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#4015 己の欲せざるところは人に施すことなかれ Jun. 12, 2019 [A9. ゆらゆらゆ~らり]

 「人にされて嫌なことはするな」というのはもっともなことです。『論語』には2か所で言及があります。

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原文:仲弓に仁を問う。子曰く、門を出でては大賓を見るが如くし、民を使うには大祭に承えるが如くす。己の欲せざるところは人に施すこと勿れ。邦に在りては怨み無く、家に在りても怨み無し、と。

訳文:孔子の弟子の仲弓が、仁とはどういうことかと質問した。孔子は次のように答えられた。「家の外で他人に逢うときは、その人を自分にとって何よりも大事なお客のように扱わなければならない。人民を公役に使うときには、祭りを執り行うときのように慎み深くしなければならない。自分が他人からしてもらいたくないことは、他人にもしてはならない。そうすれば国の中枢にいても人に恨まれることはなく、家庭にあっても人に恨まれることはない。

原文:子貢説いて曰く、一言にして以て終身これを行うべきもの有りや、と。子曰く、それ恕か。己の欲せざるところは人に施すこと勿れ、と。

訳文:子貢が孔子に質問した。「一言で一生実行していく徳目というものがあるでしょうか。」孔子が答えられた。「それは恕(=思いやり)ということだ。自分のしてもらいたくないことは、人にもしないことだ。」

解説:同じくが『論語』の中に二か所でてくる。ともに仁というものの本質についての問答である。仲弓に対する答えも、思考に対する答えも、仁とは人に対する敬い、慎み深さ、思いやりということである点で共通している。対人関係は、他人への共感、思いやりが基本であるという意味。
 『中国故事成語辞典』三省堂 103頁

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 一昨日のことですが、ある生徒がこんなことを言いました。

S:自分が言われたら嫌だと思うことは人には言わないようにしてきました。でも、それではいけないことがあることを初めて知りました。

 相手の身になって考えると、いま言っても反発が起きるだけ、人間関係が悪くなるだけだと思うと、そのときに言うべきことが言えなくなる。そうこうしているうちに1か月が過ぎ、あえて言わなきゃならないことがあったことに気がついた。言えば怨(うら)まれてもである。それは深い恕(=思いやり)なのだが伝わらない。
 どちらを選択しても、結果として人間関係が壊れてしまう、ただ壊れ方が違うだけ。

 人生は奥深いもので、取り返しがつかないところまで行ってから気がつくことがあなたにもありませんでしたか?
 苦い思いとともに心の襞に畳み込んでいくしかありません。



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#4014 教育と地元企業の経営改善こそが町の未来の決め手 Jun. 9, 2019 [89.根室の過去・現在・未来]

 わたしは古里根室へ平成14年(2002)11月に戻ってきた。
 根室市政は、藤原市長(平成10年9月から2期8年)⇒長谷川市長(平成18年9月から3期12年)⇒石垣市長(平成30年9月から)という流れになっている。
  2006年7月にはスキルス胃癌と巨大胃癌の併発、胃と胆嚢の全摘、リンパ節と浸潤していた大腸一部切除、よく生き延びたものだ。
 平成10年⇒1998年
 平成14年⇒2002年
 平成18年⇒2006年

*歴代根室市長
https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/lifeinfo/shinitsuite/aboutnemuroshi/rekidai/1322.html

 道庁の根室支庁長から市長になった藤原氏だけが大卒、北大水産学部だったと記憶する。地元にしがらみのない人だった。根室市役所は大卒比率が1割程度ではないのか。おそらく道内の市では最低レベルだろう。全国的に見たら大学進学率が50%にもなっているのだから、異常である。
 20年くらいかけて根室市役所職員の大卒比率を7割くらいにもっていくべきではないのか?

