SSブログ

#5082 オーバツーザペーレン??:英語の音の変化 Oct. 11, 2023  [49.1 英語音読トレーニング]

 アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』の完全版は170 words/min.の速度ですが、たまにはとっても聞き取れない文が出てきます。1ページ目第9行から例を一つ上げましょう。

 He went over in his mind all that had appeared in the papers of Sldier Island.
 (ウォーグレイブ判事はこれまでに読んだ兵隊島に関する記事を一つ一つ、思い浮かべてみた。)
 アンダーラインの部分が聞き取りにくいので、文字を見るのをやめて音だけ聞いてみると、「オーバーツーザペーレント」と聞こえ、最後の方の音は弱く曖昧になっています。
 この音を聞いてネイティブはこの文の単語の綴りを復元でき、内容を正確に理解できるのでしょうから、何らかの共通した音の変化に関するルールがあるはずです。
 そこで、リエゾンしていると思われる音と、脱落したと思われる音を、当該箇所の音声を分解して見当をつけてみます。

 alltha ・t[h]a・ da・ ppeare[d]in
 オーザ・ツァ・ダ・ペアリィン
 /a:l・ðə ・ ・də ・piə rin/


 実際に聞こえたのは/ /のところは/tuə /でした。
 青字の部分が弱く曖昧になっています。allthaのthaはtha[t]と同じ音です。taだと「ラ」音に変わります*が、t[h]aを「ラ」としたら、区別ができなくなります。

  *What are you talking about?(何言ってるんだい?)
 この文は短縮発音になると「wha tare=ワラー」となります。ta=ラ、ti=リ、tu=ル、te=レ、to=ロです。

 区別がつかないと復元できませんので、t[h]aの母音はaの弱音で曖昧ですから「t+アの弱音=ツ」というのが変音規則かもしれませんね。たくさん集めたらだんだん姿が見えて来るでしょう。しばらくお待ちください。

 appeared((新聞に)載っていた)は前のhadと後ろに置かれたinと音がくっついて、二つに引き裂かれているように聞こえます。この部分は速くなっているので[h] と[d]の音が脱落していますね。

 これでネイティブはこの朗読を聴いて元の単語に復元して、言葉の意味を瞬時に理解しているのでしょう。引き裂かれ、前後の単語と癒着しているappearedの復元が一番難しそうですね。

 こういう事例にたくさんあたることで、慣れてきて、聞いた瞬間に元の単語が脳裏に復元できたら、映画の98%は聞き取れるのでしょう。事例を増やして、機能的に音声変化のルールをつかんでみたい。
 IBCのオーディオブック版の150 words/min.の方にはこうした事例が出てこないので、いくらやっても、こういうレベルの音の変化を処理できるようにはなりません。
 
 こんなとんでもないのが何か所出て来るかな?記録をつけて、しばらく遊んでみることにします。
    

にほんブログ村


 改訂版であるこちらの方は、この箇所をどのように朗読しているのでしょう、気になりますね。
And Then There Were None

And Then There Were None

  • 出版社/メーカー: HarperCollins Publishers Limited
  • 発売日: 2006/12/27
  • メディア: Audible版

 こちらはアガサの小説が二つセットになったCDですが『そして誰もいなくなった』の方はわたしのもっているCDと同じものです。
The Secret Adversary & And Then There Were None: Two Bestselling Agatha Christie Novels in One Great Audiobook

The Secret Adversary & And Then There Were None: Two Bestselling Agatha Christie Novels in One Great Audiobook

  • 出版社/メーカー: HarperAudio
  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: Audible版

nice!(0)  コメント(0)