SSブログ

#4483 根室高校から旭川医科大学現役合格:岡田太志君おめでとう Feb. 10, 2021 [65.a-1 旭川医大現役合格者の軌跡]

 旭川医大医学部に根室高校生が現役合格しました。国公立大学医学部への合格は2人目か、初めてかはわたしにはわかりません。根室高校が確認するでしょう。
 「学校推薦型選抜(道北・道東特別選抜)(医学科) 」合格者10人のところ受験者26名でした。
 問答無用で半数が共通テストの点数でふるい落とされます。その後、課題論文と面接が300点ずつで600点、それに共通テストの点数が加算されて、合否判定されています。
 (学校から「試験成績」が届いて、推薦合格者10名中2位の成績であることがわかりました。課題論文が295点です。6/2追記)

 根室高校は偏差値42-45の高校ですから、塾で数学と英語と国語をやっていても選択3科目で大きな差がつきます。進学校の授業はハイレベルで難易度の高いものです。生徒の学力が高いところでそろっているからできます。根室高校でそういう授業をしたら、95%の生徒がおちこぼれるのでできません。今回は物理の山口先生と化学矢萩作先生が生徒の要請に応じて2か月ほど、週1回の補習授業を希望した生徒に実施してくれてます。それでも2年間ハイレベルな授業を受けてきた進学校、例えば釧路湖陵の生徒とははっきり差がついてしまいます。そこが今後の課題です。3科目の授業レベルの差が総合点で40-60点くらいのハンディになってしまいます。この差は大きい。この生徒は707点でした。推薦枠での受験者の中央値よりも高かったということ。メジアンに届かない生徒は足切りされます。そこで26名が半分の13人になる。あとは、小論文の点数300点満点と面接の点数300点満点を加算して、合計点で順位付けし、高い方から10名だけ合格です。つまり、さらに3人が落とされます。結論から言うと、共通テストの得点が大事だということ。推薦枠の応募者の得点の中央値よりも高い得点でなければならない。

 彼がニムオロ塾に通い始めたのは、小5の正月からでしたから、標準的なスタートよりも1年9か月遅れていました。今はスマートですが、少し肥満気味でした。家庭学習の習慣をお母さんがしっかりつけてくれていたので、やりやすかった。
 母親の役割は重要です。家庭学習の躾や大人に対する言葉遣いの躾は基本的には母親、子どもは周りの大人と会話することで言葉遣いとマナーを身につけていきます。だから、まわりに言葉遣いのきちんとした大人がいることも大事なのです。面接のときや議論するときに違いがはっきり出ますよ。シビアな議論をするような場面になったら、付け焼刃では地金が出てしまいます。そういう場面のない時はぼろを隠すことはできます。メッキじゃなく本物の方がいいに決まってますよね。その点はしっかりしてました。こういうタイプの出現確率は百人に一人、偏差値73くらいかな。
 四十数年前に渋谷の進学塾で三年間だけ教えていた時には、首都圏の子どもたちは、難関私立有名校への進学や都立難関校への進学のための受験勉強を小4から個別(or個人)指導塾への通塾でスタート。いまはもっと早くなっているようです。
 高校生になってから、時間の使い方がとっても上手になりました。中学時代は土日はほとんど勉強してませんでした。しかたないなあ家庭の方針もあるからと、口はさしはさまず。高校生になったら、いまのようにはいかないよ、土日は10時間勉強することになると言い続けてきたら、高校生になったらしっかり切り換えてくれましたね。素直さがあるのと、セルフコントロールに長(た)けていました。都会で勉強している生徒と遜色がないと、ようやく手ごたえを感じました。じっと見ていて、自分でやる気を出すのを待っていたのです。
 最初から予習方式で勉強してきました。塾用問題集「シリウス」を使って、コンパクトな解説を自分で読んだだけで全問踏破、よく頑張ったと思います。数Ⅲだけは青チャートを使いましたが、これも例題を読んで理解したらすぐに演習問題を全部解いていきました。わたしは、時々、相談に乗ったり質問に答えるだけです。『1対1対応シリーズ』は面白い問題だけピックアップしてました。ちっともやさしくない『やさしい理系数学』もやってました。
 英語は教科書3年分を1年半ほどで終了し、ハラリのSapiensを原書で読みました。生成文法での構文解析を併用しています。これは弊ブログのカテゴリー「Sapiens」に授業で採り上げた文章を41回にわけて公開してあります。昨年1月14日から英作文の特訓。NHKラジオ講座英文法、大西泰斗先生のテキストを英作文問題に利用してトレーニングしました。会話の論理的なフローを重視した英文になっているので70-100語程度の文を書くトレーニングになってます。英検2級ではしんどいレベルの英作文トレーニングだと思います。11月20日第135回、1000題までで配信ストップ。その後もため込んで約4200題、A4判で555回564頁の『英作文問題及び解説集』になっています。まだやめられないとまらない。(笑)
 国語は音読指導だけ。15冊ほど読みましたが、最後の方は大学生でもかなりのハイレベルでなければ理解できないレベルの本でした。たとえば、『福翁自伝』(岩波文庫)や山本義隆『近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻』(岩波新書)です。共通テストの現代国語はほとんど満点だったようです。入試問題程度の論理的な文章を読んで外すことは滅多にない。もちろん、国語の受験問題集は学校の先生に進めてもらったものを1・2冊しっかりやっています。塾でやったのは基礎作りだけ。気が向くといくつか論点を拾い上げて意見を聴いたり、議論してきました。大学のゼミ程度のレベルにはなっていましたね。元々原価計算論のゼミに入るつもりでしたが、結局、市倉宏祐教授(哲学)のゼミでマルクスの著作を3年間読んだので、シビアな議論の癖があります。十分ついて来れましたね。

