SSブログ

#1336 北の勝の酒粕でつくる甘酒 Jan. 11, 2011 [86.酒と肴]

 北の勝の板粕をいただいたので、早速甘酒にして飲んだ。ほんのりと酒粕の香りが漂って品の良い甘酒だった。このところ寒いから、甘酒は体が温まってよい。
 粕は類字に「糟」、「滓」があるが、米偏に白の旁を充てたのは日本人の美的感覚で、この字は紛れもなく和製の漢字であるに違いない。「滓」の字でもなく「糟」の字でもしっくり来ない、米偏に白を充てて心の中に浮かんだものを言い表すしかなかったのだろう。
 酒粕のことを「モロハク」という言い方もあるようだが、こちらは味噌状の製品を指すようだ。たぶん、「諸白」と書くのだろう。この字にも美しさを感じる。美的感覚に秀で、なんと漢字の使い方のうまい民族よと自画自賛したくなる。

 北の勝には二種類の酒粕、板粕と諸白がある。諸白は醪を袋に詰めて「フネ」といわれる木製容器に入れ、長い棒の先に重石を載せて圧力をかけて絞る昔ながらの方法でできた酒粕を、しばらく「寝かせて(熟成させて)」から売りに出す。
 塩漬けして身が締まったシャケを粕漬けにするのに使うと品よく味の濃い焼き魚が食べられる。北の勝の諸白を使って、地元で獲れたシャケを粕漬けにして食す、こんなときにふるさとはいいとしみじみ思う。

 板粕は機械絞りでトコトン絞っているからアルコール分が少なく、すっきりした甘酒になるが、こってりした甘酒を飲みたいなら、昔ながらの木枠「フネ」で絞った酒粕がいい。
 わたしは諸白を砂糖と蜂蜜で練ってジャムの瓶に詰めてちょっとお酒を加えて冷蔵庫に保存している。お湯で薄めて電子レンジで1分チンすると、インスタント甘酒の出来上がり。
 あなたは板粕と諸白、どちらの甘酒が好みだろうか?

 北の勝の碓氷勝三郎商店では酒蔵を公開していないので、残念ながら蛇腹方式の機械絞り機を職員以外は見る機会がない。私は見たことのない重石を載せて絞る昔ながらのやりかたをこの目で見フナ口から滴り落ちるふくよかな香りに酔いしれてみたい。
 酒蔵を公開する酒造もあるが、雑菌などの問題があるから公開しないほうが酒造りにはいい。

 奥多摩の某有名酒蔵や山梨県のとある酒蔵を見学したことがある。奥多摩のほうは友人や同僚を誘って十数回訪れた。レストランや外にテーブルが設置してあって、お酒を飲みながら将棋を指して遊んだ。ここでは酒造りに使っている水で豆腐をつくって販売しているが、実にウマイ。それを肴に談笑しながら飲む。奥多摩の銘酒2社のうちの一つ、澤乃井である。
 酒蔵の中は発酵中のお酒の香りが濃く漂い、足を踏み入れた瞬間はそれだけで酔いそうになる。フナ口で受けた酒を試飲させてもらったことがあるが、その香りと味の素晴らしさはたとえようもない。日本酒の美味さはつくり方、絞り方によって千変万化、奥行きに際限がない。味や香りの幅が広いのである。こんな味の日本酒があるのか、こんな香りの日本酒があるのかと驚いたことが何度かあった。
 醸造酒として日本酒は世界一だ。それは原酒のアルコール度数にも現れている。日本酒酵母のアルコール産生能は世界一だ。杜氏と蔵が優れた酵母を育て保存してきた。
 パスツールが細菌を発見するよりも千年も前から杜氏や蔵人たちは日本酒酵母や乳酸発酵を知り尽くし、発酵過程を絶妙にコントロールしていたのだ。なにより(日本)酒は美味しく、(日本の)食文化に合う。

 さて、幻の酒「北の勝搾りたて」の発売日が近づいている。今年は何日の発売になるのだろう。例年通りなら1週間以内に発売されるのではないだろうか。数が少ないから1本手に入れるのがたいへんだ、小売店に行列ができる。いつ発売されるのか期待して待つ楽しみがあるから、何日に発売になるのかわからないところもいい。

