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#4477 コロナ接触アプリ「COCOA」の不具合の原因 Feb. 3, 2021 [8. 時事評論]

 コロナ接触アプリCOCOAの不具合が問題になっている。昨年9月にアンドロイドの改訂版を出したそうだが、それでも治っていなかった。田村憲久厚生労働大臣が今日(2/3)慌てて記者会見していた。

 クレームがいくつもあったのに放置していたのはどういうわけか。もっと問題なのは、有効なフィールドテストがなされずに稼働しているという事実だ

 ソフトメーカに仕事を丸投げしたのだろう。外注先が作ったソフトはその企業がテストするのはあたりまえだが、発注元はフィールドテストしなければ、納品されたソフトの検収ができないはず。そういう基本的な作業をまったくやっていないということ。開発会社のシステム開発体制にも問題があるし、発注元である厚生労働省にも仕事の基本にかかわる大きな問題がある。

 どこに問題があるかというと、発注元の厚生労働省側にフィールドテストの実務デザイン能力がないということだろう。平井卓也デジタル改革担当大臣も本件では機能していない。屋上屋を重ねて担当大臣を次々に任命しているが、仕事をこなす能力が誰にもない。 

 システム開発をするときは、本稼働の状態でのテストデータも作成するし、テスト設計に従ってチェックをする。それがまるでできていないということ。誰が外注先企業を選んだのだろう?


 問題があって9月28日に改訂しているのになお不具合が続いて、5か月もして不具合のあることを認める発表を厚生労働大臣ががする。田村大臣、仕事の管理ができぬ。2月中旬に不具合を修正するというが、そんなに簡単なことならなぜ半年も放置していたのだろう?

 COCOAは一体どのメーカーに発注したのか?ネットで調べたら「人材サービス会社パーソルホールディングス」という会社。


 厚生労働大臣も大臣だが、厚生労働省の官僚機構もこの面ではまるでスキルがないことが露呈した。こんなに低レベルではデジタル改革なんて叫んで、予算を使えば使うほど、問題の山を築くことになりそうだ。
 首相官邸にもこのあたりの実務設計やシステムのチェックができるような人材がいないのだろう。デジタル改革を叫び担当大臣を任命するのか簡単だが、任せた担当大臣にそもそも必要なシステム開発マネジメントスキルがあるのか?
 経歴を見る限り、お二人ともこの分野での実務経験はないように見えるから、端から無理だったのだろう。
 ところで菅総理大臣、「実務遂行型内閣」って言ってなかったか?

<余談-1:システム開発>
 1984年に臨床検査最大手SRLに上場準備要員として入社して、予算編成と管理を任され、2か月後no

4月から上場要件を満たす経営統合システム開発を担当した。基本設計と外部設計仕様書作成に2か月、各システムとのインターフェイス設計に1週間、2か月の旧システムとの並行ランで合計8か月の開発期間を経て、本稼働した。
 テストデータは自分で作り、旧システムとの並行ランの前にチェックした。本稼働は実にスムーズ。当時国内では最先端の経営統合システムだった。
 大型のシステム開発の経験がなければ、このようなプロジェクトのマネジメントは無理だろう。テスト実務設計も、そのチェックだってできやしない。
 1997年ころだったと思うが、暗号ソフトを治験データ管理に採用する必要があって、暗号ソフトのベンチャー企業の英国人技術者二人と話をした。いくつか大きなメーカを当たったがどれも処理時間がかかりすぎ、こちらの仕様を満たさないことがすぐに知れたが、そのベンチャーの暗号ソフトは1秒で画像情報の暗号処理ができた。その技術者が言っていたが、日本の銀行システムでは「裸でデータが流れているので、いくらでも取り出すことができる、犯罪になるからしないだけ」だと言っていた。ハッカーの側から見たら、やりたいほうだいにできる、それほど日本の銀行システムは脆弱だったということ。デジタル回路が組み込まれたICカードになったのはヨーロッパに比べたら、ずいぶん遅れた。日本はセキュリティに関する意識が度外れて低いのである。そうした傾向はいまでもある。
 セブンイレブンの「セブンペイ」というカード決済システムの失敗例もそうしたセキュリテイの脆弱性、意識の低さ、スキルの低さの一つに挙げていいだろう。
 担当役員がいただろうが、仕事の基本がわかっていないのはとくにセブンイレブンに限らぬ日本の企業に普遍的な問題である。この分野で人材が育っていないのだ。

