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#4290 数Ⅰの4次関数問題:看護学校受験用問題集 July 12, 2020 [52-2 生徒の質問]

<最終更新情報>7/19午前8:15

 先週の授業での看護専門学校受験予定の高校3年女子から質問のあった問題を紹介します。

(『アクセス 看護医療学校受験 オープンセサミシリーズ数学1・A』から)

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<問題89> 次の関数について、-2≦x≦1のとき、その関数の最大値と最小値を求めよ。
 (1) f(x)=y=x^2+2x-1
 (2) g(x)=y=(x^2+2x-1)^2-2x^2-4x+3
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  (1)は平方完成して頂点座標を求めたら、中心軸がx=-1であることがわかるから、最大値はf(1)=2、最小値はf(-1)=-2

 さて、次の(2)が4次関数だが、数Ⅰの範囲内での出題だから、題意は2次関数に置き換えて解けということだが、解き方は何でも構わない、数ⅠAの範囲を超えていてもいい。そういう広い視点から見ると、やり方は二つ。すなおに微分してしまった方が簡単だ。微分利用で解くなら数Ⅲの範囲の微分公式も簡単だから知っておいた方がいい。もう一つはパラメータ 't' を用いて2次関数に置き換えてしまう方法。解答はこちらでなされていた。パラメータで処理すること自体が数Ⅰの範囲を超えている。どちらで解くにしてもこの問題は天城越え、いや数Ⅰ越え。題意は、数Ⅰの範囲内のスキルで解けということなのだから、4次関数を二次関数に還元して、その後にどのような処理をすればいいのか考えよう。示された式はxの2次の項、1次の項、定数項に整理して並べられているから、これが強力なヒントである。落ち着いてどういう処理をすれば2次関数になるのか計算を始める前に全体を眺めたらいい。

 t=x^2+2x-1 とすると、h(t)=(t-1)^2 ...③ と整理できる。ここまでの式処理で躓く生徒がいるかもしれない。
 簡単なのでわたしは式変形の過程を端折ったが、付属の解答・解説では丁寧に書かれている。


 (1)のf(x)の定義域-2≦x≦1のとき、値域-2≦f(x)=t≦2。したがって、h(t)の定義域-2≦h(t)=t≦2となる。ここがパラメータを使うときの解法のコツだよ。そのtの範囲内でのh(t)の最大値と最小値は、緑色のh(t)のグラフから、t=-2のときとt=1のときである。これを③の式に代入して、

   h(t)の最大値⇒ h(-2)=(-2-1)^2=9...④
        h(t)の 最小値⇒ h(1)=(1-1)^2=0...⑤
 これらは同時にg(x)の最大値と最小値でもある。<図-2>を見てもらえばわかります。

 このときのf(x)のxの値はxとtの次の関係方程式を解くことで得られる。
  t=-2より、x^2+2x-1=-2...⑥

  t=1より、x^2+2x-1=1...⑦

 よって、⑥より、x=-1、⑦よりx=-1±√3、定義域はー2から1の間だから、-1-√3は不適。

 したがって、x=1のとき最大値9、x=-1+√3のとき最小値0

 パラメータはこちら側で任意に決めたものだから、答えは元のxやyの値に戻して書かなきゃいけない。

<図-1>
20200720Luna-image.jpg

 パラメータ 't' を使うと、看護学校志望の生徒は授業で習っていないからすぐにはピンとこないだろう。数Ⅲの微分の問題では当たり前に出てくる。
 紫色がf(x)のでグラフで定義域は -2≦x≦1 、最大値と最小値に青丸を付けた。緑色がh(t)のグラフで、x軸はt軸と読み替えてもらいたい。h(t)のグラフで定義域は -2≦t≦2 最大値と最小値に緑丸を付けた。h(t)の最小値(1,0)がf(x)では(√3-1,0)となるというところが、理解不能になる個所、でも簡単。
 二つをつなぐのはtとxの関係式 t=x^2+2x-1 であるパラメータ't'で得られた最大値と最小値は、この関係式を利用することで、f(x)の最大値のx座標と最小値のx座標に変換できる。この問題の場合にはh(t)が最大値9をとるときのtの値t=2と最小値0をとるときのt=1を代入してそれぞれの関係式(2次方程式)を解けば、x座標が計算できる。ただ、この二つのグラフでは関係を表示できないから視覚的な確認ができず、やっかいだ。⑥と⑦の式を再度眺めてくれたらその意味が分かるはず。
 パラメータを使って高次関数を2次関数に還元する問題は、大学入試では頻出するので、パラメータの定義域をチェックする作業手順に慣れる必要がある。
(なぜ理解がむずかしいのか考えてみた。助変数処理したことでf(x)からh(t)への対応となってしまうから、平面から平面への対応になる。つまり、対応が四次元の世界、複素関数の世界と同じ。イメージではとらえられないから、ロジカルに切り分けて思考するしかない。数学の全国偏差値70以下だとかなり無理がありそうです。(笑))

 微分を利用した別解のグラフはそのまんまだから理解が易しい。微分の計算はともかく、グラフの意味は中学生にだって理解できる。定義域が-2≦x≦1の範囲で最大値と最小値を確認するだけ。



 <別解:微分して解く>
 こちらの解き方は面倒なことは一切なしだ。
g’(x)=2(x^2+2x-1)(x^2+2x-1)'-4x-4=4(x+1)(x^2+2x-2)=0 ...①
  これを解くと x=-1, -1±√3...②
 -1-√3はxの定義域から外れているので不適。

 W型のグラフになるので、増減表を書くと、g(-1)で最大値、g(-1+√3)で最小値をとることがわかる。
 それぞれを計算して、
   x=1のとき最大値9、x=-1+√3のとき最小値0

