#5254 音の変化:曖昧母音の/ə/へ June 28, 2024 [49.1 英語音読トレーニング]
今週のテキストで気がついたことを書き留めておきます。
6/27、木曜日の対話文から。
Sure. Hey, Dad, what are you going to do?
(了解よ。それで、お父さんは何をするの?)
I’ll be the taste tester.
(味見役をするよ。)
/teɪst/+/ˈtes.tə r / =/teɪsˈtəs.tə r /
「ティスト・テスター」が「ティス・タ・スター」になるのですから、普通に聴いていたのでは理解できませんね。
t音が連続するので、後続するt音が脱落し、母音のeが曖昧母音のə に変わってました。音変化のルールを知って、慣れておけば、正確なディクテーションが可能になるし、だんだんと聴き分けられるようになります。
こういう音の変化に慣れるに従って、リスニング力がアップするのは当然ですね。
今週はところで、今週は基本文型の最終回で、「目的語説明型」の文に習熟できるような構成になっていました。英作文する際には、基本文型の中で最難関の型ですから、これをマスターするには十分なトレーニングを要します。英語らしい英文を書くためには必須の基本文型ですから、今週の対話文の中から例文を8個拾って紹介しておきます。
月曜日
I saw you walking fast on the street yesterday.
(昨日、君が通りを足早に歩いているのを見かけたよ。)
Later, I saw you talking to a man with beard.
(そのあとで、君が顎髭を生やした男性と話しているのを見たよ。)
火曜日
My history report. I need to get it done by tomorrow.
(歴史のリポートです。明日までに仕上げる必要があって。)
You should have your eyes checked.
(目の検査をしてもらった方がいいわね。)
水曜日
The boss told me to write a report about Raj's contribution to our department.
(上司がわたしにリポートを書くように言ったんです。)
They want us to keep a record of all the people who have worked here.
(会社は、ここで働いたことのある人たち全員の記録を残してほしいんです。)
木曜日
I want Mom to relax today.
(今日は母さんには、ゆっくり休んでもらいたい。)
Also, I want you to chop up the onions.
(それと、玉ねぎを刻んでくれるかい?)
シャドーイングしづらかった文も紹介しておきます。火曜日放送分のダイアローグから。
Why not? Didn't you know you had to do it?
(どうして?やらなければならないって、知らなかったわけじゃないんでしょう?)
否定疑問には意外「意外・心外・同意を求める気持ちなど、感情の高まりが際立つ表現です」。わたしは否定疑問に慣れてないので、シャドーイングしづらいのです。そしてチャンクを意識しないと、読みにくいのです。例えば、この文にはyouが単語を一つ挟んで2度出てきますので読むのに抵抗が生じました。ところが、チャンク(意味のカタマリ)を意識したとたんにすんなりシャドーイングできるように変わりました。
Why not? Didn't you know / you had to do it?
このようにチャンクに頭の中でスラッシュを入れてシャドーイングするとします。you know youを一塊とうけとると、見たり聞いたりしたことのないあり得ない句に化けます。そんなことを考えると、最初のうちは実際にスラッシュを入れて音読したほうがいいですよ。英語はチャンクごとに説明を付け足していく言語ですから、聴いているときにも自然にチャンクを意識したリスニングになってきます。英語を英語のまま理解できるようになる鍵のひとつが、説明ルール(説明は後ろに置く)とチャンクを意識した音読にあるようです。
(英語はもっぱら経済学や管理会計学、会計情報システム、システム工学、医学などの専門書を読むことで培ってきたので、これらの本には否定疑問文が出てこないのです。したがって、日常会話の頻用表現や語彙にも不案内でした。NHKラジを英会話の大西泰斗先生に感謝!)