 藤原市政のときには平均して毎年400人前後の人口減だったが、長谷川市政の後半になって年600人に加速している。長谷川市政を引き継いだ石垣市政になってもその傾向はかわらない。


 根室市の衰退には二つ大きな原因がある。一つは長年にわたる教育、とくに子どもたちの基礎学力の軽視である。町の礎は教育にあるが、過去20年間どうだっただろう?地元の元校長のWさんが8年教育長をやったが、学力向上には興味がなかった。体育系の教員だったと記憶する。任期が終わったとたんに根室から去った、どうしてあんな人を教育長にしたのだろう?そのあとは道教育局職員が4人入れ替わり教育長になったが、任期が終わると判で押したように根室から去っている。どなたも根室に愛着がひとかけらもなかったのだろう。留萌から来た教育長のS山さんは、ニムオロ塾を読むなと言ったようだ。何か気に障ったことでも書いてあったかな?ご本人は弊ブログを読んでいた。(笑)
 根室へ教育長として赴任してきた道教育局の職員たちと比べると、根室高校で学力の現状に関する教育講演会を開催してくれた道教育局次長の武藤さんは文科省からの出向でとびっきりの人物だったが、数年で本省へもどって何かの室長をやりいまはブラジル大使館一等書記官である。ポルトガル語ができるので、リオデジャネイロ・オリンピックの少し前に抜擢されて赴任して文科省になかなか戻らない。それにしても文科省からいきなり一等書記官というのはほとんどありえぬ異動だ、まだ若いからね。経産省からイタリア大使館一等書記官に転任した異例の人が一人いる。森友学園問題で首相夫人の秘書的な役割を演じていた谷査恵子さんという女性である。とくに官邸に特別なコネクションのない武藤さんが一等書記官就任というのはどれほど彼が有能であるか物語っている。
 北海道の教育長になって戻ってきてもらいたい。オリンピックから4年たっても出向解除にならぬところを見ると、外務省から将来の大使候補要員として引きがかかっているのではないか、外務省にだってあれだけ仕事のできる有能な官僚はすくないだろう。
 問題が生じたときに
彼の助け舟がなかったら、根室市教委と当時の根室教育長はアウトだったね。全国紙で叩かれただろう。武藤さん、間髪入れず道教育局3課長連名で授業の進捗管理に関する全道通達を発信(この時の肩書は教育局義務教育課長)、じつに鮮やかな対応で火消しをした。結果から見たら、火消しがなかった方が根室のそして北海道の教育改革が進んだのかもしれない。武藤さん、有能すぎました。(笑)
*#3185 教育シンポジウム(10): 武藤久慶氏による基調講演⑧ Nov. 21, 2015
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-21-1
#3184 教育シンポジウム(9): 武藤久慶氏による基調講演⑦ Nov. 21, 2015

https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-21
*#2207 「武藤久慶氏(道庁義務教育課長)」講演会のお知らせ  Feb. 11, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-11-1
 #2214 北海道庁教育局義務教育課長「講演会」でどよめきあり Feb.16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-17
 #2218 論旨の違う新聞報道:市PTA連合会主催講演会 Feb. 19, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19
 #2582-4 "基礎学力不足は明らか"と道教委学校教育次長武藤久慶 Feb. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-03-3


 学力に力を入れている釧路は市役所職員が教育長になっている。釧路の教育を考える会の会長である角田さん(釧路江南高⇒北大卒)も昔、釧路市役所経済部長のあとに釧路教育長をしていたし、現在の教育長の岡部さんも若い時に角田さんの部下だったことがある市役所職員である。四月から教育指導参事に大山さんが就任しているが、校長職を退職したあとに民間会社へ就職していたが、基礎学力の強化を願う釧路市長に懇請されて就任した。民間企業で使えるくらいの力量の人が教育指導参事になった。かれは「基礎学力保障条例」に忠実に各学校へ向けて具体的な方針指示をしている最中である。
(わたしが話したことのある釧路市役所の部長職数名は全員大卒である。釧路では市役所管理職が大卒であるのは普通のことのようで、人材が豊富だ。長年にわたる採用のしかたが人材の質に大きく影響するから、根室市役所も釧路に学べばいい。)

 根室管内には学力向上に実績のある元校長がわたしの知る限りで2名いる。ひとりは数年前に啓雲中学校長をした佐藤義昭さん、かれは荒れていた啓雲中学校を立て直した。弊ブログ記事#1307のURLを貼り付けておくので、ご覧いただきたい、北海道新聞が平成10年に取材してその惨状をシリーズ記事にしている。学校の荒れがおさまると学力も大幅に上がった。だが、校長が変わると学力が下がった。
*#2429 基礎学力 就職に有利 :根室にも教育改革の芽がある Oct. 2, 2013
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-01-1
*#1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校 Dec.19, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1