<余談-2:HIVと厚生省エイズ・サーベイランス委員会>
 1989年ころだったか、厚生省発表の国内のHIV感染者は百名前後だった。当時、SRLだけで毎日1-2の陽性検体が出ていた。スクリーニング検査した後、ウェスタンブロット法で確認検査していたので、100%確実である。年間500件ほど陽性が出ていたのである。1990年に学術開発本部へ異動したが、厚生省のエイズサーベイランス委員会がSRLへの問い合わせはなかった。医者が報告した数だけを集計していたのである。当時、SRLについでHIV検査が多かったのは江東微研と聞いていた。大手検査センター数社にデータ提供を要請したら、もっと実態を反映した検査結果を集計できたはず。数十分の一しかHIV検査陽性者数をつかまえていないから、先進国では日本が一番対策が遅れた。データの集計に関しては当時から厚生労働省は意識が低い。コンピュータシステムを使って、大手民間センターからデータ収集をするような構想がなかった。医療の専門家は厚生省にいたのだろうが、医療とシステム開発の両方の分野を渉猟できる人材がいなかったということ。そういう状態が30年たった今でも変わらない。あきれてものが言えぬ

<余談-3:臨床検査項目コード標準化プロジェクト>
 入社2年目に「臨床診断システム開発及び事業化案」を書いて創業社長の藤田さんから200億円の投資予算を認めてもらった。PERTチャートを作成して添付してあったが、プロジェクトをさらに10個のプロジェクトに分割していた。そのなかに臨床検査項目コードの標準化プロジェクトとカルテの標準化プロジェクトがあった。大手六社の業界内の項目コード統一を議論しようということでBMLのシステム部長の北川さんと言ったかな、呼びかけがあったので、2回目に参加した。当時のわたしの肩書は「購買課員」である。話をもってきたシステム開発課長の栗原さんと話して臨床検査部の川尻部長を巻き込むことにした。臨床病理学会項目コード検討委員会の櫻林郁之助教授(当時自治医大助教授)がSRL顧問で臨床検査部の免疫電気泳動部門の指導に当たっていたからだ。
 2回目の会合で、「業界内でコードを決めても病院は使ってくれない、作業は大手六社がやり、公表は臨床病理学会項目コード検討委員会の櫻林先生にやってもらえば、日本標準になり、全国の病院が使うことになる、次回の会議に櫻林先生を連れてくるが、この方式に賛成してもらえるか?」と問うと、6社全員賛成だった。5回くらい出席したが、軌道に乗ったので手を引いた。川尻さんはその後学術情報部長になった。学術開発本部へ私が移動したので、六社のミーティングに2度ほど参加した。米軍との出生前診断や慶応大学病院ドクターとの出生前診断検査の日本人基準値のプロジェクトマネージャとして忙しくなったので、手を引いた。わたしが参加する必要はなかった。数年かかって日本標準になって、いま全国の病院が利用している。項目コード事務局はいまでもSRLにあるはず。櫻林先生には国際学会で世界標準にまでもっていくつもりだと話してあった。日本が国際標準規格を提案したことはほとんどない。ハリケーンの藤田スケールくらいなものだ。ところが日本標準ができたところでストップしてしまった。臨床病理学会にそういうニーズがなかった。お金もかかるから、資金面でのバックアップと、海外の専門家と共同作業も発生する。人材面でも補強しないといけなかった。学術開発本部にいれば資金面ではバックアップできた。入社2年目で検査試薬の価格交渉を提案し16億円のコストカットをしていた。当時の利益の半分はわたしが自分で提案し、検査試薬コストカット担当メンバーの一人として参加して予定通りの実績を上げていた。だから、数億円のお金なら経理部長も専務の谷口さんも異論のあるはずがない、了解もらえた。
 臨床検査項目コードの産学協同プロジェクトに当時の厚生労働省はかかわっていない。そういう問題意識やビジョンが厚生省にはなかった。だから声もかけなかった。不要だったのである。その厚生労働省がいま新型コロナ接触アプリのCOCOAを発注して大失敗をしているのはあたりまえだと感じる。いまだに医療とシステムの両方の分野を自在に歩ける人材が育っていないことが新型コロナ接触アプリCOCOAの不具合で露呈した。学卒の東大出身のキャリア官僚と難関大学医学部出身の医系技官のセット程度ではできないレベルの仕事である

<2/6朝追記>
 「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」というシステムもつくったが、ほとんど稼働していない。関連企業に相談もせずに勝手な仕様でつくって、それに従えなんて通達出しても、民間企業は動かない。臨床検査項目コードの標準化プロジェクトを大手6社と臨床病理学会(臨床検査医学会)で組織し、数年かけて実務に耐えうる綿密な検討作業をしたわたしたちとはまるでやり方が違う。唯我独尊。
 ではどうやればよかったのか。民間検査センターとのインターフェイスは大手6社のシステム部門と学術部門へ「急ぎなので2週間でインターフェイス仕様を決めて厚生労働省へ通知を願いたい」と文書で連絡すればよかったのである。検査会社から来た仕様書を見てから、HER-SYSの基本設計をすべきであった。逆をやるとアウト。李油はお考えいただきたい。
 大手民間検査会社の自動化やシステムは世界最先端のレベルにある。そこでどのようなデータ処理がなされているかも知らずに、勝手なインターフェイスを公表されても困惑するだけ。
COCOA」だけじゃない。厚労省コロナ対策関連システムの惨状

