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#4010 言葉の官民格差:事件と事案 May 29, 2019 [8. 時事評論]

 覚せい剤と大麻所持で文科省のキャリア官僚が逮捕された。「逮捕されたのは文部科学省初等中等教育局の参事官補佐 福澤光祐容疑者(44)」、それをうけて柴山正彦文科大臣がテレビで記者会見をした。
*「文科省職員 覚醒剤や大麻 所持の疑いで逮捕
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190528/k10011932731000.html

 文科大臣は記者会見で「事件」ではなく「事案」と言った。いつものことだが、この用語の使い方はおかしい。民間人が覚せい剤所持で逮捕されたら、「覚せい剤所持事件」。「覚せい剤所持事案」だなんて言葉自体が矛盾している、覚せい剤所持は犯罪なのだ。どうして公務員が法律違反を犯した時に当該官庁の大臣は「事件」ではなくて「事案」という用語を使うのか。記者クラブの記者はなぜとがめないのかわからない。

 念のために大辞林で引いてみると次のようになっている。
---------------------------------------
事案:問題になっていることがら
事件:①争い・犯罪・騒ぎ・事故など、人々の関心を引く出来事 ②「訴訟事件」の略
---------------------------------------

 事案という言葉には犯罪のニュアンスはない。同じことでも公務員の場合は犯罪ではないと言いたいようだ。(笑)

 言葉の官民格差は願い下げである。NHKさんは「事案」も「事件」も使わず、「逮捕された」と書いている。どの新聞も「事案」という用語は使っていない。
 逮捕したのは厚生労働省麻薬取締部。

 人間の管理は完全にはできないから、こんどは省内宛てに通達を出す必要がある。自覚と自己抑制に期待するしかない。
 健康診断時に検査を義務付けても1か月も休めば検査に引っかからない、いや毛髪検査なら数か月前の使用でもひっかかる。大臣以下全職員に覚せい剤検査を義務付けたらいかが?
 米国では民間企業の中には採用に際して薬物検査を条件としているところがあると、SRL八王子ラボへ見学に来た米国人から1980年代後半に聞いたような気がする。20年もしたらそういうことが必要な日本にならないでほしい。なにやら50年遅れで米国を追いかけているような感じがしてならぬ。

 この通達、いまとなってはいくぶん皮肉に聞こえます。文科省は不祥事続きでショックでしょうね。頭のよい官僚が揃っているですから、なにか有効な対策を考え実施するでしょう。
青少年の覚せい剤等の薬物乱用防止について:文部科学省



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#4009 川崎・登戸児童ら殺傷事件 May 29, 2019 [8. 時事評論]

 ぞっとするような事件がまた起きた。川崎・登戸で児童ら18人が殺傷された。犯人(51歳)は犯行直後に自殺している。
*「川崎・登戸殺傷 児童ら18人襲われ小6女児と男性死亡 確保の男も死亡
https://mainichi.jp/articles/20190528/k00/00m/040/023000c

 登戸駅は大学のある向ケ丘遊園駅の一つ手前の駅であるから、なじみはあるが、一度しか下りたことがない。女房殿が5年ほど通ったプロ用のケーキ教室が登戸にある。いまでも東京へ戻ると顔を出すことがあるようだ。教室は事件現場が見下ろせるビルの3階にある。登戸までは自宅から直線で10㎞ほどしかないから、子どもがカリタスへ通学していたことのある知人もいるようだ。こういう事件はいつどこで起きても不思議でないから、孫がいれば心配になる。もっと安定した穏やかな経済社会であってほしい。

 ブログ「オータムリーフの部屋」さんが「拡大自殺」というタイトルでこの事件の分析をしているのでお読みいただけたら幸いである。
https://blog.goo.ne.jp/autumnleaf100?fm=rss

 犯人の岩崎某氏は幼少期のころに両親の離婚で伯父さんの家に引き取られている。そこには実子が二人いたから複雑な事情があったのだろう。たいていは環境にめげずに真っすぐに生きるのだろうが、なかにはめげてしまう人間もいる。中高時代はちょっとしたことで切れやすい人間だったとは同級生の弁、情緒不安定なかかわりをもちたくない人間だったようで、テレビ報道によれば高校卒業後どこで何をしていたのか知っている同級生がいない。十代後半で伯父の家を出て、最近もどったらしい。こうした周辺の証言からは孤立した生活を送っていたことが窺い知れる。こころの暗部に妬(ねた)み嫉(そね)みを抱えて生きているうちに、それが次第に大きくなってどこかで制御不能になり押しつぶされたのだろう。
 中高生のときに生涯を通じて付き合える友達をつくっておくことは、その後の人生の岐路に、決定的な役割を果たすことがある。孤立してもまっすぐに生きぬける人はよほど強い人で稀(まれ)。ふつうの人は多少なりとも心にエゴという闇を抱えながら、なんとか折り合いをつけて生きている。

 昭和から平成となり、平成の30年間で経済格差が拡大し固定化した。大企業の取締役の報酬は3倍以上にもなったのに、従業員の人件費は増えていない。一人当たり実質賃金でもわずかしか伸びていない。最近数年間は実質賃金が減少している。格差が小さかった日本の経済社会だったが、平成の30年間でゆっくりそして大きく変化してしまった。
*「近年の経済成長率と賃金上昇率の動向 」
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000173082_1.pdf


 オータムリーフさんは一人住まいになった老人がしだいに追い詰められていく様子を年人受給額や生活保護基準を提示しながら丁寧に説明している。そういう老人が増えていけば中には拡大自殺するケースが増えることが懸念される。超高齢化社会を迎え、こういう事件が減らないことを示唆しているように読めた。
 令和の時代は老人の孤立化や生活困難化に有効な対策を見つけて実施できないと、都市部のあちこちに地雷が埋まっていていつだれが踏んづけるかわからないような地雷原の中で暮らすようなことになりそうである。
 日本の経済社会は幸福という点からは進歩しているのか、それとも退化しつつあるのか?
 わたしたちはどのような経済社会を理想として国家戦略を描くのか、あるいはどういう生き方を選ぶのかを考える岐路に立っている。