 もう一人は別海中央中学校長を昨年3月に退職した青坂さんである。彼のホームページ「http://office-aosaka.com/」をご覧いただけば力量がわかる。根室管内の先生たちに彼が発信した「学校通信」を読んでもらいたい。
 わたしの知っている限りで2名だから、おそらく他にもいるのだろう。根室市教委はこういう実績のある先生を嫌う。こういう人が教育長になって腕を振るって各学校をバックアップしてくれたら、落ち続けている根室の子どもたちの学力は下げ止まるに違いない。なぜこういう人材を教育長に向かえないのか?教育こそは地域の未来を拓くカギである。

 もう一つは地元企業の経営改善である。経営改善は経営者が私利私欲を離れて、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の経営をしてこそ築けるもの。決算資料を従業員に公開するのはもちろんのこと、予算制度を採り入れ、予算達成のときは賞与をいくら支払うのかも予算で決める。退職金規程を定め、毎年従業員一人一人にいまやめたら退職金がいくら支給されるのかを文書で通知する。それくらいのことをやらないと都会の企業の待遇とは勝負にならない。
 経営者の
心根が真っすぐで学力が高ければ企業の経営改善はとんとん拍子に進むもの。そういう地元企業の多い町は活気にあふれているだろうし、大学へ進学した若者も戻ってきて地元企業に勤めるから、人口も減らない。移住政策で人口を何とかしようなんて愚の骨頂。まっとうにやればいいだけ。
 ふるさと納税制度で、根室の企業の経営はずいぶん甘いものになっている。脱税を勧めるようなもので、こんな性悪な制度はいずれ消滅する。その時にゆるんでしまった経営体質を元に戻せるのはよほど有能な経営者のみ、ふるさと納税制度がなくなったら地元企業の倒産が相次ぎ、3年間は年間の人口減が1000人を超えるようなことにならなければいいが…この制度を提案したのは菅という官房長官殿だそうだ、罪が深い。目先でのごまかしは大きな災いの種を撒いているようなもの。時間がたてばたつほど、大きく育ってついには刈り取りの時期を迎えてしまう。あな恐ろしや。

<学力低下へのメモ>
 いまも根室の子どもたちの学力は低下し続けている、普段の学力テストの五科目平均点の推移をみたらいい。100点(300点満点)を切る学校が昨年は3校中2校だった。
*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する  Feb. 28, 2014
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1

 
記事のURLを眺めると、北海道新聞根室支局は2010年と2011年に、根室の教育問題をずいぶん積極的に取り上げてくれたことがわかる。小山さんという記者とその前任者が教育問題への関心が強かった。ありがとう。
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*#2607 生徒の学力低下に気がつかぬ学校と根室市教委 Mar. 1, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-01

 #2118 経営理念をもちそして臨機応変に: クラスに集まる生徒にあわせた授業 Nov. 6, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-05

 #1935 フリー授業参観に行こう:啓雲中学校  May 14, 2012 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14

  #1758 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部⑤:新聞活用(北海道新聞) Dec. 1, 2011
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-01

 #1757 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部④:小中一貫教育(北海道新聞)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30-1

 #1756 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部③(北海道新聞) Nov. 30, 2011
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-30

  #1753 「教育再考 根室の未来第 シリーズ4部②(北海道新聞)」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27-1

 「#1750 教育再考 根室の未来第 シリーズ4部連載開始(北海道新聞) Nov. 25, 2011 」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-25


 #1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1

 #1306 教育再考 根室の未来 第2部 低学力③:若手多く指導に苦戦も
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19

  #1304 教育再考 根室の未来 第2部 低学力②:「学ぶ意味」尊重されず 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-17

  ◎#1253 教育再考 根室の未来(5):第1部⑤高校統廃合(北海道新聞)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-24

  ◎#1251 教育再考 根室の未来(4):第1部④高校統廃合(北海道新聞) 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-22

 ◎#1250 「教育再考 根室の未来(3):第1部③高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-21

 ◎#1249 「教育再考 根室の未来(2):第1部②高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20

