SSブログ

#4281 新型コロナと地域医療:医師は不死身ではない July 3, 2020 [35.1 COVID-19]

 COVID-19(新型コロナ感染症)は高齢者がハイリスクグループとされている。どうしてかというと、重症化する例が高齢の患者に集中しているからである。8割は無症状または軽い症状で治癒し、発症前の3日間が排出ウィルス量が最大になることがわかっています。
 突然、症状が激化して肺などの臓器に血栓症を多発して、多臓器不全で亡くなるようです。ネットで検索しても重症化して亡くなった患者の病理解剖に関する所見がヒットしません。どういう病態で亡くなったかは治療の重要な指針になるので、ネット上に情報を公開してもらいたい。治療に当たる医師ばかりでなく、治療を受ける側のわたしたちも、事前にどういう治療の選択肢があるのか、知っていたら隔離されて医師から問われたときにスムーズに答えられます。

 「COVID-19は血管にあるACE2受容体を攻撃して、血管を傷つける。血管が傷つけられると修復のために小さな血栓が生まれます。その結果、心臓の血管が詰まると心筋梗塞、肺の血管が詰まると肺梗塞が引き起こされやるくなり、生命的な危険を引き起こすのです。」
*read:https://brain-gr.com/tokinaika_clinic/blog/disease/use-futhan-nafamostat-mesilate-if-i-have-new-coronavirus/

 COVID-19は数時間であっという間に症状が重篤化し、微小血栓による多臓器不全で亡くなる例が多いようです。
 問題なのは血管年齢です。肥満の人、糖尿病、高血圧症、高脂血症、狭心症の人、脳梗塞を患ったことのある人等々が血管年齢の高いグループに属しています。呼吸器系の疾患、喘息や慢性気管支炎患者もハイリスクグループです。
 
 フサン(ナファモスタット)という薬剤があります。膵炎やDIC(汎発性血管内凝固症候群)の患者に対して投与される薬です。「DICは癌、白血病、感染症などの基礎疾患のある患者さんの血管内に、無数の血栓がばらまかれ、凝固反応が亢進した状態になる病気です」。
 血液凝固に対して線溶系の働きをするのがフサンです。点滴用の針を腕に残置するときに、ヘパリンを入れて血液凝固を防ぎますが、それと同様の働きをする薬剤です。使いすぎると、脳出血を起こすような心配は副作用としてあるのでしょうか。お医者さんのご意見を聞きたいですね。

 重篤化した臨床例でフサン投与(静注)がどれくらい効果があるのか、第3波が訪れつつある現在、これも治療に当たる全国の医師たちにデータを公表しておく必要があるのでしょう。

 さて、本題です。根室管内には根室市とそのお隣の別海町と中標津町にそれぞれ市立病院と町立病院がありますが、常勤医が少ない。市立根室病院は12人、売上が25億円くらいだから、常勤医師一人当たり平均1億円と仮定すると、出張医が患者の半数を診ていることになります。患者多発地帯の札幌や東京から飛行機便で来ている医師が多い。地域医療を支えるためになくてはならない存在です。キャリアになる可能性を考えておかなくてはいけないでしょう。
 もうひとつ、常勤医は60歳を過ぎた先生が多い。ドクターも不死身ではないから、ずっと健康であった人も60歳を過ぎれば疾患の一つや二つはあって当然です。新型コロナは職業を選びませんから、医師だって看護師だって、血管年齢が高かったり、基礎的疾患があれば、感染したときに重篤化して、多臓器不全を起こして死に至るリスクは高い。
 これら二つの要因を併せ考えると、根室管内の地域医療は新型コロナに関して脆弱性のあることがわかります。