*拡大自殺…ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/拡大自殺

*「上場企業の平均年間給与、606万円で過去最高 18年決算 東京商工リサーチまとめ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45352250Y9A520C1EAF000/?n_cid=DSREA001&fbclid=IwAR3uAmn-OblF1e7tSoE_ma28BdbkjVTVuETCsuXCl6NrhRBANUm_JOcciXk


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#4008 丸山穂高議員発言:佐藤優元外交官の意見 May 27, 2019 [21-1領土返還地元の異見]

 戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」とビザなし訪問団長を問い詰めた丸山穂高議員の発言に対する厳しい批判があちこちから湧き上がっている。今回は元ロシア外交官であった佐藤優氏の意見をとりあげる。彼は在ロシア日本国大使館三等書記官経験があり、ロシアの事情と日本のロシア外交の両方に精通している特別な人間だから、元島民2世二人の異見との間にどれほど距離があるのか、並べてお目にかけたい。

*https://ja.wikipedia.org/wiki/佐藤優_(作家)
**丸山穂高議員の「戦争扇動発言」が、問答無用で許されない理由」https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64798

 佐藤優氏の丸山穂高発言批判の要点は、次の5点である。
①外出しようとしたことがロシアの法律では違法
②戦争発言は、ロシアが2次世界大戦で3000万人が亡くなっていることへの無知に基づくものであり、さらにロシアの法律では違法であること
③ロシア警察に日本の国会議員が逮捕されたら外交問題になる
④ビザなし外交が中止になり、北方領土交渉がストップする
⑤ビザなし訪問へこういう人間を送り出す日本への不信を呼ぶ

 箇条書にしてみると、これは駐日ロシア大使館員の主張かあるいは日本外務省職員の発言ではないかと見まがうような内容である。ロシア勤務が長かったからこういう思考パターンが鋳型になっているのだろう。

 佐藤氏の発言で②の数字が事実と大きく異なっているので言及しておく、この個所はロシアの専門家らしくない基礎的なミスである。
ロシアにおいては、3000万人死んだナチスとの戦争がありましたから、戦争扇動に対してはものすごく敏感なんですよ
 諸説あるだろうが、ドイツ兵が50万人、ロシア兵がその2倍だから100万人というのがナチスとの戦争でロシア側にでた犠牲者である。その30倍もの民衆がナチスに殺されたとしたら、前代未聞の大虐殺として歴史に残っただろう。ナチが殺したユダヤ人の数は250万人から600万人まで諸説ある。ロシア人3000万人がナチとの戦いで死んだというのは誇大妄想も度を越していると言わねばならぬ。
 第二次世界大戦全体を通じてもロシア側の犠牲者数は少なくとも870万人、多い説では1500万人である。こんな基本的な情報すら間違っているようでは、彼のロシア情報には疑問符がつく。
 3000万人という途方もない数字はスターリンによって「粛清」された人々を含めているのではないか?毛沢東も文化革命で同胞2000万人を「粛清」したといわれている。ロシアも中国も戦争で死んだ人間よりも、粛清で殺した同胞の数の方がはるかに多いのである。もちろん現在のロシア政府にとっても中国政府にとっても都合が悪い歴史であり情報なのだ。この人の情報や意見は雑で特殊なバイアスがかかっていると見たほうがよさそうである
*https://www.huffingtonpost.jp/2015/06/10/visualization-of-number-who-died-in-wwii_n_7549568.html

 佐藤氏はロシアの事情に詳しく8年間の駐ロ日本大使館員の経験から、いつのまにか発想がロシアの側からのものの見方と日本外務省側のものの見方が大前提になっているように感じた。次の言葉にもそれが端的に現れている。

北方領土に関して、日本は「日本領だ」という立場でしょ。だから北方領土に行くときは、パスポートではなくA4の「身分証明書」と、ビザではなくこれもA4の「挿入紙」という紙をもって、「日本国内での移動」ということにしている。ロシアの方では、そのA4の紙2枚をパスポートとビザであるとみなしているんです。
 
 ビザなし訪問がインチキの上に成り立っていることをからくりごと紹介してみせている、あきれるほかない。 ビザなし訪問が始まった1993年に彼は在ロシア・日本大使館の三等書記官であり、どうやらビザなし交流の枠組みづくりの当事者でもあるようなのだ。語るに落ちる。
*https://ja.wikipedia.org/wiki/北方四島交流事業

 ビザなし訪問そのものが欺瞞である。彼の言うように実質的にはビザ申請をしているのだ、小役人の外務官僚が考え出した方式で、その中の一人が佐藤優氏自身だろう。そして彼のいう「北方領土交渉」とは、日本外務省が日本固有の領土だと主張する北方領土全体の7%にすぎぬ歯舞諸島と色丹島の「2島返還論」が前提である。小利口な外務官僚が自分の器の範囲でものを考えるとこういうことになる。

 フォークランド紛争時の英国首相サッチャーのように領土に関しては妥協しないという方針とそれに基づく外交戦略を描き実行できる人材が外務省にはいなかったのだろう。英国だってそういう外務官僚がいなかったから、サッチャーは周りの反対を押し切って、軍艦を派遣し、長距離爆撃機で爆撃を繰り返してアルゼンチン軍を撃退してフォークランド諸島を取り返している。以後、フォークランド諸島をめぐってアルゼンチンと英国の間に紛争は起きていない。
 ここまで書くと、北方領土問題は元外務省の小役人が論ずることのできるレベルの問題ではないという気がしてくる

 戦争で分捕ったものだから返すつもりはないというのがロシア側の原則論である。そうした事実を日本政府が認めるべきだと繰り返しロシア外務省が公言している。それを認めた上での平和条約締結というのがロシアのシナリオである。こういう原則論に対して日本側がぶつけるべき原則論はどのようなものであるべきか?