 ◎#1248 「教育再考 根室の未来(1):第1部①高校統廃合(北海道新聞)」
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-19

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#4013 根室の小中学校の統合をコスト面から考える Jun. 8, 2019 [89.根室の過去・現在・未来]

 #4012で光洋中学校と啓雲中学校の2021年統合スケジュール公表について書いた。
*#4012 啓雲中と光洋中が統合 Jun. 6, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-06-06


 モノの道理として、高校統廃合の前に中学校の統廃合が、そしてその前に小学校の統廃合があるべきだが、順序がまったく逆になっているのはどうしたことか?
 生徒の人数が減りだすのは小学校が高校よりも9年も前であるから、高校統廃合の9年前には小学校の統廃合が完了していなければならない。そんなことは小学生でもわかるモノの道理だ。
 今回の光洋中と啓雲中の統廃合記事には小学校の統廃合がまったく載っていない。どうしたことだろう。根室西高校は今年3月に廃校になったから、小学校の統廃合は9年前に終わっていなければならない。

 中学校の適正規模を根室市の「小中学校適正規模及び配置に関する基本方針」では1学年3-6学級としているので、郡部を含めて1校体制が可能なはず。なぜ避けて半端な統合案をまとめたのか?市側で作成した基本方針通りになぜやらない。
 いずれ2040年には生徒数が1学年110人程度に縮小するので小学校も中学校も1校にならざるを得ない。建物を増改築すれば数億円がかかるが、2段階でなく1段階でやればコストが大幅に削減できる。統廃合を条件に通学バスの無料化を道や国と話し合えばいいが、資料を見てもそういう検討をした形跡がない。校長の数は激減、教員の数も減るのだから、交渉の余地ありだろう。困難な課題をいくつかパスしてしまった。

 コスト面からの検討も見過ごされた課題の一つだろう。
 大雑把な計算で確かめてみよう。生徒数30人の小規模小学校を考えてみよう。1学年5人だから複式学級にすると担任の先生が3人、校長が一人必要となる。いくらなんでもこんな規模に教頭は不要だろう。だから事務職員1人、合計5人の職員構成となる。公務員給与の平均額を600万円を適用すると、人件費だけで3000万円、それに学校校舎建物を10億円とし50年の減価償却で年間2000万円かかる、そのほかの経費を1000万円とすると合計6000万円/年であること。生徒数30人で割ると生徒一人当たり200万円/年のコストがかかる。小学校6年間だけで生徒一人に1200万円ものお金がかかっていることになる。べらぼうな話ではないか?
 生徒数45人の中学校はどうだろう。教科担任制だから先生の数は8人、教頭と校長で10人、それに事務職員が一人で職員数合計は11人。年間人件費は6600万円である。減価償却費を2000万円、その他の経費を1000万円とすると、費用の合計は9600万円となるから、生徒一人当たり213万円である。小規模校では小学校から中学校を卒業するまでに生徒一人当たり1800万円もかかることになる。元は全部税金である。
 1学年6クラスの中学校(生徒数180×3=540人)を想定すると、先生の数50人、事務職員4人、減価償却費4000万円、その他経費2000万円とすると、生徒一人当たり71万円である。
 郡部校の維持にはおよそ3倍のコストがかかっているのだが、そういうコストを考慮していない。学校関係者の議論はいつもコストが欠落している、どうしてコストを考えないのだろう?
 小学校も中学校も1校に統合すべきではないのか?

 小学校や郡部校の統廃合を検討から除外した「検討委員会」は実にイージーな作業をしたようにみえる。閉鎖的な委員会方式による検討はつねにこういうことになる。市立病院建て替えに関する委員会、明治公園再開発に関する委員会、高校統廃合に関する委員会、他にもいくつかあった。市の総合文化会館会議室を使い、毎月2回日曜日をつかって市民の自由参加でオープンにやるのがいい。市長が変わってもやり方は変わらぬ、いつまでこんなことを繰り返すのかね?
  魅力的な町ははどうしたらつくれる?魅力的な地元企業と魅力的な行政のあることが必要条件だろう。閉鎖的ではどうにもならぬ。地元企業も地方行政もどちらもそこに住む人々が支えている。面倒な仕事を避け、十年二十年後三十年後を見ないでどうする?