 何事につけてもポリシーのハッキリした頑固な老舗である。もう創業120年だろうか。平成2年が創業百年だったと記憶する。創立135年の花咲小学校よりちょっと若い。
 百年記念で出した大吟醸酒「鳳凰」は実にいい出来映えだった。ナカミもだが、瓶の色合いがとても美しかった。半分飲んでから瓶を横倒しにしてみたら、瓶の中の酒が穏やかな日差しを受けてきらめく海のように見えた。色合いが気に入らず大阪の瓶メーカーに3度作り直してもらったという苦心の瓶だ。メーカ側もこれでダメならもうお断りしようというギリギリのところでできた瓶だという。栓も陶器でできた美しいものだった。粕という字に生きている日本人の美的感覚がほとばしり出たような一升瓶だった。いい酒にはいい衣装を着せたい、そういう気合がこもっていた。
 酒造メーカとしては規模が小さいが、121年目を迎えてなお妥協しない酒造りに徹する、わが町が誇りとする企業のひとつだ。


にほんブログ村 地域生活(街) 北海道ブログ 根室情報へ
にほんブログ村


30匹280円の秋刀魚あり、味のほどは? [86.酒と肴]

30匹280円の秋刀魚あり、味はなかなか・・・

 地元の鮮魚店で大型の秋刀魚をより分けた後に残る秋刀魚を一山280円で販売していた。小型だから、脂の乗りは少ないが、刺身や煮物にはこちらの方がいいと女房が買ってきた。根室は安くて美味い魚がたくさん食べられる。
 じつはすこし小ぶりの方が焼き魚にしても食べやすい。何しろ大きさからくる圧迫感がない。今夜は北の勝を呑みながら2匹食べた。
 銀座の裏通りで9年ほど前にちょくちょくランチメニューの焼き魚定食を食べに行った店がある。「産地直送根室産」と黒板に書かれていた。900円だったかな。焼き魚を出す店は少ない。昼の混雑時に焼き魚主体で調理するほどのオーブンをもっていないから、流行る店ではちょっと無理だろう。この値段で産直の秋刀魚がよく出せるねと店主に聞いたら、採算が取れていると言っていた。ちょうど今日食べたくらいの秋刀魚だった。上手な仕入ルートがあったのだろう。
 明日から棒受け網漁が始まる。魚体に傷がつかないから地方発送には最適だ。まもなく根室は秋刀魚の季節真っ只中。

 2009年8月4日 ebisu-blog#686
  総閲覧数:139,846/618 days(8月4日21時30
分)

今宵は秋刀魚のタタキと北の勝吟醸酒で… [86.酒と肴]

今宵は秋刀魚のタタキと北の勝吟醸酒で…

 流し網で獲れた秋刀魚は網から外すときに傷がつきやすい。棒受け網なら魚体に傷がつかないが、まだ解禁になっていない。見た目が異なるだけで、どの網でとっても魚の味は同じである。

 高校の同級生から昨日秋刀魚をもらった。根室だから、朝陸揚げされた魚を昼におすそ分けしてくれた。昨晩と今朝、焼いて食べ、今夜、一晩凍らせておいた秋刀魚を解凍し女房殿がタタキにしてくれた。ショウガと大葉と長ネギを味噌を叩いて和えたものだ。酒は地酒の北の勝「吟醸酒」である。
 屋根に当たる雨音を楽しみながらゆっくり呑んだ。ふるさとで獲れた秋刀魚を肴に、ふるさとの酒を呑む。しあわせなひと時だ。

 ところで明日は胃の手術を受けてから3年目の定期検査だが、X線CTを撮るだけだから楽なものだ。大腸検査をやると絶食で下剤を飲むから体力を奪われるし、体重も落ちる。それがなくなっただけでも気分が楽だ。
 身体も慣れてきて体調もよくなった。頭脳の働きが体力と関係があるとは手術をして体力が落ちて始めたわかったことであるが、体力の回復に比例して脳の動きもよくなってきた。集中力が3時間ぐらいでいったん途切れるのは仕方がない。休憩を入れて少し食べて脳に糖分を補給してやればまもなく回復する。全部は元に戻らないがこれで充分だと現状に満足できるとストレスも自然に小さくなっている。自分の身体との付き合い方がわかってきた。
 お世話になった釧路医師会病院のクターや看護婦さん、お世話になっている根室のドクターや看護婦さん、ありがとう。
 人間一人で生きているのではない、多くの人に生かされていまある。素直に感謝 ・・・・・・  m(_ _)m

 2009年8月2日 ebisu-blog#683
  総閲覧数:138,810/616 days(8月2日20時10
分)


