払い続けて経営はびくともしない。
 おなじことは政府財政にも言えるのではないか。税収の25年分もの借金ではなくて、10年分の内部留保があったら、それを使えばいいだけ。赤字国債の発行も必要なしだ。無制限に赤字国債を発行し続ける政策は実に危ういのではないか。武漢コロナウィルス感染症で政府財政がどうなるか、また、日銀がどうなるかだれにもわからない。リスクを示すメータがあるとしたら、針は大きく振れているに違いない。
 国の成り立ちも文化も伝統も米国とはまるっきり違うのだから、かの国の後を追ってないで、そろそろ国の在り方を変えろということ。


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#4211 2月12日からエスアールエルが新型コロナPCR検査受託開始 April 1, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 一昨日の小池東京都知事の発表では、検査陽性者は13人でした。前日の68人から激減でしたが、これは感染症研究所を含む公的検査機関が日曜日はお休みだったため。だから13人の陽性は民間検査されたものだという説明でした。
 民間臨床検査センターで何検体検査依頼したのかは不明ですが、陽性がたった13検体というのは、ほとんど外注されていないという実態を表しています。おそらく大手3社だけで数千テストの検査処理能力があります。
 パンデミックを防ぐには、症状の出ていない不顕性感染者(キャリア)を検査で特定して、隔離しなければ防ぎようがありません。だから、WHOも「検査、検査、検査」と検査の重要性を繰り返しています。ドイツは現在50テスト/day体制を整えつつあります。日本はいまにいたってもたった1000テスト/dayです。ドイツの感染者の死亡率は0.9%と低く抑えきれています。日本のそれは3.8%です。

 日本には公的検査機関よりもはるかに処理能力が高い世界最高水準の設備と技術力のある民間検査センターが3社あります。そこを利用すれば、PCR検査の隘路はなくなります。病院から民間検査センターへの外注をすればいいだけ、SRLと取引のある病院は直接検査依頼したらいい。全国の大学病院や大病院のほとんどがSRLと取引があります。

 前回も引用しましたが、日経バイオテクの2/28日の記事を再掲します。

*「新型コロナウイルス、検査体制の拡充が後手に回った裏事情
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06625/
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 感染研がフル稼働しても、遺伝子検査のキャパシティーが絶対的に足りない──。深刻化する状況に、厚労省や感染研は2月上旬から、検査体制拡充に向けて受託検査会社へ遺伝子検査の実施の打診を始めた。ただし、感染研が確立したのは、自家調整の遺伝子検査。一般的に自家調整の検査というのは、承認された体外診断薬とは異なり、「事前に必要な試薬を集めて調整したり、検査の質を確認したりといった作業が必要になる」(専門家)。

 打診を受けた受託検査会社のうち、エスアールエルは、こうした事態を見越して「感染研の自家調整の遺伝子検査を自社でも実施できるよう、試薬の調達も含めて準備していた」(広報担当者)。2020年2月12日、同社は業界では初めて、新型コロナウイルスの遺伝子検査を受託すると発表した。ただ、「そうでなかった企業にとっては、試薬の調整などからしなければならず、自家調整の遺伝子検査を受託する体制をすぐに整えるのは相当難しかったはずだ」と業界関係者は指摘する。

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 いまだに民間検査センターへは新型コロナPCR検査がほとんどでていません。国立感染研が実務を指揮しているのだろうからそこに問題があることははっきりしています。それを傍観している厚生労働省の実務対応能力のなさもうんざりさせられます。民間検査センターのPCR検査能力については3回にわたって弊ブログで採り上げました。
 全国の病院はエスアールエルへ新型コロナPCR検査を直接外注してください

#4197 民間検査センターのPCR検査能力について Mar. 4, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-03-04

 #4191 新型コロナウィルス感染症対策:冷静な議論が必要 Feb. 28, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-28

 #4190 PCR検査への加藤大臣の誤解:日本国の信用にかかわる問題 Feb. 27, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-27-1



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#4210 キャリアの新型コロナウィルス感染力:症状のあるなしに関係なし April 1, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 武漢コロカウィルス感染にかんして、不顕性感染者(=キャリア、無症状の感染者)と症状の現れている感染者の感染力に差があるかな以下について中国が調査結果を公表している。
 「無症状」の感染者から濃厚接触者への感染は4.11%、症状のある人から濃厚接触者への感染率は6.3%であり、統計的に優位な差がないという調査結果である。中国は国民一人一人をトレースできるような監視システムが存在しているから、この調査研究は信頼性が高いだろう。

*「無症状感染者からの感染確率 症状ある人からと大差なし 中国
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200330/k10012357581000.html?fbclid=IwAR2zq3kxZZ-Wb3zeSnqrT_5TCni7QMj9EKP7pRLDAWjNGj6Yrgyd9Jp43mo
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これは、中国・浙江省の寧波にある疾病対策センターの研究チームが、中国の医学雑誌で発表したものです。
それによりますと、研究チームは、新型コロナウイルスの陽性反応が出た感染者のうち症状がある157人と、症状がない「無症状」の30人について、それぞれの濃厚接触者合わせて2147人を追跡し、ウイルスに感染しているかどうか調査しました。
その結果、症状がある人から濃厚接触者に感染する確率が6.3%だったのに対し、「無症状」の人からの確率は4.11%となり、「統計学上、大きな差はなかった」としています。
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 肺炎を起こす段階では、ウィルスは肺で大量に増殖しているから、咳やクシャミや痰で排出されるウィルス量が大きくなることは推察に難くない。体外へ排出されるウィルス量に差があるだけのことで、ウィルスそのものは同じだから、当然の結果に思える。マスク着用は排出するウィルス量も吸い込むウィルス量も減らすから、感染を低減することに効果がありそうだ。

 ところで、不顕性感染してウィルスをばらまいているキャリアが感染者の何割を占めているかについては不明である。キャリアがどれくらいいるかは、検査数を増やし無症状のキャリアを探すしかない。
 ドイツは流行初期に検査数を増やして感染爆発を防いだ。死亡率は0.9%である。韓国も同様になっている。