 駐ロ・日本国大使館三等書記官であった佐藤優氏は四島返還の原則論を主張するのではなくて、四島返還の戦略が描けないから、最初から7%を占める2島返還でいいという弱気の外交交渉を是としている、彼の主張は日本外務省の外交政策そのものだ。四島返還の戦略が描けないことへの反省もなければ、利権と化しているビザなし訪問、墓参、自由訪問への反省のかけらもない。実質的にはビザのある「ビザなし訪問」、墓まで行けぬ「墓参」、北方領土問題に関しては発言の自由すらない「自由訪問」、あきれてものが言えぬ。北方四島のロシア住民には日本全国招待旅行。もちろん高級クラブへ行ってもオカマバーに行ってもお咎めなし。何をしゃべっても自由。ところがロシア側のこの団体旅行メンバーもかなり固定して利権化しているのかその都度コース変えている。利権は北方領土に関係する日本人とロシア人の双方を汚染し、既得権益化している。

 ⑤についての佐藤氏の主張は、北方領土という基部に触れるような場所、複雑な場所を訪れて「戦争」を軽々に口にするような人間を、議員として選び、送り出している日本人ってどういう人たちなんだろうとこういう見方になる」ということ。北方領土についてよく知りもしない国会議員のビザなし訪問参加は願い下げにしたいのだろう。同じ人間が、国費を使って20回以上も北方領土を訪問するほうが安心できると言わんばかりだ。一人1回当たり30-100万円かかっていることを考えると、ますます利権の色合いが濃くなる。まことに偏った意見であると言わざるを得ない。

 元島民の2世であるわたしは、このような2島返還論に与(くみ)しない。佐藤優氏の一連の発言は30年以上たっても(在ロシア・日本国大使館勤務は1988-95年)いまだに四島一括返還の外交戦略すら提示できぬ彼の能力の限界を示すもの
 根室にもこんな愚にもつかぬ論に惑わされる輩が少なくない。根室市議会は丸山穂高議員の辞職決議案を可決している。ずっと目線を下に落としたまま道庁幹部職員の作成した原稿を記者会見で棒読みした新しい道知事もお仲間の一人。世の中にはさまざまな考えの人あり、そして彩
(いろど)りが豊かになるのだと思えば、枯れ木も山の賑わいでいい。

 さて、佐藤優氏の丸山穂高議員批判を念頭に置きながら、島民2世二人の投稿欄での対話の続きをお読みいただきたい。

*「#4002 地元根室島民2世二人の異見(2):丸山穂高議員発言」
..投稿欄より転載
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-05-22
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 某所から毎度、ロシア人のホームビジットの受け入れをしてほしいと頼まれて何回か受入れしてあげているのに、渡航募集をしておいて行かせてくれないのはどういうことだ!と不審がってる人がいます。
 どんな基準で選んでいるのかわかりませんが、”枠”から外れた人に不選の通知すらないのは失礼ですよね。同じ人が何度も島に渡っているのが不思議でたまりません。

 誰のため、何のための事業なのか、原点に戻って交流内容を見直すべきだと本気で思います。
 日本側が、ロシアの機嫌を損なわないようにとバカみたく気遣って、腫物に障るようにへつらうことが友好親善だとは思いません。領土問題にふれさせないよう対話を封印した時点でロシアの勝ち。

 「今のままがいい」と思っているのは、外務省、北方領土ビジネス関係者や、このモヤモヤした状態に満足している人たち。 悲しいけれど、当事者や地元以外は、返還なんかどうでもいいと思っている人たちが日本には多数います。マスコミが真相を正しく報道しなければ、ニュースやワイドショーで切取り部分だけに焦点が当てられ、今回のように一国会議員をつるし上げる”魔女狩り”で終わってしまうのです。
 プーチンは後出しジャンケン交渉が得意で、日本式外交がロシアに通用すると思ったら大間違い。
 それが一向に成就しない返還運動74年の歴史を物語っています。これじゃ、四島まるごと返還は夢の夢。

 熱くなったけど、冷めました。(笑)

by サリー (2019-05-22 17:36) 
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 サリーさん
 こんばんは。
 熱くなったり冷めたり、忙しいですね(笑)
 根室市議会も道知事も魔女狩りに参戦を表明しましたね。鈴木新知事は原稿に目を落とし棒読みし、ときどき顔をあげて記者の方を見るのみ、まるで他人事でした。

 マスコミも維新の会も自民党も根室市議会も道知事も、どうしてこんなに見事に反応がワンパターンになるのでしょう?同じことを言わなければ自分の存在が危うくなるかのような狂騒ぶり。

 丸山穂高議員を血祭りにあげる一方で、外務省の北方領土関連事業のでたらめな部分には徹底的に目をつぶる。
外務省は訪問団には領土返還の話を禁ずる。その結果、ロシアは元島民たちが来てもだれも領土を返してほしいと言わないから、戦争で負けたのだからあきらめたのだろうと思う。

 ロシアの住民たちに自らの意見も言わず、ビザなし訪問、墓参、自由訪問で外務省のいいなり、現状を変えようとしない元島民や2世こそ、北方領土返還運動の大きな障害と言えるのではないか。

 本気でやる気があったら、外務省が止めようが、返還運動予算をカットされようが、訪問団メンバーリストから外されようが、本音をロシア人に伝えるのが正直な運動の在り方ではないのか。
 それもできなヘタレばかりなら、北方四島は未来永劫ロシアのもの。
 それこそ、戦争でもしない限り、北方領土返還はない。

 わたしが提唱するのは、MIRV(多核弾道ミサイル)を開発配備して解体して見せることで、ロシアに本気を伝えるという具体案。下記の弊ブログをご覧いただきたい。
 マーガレットサッチャーはフォークランド諸島紛争のときに、ただちに軍艦を派遣しさらに長距離爆撃機で爆撃させてます。領土を守ることに妥協はないという、当時の英国首相サッチャーの決断はすさまじい。ああいうガッツが日本の政府にはない。

by ebisu (2019-05-22 22:29)
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#195 すこし過激な北方領土返還論:MIRV開発・組み立て・配備・解体ショー

#1892 映画「マーガレット・サッチャー」と北方領土 Apr. 6, 2012

#2053 マーガレット・サッチャーと領土問題(2) : 北方領土・竹島・尖閣列島 Aug. 14, 2012

*#2054 マーガレット・サッチャーと領土問題(3) : Aug.16, 2012

*#3871 根室市長「いかなる結果でも全面的に支持する」
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-12-02-1


 #3882 羅臼町長の北方領土に対する明快な意見 Dec. 15, 2018 
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15


 #3929 VENONA文書と北方領土:四島一括返還の戦略 Feb. 13, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-02-12-1