北の勝大吟醸“まつり”を呑む [86.酒と肴]

北の勝大吟醸“まつり”を呑む

 今日は花火大会がありそうだ。昨日は雨で流れ、今日に順延された。いまお昼だが風が強い。こういうときは花火が斜めに上がっていく。そしてまん丸に広がるはずが風を受けていびつになる。それでもいい。寒いだろうから浴衣で見る人は少ないだろう、防寒着が必要だ。

 さて、数日前の新聞に北の勝「まつり」が発売されたという記事が載った。
 昨日(19日)高校時代の同級生7人が友人の家に集まって酒を飲んだ。たまたま用事があって来れない一人が、お詫びのしるしだと発売されたばかりの「まつり」を数本よこした。大吟醸酒なぞは滅多に呑めないから日本酒好きの二人は大喜びだ。

 300mlの小瓶は曇り硝子の水色、まつりの字が躍っているようだ。北の勝つにはめずらしくおとなしい味に仕上がっていた。男酒で辛口が北の勝の個性だが、アルコール度数は15度に調整され、呑みやすい酒に仕上がっていた。ふんわりと芳醇な味わいのする「都会的な」印象の酒だ。活きのよい大振りのシマエビが口の中で甘みを残して喉をとおる。グビッ・・・

「旨いが北の勝らしくないな、いつもほど辛口に感じない」
そういうと、他の一人が、
「十分辛口だ、いつもの北の勝だよ」
お互いに酔いが回っているのでお酒の評価は好い加減なものである。
 ビールだって、500ml1本飲んだだけで、二本目がどこのビール化当てられる人は少ないだろう。酔いが回った人間の舌は当てにならない。新発売「まつり」の味は買って呑んでみるしかないだろう。どのような味わいかは別にして、美味しいことだけはまちがいない。
 小腹がすいたところで友人の奥方が手打ちした蕎麦をいただく。酒を呑みながらちゅるちゅる、ズズッ、いっせいに音がし始める。実に美味いそばだ。腕前は2段である。蕎麦屋を開いてくれたら週に2度は行くのだが、一向にその気はないらしい。食べながら宮城県大滝村の蕎麦を思い出した。あの店は出す酒も蕎麦にあういいものを選んでいた。

 ゆっくり呑みながら4時頃から11時過ぎまで呑んだ。定年退職した連中が半分くらい、現職が半分。退職してから人と会話する機会が極端になくなったと、はやくもボケを心配する友人もいる。喫茶店に行って人と会話するように心がけているそうだ。

 趣味も各人各様、パークゴルフに熱中するものあり、囲碁のテレビ解説を毎週楽しんで並べるものあり、もっぱら食い且つ呑み一向に体重が減らない者あり。
 孫ができて「こんなに可愛いものないぞ」と目を細め、「娘が8月にもどってくる」「一月ぐらいいるので(孫を構うのが)楽しみだ」という者あり。こちらは「ふーん」そんなものかいなと楽しそうに語る友人の顔を見る。

 しかしだ、定年退職後めっきり少なくなってしまう人とのコミュニケーションをどのように確保するかは老後をボケずに健康に暮らすためには大事なことのようだ。飲み会ではなく、なにか定期的に集まって話す機会をつくらないかと提案する者あるも、具体案がでてこないままお開きとなった。
 定年退職した団塊世代は似たような悩みを抱えているのではないだろうか?好いアイデアがあったら教えてほしい。 

 2009年7月20日 ebisu-blog#661
  総閲覧数:131,532/603 days(7月20日12時05分)
 


ビール+ビール酵母≒酵母入り生ビール [86.酒と肴]

ビール+ビール酵母≒酵母入り生ビール

 ebisuビールにファンケルのビール酵母を入れた。ビール酵母はしばらくしてグラスの中で溶けて沈殿した。スプーンで軽くかき混ぜていただくとこれが結構いける。
 ebisuがバイツェンに似た味わいに変わった。そのものではないにしても、半分くらいバイツェンに舵を切ったという感じである。
 できればビール酵母100%の「サッポロビール酵母」を使いたかったが、ちょうど在庫を切らしてなかった。ビールもebisuでサッポロだし、相性はいいだろう。

 「サッポロビール酵母」のラベルを見ると原材料名として「ビール酵母」と「二酸化ケイ素」が併記されている。調べてみたら後者は乾燥剤である。だから錠剤はビール酵母100%であるらしい。