注意深く読んでいると、毎回いろいろ課題が見つかります。昨年10月中旬から、今日6/28で13,440回音読しました。12,000回を超えたあたりから、映画の台詞がそのまますっと頭に入ってくるのが増えました。標準的な発音でなされた会話場面なら、聴きとれる部分が急に広がるのが、12,000回。一応の目安です。
春休み、夏休み、冬休みを利用して、毎日50回(およそ60~80分)トレーニングすれば、3年間で150日になりますから、累計では50回/日×150日=7500回になります。中高の5年間で12,500回です。80wordsくらいのショートストーリーのものを選びましょう。もちろん、教科書でもOKです。最近の教科書は各ページにQRコードがついてますから、それをスマホで読み込んでトレーニングするのも可です。音読やシャドーイングという基礎トレーニングを坦々とこなすだけでいいのです。
日本では江戸時代から「読み・書き・計算」の重要性に気がついていました。江戸末期には30,000もの私塾があったと伝えられていますが、この「読み・書き・計算」は英語学習にも有効な標語です。学習の基本スキルの三本柱でもあります。英語はまず読めなければなりません。そして次に書けなければいけない。学習の順序はそれでいのです。「話す」と「聞く」は日本語学習には不要ですが、英語の場合はそれも必要です。「話す・聴く、読む、書く」が英語学習の基本スキルと言ってよいでしょう。江戸時代の私塾が論語の素読から始めたように、優良な英文の素読から学習を始めたらよいのです。素読とは文字を声に出して読むことです。先生のお手本通りに、大きな声ではっきりと読みます。要するに音読トレーニングのこと。お手本の音声はいくらでも手に入ります。いい時代ですね。
義務教育なんて制度が始まる250年も前から、日本人は私塾でせっせと勉強していました。1塾1塾長としても30,000人の学習指導のプロがいたということです。慶応義塾大学を創設した福澤諭吉は尾形洪庵の「適塾」の塾長でした。塾長時代に適塾で教える語学をオランダ語から英語へ切り換えています。もうオランダ語の時代ではない、英語の時代だと。英国が産業革命を成し遂げ、その王国が世界中に植民地を持ちつつありました。オランダの覇権が失われたのです。相当の努力の末に習い覚えたオランダ語を棄てて、英語に切り換えたところに福澤の凄さを感じます。塾生と同じスタートラインに立つということなのです。
福澤諭吉は時代の変化を捕まえる実に好いセンスしています。大学名の中にしっかり「塾」の字を入れてます。ところが、自分の息子2人は東大に入れました。2人とも身体を壊して中退しています。若いうちに頭を使い過ぎると身体を壊します。エネルギーの消費に体力が追い付かず、身体を損ないます。そういうことも経験から学んでいます。
江戸時代は学校の先生はゼロですよ。学校と言えば私塾や藩校でした。それゆえ、日本の教育の根幹を広く支えてきたのは膨大な数の私塾群であると言えます。こんな国は世界中に日本だけです。算盤がありましたから庶民の計算能力は世界一でした。明治以降に殖産興業がうまくいったのは、日本人が計算「読み・書き・計算」スキルに長けていたからです。
もちろん、明治以降は学校制度ができて、義務教育となり、教育の中で学校教育の占める割合が大きくなっています。30,000人も塾長がいたのですから、義務教育制度の施行は簡単でした。先生が揃っていたのですから。看板を私塾から学校へ架け替えるだけでよかった。日本は江戸時代から識字率が異常に高かったのです。ヨーロッパは比較になりません、ダントツに世界一でした。
書き言葉としてのドイツ語が成立したのは、ルターの聖書(新約・旧約聖書)のドイツ語訳によってですが、1532年です。そこから庶民へ普及するまでずいぶん年月がかかっています。それまで書き言葉としてはラテン語しかありませんので、僧侶しか文書が読めません。日本では江戸時代に貸し本業が成り立っていました。幕末から明治初期に日本を訪れた外国人が、貸本屋の店先で子どもが本を読み漁っているのを目撃した何人もの外国人が、驚愕して書き留めています。当時のヨーロッパではありえない光景でした。
さて、脱線はこれくらいにして、結論と同時に要望です。
中高生のみなさん、あとひと月で夏休みが始まります。英語が苦手の人は、音読トレーニングをぜひ試してください。音読トレーニングの記録はカテゴリー「49.1英語音読トレーニング」にまとめてあるので、参考にしてください。
*#3536 著しい成果をあげた生徒:入塾五か月で英数二科目学年トップ May 3, 2017
2008年にアップした記事の紹介。
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数学の勉強の仕方について書いてあります。覚えるだけの勉強では伸びしろがなくなります。
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