 #3993 丸山穂高議員:「戦争で島を取り返す」発言 May 15, 2019
https://
nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-05-15

 #3997 ビザなし訪問随行経験者の異見:丸山穂高議員発言
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18-1



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#4007 朝7時から24.0度を記録:根室の観測史上最高気温更新中 May 26, 2019 [87.根室の話題]

 朝7時に24.0度、5月にこんな球が黄な気温上昇は極東の町根室では初めてかもしれない。
9時の気温26.8度、生暖かい南風が吹いて異様な暑さだ。
 庭では一番遅咲きの桜が開花し始めた。

SSCN2798.JPG

②青空に露出があってしまって、桜の花の露出がアンダー、コンデジでもちゃんと調整しなきゃいけないということ
SSCN2799.JPG


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⑤露出補正後の一枚
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アッツ島の桜だと言っておふくろが植えた桜の苗木だったが、ほんとうにそなのか、あるいは桜ではないのか定かでない。千島桜に遅れること11日目、朝から気温が24度もあったので開花した。
まったく異性に関心のなかった生徒がとつぜんに恋に目覚めて、心の中に花を咲かせる、ほほえましい。恋の命は桜花と同じように短い。パッと咲いてサッと散っていいのである。皆さんそれぞれに覚えがあるだろう。

 根室は西側に山がないからフェーン現象が起きないところなのである。オホーツク海と太平洋を分けるように突き出した半島だから、こんなに急激に気温が上がることはない。まことにめずらしい気温上昇なのだ、11時44分最高気温34.0度、これって根室で観測されたデータが130年以上あると思うけど、観測史上最高気温だと思う。過去7年間の5月のデータでは2016年5月22日の26.5度が最高。
*https://weather.time-j.net/Stations/JP/nemuro

 今日のサイクリングは中止だ。



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#4006 キャノンデール製MTBに乗ったチャリダーに遭遇 May 25, 2018 [85.サイクリング]

 Bコースはオホーツク海周りのコースである。根室高校前から1周16㎞ある。
①Bコース地図
SSCN2756.JPG
 地図下側の緑色の起点が根室高校生徒玄関前、水色の線のところへ左折する分岐点まで2.6km、オホーツク海まで2.2㎞あって、海岸通りへ右折するところが4.8km地点、オホーツク海沿いに走って、原野に右折するところまでが7.5㎞地点、そこから南に向かってグリーンの線の右端がT字路分岐点で10.8㎞地点、T字路から根室高校まで5200mあり、Bコース一周16㎞。

 14時の気温19.6度、南風6.4m/s、湿度43%

 南風だから、原野の東へ向かう一本道から左折してオホーツク海へ向かうと追い風になった。下りきるまで速度がぐんぐん上がる。最大瞬間速度53.2km/h、下り坂最高、ワオー!NHKBS番組「こころ旅」の火野正平でなくても叫びたくなる。原野には小鳥の種類が増えた。あちこちにタンポポが群生している。
 7.1㎞地点からオホーツク海を望む。
②島影が薄く写っている。北西方向だから知床連山だろうか。
SSCN2792.JPG
 北東方向へカメラを向けたが写らなかった。肉眼ではうっすらと国後島の茶々岳が見えていた。
 同じところから、北へカメラを向けて撮った一枚。
③ここにもタンポポが…黄色のすぐ向こう側にはオホーツク海の青一色が横たわる
SSCN2794.JPG

同じところから東へカメラを向けて撮った。
④7.1㎞地点、左がオホーツク海、奥が進行方向(納沙布岬への裏街道)、
SSCN2793.JPG

 T字路まで10.8㎞だが、そこから右折して根室高校への西方向の一本道でチャリダーとすれ違った。バックを肩から下げて大きな車輪のマウンテンバイクだった。
 11.9km地点の牧場は土を起こして牧草の種まきをしているのだろうか、黒い土で覆われていた。
⑤11.9㎞地点、道路の南側の牧草地
 黒い土が別の色になってしまっている、なぜだろう?
SSCN2790.JPG

 ここで写真を撮っていたら、T字路付近ですれ違ったチャリダーが折り返してきた。こんにちはと挨拶したら、丁寧に帽子をとって返礼してくれた、身体の大きな人だった。
 めずらしい自転車なので写真を撮っていいか訊いてみたら、OK。地元の人だった。29インチのキャノンディールのMTBだ。後輪のギアは9枚だが、わたしのRBのギアよりも直径がだいぶ大きい。急な登りでもこれなら軽そうだ。カーボンなので重さを実感したくて持ち上げてみていいか訊いて、やってみた。わたしのRBは三十数年前にオヤジが購入したものでフレームはカーボンだが、それより軽い感じがした。このMTBはフレームだけでなくリムもカーボンかもしれない。フルカーボンの自転車は値段がとっても高い。このチャリダーさんに、失礼かとは思ったが値段を聞いたら20万円くらいと答えてくれたが、50万円以上しそうなバイクだ。キャノンデールはこの業界のトップメーカのひとつで価格がとても高いのだ。前輪のフォークが片側のみ、車重を軽くするためのデザインだろう。借りて試乗してみたくなるほど魅力的なバイクだった。写真をブログにアップしてよいか確認したら、快諾してくれた。「え、あの辛口のブログ・ニムオロ塾ですか?」(笑)
 歳を訊いてみたら、わたしよりも二回りよりもちょっと年下、体力は勝負になりそうもないので「追いかけますからお先にどうぞ」と後ろからついていくことにした。(笑)
 ここから根室高校前まで4㎞ほどは平均時速25㎞前後で走れた。少し向かい風だったので、軽いギアに切り換えたら、案外スピードが乗る。一人で走るよりも楽しい。
 知っているチャリダーが一人増えた。そうはいっても、十数年走って二人目。チャリダーは少ない少ないとっても少ない。根室は大人も子供も屋外で身体を使った遊びをする人がうんとすくない。もっと外に出よう!こんなにいいサイクリングコースがあるのだから、もったいないよ。

⑥キャノンディールの29インチMTB
SSCN2788.JPG
 LEFTY(フロント片持ちの一本サスペンションのシステム)がこの自転車の特徴。タイヤの幅は5.5㎝ほどではないか、それでも軽かった。わたしのMTBは15㎏ほどもあるが、これは8㎏前後だろう。片手で軽くもちあがった。
.
 今日の走行距離23㎞、最大速度53.2km/h、平均速度22.1km/h、
 累計走行距離4988km