 「多摩の地ビール」は京王線桜ヶ丘駅に近く、近くないかな?関戸にある。ここの地ビールが美味い。作り方がいいのだろう。
 地ビールは技術水準にばらつきが大きいので、試してがっかりすることが多いが、多摩の地ビールは期待を裏切らない。東京は水道の水もいいから美味しいビールが作れるのだろうか?とくにあのあたりは多摩川水系の水だ。
 ビール酵母を解かして飲むと、ebisuはここのバイツェンに似た味に変わる。酵母の風味の影響だろうか?
 しばらく、行ってないが、ソーセージを食べながらカウンターで飲みたいものだ。今夜は夢の中で、窓から満開の桜が見える席で多摩の地ビールを呑むか。

 じつはバイツェンよりもレッドエールの方が好きだ。バイツェンは小麦のビールであり、ちょっと物足りなさが残る。その点だけはebisuビールにビール酵母を入れたほうが旨い。だが、レッドエールには比べるべくもない。

 検索したらふたつみつかったのでURLを貼り付けておく。どちらも同じお店である。

*多摩ビール
  
http://www2.biglobe.ne.jp/~tamadec/beer1.htm
   http://kuroneko.mine.nu/blog/archives/2007/03/_tamabeer.html

 2009年7月6日 ebisu-blog#639
  総閲覧数:124,846/586 days(7月6日0時00分)
 


龍勢「番外品」PART-1  146年目醸造酒(20BY) [86.酒と肴]

龍勢「番外品」PART-1  146年目醸造酒(20BY)
 
 こうして酒が呑めるのも、すぐに診断をつけてくれた二人のドクター、そして執刀医のドクター・ゴルゴ、術場の看護師さんたち、病棟の看護師さんたち、お風呂に入れないとき背中を拭いてくれたスタッフのおばちゃん、みんなのお陰だ。命を救ってもらった。元気にやっているよ、ありがとう。

 3年前に手術をしてから酒量が数分の一に減り、いまは体をいたわりながら美味しい酒を少量だけ戴く。呑む酒の半分くらいは純米・無濾過・生酒である。なんとなく、生きている日本酒酵母が入っている方が体にいいのではないかと・・・
 とくに根拠があるわけではない。呑んだ酒はすぐに消化されて数分で顔が赤くなる。呑み始めるとすぐに赤くなり、1時間もすれば酔いは醒める、この点はいい。

 今日は広島・藤井酒造の酒、「龍勢・番外品」である。添付の説明書きには、「純米大吟醸酒・純米吟醸酒・生もと純米などを複数ブレンドし、生のまま詰口した特別で贅沢なお酒」とある。

 説明書きに違わず、「お酒の凝縮した旨味」が楽しめる酒だ。日本酒酵母がじっくり醸しだした旨味成分が口の中に広がる。出羽桜のような淡麗な酒もいいが、こういう日本酒らしい日本酒の方が好みだ。

 最近、四国の梅錦・純米酒がネットで買えることを知った。値段のわりには美味しい酒である。東京でもあまり置いている店はないが、銘酒をそろえている居酒屋にはたいていあった。どちらかというと、淡麗な部類の酒である。

 赤い顔でタイピングしている。うまい! m(_ _)m

*地酒「北の勝」もそろそろ120年目になるのではないだろうか。120年記念の酒がでると嬉しい。そして123年記念酒もいいな。ぜひ呑みたいものだ。
 100年記念の酒は三本手に入れて呑んだが、瓶の色よし中身よし、いい酒だった。最後の一本は三年地下で寝かせてからオヤジと二人だけで呑んだ。日ね香がなく、マイルドな味に変化していた。癌が再発したあとのことで、呑んでまもなく逝った。落下傘部隊の生き残りらしい最後だった。
 親子で酌み交わす最後の酒に、にっこりしながら顔を上げ「いい酒だな」そうつぶやいた。速いものだ、あれから16年になる。

*龍勢「番外品」
  
http://www.fujiishuzou.com/shouhin-kisetsu-jhouhou/index.htm

*梅錦
  
http://www.web-japone.com/S_umenisiki.htm

*梅錦酒造り
  
http://www.umenishiki.com/jp/

 2009年6月14日 ebisu-blog#612
  総閲覧数:116,237/567 days(6月14日17時15分
 

のんびり過ごす雪の日曜日〈根室の魚〉 [86.酒と肴]