 一昨日の東京都の発表では13人の新規陽性患者が確認されている。公的検査機関では日曜日の検査はしていないから、民間検査分だという。たったの13検体の陽性だが、民間検査センターにどれだけ外注しているのだろう?
 日本の検査センター大手3社は設備も技術も世界の最先端にある。業界トップのエスアールエルで16年間仕事したので、八王子ラボの技術水準がどういうものかよく知っている。固定資産管理を実務デザインとシステム開発を含めて1年間、検査機器等の設備購入を一人で2年間、学術開発本部で試薬の共同開発や精度管理や大学のドクターや海外製薬メーカからのラボ見学要請対応を2年間やっていたことがあるのでよく知っていた。PCR検査を導入したのは1988年ころだ。わたしが購入したので記憶している。特殊検査部には4つの課があったが、そのいずれかだった。そのご、PCR検査はウィルス検査部でも導入されただろうから、ルーチン検査に結構な代数があるはずで、とうぜん技術者も数十人単位で育っているだろう。PCR検査機器をあらたに買わなくても既存の設備だけで2000/dayくらいの検査は問題なくこなせるはず。台数を増やせば、2週間ほどで10000/dayの体制をつくることも可能だ。
 学術開発本部にいた1990年ころのことだが、設備を見学した米国の大手検査センターが、八王子ラボの設備を丸ごと買いたいというオファーがあったが、もちろんお断りした。(笑)

 厚生労働省は2月中旬頃にエスアールエルに新型コロナPCR検査受託の可能性を打診したらしい。打診があるまえに、ちゃんと準備していたことが、「日経バイオテク」2/28の記事に載っている。


*「新型コロナウイルス、検査体制の拡充が後手に回った裏事情
https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/02/28/06625/
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 感染研がフル稼働しても、遺伝子検査のキャパシティーが絶対的に足りない──。深刻化する状況に、厚労省や感染研は2月上旬から、検査体制拡充に向けて受託検査会社へ遺伝子検査の実施の打診を始めた。ただし、感染研が確立したのは、自家調整の遺伝子検査。一般的に自家調整の検査というのは、承認された体外診断薬とは異なり、「事前に必要な試薬を集めて調整したり、検査の質を確認したりといった作業が必要になる」(専門家)。

 打診を受けた受託検査会社のうち、エスアールエルは、こうした事態を見越して「感染研の自家調整の遺伝子検査を自社でも実施できるよう、試薬の調達も含めて準備していた」(広報担当者)。2020年2月12日、同社は業界では初めて、新型コロナウイルスの遺伝子検査を受託すると発表した。ただ、「そうでなかった企業にとっては、試薬の調整などからしなければならず、自家調整の遺伝子検査を受託する体制をすぐに整えるのは相当難しかったはずだ」と業界関係者は指摘する。

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 いまだに民間検査センターへは新型コロナPCR検査がほとんどでていない。国立感染研が実務を指揮しているのだろうからそこに問題があることははっきりしている。それを傍観している厚生労働省の実務対応能力のなさもうんざりさせられる。民間検査センターのPCR検査能力については3回にわたって弊ブログで採り上げている。
 全国の病院はエスアールエルへ新型コロナPCR検査を直接外注してください

#4197 民間検査センターのPCR検査能力について Mar. 4, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-03-04

 #4191 新型コロナウィルス感染症対策:冷静な議論が必要 Feb. 28, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-28

 #4190 PCR検査への加藤大臣の誤解:日本国の信用にかかわる問題 Feb. 27, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-02-27-1



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#4207 羽田空港はガラガラ Mar. 28, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 一日当たり10人以下だった東京都の武漢コロナウィルス感染者が連続して三日間40人を超えたと思ったら、四日目の今日は63人に跳ね上がった。来週中には100人/日を超えそうだ。飲食店がかわいそうだ。

 航空会社も経営環境が厳しくなっている。3/14の中標津⇒羽田便は1/3ほどの乗客だったが、今日の羽田⇒中標津は1/4ほどしか席が埋まっていなかった。一日1便しかないので便数を減らしようがない、全日空さんがお気の毒だ。
 羽田空港から聖蹟桜ヶ丘行きの直行リムジンバスには乗客がたった6人だけでした。こんなことは初めてです。
 この様子では1年間でGDPが50兆円ほど吹っ飛びかねない

①下から五番目が中標津便
 電車が空いていて、京王線も山手線もモノレールも全部座ってこれた。山手線を除いて立っている人はいなかった。
 新宿駅の山手線内回りがわかりにくくなった。京王線からの連絡通路をくぐって左側へ「外回り」「内回り」が連続してホームへの登りエスカレータがあったのだが、内回りの登り通路がなくなっていた。右側のみになった、これは分かりにくい変更である。
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②いつもは人でびっしりだが、まばらである。昨年同時期の1/4以下だろう。
SSCN3419.JPG

③土産物屋も閑散としていた。ご覧の通り、人がほとんどいません。
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 中標津空港では六花亭のバターサンドを売っていません。利用客が少ないので製造を縮小しているのだろうか、行きも帰りも買い損ねました。

④中標津町の新規喫茶店チャーリー
 東部サウスヒルズを過ぎて右側にあります。
 1階が生花店、2階がカフェテリアとキャンピング用品売り場。客でごった返していたので、珈琲を半分飲んで早々に引き揚げました、繁盛してます。マグカップは大きめですぞ、胃のないわたしには大きすぎでした。(笑)
 好みによりますが、焙煎がちょっときつめです、炭火での焙煎かもしれません。炭火の焙煎は火加減のコントロールがむずかしいのです。通常の焙煎と同じ程度に表面が仕上がると、火加減強すぎとなり、焦げ臭い香りがつきます。許容限度内ではありました。
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<喫茶「オーロラ」>
 根室に戻って、すぐに根室市総合文化会館内の喫茶店に行ってきました。喫茶店オーロラは明日閉店します。珈琲は焙煎がちょうどいい具合で、苦みの少ない、品の好い味だった。店主の奥田さんは4月から、千島町で素泊まりのみのゲストハウス「トマヤ」を開業します。全国のみなさん、どうぞ御贔屓に。
 新型コロナウィルス騒ぎで、1年間は厳しい経営環境下での船出です、がんばってください。



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#4198 厚労省と医師会だけで医療政策ができる時代ではない Mar.6, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