*キャノンデール
https://www.cannondale.com/ja-JP/Japan
 キャノンデールMTB6選
https://kurashi-no.jp/I0025233



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#4005 タンポポ畑と野生の鹿:くつろぎのひと時 May 25, 2019 [87.根室の話題]

 正午にニュースが始まった。トランプ米国大統領が夕方には到着するというので東京はずいぶん騒がしくなっている。
 12時の気温は18.7度、南風5.7m/s、湿度52%、極東の町も暖かい。
 家の前には中学校のテニスコートがある。道路とコートの間にある緑地帯はタンポポ畑になっている。そこへ鹿が3頭、のんびりくつろいでいる。

 「ある日のことでございます。お釈迦様は極東の町にあるテニスコートの縁を、独りでぶらぶらお歩きになっていらっしゃいました。テニスコートの周りの歩道脇に咲いているタンポポの花は、みんな玉のように、真ッ黄っ黄で、その周りには鹿がくつろいでおります。ああ、一頭が桜の葉っぱを食べ始めました、極東の町はちょうどお昼飯時なのでございましょう。」

①まるでタンポポ畑
SSCN2778.JPG

②くつろぐ鹿
 目が大きい!わざとらしくて鹿の剥製を置いているみたいだ。
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③桜の葉を食べる鹿、動物園みたい(笑)
 この桜の木は10日前(5/15)は満開でした。
SSCN2779.JPG




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#4004 for example の位置と文意について:センスのよい生徒の質問 May 25, 2019 [52-2 生徒の質問]

 昨日の英語の授業で、高3の教科書を読んでいる生徒から面白い質問があったので段落を丸ごと紹介する。

 There are several reasons for the problems. One is pollution.  Human, animal, and industrial waste flows into rivers and makes water unfit for use.  Another is climate change.  Global warming, for example, is thought to have bad influences on water sources and precipitation.
 『VividⅢ』p.115

   生徒の質問は太字の for example の位置がどうしてここなのか、普通は文頭にくるのではというもの。どうやら文頭に来ても意味が変わらぬという前提で質問しているようだ。次のページに for example が文頭に来ている文が載っている、中学校の教科書でも文の途中でこの句がでてきたことはない。見たことのない位置だから、違和感が生じたところは、アンテナの性能をほめるべき。

 A lot fo water is necessary to grow food.  It is reported that about 70% of the fresh water is used to agriculture.  For example, it takes about 1000 tons of water to produce 1 ton of grain.
  p.116

 新鮮な水(きれいな淡水)の70%が農業に使われており、たとえば、穀物1トン生産するのに必要な水が1000トンかかるだなんて知ってた?興味のあるテーマなら英文を読むのが愉しいでしょう。

 さて、副詞句なら、文末から文頭へ移動したら強調だと思えばいいのだが、例示を示す「for example」の場合はどうだろうか。どう理解したのか、まず anotherを含んだ文から訳出してもらった。
 「他のものは気候変動である」
 「いいね、anotherは何を受けてるの?」
 「several reasons for the problemsです
 「読めてるね、ではこういうことになるね」
 Another (reasons for the problem) is climate change.
 だから「困った問題のもう一つの原因は気候変動である」と訳したほうがいい。
 「いよいよ本題だ、文頭にもってきた場合と文の途中に入れた場合で文意が違ってくるのだが、気がついた?」
 「同じだと思います」
 「英文を読むということは、書き手が頭の中にどういうイメージを創り出しそれを伝えるために語彙を選び、語句の配置に配慮して文章にしているから、書き手が頭の中に描いたイメージを再現することなんだ。それを適切な日本語語彙を選んで、滑らかな日本語にするというのが訳出するという作業、このことはいままで何度も説明して来たね、わかっていることと、実際にやることには距離がある、この文は少しむずかしいようだ。解説したほうがいいね。」

 論理的に読めていない部分があったということ。日本語の文章でも同じことだから、この生徒は日本語の文でも同じようなレベルの本を読んだ時に、ロジカルな部分で読み間違いが生ずるはず。英文を読むことで、足りなかった部分が補えたらいい。
 文章読解力は適切なトレーニングによって磨かれるものだから、中高の国語の先生が授業でこういう読解トレーニングをしてほしい。

 文頭にあった場合は、「気候変動」の一つとして「地球温暖化」があるということ。気候変動には寒冷化もあるし、極端な場合は氷河期なんてものもある。「寒冷⇒温暖化」「温暖⇒寒冷化」への変わり目のときもある。そういう気候変動の中から、具体例として「地球温暖化」をピックアップしたことになる。
 文中にある場合は、地球温暖化はさまざまな悪影響があるが、その中から「水源と降水量への悪影響」を具体的にとりあげたということ。他にも海表面の上昇による陸地面積の減少やアラスカの永久凍土が溶け出すことで、住宅が地面に沈み込んで被害を大きくしていることや、シベリアの森林地帯の永久凍土が溶け出し、陥没して水たまりができたと思ったら、数年後には大きな沼地と化していること、ヨーロッパアルプスの山々のスキー場が、高度の低い地域に降雪量が減少して、スキー場の廃業が相次いでいること、氷河のラインがどんどん山頂へ向かって後退していることなどが、書き手の頭の中に浮かんでいると解釈すべきだろう。

 つまり、 for example の位置が違えば、書き手が伝えようとしているもの、文意が違ってくるということ。

 それぞれの要素を集合パターンで示せばもっとわかりがよくなる。
●困った問題={one=水質汚染、another=気候変動、…}
       ...他にもあるから、anotherなのです。それら全部をまとめて言うなら、 the others を使います。
●気候変動={地球温暖化、寒冷化、通常の周期的なもの…}
●地球温暖化={水源や降水量への悪影響、海表面の水位上昇、グリーンランドの陸氷の溶解、南極大陸の棚氷の流出、北極でうまれる冷たい深海水の流れの減速による海洋生態系への影響、…}