 わたしは一度も入院したことはありませんでしたが、57歳の時に巨大胃癌とスキルス胃癌を併発し、人生で初めて入院して胃と胆嚢を全摘し、癌が浸潤していた大腸も一部切除しました。20代のころに東京で大気汚染から慢性気管支炎を患っているから、呼吸器疾患もあり、時々喘息薬を使っています。団塊世代で年齢は71歳だから、ハイリスクグループに入るでしょう。週に4日間、高校生に個別指導授業しています。生徒たちの方が心配して、「熱があったり、風邪気味だったら、塾へ来るなよ、先生に移したら死んでしまう」、なんて言ってます。
(そんなに心配いらないのです。一度地域医療に助けてもらった命ですから、授業をしていて感染してどうかなるなら本望です。8割は症状なしの不顕感染者ですから、感染者が出たとわかったときには後の祭りです。悩んだって始まらぬ、天まかせ。)

 院内で感染が起きても、PCR検査ができない体制になっています。保健所長が判断していることになっていますが、医師である保健所長が常駐していて病院から電話のすべてに対応しているわけではないでしょう。手分けして保健所職員が電話対応しているのが現状ではないだろうか。何が言いたいかというと、現場の臨床医が必要と判断しているのに、実際には医師ではない保健所職員が電話口に出て対応しているということ。これはいくらなんでもまずいでしょ。医師法違反の疑いすらあります。臨床医の判断が優先して当然だと思います。

 「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出」の保険点数が高すぎます。従来の価格帯だと500点ぐらいが「相場」でしょう。PSS社のPCR自動検査機を導入すれば、検査コストは大幅に下がります。地方の衛生研究所では採算が合わない。民間検査センターを利用すればいいだけです。他の検体と一緒に検査依頼するだけですみます。検査センターには、検査依頼日と検査報告日、都道府県名や市町村名、病院名の提出を求めたらいい。いまよりもずっと正確なデータが集められます。東京都の発表しているデータにすくなからぬ疑義が生じてます。

 院内感染が起きても、濃厚接触者でないとPCR検査が受けられない。家族が発熱したら、自分がキャリアーになってウィルスを運んだかもしれないが、PCR検査ができないとCOVID-19かただの風邪か見分けがつかない。
 診療や治療に当たっている医師や看護師さんたちが、必要な時に必要な検査を受けられる体制を急いで作っておいた方がいいことは誰にでもわかる。

 新型コロナウィルスは、職業を選びませんから、診察や治療に当たる医師や看護師さんもわたしたちと同じリスクにさらされています。いや、感染拡大すれば、患者をケアしなくてはならないので、リスクはより高くなります。だから、診療や治療に当たる人々のリスクはできるだけ下げる必要があります。他人ごとではないのです。

 まとめると、
●微笑梗塞を起こして、多臓器不全で亡くなるケースが多い。
●したがって、呼吸器疾患を抱えている人たちだけでなく、肥満の人、糖尿病、高血圧、高脂血症、狭心症などを患って血管年齢が高い人もハイリスクグループに属しています。
●治療に当たる医療関係者が必要な時にPCR検査が受けられない体制になっています。安心して診療や治療に従事するためには、急いで改善が必要ということ。1か月でやってもらいたい。保健所の判断を入れずに臨床医の判断で民間センターへ検査依頼できるようにすればいいだけ。
●PCR検査(保険点数1350点)が高すぎます、500点に下げることを検討してもらいたい。社会保険側の負担が大きすぎます。
●重篤化して亡くなった患者さんの病理解剖所見を治療に当たるドクターたちが検索できるようにしてもらいたい。
●フサン投与の臨床例をデータをつけて公表してもらいたい。(たとえばヘパリンとフサンでは治療実績にどれほどの差が出るのか)
●根室市に限らず、別海町も中標津町も常勤医が不足しており、医師の高齢化が進んでいます。札幌や東京のような感染多発地帯からの出張医に地域医療が支えられています。そして常勤医は60歳を超えてから赴任する人が多くハイリスクグループの割合が高いと思われます。

 他の地域に比べて、医療崩壊のリスクが大きいという現実を踏まえて、新型コロナ感染症対策の見直しをしてもらいたい。





nice!(0)  コメント(0)