 根室高校の普通科の定員は120人、商業科と事務情報科を含めても160人前後にすぎません。それでも、毎年3人くらいは小学4年生から長期戦略に従って勉強すれば、国公立大医学部や北大総合理系程度の難易度の学校なら合格できる生徒がいます。
 そうした3人の中から1人が毎年医学部へ進学してくれたら、根室の地域医療の未来は明るい。
 毎年医学部合格者がでて、市立根室病院に4人に1人くらい地元出身の医師がいて支えてくれたら、もっと運営がやりやすくなるし、毎年16-17億円垂れ流している赤字も減らせます。菅政権とふるさと納税制度は命運と共にする可能性がありますので、準備はしておいた方がいい。
 根室高校からでも国公立大学医学部に合格できるなら、学齢期の子どものいるドクターが市立根室病院へ赴任してくれるようになるでしょう。地域医療の状況を大きく改善できます。地域医療の未来は根室に住んでいる私たちが創らなければいけません。自分たちにやれる範囲のことはやる(自助)ということ。
 それぞれが自分の仕事を通じてやれる範囲のことをするだけでいいのですよ。根室市教委には市教委の、市長には市長の、市議会文教厚生委員会には委員会の、学校の先生たちにはそれぞれにやりうることがあります。それをまっとうにやるだけでいい。わたしもそうしてきただけです。そうすれば、子どもたちは期待に応えてくれます。


 いつまでの何をどれくらいやればよいかは、7年間の記録を弊ブログにアップしてきました。あちこちにばらけているので探しにくいでしょうね。何か方法を考えます。
 一番大事なことは小学校低学年での学習スタイルの確立です。家庭学習習慣をつけるというのはお母さんの役割ですよ。学習習慣の躾です。これも具体的な方法をどこかに書いてます。同級生のAの君が優れた方法を教えてくれました。彼、毎年小学校の新入生の保護者を集めて家庭学習習慣のしつけ方を講演してくれたら、子どもたちの学力がずいぶんアップできると思います。市教委がバックアップすればいいだけ。論より証拠、彼は子供三人とも国公立大へ進学させてます。
 弊ブログの記録を参考にして小中高生は勉強、先生方には指導をお願いしたい。そのためにいままでブログに詳細に指導内容を公開してきました。

 ぜひ、かれに続く生徒が多数出てほしいと願っています。

 岡田君、現役合格おめでとう。

<旭川医大学校推薦型選抜(道北・道東特別選抜)(医学科) について>
 選抜は、
 課題論文 300点
 面接   300点
 共通テスト900点
 合計   1500点

 共通テストの得点の中央値以下の生徒は足切り。この生徒は79.2%の得点。
 同じ得点の場合は課題論文の得点の高い方、それも同じなら面接得点の高い方が選抜される。

 授業の合間に、地域医療については度々具体的な議論をしてきたから、この生徒は地域医療についての具体的なビジョンをもっています。もちろん家庭でも親の仕事を観察しているのでそこからもたくさん吸収しています。だから、課題論文も面接も高得点だったでしょう。
 臨床検査最大手SRLで16年間仕事してきましたし、300ベッド弱の療養型病床群の病院で常務理事をして、病院建て替えをしたことや、シームレスな老人医療介護について経験がある。そういうもろもろのことも授業中の雑談に取り上げてきました。かれは数学の問題を解きながら、雑談できるのです。脳がパラレル処理をやるのに慣れてしまっています。

<北大理系総合合格圏内の生徒が二人>
 根室高校三年生には他に二人優秀な生徒がいます。2次試験の勉強中です。二人とも合格してもらいたい。一人は共通テストでいきなり学年2位に躍り出てきた生徒です。通塾していない生徒、数学のセンスが良いと聞いています。ふたりとも頑張れ。競争相手が数人いると、団子になって得点がアップしていきます。面白い現象です。光洋中学校がときどきそんな年がありましたね。5人くらい団子状態になって突出してしまう。