     
 問題は、書き手が何を伝えたかったかである。そこをきちんと理解してから、自分の判断を加えるべきで、自分の意見を交えて文意を理解してはならない、この場合のように誤読の罠に落ちることがある。

 この生徒の英語の学力は学年トップクラス、なかなかいい質問だった、アンテナの感度のよさを大いにほめるべきだね。お陰で授業が楽しい。ありがとう。(笑)


<余談:読解力の育成>
 この生徒は、日本語音読トレーニング授業を6年間続けて15冊読破している。最近はもう手を離れて、難易度の高い日本語テクストを独力で読めるようになった。それでも、この英文が読み切れなかったということは、わたしの日本語音読指導には工夫の余地があるということだ。読む技を伝授しているつもりでも、そうはなっていなかったことを思い知る、良質の日本語テクストを選んで読解スキルを磨くというのはなかなかむずかしいものだ。生徒に文学作品への興味がない場合はなおさらだ。
 中3の生徒が卒業してからもう2か月日本語音読指導をやっていない。一人しか希望がいないので、複数の希望者があればと思っている。月に2回、第1と第3水曜日、7時半から1時間半の授業。(これはボランティアであるから、授業料なタダ、弊塾に通う生徒でなくても希望があれば面接して認めることがある。希望者は電話してくれたら会いますよ。毎回ちゃんと出席することが条件です。)

 日本語テクストを精確に読む技がなければ、英文も読めるわけはないのである。
 大学入試英語がどんなに変わっても、難関大学の英語入試問題は、読解力の高さがモノを言うことになる。どの学問分野も、先端の論文や著作は英語で書かれたものが圧倒的に多いから、研究者であろうと仕事人であろうと先端分野にかかわる者は英語の文献を読まざるを得ない。

 この生徒が高校3年の教科書をあと1か月余で読み終われば、ハラリの『Sapiens』の原著を読む予定にしている。500頁弱あるから、高3の教科書20年分ほどの分量だ。百ページ精読したらあとは速度アップトレーニングとなる。1年半あるから、いや1年半しかないから、受験前に全部読み終われるかな。(笑)

 人生には思いがけない山が突然に現れ、そこを登り切らないことには前に進めぬことがある。成長するということはいつまでも子どもではいられぬということ。誰もが通る道。なぞなぞだね。

  

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#4003 領土を取り返すことは侵略戦争か?May 23, 2019 [21-1領土返還地元の異見]

 NHKラジオ第一放送で朝7時半頃から、ニュース解説をしている。その道の専門家が登場するのだが今朝はNHKのキャスターである大越健介キャスターが国会議員丸山穂高氏の発言をとりあげて俎上(そじょう)にのせてあざやかに捌いて見せてくれた。
*大越健介キャスター
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%B6%8A%E5%81%A5%E4%BB%8B

 丸山穂高議員の問題発言を再掲する。
戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですかとビザなし訪問で、団長の引揚者に繰り返し質問したと騒がれている

 NHKの大越さんはその後の丸谷発言(言論の自由を守るために辞職しない)を、これは問題のすり替えだとなじった。辞職するしないは丸山議員自身の問題ではなくて、衆議院の問題だと。議員本人の問題であることは当たり前だと思うのだが、たしかに衆議院の問題という面もあるだろう。この辺りまでは許容できるが、そこから先を受け入れられる人はどれほどいるのだろう。大越キャスターは、丸山穂高議員の発言は侵略戦争で北方領土を回復するというもので、国会議員としてあるまじき発言、憲法で侵略戦争は禁じられていると述べた。


 本当にそうだろうか?日本政府の公式見解は北方領土は日本固有の領土である。そこを原状回復するために外交交渉を74年間継続してもらちが明かない、その現実を前にして領土回復の手段として戦争という選択肢がありうることを述べる、あるいは問うのはいけないことなのだろうか?
 そもそも自国領土を守ることが侵略戦争なら、日本の領土も領海も近隣諸国によって少しずつ削り取られていくだろう。領土領海を守ることすら侵略戦争と定義して一切あらがわないような愚かな国家なら、近隣諸国は武力で日本の領土と領海を侵食し、少しずつ実効支配の範囲を広げていけばいいと思うだろう。まさしくそういう状態になっているのではないのか?

 ロシアと北方領土に関して戦争が起きたらそれは侵略戦争なのだろうか?そうではないだろう、ほとんどの国民はそうは思わぬ、自国の領土防衛のための戦争は侵略戦争にあらずというのがものの道理で、その点では憲法学者に異論を唱える者はいないと思う。

 しかし、戦争で獲り返せとebisuが言っていると受け取ってもらっては困る。様々な選択肢の一つとして領土領海保全のための戦争がありうることを主張するのは構わないと言っているのみ。ebisuは実際に戦争するのではなくて、多核弾道ミサイル(MIRV)開発・解体によるデモンストレーションという具体的な戦略を提案している。弊ブログ#195をご覧いただきたい。

 わたしは、NHKにこのようなポピュリズムに乗っかったニュース解説をしてほしくない。先の大戦中にそういうことをさんざんやって来たではないか。大政翼賛とポピュリズムがNHKに蔓延したときには手遅れなのである。魔女狩り裁判を煽るようなニュース解説を公共放送のNHKだけはしてほしくない。そのために受信料を支払っている

 日本固有の領土だったはずの竹島は韓国の実効支配下にあり、海上保安庁も海上自衛隊も航空自衛隊も陸上自衛隊も一切手出しができない状態になっている。竹島は事実上韓国領である。
 尖閣列島は中国が1970年代から領有権を主張しだしているが、中国漁船が大挙して押しかけて尖閣列島を占拠したら、日本政府はどうするのか?北方領土や竹島と同じように相手のしたい放題にさせ、自国の領土を守ることすら侵略戦争といって領土保全を放棄するのだろうか?羹(あつもの)に懲りてなますを吹くようなことになっている。
 日本と対照的な領土政策をやってみせてくれたのは英国である。アルゼンチンとのフォークランド紛争で、当時の英国首相サッチャーは敢然と軍艦派遣を決断し、ミサイル発射を許可した。武力を行使することで領土に関しては大英帝国は一歩も引かぬという決意を全世界に向かって表明した。あれ以来、アルゼンチンはフォークランド諸島に手が出せない。

 丸山穂高議員の発言はこのように領土・領海防衛に関する深刻な問題提起を含んでいる。そういう問題に目をつむり、丸山議員を魔女裁判にかけることで留飲を下げていいのだろうか?

