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#4616 市立根室病院「経営改善を」:画期的な監査意見 Sep. 17, 2021 [31.市立根室病院経営改革メモ]

<最終更新情報>9/18朝8:40 <余談-2>追記

 3月14日の北海道新聞16面から。
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根室病院「経営改善を」
 監査委員、市に意見書
【根室】市監査委員は、2020年度の各会計決算に対する意見書を市に提出した。市立根室病院の病院事業会計決算について、以前として一般会計から多額の繰入金があることから「スピード感をもった行動力で経営改善を」と求めた。
 意見書は中本明代表監査委員と波多雄志監査委員が9日、石垣雅敏市長に手渡した。
 病院事業会計は4100万円の黒字となったものの、一般会計から15億6700万円(19年度比8900万円減)を繰り入れている。新型コロナウィルスの感染拡大の影響で入院患者数、外来患者数とも、前年度比10%減となり、医業収益は同8200万円減の29億円となった。「早期に『市立病院新改革プラン』を作成し、持続的かつ安定的な医療体制が構築されるよう望みます」との意見がついた。
 一般会計についてはふるさと納税が「貴重な財源」になっている一方、経済の長期低迷は人口減で「市税収入は多くを望めない」と指摘。産業育成や企業誘致などによる安定的な雇用の拡大を求めた。水産業の養殖放流事業にも「多くの予算が使われているが、放流後の資源管理は現状でよいのか」と疑問を投げかけた。(武藤由美)
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 公的会計基準では4100万円の黒字だが、民間会計基準で損益計算書を組みなおしたら、15.2億円の赤字と言うこと。もう何年も前から繰り返し弊ブログに書いているが、市の広報では民間会計基準で作成した損益計算を公表すべきだ。黒字だと市の公報に記載したら、市民は病院経営が本当に黒字だと誤解してしまう。実態は年間15-16億円の赤字をつづけているのだ。広報には誤解を生まないように、民間会計基準でほんとうの姿を載せるべきだ。
*「#2922「広報ねむろ1月号」市立根室病院決算を斬る」」

 もう何年も前のことになるが、中小企業家同友会が弊ブログが市立病院が15億円も赤字だと嘘を言っている、市の広報では黒字だと元病院管理課長である市議の本田さんへ病院決算の解説を依頼したことがありました。
本田さんは資料を作成して、中小企業家同友会で講演をしてます。それで、中小企業家同友会は市立病院が年間15-16億円の赤字であることを知ったはずですが、その後何の発言もない。根室の企業家として、そして経済団体として、市政に対して言うべきことがないのですか?
  中本明代表監査委員がこのことを監査意見で明記したのは2度目です。市政に物申すと周りからいろいろ言われるのが根室の常、それを承知で中本さんは書いています。
 このことからわかるのは、中小企業家同友会の主要なメンバーは、市立根室病院の決算資料を独力で理解する専門知識や学力がないということです。そして市側に不都合な事実にはいつでも目を瞑りだんまりを決め込むということです。じつに情けないとわたしは思います。
 根室市内の中学生の学力は、残念なことですが、釧路根室管内で最低です。最低なのは子どもたちだけではなさそうです、地元企業家の経営や財務に関する専門知識や学力もまた相当に低そうだということ。学生時代も碌に勉強せず、社会人となってからも研鑽を積まず、地元企業家同士が集まって閉鎖的な集団を形成しているから、日本標準経営からのズレも感じられず、視野狭窄に陥るのです。それを「オールねむろ」と自称しています。
 中学生の学力では根室市は別海町に大きく水をあけられていますが、企業家や教育長を見ても同じことが言えます。FB上でTさんや眞籠元教育長と議論することがあります。しっかりしてます。考え方のしっかりした大人のいる町は子どもたちの学力も高くなるようです。釧路の教育長も、最近市議会でいいことをおっしゃっています。昨日の釧路新聞に掲載されているのであとで弊ブログで採り上げます。教育行政という点でも、根室は釧路市や根室管内の別海町に大きく劣っています。それが、結果として子どもたちの学力テストの平均点に現れてしまっています。
 中学3年生の学力の現状をデータでご覧ください。
*#4099学力テスト総合A18校科目別データ比較 Oct.11, 2019

 中小企業家同友会の有力メンバーが市の予算から毎年「支出」を受けているからでしょうね。持ちつ持たれつなのでしょうが、一市民という立場から見るとひどい話ではありませんか?
 市の予算と密接な関係があるのは商工会議所も同じですよ。水産業界も同様。もちつもたれつ、根室の地元経済界は、市政批判を一切口にしない。「オール根室」なんて自称していますが、中身はこういうことですよ。
 市議会も同じです。根室の地元経済諸団体は根室の未来なんて考えていません、自分たちの既得権益を守ることと、市政を恣意的に利用することだけしか関心がなさそうに見えます。
 しかしね、そんなことをしていたら、経営体質の変革なんてできっこない、そんな地元企業は地元の若者から見棄てられます。