<最終更新情報>
3/6午後4時半

 マスク不足がテレビ報道を賑わしている。北海道の2か所だけ特別に郵便を使って政府が配布を決めた。メーカーにも増産要請をして、マスクメーカーは24時間体制でフル操業している。それでも一向に必要なところへはいきわたっていないのはなぜか。答えの一つが台湾にある。
 台湾は1995年に健康保険カード(ICカード)を導入している。国民全員がこれをもっており、情報の書き込みができる。このカードをもって小売店に行けば買える。購入履歴はICカードに記録されるので、政府が決めた量以上は買えない。健康保険カードが公平なマスク購入を保障しているのである。こういう医療デジタル・インフラがなければ必要なところへ公平にマスクを流通させることができない。日本にそうした医療デジタル・インフラが欠けているのは30年間厚生労働省が医師会とだけ医療政策を決めてきたからだ
 自動車業界に例えていうと、ガソリンエンジン車にしか興味がなかったということ。時代はいつのまにかハイブリッド車や電気自動車の時代になっている。
 たとえば、創薬はとっくに分子生物学、物理学、化学、そしてシステムサイエンスの複合分野になっているから、それぞれの分野の専門家が新薬開発にしのぎを削っている。新型感染症が現れれば分子モデリングシステムで解析がなされ、その分子構造上の特徴が明らかになる。とっくにそういう時代なのだが、医療行政は、厚生労働省と医師会という旧態依然のスキームからいまだに脱することができない、時代遅れ。

 重要な医療デジタル・インフラに一つに臨床検査項目コードの標準化があったが、これは臨床検査大手6社と臨床病理学会(現・日本検査医学会)の産学協同プロジェクトの五年間の検討作業を経て1993年ころに日本標準臨床検査項目コードが制定され、それ以来全国の医療機関で使われている。これがあることで、保険点数が決まればコード管理事務局のあるSRLで登録するだけで、全国の病院やクリニックの医療システムにインターネットを通して保険点数とコードの取り込み・登録ができる。だから、翌日から、全国の病院やクリニックで民間検査センターへ検査依頼が出せるのである。このプロジェクトは産学協同プロジェクトとして1987年にスタートさせたものだが、重要な医療デジタル・インフラであるにもかかわらず、厚生省は関与していない。産学協同プロジェクトの検討作業に厚生省は不要だったし、実質的な日本標準臨床検査項目コードが成立して、全国の医療システムに組み込まれても、一向に関心を示さなかった。厚労省も医師会も医療デジタル・インフラの整備に関心がないようにみえる

 おかしなことが起きている。今日(3/6)から、新型コロナPCR検査が保険適用になると政府が公表したが、実質的にできないことになっているようだ。仕組みが、専門外来でないと受け付けられないようになっている。クリニックで「発熱外来」を時間を分けて設定しても、検査外注できないのである。3/5の「明日から保険摘要、ドクターの判断で検査できるようになる」との安倍総理の発表は、これでは嘘ではないか?しかも、病院で検査する場合と民間検査センターに検査依頼する場合では保険点数に500点(金額では5000円)の差がある。これでは病院にPCR検査装置があり、検査技術者のいるところしかできない。クリニックではやりようがないから、禁止しているのと変わらないこれだけ民間検査センターでの検査を阻止したいというのは何か特別な事情がなければあり得ないことだ。なにがあるのか説明をしてもらいたい
 価格は民間検査センターへ外注する場合は18000円である。病院内でやる場合は13000円。3割負担なら5400円あるい3900円が自己負担分。RNAウィルスの処理はむずかしいのだろうか、ほかのPCR検査に比べてずいぶん高い設定である。検査コストを考えたら、半額程度で十分な気がする。
*保険点数に関するニュース
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/「気軽に検査できる」は誤解-検体採取、専門病院のみ-新型肺炎きょう保険適用/ar-BB10O1fp?ocid=spartanntp
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医師が必要と判断すれば保健所を通さずに可能に。ただ感染を防ぐため、身近な診療所ではなく、感染防護が整った専門外来の病院でしか受けられない。兵庫県の担当者は「かかりつけ医で誰でも検査が受けられるとの誤解を与えている」と政府の説明不足などによる混乱を懸念する。…全国に約860ある「帰国者・接触者外来」など対策が整った病院が担う。従来通り、住民は各地の「帰国者・接触者相談センター」に連絡する必要があ
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**PCR検査の保険点数事例
https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_3_1_1_6/d023.html

 病院から民間検査センターへ検査がだされると検査数が増えるから感染者数が急伸する、それを恐れてこんな姑息なことをしているわけではあるまいが、東京オリンピックとのかかわりが取りざたされている。ちゃんと説明してもらいたい。
 検査対象が増えれば、実際の感染者が増えたのか、それとも今まで検査していなかった人たちが一斉に検査したので急増したのかがおそらくわからないことになる。


 それで思い出すのはHIV検査である。1988年ころSRL八王子ラボのウィルス部のHIV検査室(BSL-3)ではスクリーニング検査で陽性になった検体をウエスタンブロット法で確認検査をして、毎日1-2検体が陽性、年間ではおよそ500検体が陽性だった。
 厚生省ではエイズ・サーベイランス委員会を設置して医者から感染者数の報告を求めて集計していた。88年のデータを見ると23人である。その後、80⇒66⇒442⇒277人と増えていく。グラフの載っているサイトをご覧いただきたい。
*https://honkawa2.sakura.ne.jp/2250.html

 HIV感染者はスクリーニング検査で陽性、そしてウエスタンブロット法の確認検査で陽性になれば、患者はほかの病院で検査はしないだろう。1988年時点で厚生労働省発表の20倍の感染者がSRL一社の検査だけで陽性だった。ほかの民間検査センターでも受注していた。数の多いところでは江東微研が多いと当時は聞いていた。業界2位のBMLでも検査していただろう。
 1988年の感染者数が23人だから、数が少ないということで、世界中がエイズ撲滅運動を展開したのに、日本だけがほとんど動かなかった。アジアで患者数が多かったのはタイであるが、エイズ撲滅キャンペーンを大々的にやったので、感染者は目に見えて減っていった。先進国ではHIV感染者は日本だけが増え続けたのである。原因は厚生省のエイズサーベイランス委員会が感染者数を過小評価したためである医者から報告数を集計しただけだったから過小評価になった。実際の感染者数の数十分の一しかつかんでいなかった、そのせいで対策が遅れたと言える。民間検査センターに問い合わせが行われていたら、エイズ撲滅キャンペーンはすぐに行われ、患者の増加はずっと小さい値に抑えられただろうこれも、厚生省と医師会だけで感染者数を集計・公表した結果だ。感染者数を小さく見せたかったとしか思えない。そうして医療政策を誤り、感染者の急増を招いた