 こういうときは、林子平の『海国兵談』でも読んで、江戸期の人が領土領海防衛についてどのように考えていたのか知ることで、ポピュリズムに流されないようにしたい。

<余談:三国通覧輿地路程全図
 林子平が1785年に作成した「三国通覧輿(ヨ)地路程全図」は上を東にした、一風変わった日本地図である。下側がユーラシア大陸の東端になっており、ロシアや中国からみたら、日本列島がどのようにみえるか、視覚に訴える力をもっている。ロシアと中国が太平洋へと出るには、日本列島はじつに邪魔な存在なのだ。出口を日本列島が覆って、通路を塞いでいる。
 ニムオロ塾にはこの「三国通覧輿地路程全図」の複製版が壁に貼ってある。伊能忠敬の日本全図とはかなり精度に違いがあって、とくに北海道の形がいびつになっている。
 これは地元の印刷会社根室印刷が2011年のカレンダーの図柄として制作したもので、考古学者でもある根室印刷会長の北構保男先生からいただいた。先生所蔵の地図を複製したもので卓越した印刷技術できれいに仕上げられている。

SSCN2760.JPG

*https://ja.wikipedia.org/wiki/海国兵談

#195 すこし過激な北方領土返還論:MIRV開発・組み立て・配備・解体ショー

#1892 映画「マーガレット・サッチャー」と北方領土 Apr. 6, 2012

#2053 マーガレット・サッチャーと領土問題(2) : 北方領土・竹島・尖閣列島 Aug. 14, 2012

*#2054 マーガレット・サッチャーと領土問題(3) : Aug.16, 2012





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#4002 地元根室島民2世二人の異見(2):丸山穂高議員発言 May 22, 2019 [21-1領土返還地元の異見]

 北方領土返還運動に関しては元島民や2世の意見が一致しているわけではない。思いは様々、人や立場によって異なっている。もちろんロシアとの外交交渉のやり方に関しても人によって意見が異なるのは当たり前だが、マスコミがセンセーショナルにとりあげるときには、今回のように非難一色でそれしかないような報道となりがちである。
  FBのお友達のSさんとはよく議論するが、たまたま昨日、彼がある本から引用した文が領土返還外交にもあてはまるので紹介する。
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多様性と対立が存在する状況において、交渉と契約により連携・協力を実現していくということを考えると、すでに述べた「ウソをつくこと」「約束を破ること」がいかに大きな問題をもたらすかということがよく分かる。また、交渉においては、最初の時点で双方の希望を率直に述べあっておかないとその後の交渉や契約がうまくいかない。このため、「ウソをつかない」というだけではなく、「自分の希望について、最初から率直にホンネを言う」(いわゆる「後出し」をしない)ということが、当然必要になる。「こちらが言わなくても、察してくれてもよさそうなものなのに」などという態度は、多様性と対立がある状況では通用しないのだ。by岡本薫
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 北方領土について、日本は終戦後にロシアが攻めてきて不法に北方領土を奪ったと主張し、ロシアは終戦は1945/9/1であって、8/15にはまだ戦争が終わっていなかったから、戦争によって奪った領土は返す義務がない、ロシアのものだという主張で互いに譲らない。そうこうするうちに戦後74年がたとうとしている。
 外交交渉も交渉事であり、成果をあげようと思ったら、嘘をついてはいけない、本音で語ることを禁ずるのもいけないことは、上記の岡本氏の文を引用するまでもない。

 丸山穂高議員が訪問団長に戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と詰め寄った「事件」をきっかけにして、領土返還がどうあるべきか再考したい。元島民2世2人の異見を弊ブログ#3993投稿欄から転載する。

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  たしか、過去にロシアの首相が「敗戦国のくせに領土を返せという国がある。戦争で取ったものは戦争でしか解決しない。」と言ってたのは有名ですよね。ロシアは戦争の結果、領土を手に入れたとしているんです。だから、日本は、こちらも武力で取り戻そうかな、という姿勢を見せないと、いつまでたっても、ロシアに遠慮して媚びることになり、大金払っても妥協する結末になりかねません。アメリカが沖縄を返還したのとは全く意味が違うのに、それをわかっていない人が多い気がします。
棺桶に足半分突っ込んだような元島民が、生きてるうちに島に帰りたい。早くロシアに返してもらいたい。などと嘆けば、正義感ある議員なら何とかしてあげたいと思うのは当たり前。
 (この先いったいどうすれば返還されるのか?)と誰もが思うことで、「戦争しないとどうしようもなくないですか?」と聞きたくなるのは議員だけじゃないはず。そういった実情を知らずに非難ばかりしてマスコミは議員の失態やアラを拾うのに躍起で、肝心要のことは伏せたまま。

 本来問題視すべきは、ビザなし交流の実態と日本の弱腰外交です。維新の会が、島を奪い取ったロシアに詫びに行くなどという全くお門違いなことをしてくれたおかげで、ますますロシアが強気になるでしょう。これこそ、国益損失につながる行為ですよね。 
 日本は戦争しないといっても、他の国が攻めてきたら防衛戦争になります。仮にロシアが北海道を自分の国にしたくて攻め入ってきたら、どうするんでしょう。この平和ボケの国が。(~_~;)
by サリー (2019-05-20 18:45)
===============================
サリーさん

 おはようございます。
 領土に関するロシア外交は、戦争で獲ったものは戦勝国の当然の権利だということ。いまもそうしていることはウクライナの領土であったクリミア半島で実証されてます。
> 本来問題視すべきは、ビザなし交流の実態と日本の弱腰外交です。

 それを何とも思わない人たちが根室にもいます。ビザなし交流、墓参、自由訪問とさまざまな名前を付けて、外務省マターの事業をしてきましたが、効果なし。
 それでも今のままがいいと思う人たちがいます。あまりにも能天気、ロシア側から見たら阿呆そのもの。

 訪問先では北方領土返還の話題はタブー。そして毎年恒例の訪問団受け入れの見返りに日本各地へ団体旅行のご招待があるのですから、日本人が何を考えているのかさっぱりわからないでしょうね。

 正直に本音を言うことから外交交渉が始まると仮定したら、利権の塊のような現実は、嘘と偽りの北方領土返還外交にみえます。
by ebisu (2019-05-21 11:01) 
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 誰のため、なんのために丸抱えで「ビザなし訪問」、「墓参」、「自由訪問」、「日本国内観光旅行」事業をしているのか?
 初めて訪問団に加わる国会議員の中には、その実態に戸惑い、憤るものが現れて当然ではないのか?