のんびり過ごす雪の日曜日

 今朝は雪が降っていた。起きてすぐに雪をかいだ。5センチ程度だからたいしたことはない。雪かき中に除雪車が3台家の前の道路をきれいにして行ってくれた。

 日曜日だから夜は酒を飲みながら、女房が背開きしてつくってくれたチカのフライとおでんを食べた。アジフライよりも品のよい味だ。
 太平洋側のチカは形が大きく、20センチほどもある。海が広いから太平洋のチカはオホーツク海よりも大きく育つ、などという俗説を信じたくなるぐらいに差がある。干して焼いて食べるのは小ぶりの10センチ以下のものが絶品だ。これはオホーツク海側で獲れたものがいい。

 白身であっさりしたチカのフライは四国馬路村産の柚子醤油で食べた。品の良い酒には品の良い肴が似合う、な~んてシャレてみるが、3匹たったの100円だったという。ふるさとはいいな、美味しくて新鮮な魚が手に入る。

 チカは冬の間中獲れるし、ホッケも秋から冬中食べられる。活きのよい秋刀魚は8・9・10月が旬だ。毎日でも焼いた秋刀魚と刺身が食べられる。オヒョウの刺身もこたえられない一品である。メンメの水炊きは抜群に美味しい。歯舞産の螺(ツブ)の刺身はアワビに勝る。春はトキ、秋から冬は紅鮭がうまい。冬の紅鮭のイズシも忘れてはいけない。
 他にはウニ、コマイ、タコにイカ、花咲蟹にタラバガニ、天然物のホタテに落石産のホッキ貝、オンネットのアサリ、鰈も種類が多い、こうしてみると根室で獲れる水産物は種類が多い。
 
そしてとどめは地酒の北の勝だろう。根室で獲れる魚介類を根室で造った酒で味わいたい、近所の皆にも味あわせてやりたい、北の勝の初代は浜に揚がる魚やイカ、カニ、貝類を見て百余年前にそう思ったのだろう。

 オレンジ色の街灯が雪を照らし、外は津々と冷えていく。しずかないい夜だ。

 2009年2月8日 ebisu-blog#528
  総閲覧数:75,795 /440 days(2月8日21時30分


#515 歯舞産オヒョウの刺身と北の勝『搾りたて』 [86.酒と肴]

歯舞産オヒョウの刺身と北の勝『搾りたて』

 今夜のオヒョウは歯舞産。東京ではレストランではヒラメのフライにオヒョウを使うところが多い。33年も前の話だが、渋谷の某レストランもヒラメのフライはオヒョウだった。
 食卓に載ったオヒョウは、うっすら肌色の色がついて透明だ。鮮度がよいので歯ざわりは幾分しこしこしている。昨日上がったものだろう。昨年の『搾りたて』をお気に入りのぐい呑みでちびりとやりながら、山葵を載せて口に運ぶ。根室ならではだ、よきかな古里。
 食が細いから食べ物は少量ずつあればいい。酒も少しで十分だ。干したチカを焼いて2本食べる。8センチほどの小ぶりのものを頭からがぶりとやる。少し味がついていて、香ばしくていい。喉を通る前にうっすらとした苦味が舌を撫でる。地元の大島商店の品だ。酒がすすむ。北海道産のジャガイモ、キタアカリを使った手造りコロッケもいい味だ。
 昼間はマイナス4度、寒い空からときおり大粒の雪がひらひら舞い降りていたが、さっぱり積もらない。
 のんびりいい日曜日である。Hirosukeさんのブログをあちこち覗いて、必要なところはプリントアウトしておいた。教えられるな。トコトンのめりこむ男たちがいる。
 ギリシャ語とラテン語をやりながら、ヴィトゲンシュタインを原書で読んでいたTさんは翻訳家だ。母校に残って週2回東大へ教えに行っているTさん、ある私大の経済学部長のSさん、皆学生時代にのめりこむように勉強していた。哲学のIはそれほどのめりこんでいたようには見えなかったが、私が見抜けなかっただけだろう。Hirosukeさんもそういう種類の人のようだ。似た匂いがする。
 このまえのトラックバックだったか、自分のブログに【ニムオロ塾】のリンクを張ってくれていた。Hirosukeさんがコメントした記事を閲覧できるように仕掛けてあった。あんなリンクの張り方ができるのか。私の化石化した技術に比べると新しい。何かソフトがあるのだろうか?私には???である。
 オホーツク海から太平洋へと抜ける北風は、昨夜から高いところでゴーっと音を響かせマイナス6度の冷気を送り込んでいる。