 このように、一部の地元企業とその集まりの経済団体が市政ともちつもたれつだから、市立病院経営への批判も、経営改革への提言もまるで起こらない、その結果どうなったか?市立根室病院の赤字は2013年1月に建て替えられてから毎年15億円以上の赤字を続けており、一向に改善されません。建て替え前は8-10億円の赤字でした。市側の試算では建て替え後の赤字は最大値で11億円と計画上はなっていました。担当部署がいい加減な数字合わせをしたということです。
 市議会文教厚生常任委員会でも市立根室病院の巨額赤字が取り上げ検討されているという話を聞いたことがありません。改善不可能ならしかたありませんが、改善できますよ。具体策を議論すべきです。7年間で100億円も赤字が出ています。事実を知って、しっかり対策する、それが根室っ子の心意気というものじゃありませんか?

 ふるさと納税制度がなくなれば、地域医療が維持できなくなります。仕事中に亡くなった財政課長のKさんがとても心配していました。

 ふるさと納税制度は悪法です。住民税を都会から吸い上げ特産品のある地方へ流しているだけ。それで「ふるさと納税」をした人はタダで特産品を手に入れられるという、実態は合法的脱税です。このようなカラクリで、住民税が特産品購入代金と諸経費に4割くらいも消えてしまっています。
 菅氏の提案だったが、かれは間もなく総理大臣の座を追われます。反対していた総務官僚を左遷してまで強引に導入して今に至るまで続いていますが、ふるさと納税制度は遅かれ早かれ廃止が検討されるでしょう。いまのうちに、赤字額を5億円程度減らしておかないと、間に合わないことになりかねません。

 赤字を5億円程度減らせば、市側の実質負担は1-2億円程度です、残りは国からの補填で賄えます。その具体的な方法は弊ブログでなんどか述べています。

 市の代表監査委員の中本明は根室高校同期です。元大地みらい元専務理事、監査委員としていい仕事してくれてますね。彼がこういう意見書を書いたのは2度目です。四年前にも同じ趣旨の監査報告書を書いています。市側は前回は監査報告を無視しています。今回もそうするのでしょうか?
 市議会がフォローすべき事項ですよ。そんなこともできないから、市議定数をさらに削減すべきという声が市民の間に上がるんです。中本さんの監査意見をバクアップする市議が数名現れてもらいたい。
 中本さんは、余計な忖度なしないで、代表監査委員として書くべきことを書いた。根室高校同期にこういう人材が居てうれしい。

*3606市立根室病院事業会計監査に関する意見書」

*3230市立根室病院事業会計「基準外繰入金」につい

<余談:北海道新聞根室支局に敏腕記者アリ>
 いい記事ですね。市立病院の決算データを精確に読み込み、適切なコメントを書ける記者が配置されたのはもう十数年ぶりでしょうかね。武藤由美さんとおっしゃる。偉いね、素直に褒めます。額面通りに受け取ってください。

<余談-2:地域医療を支える医学部進学者を毎年出す方法>
 長期的な観点からは、常勤医を増やすことが収益改善の重要なポイントである。根室高校から毎年医学部進学者が出たら、その内の何割かは根室へ戻ってくる。市立根室病院は給料が高いので大きなインセンティブになる。子どもの教育問題を解決してやったら、根室出身者でなくても30代や40代の医師が根室に定着するだろう。
 国立医科大学の授業料は6年間で360万円で、文系私大よりも安いから、金銭面では大きな問題がない。今年、国立旭川医大に根室高校から現役合格者が出ている。小中高と根室で学んだ生徒が国立医科大学へ進学した初めてのケースである。やり方は弊ブログに書いてある。この生徒は小5の1月からニムオロ塾で勉強し始めたので、高2、高3の2年間、きつかった。しかし、小4からスタートすれば、もっと余裕をもって合格できる。1年9か月早い、小4の四月からのスタートなら、札医大や旭川医大や北大医学部へ根室から毎年数名の進学が可能だ。
 そういうレベルの生徒は年度によってもばらつきがあるが、毎年2-5人いる。もう少しわかりやすく言うと北大総合理系以上の難関大学へ合格できる資質をもった子どもは1学年にそれだけいるということ。具体的なやり方を知らず、そういう生徒たちを育てそこなっているだけ。肝心な点は受験勉強を小4の四月からスタートさせること。
 わたしは具体的なやり方を示し、生徒とともにやって見せた。記録も弊ブログに残してある。わたしがニムオロ塾をやめても、誰かが真似してやってくれたらいい。似たような環境と教育システムを、根室の大人たちが知恵を絞って根室の子どもたちに提供してあげたらいい。地域医療の核を担う人材群は教育に関係する大人たちが協力すれば創れるのである。地域医療を担いきる具体的なやり方は授業の合間に教えてある。30年長期プログラムはすでに動き始めた。ここまで持って来るのに7年を費やした。
 でも一人ではたいへんだ、30年間で十数人いれば、根室に盤石な地域医療が保障できる。


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