 墓参、ビザなし訪問、自由訪問と名前を変えて「訪問団」を派遣しているが、その人選をしている大本は予算を管轄している外務省である。鈴木宗男氏が20回以上北方領土に渡航したと自ら語ったように、特定の人たちに偏っている。国費を使って毎回一人30-100万円をかけているのだから、特定の人が20回以上も行くというのはいかがなものか。30万円としたら600万円、100万円としたら2000万円である。外から見ていると利権に見えるし、国費の支出の在り方としても健全ではない。こういうことをかつてマスコミが取り上げたことは一度もない。


#195 すこし過激な北方領土返還論:MIRV開発・組み立て・配備・解体ショー

#1892 映画「マーガレット・サッチャー」と北方領土 Apr. 6, 2012

#2053 マーガレット・サッチャーと領土問題(2) : 北方領土・竹島・尖閣列島 Aug. 14, 2012

*#2054 マーガレット・サッチャーと領土問題(3) : Aug.16, 2012

*#3871 根室市長「いかなる結果でも全面的に支持する」
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-12-02-1


 #3882 羅臼町長の北方領土に対する明快な意見 Dec. 15, 2018 
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-12-15


 #3929 VENONA文書と北方領土:四島一括返還の戦略 Feb. 13, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-02-12-1

 #3993 丸山穂高議員:「戦争で島を取り返す」発言 May 15, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-05-15

 
#3997 ビザなし訪問随行経験者の異見:丸山穂高議員発言

https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18-1

 #3998 地元根室島民2世の異見:丸山穂高議員発言 May 18, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-05-18



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#4001 「正負の計算」ドリルの珍妙な計算方式 May 21, 2019 [52. 数学]

  昨日、中1の生徒が「正負の計算」のプリントをやっていた。見たら計算が違う。根室市で作成・配布したプリント問題だった。
 
      -2      
    3   -5    
  5   -2   -3  


 ブロックが互い違いに積み重なっており、生徒は最下段の2項の上部にあるブロックに直下の段の数値を加算して記入していた。「5-2=3」で3を2段目に記入、次に「-2-3=-5」を2段目に記入。次いで2段目の「3-5=-2」を3段目に記入していた。つまり、「5-2-3=」という問題の計算の仕組みをブロックを積み重ねることで表現したかったのだろう。生徒はそのように理解して記入していた。このような計算(2項、3項、4項の加算)のブロック図が並んでいた。正負の数の基礎的計算規則に習熟する大事なところである。
 2項の加算の加算の場合は問題が生じないが、3項の計算の場合はこの例のように2回計算される項が生じるから、正しい計算結果にならない。このプリントを作成した人は、どういう意図をブロック図に込めたのだろう。
 生徒にはこのプリントの計算方式は正しくないのでやらなくていいと伝えた。学校の先生からなぜやらないのか問われたら、わたしが言ったままを伝えるように頼んだ。

 根室市教委は『カルク』という計算問題集を6年前に根室市内の全中学校へ配布したが、校正がなされていなかったのか、解答ミスがたくさんあり、釧路の教育を考える会のメンバーが根室市教委へ指摘して、解答の作成しなおしをしたことがある。学力テストの結果から、根室の中学生の基礎計算力が著しく弱いということが分かっていたので、基礎計算問題集という発想はよかったが、仕事は杜撰だった。
 生徒に確認したら修正版がいまも配布されているが、市街化地域の3中学校で授業や宿題に使っている学校はないようだ。大きなチョンボをやると現場の先生たちの信頼がなくなるということだろう。
 今回とりあげたプリントがどのような手順でつくられたのかまったく分からないが、チェックがなされていないずさんな仕事になった。6年前と同じことが繰り返されている。
 数学担当の先生がこのようなプリントを作成するわけはないと思うが、もし依頼したのならこんな不慣れな作業で現場の先生たちに負荷を掛けてはいけない、低学力の生徒のための放課後補習の時間が奪われる。どうしてもやるなら根室市教委がチェックの手を抜かないことだ。自分たちでそういう仕事ができないことを前回知ったはずと思っていたが、そうではなかったらしい。
 このプリントだけはどう考えても数学の先生がつくったものとは思えぬ。誰が指示して誰に作らせ、誰がチェックしたのか、検証作業をして、今後はこのようなことのないように具体的な対策をとってもらいたい。

 市販教材を買えばいいだけで、このような杜撰な問題プリントの作成配布は根室の中学生を混乱させ、意図に反して学力低下に寄与してしまう。
 四月に実施された中3学力テストの数学の平均点B中学校が15.2点C中学校は16.2点である。60点満点のテストで平均点が30%に届いていない、昨年よりもさらに数学の学力低下が進んでいる。釧路市内の14校の昨年の学力テストのデータをモニターしていたがこんなに低い平均点の学校はない
 地域経済の20年後、30年後は現在の小中高生が支えることになることを考えたら、このような学力低下は断じて許容できないはず。根室の地元経営者たちは危機感をもって教育問題を語れ
 根室市議会文教厚生委員会メンバーは市教委が作成配布しているものをチェックすべきだろう。根室市教委任せにしていたら、学力低下に拍車がかかる。足元がお留守になっているのではないか。

*
 #2262 計算問題集『カルク』配布(1)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-14

 #2265 『カルク』はすぐれもの(2) : "a good job"
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16


 #2266 『カルク』改善への視点(3) 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-17


 #2276 時代錯誤の主張 北海道新聞社説「序列化の懸念拭えない」  Apr. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-28

 #2306 B中学校のみ『カルク』が配布されていないのはなぜ? May 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-23

  #2315 B中学校が基礎計算問題集『カルク』を配布 May 31, 2013
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-31-1





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