 いま形を変えて、新型コロナでも似たようなことが起きつつあるのではないか?
 1か月半公的機関だけで検査してきた。これから病院から民間検査センターに検査外注ができるようになれば、感染者数は急激に増える。いままで検査できなかったケースも医者が必要と認めれば、検査できるようになるからだ。政府は感染者数が増えるのは困るのだろう。オリンピックが控えているからか。
 1か月前から保険点数がついて民間検査センターで検査していたら、いまアウトブレイクのピークがどの程度で、これから1週間どれくらい増えたのかがちゃんとわかったはず。感染者数増大のどのフェーズにいるのか判断がはなはだ難しくなったと言わざるを得ない。ピークアウトがいつなのか統計的に予測がむずかしいものになった。
 いまとなっては手遅れ。実際に感染者数が減りだすのを観測するしかない。
 新型鳥インフルエンザ、SARS騒ぎのときは8か月かかっている、今回の新型コロナウィルス感染の流行も3か月程度ではおさまらないだろう。経済へのダメージが大きい。

 「二度あることは三度ある」、次の新型感染症アウトブレイクのときはHIVと新型コロナウィルス感染症の轍を踏まぬようにしてもらいたい
 健康保険証の光カード化はカルテフォーマット標準化と合わせて検討していたが、1986年時点ではコンピュータの性能と通信速度の問題、通信回線の問題で技術的に無理があった。NTTデータ通信事業本部と2度だけ「臨床診断支援エキスパートシステムと専門医トレーニング用CAIシステム事業化案」をたたき台にして、議論したことがあった。標準臨床検査項目コード制定は10個のプロジェクトの内の一つだった。実現できたのはこれだけ、不甲斐ない。せめて、フォーマットの検討だけでもしておけばよかった。後のことは後から出てくる人に任せたらよかったのだ。日本標準臨床検査項目コードは、世界標準制定のためのたたき台のつもりだった。エキスパートシステムの主戦場は世界市場と考えていた。なぜ、コードの標準化をターゲットの一つに選んだかというと、さまざまな国際標準規格があるが、日本人が提案したものがなかったからだ。そういうことを産業用エレクトロニクス輸入商社に勤務していた6年間に知った。ヒューレットパッカード社の社内規格である汎用バスHPIBはそのまま国際規格GBIBという双方向のインターフェイス・バスになっており、そういう製品が社内にごろごろしていた。機会があったらチャレンジしてみたかった。最大手の臨床検査会社SRLへ上場準備要員として転職したのが1984年、その2年後に大きなチャンスが巡ってきたというわけ。

 咽頭拭い液でやるPCR検査はそこにウィルスが繁殖していれば検出できるが、奥の方なら綿棒にウィルスが付着していないので検査で検出されない、つまり擬陰性となる。検査を受ける人はこのことを良く承知して診察を受けてもらいたい。偽陽性もありうるがこれは確率的にずっとすくないだろう。

*武漢肺炎は「SARS+エイズのようなものだ」遺体解剖した中国の医師が見解
https://www.epochtimes.jp/p/2020/03/52988.html


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#4197 民間検査センターのPCR検査について Mar. 4, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 FBでPCR検査について次のような記述を見つけました。大方の人はPCR検査が高度な技術を要する検査で、急には検査処理数を増やすことができないと漠然と考えているのではないでしょうか。結論から申し上げると、1日当たりの検査処理量は80施設の公的機関が排他的にやっているから900/dayからアップできないのであって、そもそも議論の前提条件に間違いがあることを実証したいと思います。ですから、下記のFBの記事をとりあげたのは、たまたま目についただけで、他意はございません。
*https://www.facebook.com/moriya.akinari/posts/3032166170178767
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とても専門性が高い技術なので
やったことない人にもパッパと教えてやらせるなんてことは到底無理です
経験を積んだベテランが、大学を出て基礎知識のある新人に
1ヶ月ぐらいつきっきりで教えてようやく独り立ち、
というぐらいの技術です
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 獣医師の山下先生が漫画を描いてそれに守屋先生の説明を貼り付け、わかりやすく解説してくれています。PCR検査精度について詳しいそしてわかりやすい解説でとっても便利ですので、ぜひお読みください。新型コロナのPCR検査がどういうものかよくわかります。内容をちゃんと知れば、一度の検査で陰性でも、偽陰性の可能性があるので、しばらく経過観察が必要であること、そしてもう一度念のために検査が必要であることは理解できます。もちろん擬陽性もあるので、これも経過観察が大事です。PCR検査の性質を具体的に知る事で、クラスター感染はあるていど防ぐことができます、デマに惑わされず、あわてずに対応しましょう。
*https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2759828210761221&set=a.2759665554110820&type=3&theater

  国語の読解力の低下を考慮すると、中高生の3割は偽陰性や擬陽性の話を精確に理解できないのではないかと危惧します。それは根室の子どもたちに限らない、日本全国の子どもたちの語彙力や読解力が落ちてます。簡単にデマに振り回されるのではないでしょうか。
*偽陰性と擬陽性
https://blog.goo.ne.jp/saitomas_001/e/3cf482d20b890befe31f76734b369364

 疑問に思ったことがあるので、書いておきます。上記の引用は公的機関でのPCR検査にかかわる事情を前提にしているので、民間検査センターという検査の巨大セクターが抜け落ちた議論です議論は前提条件を誤ると、その先をどのように精緻な論理で組み立てても、結論が誤りになります

 PCR検査は民間検査センターではルーチン検査の一つにすぎませんし、特別な技術を必要とするものでもありません。SRLでPCR検査を導入したのは1988年ころだったのではないかと思います。検査機器を購入した記憶があります。それ以来、32年間ルーチン検査としてやっています。1990年ころで八王子ラボには1000人ほど社員がいて、800人ほどが臨床検査技師でした。設備は米国大手の臨床検査センターが91年ころに、ラボの設備を丸ごと作ってほしいとオファーがあったくらいで、世界ナンバーワンでしょう。技術水準も大学病院検査室がレファレンスにするくらいですから、日本一です。臨床医から要望があるのに、どうして、公的機関だけ排他的な体制で検査しているのか意図するところがわかりません。多くの人が疑問に思っているところでしょう。

 SRLは1988年ころ世界一厳しい臨床検査の品質管理基準である米国CAPライセンスを取得しています。そのときに受託している3000項目の標準作業手順書を整備しました。もちろん、日本語と査察用の英文と両方です。2年後に電子ファイルにして、タイムラグのない更新が可能になりました。だから、実施しているPCR検査すべての項目に標準作業手順書があります(業界2番目の検査センターもそのCAPライセンスを取得したはずです)。
 標準作業手順書基づいて、実際に検査している担当者が、社内の他のセクションで検査している臨床検査技師相手に検査手順を説明すれば、1-2日間でトレーニングは終了しますPCR検査が他の検査よりも複雑だなんてことはないのです。あえて言うと、前処理と後処理に手間がかかります