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 …「HER-SYS」の利用が進まないのは、現場だけではない。厚労省本省すら、「HER-SYS」を利用している節がないのだ。
 厚労省によると、いまだに陽性者数の集計は「各都道府県のホームページを、担当者が目視確認する」手法で行われているという。「HER-SYS」の正式名称は「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」。この名称からもわかるように、「HER-SYS」には集計作業の自動化と迅速化も機能として実装されている。しかし厚労省本省の集計作業が担当者による各都道府県のホームページの目視確認で行われているのならば、「HER-SYS」は一向に活用されていない事になる。厚労省からすれば、現場における「HER-SYS」の利用が進まない以上、ファックスや電話による報告を受けた各都道府県の「ホームページ」に頼らざるをえないのだろうが、このオペレーションでは本末転倒の感は拭えない。
 このように、検査の現場でも厚労省本省における最終的な集計作業でも、「HER-SYS」が設計通りに利用されている形跡は一切ない。厚労省が「HER-SYS」改修のために獲得した二十数億円の予算は、ドブに捨てられたのも同然だ。
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#4476 さいはての 駅舎の灯火 永遠にあれ Feb. 3, 2021 [A8-1 短歌・俳句・川柳もどき]

 FB上に「根室人」というグループがあります。そこへ「花咲線を守る会」のメンバーの鈴木さんが、すてきな写真をアップしているので、ご紹介します。

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 いまにも雪が降りだしそうな空模様、最果ての町の駅舎に灯がともっています。帰る場所に明かりがついているっていいですね。
 思い返せば、国鉄民営化で北海道JRを単独の会社にしたときから花咲線は廃線が決まっていたようです。北海道JRを切り離せば単独で採算が合うわけがありませんから。日高線はとっくに青息吐息、そして根室本線の終端の駅舎も消えます。百年先に残っている駅舎はあるのでしょうか?市民の集いの場として建物と線路300mを保存するなんて言うことはありうるでしょうか?
 いずれはなくなる運命だからこそ、この駅舎の冬の灯火(ともしび)がいっそういとおしくなります。
 この駅舎の灯が消える光景は見たくありませんね。釧路へ行くのに鉄路を利用せずに車で出かけています、市民が利用しなければなくなってしまうのはモノの道理です。理屈はそうですが、寂しいというキモチはまた別です。そういう願いを込めた一句。

 さいはての 駅舎の灯火 永遠(とわ)にあれ

 鈴木さん、ある日の吹雪の翌朝、東根室駅のプラットフォームと階段周辺の除雪作業をお一人で坦々とされていました。写真の掲載の許可をいただきました。


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#4475 毎朝のびのびストレッチ Feb. 3, 2021 [36. 健康]

 体を伸ばすのは気持ちがいいものだ。毎朝起きる前にベッドの上でやるストレッチがある。
 ①前屈
 ②開脚前屈
 ③首まわしと体ひねり
 ④背中伸ばし

 体ひねりは脚を交差させて右と左に2回ずつひねる。手は反対側にひねる。
*体幹をねじるストレッチ。普段はにあまりしない動き「ねじり」。たまには気持ちよく体をねじりましょ。 (fukurow.jp)


 背中伸ばしは枕と座布団を二つ折りにして重ね、背中に当てて体をのけぞらせる。次に腰に当てて腰を伸ばす。これが気持ちいい。毎朝、ベッドの上でこれをやってから起きている。

①前屈ストレッチ
 この姿勢のままで、ゆっくりと吐き切る呼吸をする。息は止(と)めない、吸気は意識せずとも自然に起きる。
DSCN4555s.jpg
DSCN4556s.jpg

②開脚ストレッチ
 これも呼吸はゆっくりと深く。全身の力を抜きながらやる。脱力すると股関節が気持ちいい。写真を見ると右側が少しカタいのがわかる。もちろんやっているときにもはっきりわかる。身体がモノをいうのが聞こえます。
 側屈も加えます。こちらの画像を参照してください。
*3つの背中のストレッチ、曲げる・反る・側屈 (fukurow.jp)
DSCN4559s.jpg

 2006年に巨大胃癌とスキルス胃癌で胃の全摘手術をするまでは、ブリッジしてそのまま立てるくらい背中と腰が柔軟だった。術後、縫合部分が攣れる感じがして2年ほどやらなかったら、できなくなっていた。
 ヨガの三点倒立で10分くらい瞑想していたが、それもできなくなった。胃がないから食べたものが逆流して気管支や肺へ入りかねないのでリスクが大きい。肺炎を起こしてしまう。お腹のすいているときになら大丈夫かもしれぬ。無理はしないほうがよさそう。

 股関節が柔らかいと、氷の上で足が滑っても少しくらいなら転倒せずにすむ。除雪の際に1mの高さのスロープを駆け上がるときに、脚を大きく開いて2歩で一気にやれる。股関節が大きく開いているのが感じられて気持ちがよい。

<ちっちゃくてめんこいスズメたち>
 枯れ枝に とまりたるや スズメ九羽
DSCN4561s.jpg



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