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#4474 ハラリポロリと剥がれ落つ:雪の形状記憶 Feb. 2, 2021 [A8-1 短歌・俳句・川柳もどき]

 車庫の壁に、吹雪が雪を貼り付けました。寒さがちょっと緩み、車庫と物置の狭い隙間に陽射しが当たります。

  壁の雪 ハラリポロリと 剥がれ落つ

 雪は壁の形状を記憶していました。
 好いて好かれた男女の仲も、いつしかこの雪のように、ハラリとはがれてポロリと落ち、あとかたもなくなってしまいます。それでいいのでしょう。

 別れた後で「形状記憶」に悩んだ時を乗り越え、いまではかつて在りし日をときどき思い起こすだけ。
 そうした恋のいくつかをみんな経験してるのでは?
 ロマンと無常を感じさせた雪の形状記憶でした。(笑)

 気がついてから1時間弱で崩れ落ちました、つかの間の造形。

DSCN4550s.jpg

<余談:徒然草第137段
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花は盛りに、月は隈なきをのみ、見るものかは*。雨に対ひて月を恋ひ、垂れこめて春の行衛知らぬも*、なほ、あはれに情深し。咲きぬべきほどの梢、散り萎れたる庭などこそ、見所多けれ。歌の詞書にも、「花見にまかれりけるに、早く散り過ぎにければ」とも、「障る事ありてまからで」なども書けるは、「花を見て」と言へるに劣れる事かは*。花の散り、月の傾くを慕ふ習ひはさる事なれど*、殊にかたくななる人ぞ、「この枝、かの枝散りにけり。今は見所なし」などは言ふめる。

 万の事も、始め・終りこそをかしけれ。男女の情も、ひとへに逢ひ見るをば言ふものかは*。逢はで止みにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜を独り明し、遠き雲井を思ひやり、浅茅が宿に昔を偲ぶこそ*、色好むとは言はめ。望月の隈なきを千里の外まで眺めたるよりも、暁近くなりて待ち出でたるが、いと心深う青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる、木の間の影、うちしぐれたる村雲隠れのほど*、またなくあはれなり。椎柴・白樫などの、濡れたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ*、身に沁みて、心あらん友もがなと*、都恋しう覚ゆれ。

 すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは*。春は家を立ち去らでも、月の夜は閨のうちながらも思へるこそ、いとたのもしうをかしけれ*。よき人は、ひとへに好けるさまにも見えず、興ずるさまも等閑なり。片田舎の人こそ、色こく*、万はもて興ずれ。花の本には、ねぢより*、立ち寄り、あからめもせずまもりて*、酒飲み、連歌して、果は、大きなる枝、心なく折り取りぬ。泉には手足さし浸して、雪には下り立ちて跡つけなど、万の物、よそながら見ることなし。

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<余談>
 ブログ仲間のkoderaさんが、最近2回続けて川柳をブログの末尾にのっけていました。老々介護の日々をつづった後に、それを笑い飛ばすかのごとき川柳、とっても素敵です。
 奥様と言葉を選び、一句ひねるのが愉しいのでしょう、わたしもやってみることにしました。

 2/1に小寺さんがアップした川柳を紹介します。

 ルチン飲み 霞晴れても ボケたまま



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