 検査手順が上記のFBに載っていますのでそれを参考にします。
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そして、PCR検査は、実際にはおそろしく手間のかかる検査なのです。
1本綿棒をとってから、
専門の技師さんがすぐに検査を始めて、
ずっとかかりきりで作業し続けても、
結果が出るのが5-6時間後、
という大変な手間のかかる検査です。

10分で終わっちゃうインフルエンザの検査とはまったく違うのです。


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 綿棒で検体を採取してから、それをラボで液体に抽出して、マイクロプレートへ分注します。その前処理工程と、分注作業に手間がかかります。マイクロプレートを検査装置にセットしてしまえば、あとはPCR検査機器が10分間ごとに温度を上下させてRNAを増幅させます。終了したら機械がウィルス量を読み取ります。

 PCR検査機器と検査結果報告システムがサブシステムで接続されて、自動化してある可能性が大きい。その手のシステムは1990年ころ細胞性免疫部で、リンパ球表面マーカの検査機器をDECのミニコンへつないで自動化しているので、それを一部手直しすればいいだけの仕事ですから、とっくにやられているでしょう。技術的な問題はありません。

<業界ナンバーワンのSRLって面白い会社です>
 
機械化、自動化を具体例を挙げて解説してみます。30年前の話ですが、その精神がいまも伝統としてつながっていたら、うれしい。
● 1984年ころラボに搬入された検体を検査分野ごとに分注する工程が自動分注機によって自動化されました。PSS社田島社長が独立する前、アドバンテック東洋の営業マンでSRL担当でした、彼が担当者で共同開発したものです。その後、田島さんは独立、PSS社はずいぶん大きくなりました。たいした経営手腕です。DNA増幅装置も開発販売しているようです。分注作業は単純作業なので、半年くらいで退職が相次いだために自動化に踏み切りました。毎日毎日分注作業だけでは心が折れます。SRL社内基準の100本ラックが業界標準になってしまいました。本当は、12×8=96本のラックの方が自動化処理に便利でした。12の倍数は約数が多いのです。ノズルの数が約数の数に対応します。10×10ラックだと、ノズルは(1, 2, 5,10)の4タイプしかできませんが、8×12ラックだとノズルは(1, 2, 3, 4, 6, 12)の6種類で分注できます。わたしの入社前に始まっていた自動化だったので、関係していません。SRL社内規格が事実上日本標準規格になってしまったので、世界標準から外れてしまいました。
*PSS社ホームページ:http://www.pss.co.jp/company/message.html
● 1988年ころ、結石検査の前処理に手間がかかるので、セイコーの腕時計組み立て精密作業用アームロボットを使って前処理工程を自動化しています。導入検討のためにセイコー社の腕時計組み立て工場を見学させてもらいました。15台くらいのアームロボットパーツフィーダーと接続され、品種の異なる腕時計が数十台ずつ、ほどんど間をおかずに組み立てがなされていました。驚きました。10ラインくらいありました。
 わたしは2度尿管結石を経験しています、とっても痛い。結石の検査は採取された結石を砕いて粉にして、五円玉のような真ん中に穴の開いた金属に詰めて固めます。それを赤外分光光度計にセットして分光光度計のコンピュータ内の物質ライブラリーと照らし合わせて結石の成分分析をします。その成分分析報告書に基づいて、医師が薬を選択・処方するのでしょう。業者さんにご苦労をおかけしました。粉上にした結石を直方体の金属製のブロック1cmほどの深さの穴(そこが半球状)があけられていて、そこからこそげ落とすのに使う金属ブレードの形状を50タイプも作って試行錯誤してもらいました。これも単純作業の機械化でした。当時のSRLでは単純作業を人間に毎日毎日やらせるのは非人間的だと考えていました。ビリルビンが石になったものは茶色い、腎臓結石はカルシウムですから、白くギザギザしています。脂肪が固まったものは半透明の黄色、宝石のようにきれいです。カルシウムギザギザした石が細い尿管を通ったら痛い、潜血反応が出るのは当然ですね。去年10月東京で小山ドクターに診てもらってときは潜血反応+++でした。膀胱へ落ちてしまうと楽になります。
● 同じころ、液体シンチレーションカウンターを使った検査の方法変更がありました。LKB社が開発した紙フィルター方式のカウンターを世界初導入。ガラス製のバイアル瓶が検査室に所せましと積まれて、地震があったら検体の山が崩れてきかねないので、危険を感じながら検査していると担当検査員。それで個人的にコネクションのあったファルマシアから、LKBの新製品開発情報をもらい担当者と検討しました。紙フイルター(約25×25cm)の新開発のカウンターを2台導入したら、96検体同時測定ですから、山積みだったガラス製のバイアル瓶が消えました。こんなに広かったとはその検査していた人の言です。これも自動分注機とセットで動かしたので、検査担当者は1人で十分でした。
● 染色体画像解析装置は1989年だったのではないかと思います。検体を72時間培養して顕微鏡で染色体の写真を撮ります。染色体を一つずつハサミで切り取り、大きさの順番に並べて検査報告書に貼り付けていました。この作業にたくさんの人を使っていました。とっても退屈な仕事です。切り取って大きさの順に並べて糊付けするだけ。毎日毎日この作業を繰り返します。糊付けですからはがれることもあったのです。当時国内の染色体検査の8割以上をSRLが受注していました。ニコンの子会社のニレコと染色体画像解析装置の開発をしましたが、当時世界最高性能のマジスキャンの画像処理用コンピュータを使っても1検体1時間でした。目標値は10分程度、数千万円かけて共同開発を断念しました。虎の門病院に英国製の染色体画像解析装置が導入されたと聞いたので、染色体検査課長とラボ管理部のO形さんと3人で見学させてもらいました。25分で5検体処理できたので、目標値の2倍の処理能力だったのですぐに導入を決めました。大きさの順に並び変えて番号をつけて高性能のレーザープリンターで出力します。染色体検査課とユーザーの先生たちが喜んでいました。決め手はCCDカメラでした。CCDカメラで画像を取り込めばデジタル処理が簡単になります。ニコンは優秀なレンズメーカですから、どうしてもレンズにこだわってしまう、それで後の画像処理工程が複雑になったようです。IRSが使っているのはエンジニアの説明では「ミリタリーーコンピュータ」、中を開けてボードを見せてくれました。ようするに自作のボード・コンピュータでした。おそらく300万円程度の原価、マジスキャンは十倍くらいしてました。IRSの染色体画像解析装置を当時一気に3台導入してます。顕微鏡写真に写っている染色体を切り抜いて、大きさの順番に並べて貼り付けていた作業はなくなりました。生産性は2倍以上にアップしたはず。
  以来、膨大な数の染色体画像データが蓄積されています。福島第一原発事故の疫学調査がこのデータベースを利用してやれるでしょう。研究者にとっては宝の山です。
● SRLの自動化は単純作業工程が最優先です。マイクロプレートへの分注は1990年にはすでにPSS社と開発済みの自動分注機がありました。綿棒からRNAを抽出する作業も単純作業なので、とっくに自動化されている可能性があります