  2009年2月1日 ebisu-blog#515
  総閲覧数:72,305 /432 days(2月1日21時15

北の勝「搾りたて」1月19日発売 [86.酒と肴]

北の勝「搾りたて」明日発売

 毎年1月15日が幻の酒・北の勝「搾りたて」の発売日である。15日は明日だが、予定通り発売されるのだろう。アルコール度数18~19度、甘く仕上げてはいるがアルコール度数が高いので辛口に感じる。
 市内の小売店は即日完売である。さあ、酒好きの御仁は明日、市内の小売店を片っ端からあたって頑張ってみよう。
 さて、今年はどのような味だろう?

 発売日は大安の19日である。昨晩確認した。確認せずブログに誤情報を掲載したので、ここに謹んで訂正申し上げる。(1月19日記)

*昨年のブログには、日本酒製造技術が細菌(酵母)純粋培養技術として1000年前から確立されていたことなど日本酒の歴史について簡単に触れてある。
 レーウェン・フックの細菌の発見は1676年、近代細菌学の確率は19世紀にコッホやパスツールによるが、日本人はとっくの昔に細菌(日本酒酵母)の純粋培養技術を確立していた。欧米の人々はこの事実を認めたくない。なぜなら細菌培養技術の確立は近代細菌学の祖、パスツールの手になるものとしたいからである。それはそうだろうが、数百年以上前に日本人が日本酒製造で純粋培養技術を確立していたことを付記して教えるのが学問としては公平な態度だろう。パスツールは1000年ほど遅れて、フランスで純粋培養技術を「再発見」したのである。日本人は職人技術のレベルの高さを再認識すべきだ。世界最先端を走っているものが無数にあるだろう。労働の概念がヨーロッパとはまるで異なるから、職人技術が生活の隅々で生きている。

 2008年1月15日#047『幻の銘酒:北の勝「搾りたて」本日発売』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-01-15

 2009年1月14日 ebisu-blog#488
  総閲覧数:64,762 /415 days(1月14日23時40分)

ひね香について [86.酒と肴]

ひね香について

 昨日のブログにコメントを戴きました。「酒がひねるってどういうこと?」

 酒がひねたというのは、たぶんですが、「ひねくれる」から来ているのではないでしょうか。この部分は私の勝手な憶測です。古くなって素直な味でなくなるから「老香(ひねか)」と書きます。
 まもなく還暦を迎える身としては、「老香」という当字は気に入りませんね。あはは・・・たしかにだいぶんひねてますが。

 火入れして発酵を止めた酒で精米歩合のしっかりしたものは、適温で熟成すると熟成香がつきます。その場合はだいたい味もマイルドになります。ひねると香りも「素直」ではなくなり、雑味がします。呑めばはっきりわかります、マズイ。

 保管温度が高ければ、たいていヒネ香がつきます。よく「古酒」と称して高い酒が売っていますが、色はウィスキーのように薄い茶褐色で、味は紹興酒に似てきます。日本酒本来の味ではなくなっているので私はあまり好きではありません。
 720mℓの陶器のボトル入り、10000円の古酒を飲んだことがありますが、美味しくありませんでした。値段がいいから美味しいだろうと想像力を膨らませて栓を抜きましたが、期待はずれ。1升6000円くらいの大吟醸酒を買って呑めばよかった。

 銀座4丁目のすずらん通りだったかな、ある有名酒造メーカの直売所兼日本酒のスタンドバーがあります。そこに古酒が並んでいました。色はもちろん薄い褐色。おそらく30度以上のところで保管するとああなるのでしょう。

 根室は地下で保管すれば5度~15度の範囲で保管できるので、色がつくことはない。8年寝かせても大丈夫でした。色がつくのは保管温度と関係があるようです。醸造酒ですから温度が上がることで酒の成分が化学反応を起こすのかもしれません。たぶん含まれている酵素の作用でしょうが、その辺りはよくわかりませんので、専門家に意見を聞きたいものです。
 同じ醸造酒仲間ですから、ワインも保管温度が上がると味が変わってしまうようです。『刑事コロンボ』にそういうのがありました。なにかでワイン保管庫が30度以上になり、味が変わってしまったのが事件を解く鍵になったというお話です。

 2009年1月6日 ebisu-blog#476
  総閲覧数:61,853/407 days(1月6日0:00分