*根室市立小中学校の適正規模及び適正配置に関する基本方針
https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/material/files/group/31/66547559.pdf




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#4012 啓雲中と光洋中が統合 Jun. 6, 2019 [89.根室の過去・現在・未来]

 根室高校が6/4日から前期中間テストをやっている。金曜日までの4日間、まあのんびりしたもの。これが終われば7月初旬の学校祭へ向けて準備期間が始まる。ほとんどの生徒が勉強のほうはお留守となってしまう。2年生と3年生は、ほどほどにして受験勉強と両立させることを考えるべきだが、毎年なかなかそうはならないで、8月9,10,11日の金刀比羅神社の例大祭が終わるまで、お祭りモードは切り替わらない。

 啓雲中学校が光洋中学校へ統合されるという記事が今日の北海道新聞朝刊に載った。2021年4月だそうだ。「元々光洋中学校が10クラス420人ほどに膨らんだので37年前に啓雲中学校ができた、2年生の時に光洋中から啓雲中へと引っ越した」と昨日髪をカットしながら世間話で聞いた。
 啓雲中の統廃合によって元の光洋中に戻ることになる。元に戻るなら校歌も校章もそのままでいいから、手間も最小限で済む。これはこれで実務的な案だ。
 もっとさかのぼれば光洋中学校は根室中学校が手狭になり、柏陵中学校ができて、光洋は1学年10クラス550人の規模で57年前にスタートした。団塊世代のわたしたちが光洋中学1期生であった。柏陵中出身のヒロシに訊いたことがある。大正町(常盤が丘)にあった旧根室高校校舎から机に椅子を重ねて手で持って柏陵中学校校舎まで運んだそうだ。あの年に根室高校は大正町から牧の内へ新校舎を建てて引っ越した。木製の重たい机と椅子だったから、駅前を過ぎたあたりから、急に重みが増したに違いない。女の子はたいへんだったろう。柏陵のスタート時は5クラスくらいかな。昭和37年に市街化地域の中学生徒数が2248人だから、光洋中と柏陵中合わせて1学年平均749人。郡部が884人だから1学年平均294人の生徒数になる。子どもが多かった。
 現在は市内全部の中学校を合わせても1学年200人程度しかいない。
*資料
https://www.city.nemuro.hokkaido.jp/material/files/group/7/suisinn.pdf

 いずれ柏陵中学校も統廃合でなくなるのだから、最後には「根室中学校」という旧名称に戻せばいい。
 2040年には根室市内全部で1学年110人くらいになるという年齢別人口推計データが公表されている。弊ブログでも紹介した。

 柏陵中学校が1学年30人程度になれば統合せざるを得なくなるだろう。郡部の歯舞中、海星中、落石中、厚床中は生徒数の減少でその前に統合対象になるだろう。道路が整備されてるから、無料のマイクロバスで通学できれば便利だ。ついでに郡部から通う高校生も乗っけてあげたらどうか。その際に根室交通への配慮は必要だ。上手にやらないと公共交通機関であるバスが根室から消えてしまいかねない。

*#4013 根室の小中学校の統合をコスト面から考える Jun. 8, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-06-07



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#4011 高専の新入生は数学ができない? Jun. 2, 2019 [53. 数学四方山話]

 昨日のことだが、「釧路の教育を考える会」の総会へ出かけたら、10分ほどはやくついた。還暦高専生として北海道新聞をにぎわしたT木さんと釧路高専の卒業生であるM木さんがある問題について議論していた。話題は分数式、新入生であるT木さんの同級生たちに分数式が解けない者が多いと言っていた。数学の授業では教える方のアシストに回っているらしい。例えば次のような問題が解けないというのである。


      2   
    x-1     
  1+   1 
       x-1
  
 これは二人がまな板に載せていたものよりも複雑な繁分数式で、『WIDE数学Ⅱ+B』の「問題34」から転載した。中学生がやるのは整式のみで、分数式は高校2年で教えることになっている。先週、この個所をやっていた。
 分数の中でも2階建てになっているものを繁分数というが、この問題を説明なしにできたのは、学年トップの生徒のみ。おそらく根室高校2年生全部でみても3人くらいしかいないだろう。2月の進研模試で学年3位、4位、5位の生徒からはこの問題の解説要求があった。理由を考えてみたい。