 微分を使った方がこの問題は楽だ。一目瞭然、グラフとの対応がスッキリしてるでしょ。

 
<図-2>
image Luna.jpg
 *g(x)の定義域:-2≦x≦1 定義域を「● ● ● ●」で示した。この範囲では紺色のが最大値と最小値。
 **緑は関数h(t)のグラフ。定義域:
-2≦x≦2, x軸をt軸と読み替えてください。


 グラフを三つ重ねても、意味はないけれど、モノはついでだから貼っておきます。

<図-3>
image Luna-3.png


<余談:必要だった微分積分>

 この生徒は数Ⅱを履修したが、残念なことに授業では積み残しがあり、微分積分の章は手が付けられなかった。だから、数Ⅱを履修したにもかかわらず、便利な微分積分が使えない。授業の進捗管理のまずさはこういうところにも影響してしまう。
 むずかしくないから、数Ⅲの微分の公式を書いておくので、覚えて使ってみたらいい。本を読んで覚えたことや教えてもらったことは、すぐに使ってみるのが上達のコツ。「習うより慣れろ」って言うでしょ。習い事や仕事に共通に言えることです。そういうわたしもグラフソフトのGRAPESに慣れてきました、便利なツールです。フリーの教育ソフトですから、高校生のみなさんは使って勉強したほうが効率がいいと思います。根室の高校生にも年内にタブレット端末かPCが配布されるはずですから、GRAPESをインストールしましょう。数学の先生たち授業で使えますね。スマホでもやれますが、動きが悪いと生徒が言ってました。

(ああ、わたしはガラケイですよ、スマホは使ってません。インターネットの検索はパソコンでしてますから。スマホの入力方式も好みに合いません。脳の速度に出力が追い付かないからです。20代のころにドイツ語の文献資料を作る必要が生じて、スイス製の欧文タイプライターを手に入れて、タッチタイピングをマスターしたので、速度が大きいのです。40歳を過ぎたころ、個人用のワープロOASISを会社へもっていって、仕事してたら、若い女子社員に「はやい!」って褒められました。当時は指10本使って高速でタッチタイピングする40代は一人もいませんでした。会社でパソコンが配られたのは93年ころだったかな。仕事で一人1台の環境になったのはあんがい新しいことなのです。パソコンへ切り替えてからは、WORDとEXCELで仕事してます。80年代にはそんな便利なツールはありませんでした。
スマホ持ってないので不便なこともあります。英作文の問題と解説の配信は3年生のグループと1・2年生のグループに分けて、それぞれ一人へメールで送って、それをラインでグループメンバーへ配信してもらっています。昨夜も第85回の問題7題と前回の解答・解説を送信してます。)

  g(x)=(    ^n
  g'(x)= n
(     )^n-1 ×    )'

 
数学関数グラフ作成ソフト「GRAPES」




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#4289 2次不等式の問題:落穂拾い July 12, 2020 [52-2 生徒の質問]

 生徒の先週の質問から、2次不等式の問題をとりあげます。解答を見ても意味が分からないというので、GRAPESを使って、グラフの変化を見てもらうことにしました。男の生徒は、イメージで見たほうが理解が速いのです。

問題111: xについての2次不等式 x^2-2x-8<0...①、x^2+(a-3)-3a≧0...② を土王時に満たす整数がただ一つ存在するように、定数aの値の範囲を求めよ。

 ①から(x+2)(x-4)<0 より、-2<x<4が決まる。
 ②から(x+a)(x-3)≧0 より、この関数は(3,0)を通ることがわかる。aの位置が3よりも左側にあるのか右側にあるのかに分けて考えなければならない。右側にあれば、整数解は{-1, 0, 1, 2, 3}の5個になるので、不適。
 だから、左側の場合のみ考えればいい。左側にあって、一つも解を含まないのは①の整数解の左端を見たら、-a<-1、すなわち a>1であることがすぐにわかる。 

 解答には、場合分けをした後で、数直線図を使って範囲が解説されているが、これを見たピンとこないなら、グラフで②の関数を動かして見せたら納得できるはず。

<図-1>
image-Ito 20200712.jpg


<図-2>
image-Ito 20200712.jpg

 ①から、解の範囲は -2<x<4 
 ②から、解の範囲は 1<a (3<-aは解が5つになるので不適)
 図-1を見たら②のグラフの左側のx切片が-1より小さくなると、解が3のみとなることがわかる。
 図-2で、aの値を1.5から0.5刻みで-6まで変化させたグラフである。②のグラフは全部(3,0)を通っている。眼で見たほうがよくわかる。何度もこういう作業を繰り返しているうちに、頭の中でグラフをイメージできるようになり、そしてそれを動画イメージで動かせるようになる。高校数学までは脳内でイメージを動かせたら数学はできるようになる。しかし、高校を卒業して複素関数をやるようになったら話は別。複素平面から複素平面への対応はイメージできない、4次元だから。(笑)
 複素関数や数理論理学は高校数学と微かにつながりながらもまるで異分野の世界だ。経済学とは何かを問いだしたら、体系叙述の問題に行きあたる。数理論理学の分野、演繹モデルと公理の関係を研究しないと迫れない。

 図-2をパソコンのディスプレイで見ながら解説を聞いた生徒はようやく合点がいった様子だった。
「なるほど、そういうことですか、わかりました、ありがとうございます」

 生徒の笑顔がうれしい。


 看護専門学校志望の生徒から、4次関数の問題の質問があったので、次回はそれを紹介したい。『アクセス 看護医療学校受験 オープンセサミシリーズ数学1・A』から「問題89」。


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