 わたしはもう25年ほどSRL八王子ラボを見ていませんから、あれからどれほど進化しているのか見学してみたい。95年ころに偶々用事があってラボを訪れたときに、廊下を歩いていたら、栄研化学が開発したラッテクス凝集法の大型自動分析器LX3000がずらっと並んでいたので、うれしかった。
 栄研化学が上場準備中であることが分かって、「準備中だろう?」と営業マンに訊いたら、「どうして知ってるんです?」、にわかに取引契約書の書式を改めて作りたいと申し出があったのでピンと来たのです。その関係でなにか困っていることのお手伝いをしてあげたら、助けてもらったお礼に情報教えていいと上司に言われたのでしょう、開発中の大型案件情報を教えてくれました。市場へだす半年ぐらい前だったので、「SRLでインスタレーションテストをしてあげる、フィールドテストだから、そこで問題点を潰してから販売したらいい」「SRLで厳格なテストしてOKがでたと宣伝していい、ただし、テスト終了後半年独占使用を認めろ」、そんな交渉をしました。2台設置して、旧法とデータの比較をしました。立ち上げ後のデータ再現性が悪く、現場とトラブルがあり、臨床化学部のどの課だったか、係長が「再現性が悪くて使えない」と怒ってました、栄研化学の担当者も困っていた様子なので間に入って調整しました。回路をいじってもらって、電源を早くから入れて温めておくように頼んだら、再現性が改善されました。そうして時間稼ぎしている間に、原因を見つけてくれたようでした。市場に出てからあんなトラブルがあったら、RI法に比べて3桁高精度なラッテクス凝集法のあの大型分析機はどうなったかわかりません。2年半くらいの間に、製薬メーカに数社に、仕事を通じて強力な人脈ができてました。91年に慶応大学病院と出生前診断検査トリプルマーカMoM値の基準値の産学協同プロジェクトのときに、こういう人脈があったので、2社に検査試薬の無償提供をしてもらってます。研究成果のデータを使っていいという条件で飲んでもらいました。まともにやったら1億円のコストのかかるプロジェクトでした。タダ。社会的に意義のある産学協同プロジェクトだったからです。今回の新型コロナウィルスPCR検査も社会的な意味合いの大きな仕事です。当面のコストを無視してもやるでしょう。
 SRL八王子ラボは、自社開発も含めて、前処理工程や機器の共同開発、検査工程の改善など、自分たちがかかわってやりうることはどんどんやる会社でした。高収益企業だったので、そういう仕事には予算がいくらでもつきます。ルーチン検査をやっていても、5時過ぎは好きな研究テーマをぶち上げて、予算をもらってやれたのです。

<PCR検査機器がSRLに何台あるかは簡単にわかる>
 PCR検査機器がラボに何台あるかは「投資及び固定資産管理システム」へ検査機器分類コードを入力すれば、画面に表示されます。このシステムは1986年にわたしが開発しています。機器の分類作業のために固定資産台帳とラボの検査機器すべてを突合・確認しました。台帳は500ページほどもある膨大な量です。台帳の記載を修正しながら、ラボ管理部のH間さんに協力願って分類してます。ついでに固定資産実地棚卸実務もデザインしなおしました。上場要件でした。

 新型コロナ検査が大量に来るなら、ラボにあるPCR機器ではぜんぜん間に合いません。機器を発注する必要があります。

 PCR検査に必要な人員が足りなけりゃ、他の検査部から10人くらいはすぐに人を回せるでしょう。必要な機器さえ確保でき、前処理工程の自動化やや検査結果報告書出力へのサブシステムが開発してあったら、たった10人でも、SRL一社だけで公的機関80施設の処理能力を上回るでしょう

<医療のインフラの整備:日本標準臨床検査項目コード>
 検査コードについても書いておきます。病院と民間検査センターをつないでいるのは、臨床検査項目コードですから。大手6社と臨床病理学会の産学協同プロジェクトで5年間の検討作業を経て、1993年ころに日本標準臨床検査項目コードが臨床病理学会(現臨床検査医学会)から公表されており、全国のクリニックや病院は例外なくそのコードで動いているので、保険点数がつけば、3日もあれば受託体制をとれるでしょう。このプロジェクトはわたしの発案です、30年以上前にやっておいてよかった。1986年に「臨床検査診断支援システムと専門医育成のためにCAIシステム事業化案」で、事業化のために仕事を10個のプロジェクトに分割してましたが、そのうちの一つが、日本標準臨床検査項目コードの制定プロジェクトでした。創業社長の藤田さん、中途入社の平社員の200億円の提案に、すぐにOK出してくれました。光カードを用いた電子カルテのフォーマット標準化も一時は検討したのですが、画像情報を入れるには容量が足りないし、NTTデータ事業本部とも2度ばかり協議しましたが、巨大サーバーをおいても当時は専用線でしか通信できず、断念しました。医療用光カードが生まれていれば、マスクの配給は簡単にできたでしょう。台湾政府が健康保険ICカード(書き込みのできるICカード)として1995年に導入しています。購入履歴がカードに残るので、台湾の国民は公平にマスクが買えます。こういう方面の整備がこの30年間まったくなされなかった。いまもそうです。現在の日本の医療行政の欠陥です。官僚にも政治家にもビジョンをもって30年の視野で医療インフラを整備したり、政策を考え実行していける人材がいないようです。空白の30年間です

<検体搬送ルート>
 いま、保健所から公的検査機関へ保健所職員が運んでいますが、クリニックや病院と民間検査センターの間には厳重に温度管理された検体集荷・搬送ルートがあります。何も特別なことは必要ありません。

<PCR検査室の仕様?:公的機関はどうなの?>
 薬剤耐性結核菌検査やHIV検査もしています。それなりの感染防止がされています。ラボ内検査室での検体取り扱いについてはすべて標準作業手順書に記載があるでしょう。HIV検査室はBSL-3だったと思います。1997年だったかな、オーバースペックですが、検査員の安全を考えてそういう仕様の検査室にしました。新型コロナウィルスは飛沫感染ですから、特別な仕様の検査室は必要ありませんが、飛沫感染のHIV検査室を32年前にBSL-2仕様にしているので、どうなるでしょう?社員がそうでないと困ると言えば、オーバースペックの検査室誕生となります。へパフイルターのついた空調が2台で検査室内を陰圧にします、それと非常時のシャワーを備えます。床の防水処理をしないといけませんね。そこまで要求するなら1週間くらいかかりそうです。公的機関はどういう体制で検査しているのでしょう?