 なぜ学年トップの生徒が難無く解けたのかというと、繁分数を小学生の時に教えているからという単純な理由に行きつく。東京渋谷の進学塾で四十数年前に3年間だけ教えたことがあるが、有名私立中学受験の生徒全員に教えていた。根室では中学受験がないので、教えないようだ。こういうところも都会と田舎の指導の差がある。教えちゃえば差は雲散霧消する。小学校の算数の指導の際にどこまで意識して教えるかということだけ。
 繁分数は「内々分母の外々分子」と教え、一つおきに約分ができることも、なぜそうなるかについても解説している。小学校や中学校の学習指導要領の範囲を超えているが、できのよい小学生ならちゃんと理解できる。
 学年トップの生徒は、数字を文字式に置き換えて、「拡張」することに中1の問題集をやったときに慣れているから、いままで知っている知識を動員して同じ計算規則を適用して解いてしまうのでこの分数式が全部が異なる文字で構成されていても何の問題もない。小学校のときに習った繁分数と同じものにみえるだろう。小学校のときに習った「繁分数」が高2になって独力で「繁分数式」へ拡張できる。計算規則や概念の拡張に慣れることを指導の重要な目標に据えているかどうかで高校生になってからの学力の伸びに差がでてくる。

 かりに、高専新入生の半数がこのような繁分数式が解けないとしたら、その理由は繁分数を小学生の時に単に習っていないから。入学してから放課後1時間時間をとって教えてやればいいだけ。こういうふうに中学校と国立高専の間でエアポケットになっている項目が他にもないか、生徒の様子を観察していれば見逃すことはないだろう。授業は観察でもある。教師は生徒を観察することでいくらでも教え方を学ぶことができる。


 心配なのは計算規則の拡張が高専へ入学した時点ではまだ独力でできていないということだろう。高校数学では平面座標で習ったことがベクトル平面やベクトル空間へと拡張され、cosを使って内積が定義される。関数も一次関数、二次関数、三次関数、指数関数、対数関数、三角関数、微分や積分へと拡張がなされる。実数から複素数への数の拡張もあるし、複素平面への拡張すらほんの一部ではあるがでてくる。新しい概念が次々に導入されさまざまなところで、それまでの計算規則や概念の拡張がなされ、それぞれの分野で定義しなおされていく。だから、計算規則の拡張ぐらいは高校入学前に独力でできるようにしておきたい、その後の学習効率を飛躍的に高めることになる。
 そのあたりを意識したら、小学生への算数の教え方も、中学1年生への数学の教え方も違ってくるのはあたりまえ。

 中学数学でならわない分数式は高専へ入学した時点で、高専側で分数式の放課後補習をすればいいだけ。こんなところで躓いていたら、釧路高専は赤点が60点だそうだから、留年者が続出することになる。近年、留年や退学が増加していると数年前から関係者の間から懸念の声が聞こえていた。
 ほかにも中学までに習っていない項目がないかチェックして対処すれば、夢を希望を抱いて釧路高専に入学してきた生徒たちが、得意だったはずの数学で脱落することなく卒業できるのではないだろうか。
 T木さんと同じクラスではないようだが、ニムオロ塾からも四月に釧路高専へ入学した生徒がいる。一生懸命勉強してめでたく卒業を迎えてもらいたい。
 釧路高専卒の一級建築士のS元さんはM木さんよりも2つぐらい下だと思うが、この二人に年上の後輩ができたと大笑い。
 道東にたった一つの国立釧路高専をみんなで応援したい。

(T木さんは釧路市教委の元釧路学校教育部長である。自身が開発した「なちゅろうどく」という音読システムを、システムやハードの勉強を基礎からすることで世の中に広く受け入れられる商品にして学力向上の起爆剤にしたいという大きな目標がある、そのために釧路高専へ還暦で入学した。いま高専柔道部と空手部に所属。柔道は初段だが、実力は五段ほどありそう。空手は極真空手でこれも大人の部では猛者。とんでもない異色の新入生が入学したものだ、先生たちはさぞかしご迷惑にちがいない。)


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