<主治医岡田優二先生とわたし>
 2006年の6月のある日、1日前に食べたうどんが消化できずに逆流、胃が詰まって何も入らぬ状態、胃癌であることははっきりしていたので、延ばし延ばしにしていました。女房殿に「もう食べられない状態になっているのにどうして医者に行かないの?」と叱られて、ようやく行く気になりました。オヤジの兄弟が全員癌で死んでいるので、診察が嫌でした。オヤジの兄弟もオヤジも癌で3年以内に全員なくなっていますから。
 あの当時は根室で消化器内科専門医は岡田医院の優二先生だけ、ついていました。すぐに内視鏡で診察してくれで、診断は癌。先生は内視鏡画像を見せてくれましたが大きな腫瘍でふさがっていました。内視鏡が通らない。「癌だったでしょう?」と尋ねると、うつむいて、申し訳なさそうに「癌です」、「もう食事が通るような状態ではないのですぐに入院の必要があります」。
 釧路市立病院は1か月くらい待ち、釧路医師会病院なら副院長が先輩なのですぐに入院できるとのこと。2週間後に中学生の定期テストが迫っていたので、それが始まるまでは授業をしたいと、入院拒否。岡田先生に叱られました。食事もできない状態で仕事がやれるわけがないと。だけど、これが最後の授業だろうと思ったから引けなかったのです。入院手続きを待ってもらいました。生徒たちには「お腹にオデキができたので取ってくる」と言ったら、笑って「先生、退院待ってるから」とあかるく送り出してくれました。そう云って呉れた生徒の顔を今でも覚えていますよ。ありがたかった、生徒の言葉が温かかった。ヨガのまねごとを数十年間してきたので、身体の声が聞こえます。重くて冷たいものが広がっていくのがはっきりわかるんです。気味の悪い感触です。スキルスがあると確信していたので、そう富田副院長に伝え、2週間ほどさまざまな診察を受けて、スキルス胃癌と巨大胃癌の併発の診断がつきました。すぐに入院しなかったので進行していて、開腹したら手遅れ、若き外科医である後藤先生の手が止まって「開け閉じ」しようとしたら、ベテラン外科医の浅川院長が「ざっくりとったらいい」と続行指示。6時間の手術で、胃の全摘、リンパ節切除、浸潤していた横行結腸切除、胆嚢切除、わずか700ccの出血で輸血なし。ドクターの腕がよかったので奇跡的に助かりました。外科医の後藤先生は手術のときに肝臓に触って診察、どうやら転移しているようす、1か月後に手術する予定と術後三日目くらいに告げられました。そのご経過観察しましたが、大丈夫でした。
 よく生き延びたと思います。天が何かをしろと命じているような気がして、自分にできる範囲のことをあれから坦々とやってきました。当初は授業中に立っているのがつらくて、座って授業することが多くなりました。無理せずにやればなんとかなることが分かったのと、だんだん自分の身体の状態に慣れていったのです。
 この度は命を救っていただいた優二先生に、すこしだけ恩返しができたことをうれしく思います。太志君よく頑張った、セルフコントロールのできるいい生徒に恵まれました、ハッピーな出遭いに感謝です。

<看護専門学校受験生たち>
 一番最初に決まったのが浦川日赤付属看護学校の生徒でした。11月ごろだったかな。次が釧路労災病院付属看護学校へ学校推薦の生徒。この生徒は内申点が4.8でした。「どうして大学受験ではなくうちの学校へ?」と面接で学校長に聞かれたそうです。三人目は釧路孝仁会付属看護学校と岩見沢市立病院付属看護学校に合格、明後日釧路市立病院附属看護学校の合否発表があります。本人は岩見沢に決めているようです。雪が多いな。(笑)
 臨床検査の学校へ進学を決めた生徒がいます。わたしがSRLという最大手の臨床検査会社に16年間勤務していたと言ったら、驚いてました。そうだよね、塾先生としては一風変わった経歴の持ち主です。

 他に、大学受験組が三人います。いま戦ってます。もうちょっとがんばれ。一人は第一志望校が共通テストでA判定だったのでルンルンです。二人は真剣勝負しないと第一志望は危うい。もうちょっと頑張りぬけ!

<余談:二次試験>
 旭川医大の昨年の一般入試二次試験のトップは270点/350点満点、77.1%の得点でした。今年は科目が減って数Ⅲと英語のみ。どちらも彼の得意科目ですから、過去問をやって75-80%の得点が可能なところにいました。「先生、英語簡単です」なんて言ってました。ハラリのSapiensに比べたらずっと楽。昨日まで二次試験のために勉強してました。
 一般入試で二次試験受けたらトップ合格だったかもしれません。1年半ほど、数学と英語は共通テスト無視して難易度の高いものをやってました。(笑)

#4486 国立医科大学現役合格は長期戦略が決め手 


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(4)