<官民協力の時代>
 わたしも八王子ラボの現状がどうなっているのか知りません、古い話を書いただけです。一日当たりどれくらい新型コロナPCR検査処理能力があるのか、厚生労働省から問い合わせたらいかがでしょう。大手3社へ問い合わせたらどうですか。
 公的機関だけで排他的に検査しようとしているから、ドクターが必要と必要と認めても検査できないような理不尽なことが起きています。臨床医が患者を診て、PCR検査が必要と判断したら、すみやかに検査できる体制のあることが望ましいのはあたりまえです。「非常事態」でしょうから公的機関と民間検査センターの両方で協力して検査すれば隘路はなくせます。官民協働でいい仕事したらいかがです?

<具合が悪けりゃどうしたらいい?>
 検体採取にかかわるウィルス検出精度の問題はまた別の問題です。わかりやすい山下先生のイラストをご覧ください。
  なお、新型コロナウィルス感染症には有効な治療法がないので、PCR検査陽性なら、自宅で寝て栄養補給して寝ているのが一番です。PCR検査陰性でも、偽陰性の可能性があるので、具合が悪けりゃやはり寝て状態がよくなるのを待つのが一番です。高熱で呼吸が苦しくなったら、即入院。その段階では新型コロナなら重篤に陥る可能性大です。なんとも困ったウィルスです。感染力が強くないところが救いですね。根室で感染者が出ましたが、そのご増えていません。症状らしきものが出て、5日間ほど一緒に暮らしていた家族にも移っていないくらいですからね。20日に入院して検査、22日に陽性と判明、もう2週間たちました。

<今の対応では経済への影響が大きすぎる>
 新型感染症対策として打ち出された政策による経済へのダメージの影響が大きすぎはしませんか?

<余談:PCR>5/25追記
*https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリメラーゼ連鎖反応
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PCR法は、試薬を混交したDNA溶液の温度を上げて下げる、という一連の熱サイクルによって動作する。このDNAサンプルの加熱と冷却の繰り返しサイクルの中で、二本鎖DNAの乖離、プライマーの結合、酵素反応によるDNA合成、という3つの反応が進み、最終的に特定領域のDNA断片が大量に複製される。
PCR法では、増幅対象(テンプレート)のDNAサンプルの他に、大量のプライマー(標的DNA領域に相補的な配列を持つ短い一本鎖DNA(オリゴヌクレオチド))とDNAの構成要素である遊離ヌクレオチド、そしてポリメラーゼの一種であるDNA合成酵素DNAポリメラーゼ)という3つの試薬を使用する。

  1. 最初のステップでは、DNA二重らせんの2本鎖DNAを高温下で変性させ、1本鎖DNAに物理的に分離する。変性が起こる温度は、DNAの塩基構成および長さ(塩基数)によって異なり、一般に長いDNAほど温度を高くする必要がある。
  2. 次に、この1本鎖DNAを含む溶液を冷却して、プライマーを一本鎖DNAの相補配列部位に結合させることで、部分的に2本鎖を作らせる(アニーリング)。冷却が急速であると、長いDNA同士では再結合して2本鎖になることは難しいが、短いDNA断片(オリゴヌクレオチド)は容易に結合できることを利用している。この結果、対象とする長い1本鎖DNAの一部にプライマーが結合したものができる。プライマーをDNAよりも圧倒的に多い状況にしておくことで、DNAとプライマーが結合する傾向はDNAとDNAが結合する傾向よりも、さらに優越的になる。
  3. 次に、溶液を若干加熱して、この2本鎖DNA部位をテンプレートとしてDNAポリメラーゼを働かせることで、プライマーが結合した部分を起点として、遊離ヌクレオチドを利用して1本鎖部分と相補的なDNAが酵素的に合成される。DNAが合成された後、再び高温にして最初のステップに戻り、このサイクルを最初のDNA変性から繰り返すことにより増幅をすすめる。PCR反応が進むことで、生成されたDNA自体が複製のテンプレートとして使用され、元のDNAテンプレートが指数関数的に増幅される連鎖反応が進む。

以上のようにPCR法は、DNA鎖長による変性とアニーリングの進行速度の違いを利用して、反応溶液の温度の上下を繰り返すだけでDNA合成を繰り返し、任意のDNAの部分領域を増幅する技術である。



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#4195 「全国の学校休校要請」対「WHO報告書」 Mar. 1, 2020 [35. 感染症および自己免疫疾患]

 モスラ対ゴジラ?入国制限という基本的な措置をしないで、ピント外れの全国一斉休校、日本が世界中の笑いものになりそうです。
 WHOが2/25付の報告書を公表しています。首相官邸のみなさん、そして厚生省のみなさん、当然お読みになっているでしょう。
*https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/who-china-joint-mission-on-covid-19-final-report.pdf?fbclid=IwAR2ZXSqAucIdIwc6AkdRbBenx1MGoNL5BA9VZu7ffojYWN6hw3nrawTjWr8

 その12ページには次の記述があります。
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As of 20 February, 2114 of the 55,924 laboratory confirmed cases have died (crude fatality ratio [CFR2] 3.8%) (note: at least some of whom were identified using a case definition that included pulmonary disease).  The overall CFR varies by location and intensity of transmission (i.e. 5.8% in Wuhan vs. 0.7% in other areas in China).  In China, the overall CFR was higher in the early stages of the outbreak (17.3% for cases with symptom onset from 110 January) and has reduced over time to 0.7% for patients with symptom onset after 1 February (Figure 4).  The Joint Mission noted that the standard of care has evolved over the course of the outbreak. 
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 2/20までに新型コロナ検査陽性の患者は5,924人でそのうちの2,114人が死亡。文中にあるCFRとは流行のフェーズも地域も無視した致死率、確認された陽性患者のうちで死亡した人数を割ったもの、すなわち陽性確認症例のうち何パーセントが死亡したかという率(単純平均値)です。[CFR2]はPCR検査陽性だけでなく、検査はしていないが肺炎症状を呈した患者を分母に算入しています。
 アウトブレイクの初期段階であった1/1-10の間に発症した感染者の致死率は17.3%2/1以降は0.7%に劇的に減少しています。流行のフェーズの違いで、こんなに大きな差があります。
 日本で新型コロナウィルス感染症患者が10,000人出ても、死亡は7人です。19歳以下は致死率ゼロということになりそうです。休校措置は本当に必要なのでしょうか?

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Individuals at highest risk for severe disease and death include people aged over 60 years and those with underlying conditions such as hypertension, diabetes, cardiovascular disease, chronic respiratory disease and cancer.  Disease in children appears to be relatively rare and mild with approximately 2.4% of the total reported cases reported amongst individuals aged under 19 years.  A very small proportion of those aged under 19 years have developed severe (2.5%) or critical disease (0.2%).
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 ハイリスクグループ(重篤症状を呈するとか死亡するグループ)は60歳以上の老人で、高血圧、糖尿病、慢性呼吸器症疾患の患者、癌患者だそうです。
 19歳下の子どもは患者全体の2.4%で、そのうち重篤な症状を呈するのは2.5%(肺炎かな?)で、深刻な状態に陥るのは0.2%です。

 中国の新型コロナウィルス感染症PCR検査陽性患者55,924人を追跡調査したデータです。

 日本で1万人の感染者が出たとして、このデータをもとにして試算すると、不幸にして亡くなるのは7人です。それほ、ほとんどが基礎的疾患を抱えた老人ですから、19歳以下の小中高生が亡くなる心配はほとんどありません。それがWHOの調査報告です

 日本政府は何をやっているのでしょう?事実とデータに基づかない全国一斉の休校要請ドタバタ劇、気が違ったのかと笑われそうです
 台湾の蔡英文総統は患者が発見される前から具体的な準備を始めて1か月も前に手を打ってます。1/15に新型コロナウィルス感染症を「法定感染症」に指定1/25には立法院で新型コロナ対策法を可決成立させています。マスクの不足も生じてません。政府がメーカから全量買い上げて、健康保険カードで購入履歴を管理しているからです。週に1度だけ買えるように、健康保険カードの番号ごとに販売日を振り分けてます。購入履歴は健康保険カードに残ります。ICカードになっていて、履歴を残せるのです。関係省庁の対応も素早かった。どこで買えるか、地図にマークをつけてインターネットで公表してます。先手先手で具体策を打ってます。感染患者も39人です。中国のお隣にありながら、韓国の3150人とは大違いです。結果から見ても防疫体制が現実的でしっかりしているということ。

 日本政府はダイアモンド・プリンセス号の感染拡大に大わらわ、不手際が続出し批判が渦巻く中で、ほとんどなすすべがなかった安倍総理大臣は、何か派手に打ち上げなくてはと考えたのか、全国の小中高の学校へ1か月間の休校要請をだしました。法治国家だから、対策特別法を成立させてからでしょう。検討している時間がないなんて言い訳は通じませんよ、時間は1か月以上もあった。まだ中身がないので具体策の検討はこれから、学校も経済も大混乱。まずいところは微調整しながらやるしかない。

 選挙制度の欠陥はどうあれ、現在の制度で国民が選んだ政権であり、総理大臣なのだから、結局はkoderaさんの言うように、国民の意識レベル相応の政治がある。それが忖度政治であり、法律無視の今回の突然の全国一斉休校要請だったとしても。じゃあ、誰がいるかと問われたら、すぐに名前は出てこない。大方の国民もそうなのだろう。

 WHOのデータを読む限りでは、小中高の休校措置は必要のないものとわたしは思う。しかし、WHOの数字だけですべてが判断できるとも思わぬ。報告書を隅から隅まで読んだわけでもないから、見えていないもの、わかっていないことがある、なんとも気持ちの悪い心地がする。
 新型っていやだね。感染した19歳以下の子どもの数って本当に感染者全体の2.4%なのか?免疫が大人に比べて相対的に弱いので、症状が軽くてPCR検査の網の目から漏れているケースはどの程度なのかさっぱりわからない。わかっていないことはわからないとしておこう。中国のデータに現れた感染者数から判断するとそんなに感染力が強くないことだけはたしかなようだ。

 政治がどうあろうと、明日も坦々と仕事する。

3/2 0:28追記
*https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200228-00000078-sasahi-soci&p=1
(台湾ではすでに学校の休校は原則終了している。旧正月(春節)の冬休みを2週間延長して24日まで休みにしていたのを、現在は、教職員や生徒で感染者が1人出れば学級閉鎖、2人以上なら学校閉鎖するという基準を設け、授業を再開している。)

<社会実験のようなもの> 3/2朝8時半追記
 ベッドで朝、ラジオを聴いていた。道内の農家から大学生の春のアルバイトが集まらなくなったので作付面積を減らさざるを得ないという。春から夏場にかけて道内野菜の収穫量が減るということ。これはもうどうしようもない。聞いてみたら当たり前だが、案外こういうことは実際の状況が生まれるまで気がつかぬ。牛乳の生産農家は給食が中止になっているので、生乳を加工乳へ回さなくてはならない、当然単価は下がる。給食用は生乳消費量の10%を占めている。こうした「あたりまえの影響」がいたるところで起きる。社会は複雑根ネットワークでできている。一箇所に変化があれば、それは複雑なネットワークを介して全体に及ぶ。半年後にその結果がどうなるのか「大きな社会実験」なのだろう。
 同じラジオの解説で中国の感染症の責任者が論文を発表したそうだ。死亡した人の症例を分析したところ、入院時に発熱もない、肺炎症状もない人がかなりの割合でいたという。実際の割合が度だったか、その論文をみないとわからぬ。

 根室市内でも様々なうわさが飛び交っているが、何が本当かさっぱりわからない。濃厚接触者23人が経過観察中のようだが、噂が全部本当なら、家族を中心に数人は感染者が出ているはず。真偽の不確かな噂のいちいちは書かない。
 たしかな情報だけを書くと、公表された感染者リストの14番目に根室市の感染者(2/22PCR検査陽性判明)が載っているが、末尾が72番目、根室市の感染者は増えていない。2/16から発症していたから、すでに2週間以上経過しているが、密閉空間で生活していた家族にすら感染していないことがわかる。新型ウィルスの感染力はインフルエンザに比べるとかなり弱いと言えそうだ。
*北海道庁保健福祉部地域保健課<新型コロナ:道内の発生状況>
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kth/kak/hasseijoukyou.htm


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