#3944 春が来た:大学卒業の挨拶と就活事情そして台湾からのツアー客 Mar. 5, 2019 [87.根室の話題]
道立高校入試が始まっている。1時間目が終わったところか。
昨日、F田君が来た。大学を卒業して四月から会社勤めをするのだという。にこにこ、高校生の頃の笑顔がそのまま。春休みで帰省したのかと思って、今度4年かと訊くと、
「卒業しました」、
「え、あれからもう4年もたったの!」
いつ頃就職が決まったのか訊くと、昨年7月だという。周りもだいたい7月頃に決まっていたとのこと、就職状況はすっかり売り手市場になっている。北星学園大学の経済学部へ進学したのだが、12月ころに志望校を決めたので、そのあと2か月間がたいへんだった。数学の問題集を2冊やった。毎日塾へ来て勉強していた、そして時間がどんどん迫ってくるので、あせって別人のように目が吊り上がっていたのも懐かしい。
一人暮らしを始めて、最初にご飯をたいたら大失敗、でもなんとか四年間を過ごして一人暮らしに自信がついた様子。就職先は道内では大手の会社の運輸部門の子会社だから、経営は安定している。
どうしてそういう視点(経営の安定している企業)で就職先を決めたのか、尋ねてみた。大学のゼミがブラック企業をテーマに取り上げていたのだそうだ。北海道ではおなじみの大手の会社の運輸部門子会社なら、ブラックではないとの判断。会社組織や諸制度(諸規程)は大部分が親会社のそれをコピーするから、なるほどと思った。
わたしは大学院を終えて数か月ぶらぶらしてから新聞募集をみて2社に応募した。その際の選択基準は前職とは違う業種、そしてスリリングな企業だった。赤字と黒字を繰り返す産業用エレクトロニクスの輸入商社を選んだ。最先端のさまざまな電子機器が技術部に無造作に置かれていたのも魅力だった。入社直後から社長直属のプロジェクト5つを任され、仕事のしかたを根こそぎ変えて、その会社を3年で優良会社(高収益、財務安定性の高い会社)に変えた。そして2年後に辞職し、転職した。F田君の話を聞いて時代が変わったと実感した。
昨日、F田君が来た。大学を卒業して四月から会社勤めをするのだという。にこにこ、高校生の頃の笑顔がそのまま。春休みで帰省したのかと思って、今度4年かと訊くと、
「卒業しました」、
「え、あれからもう4年もたったの!」
いつ頃就職が決まったのか訊くと、昨年7月だという。周りもだいたい7月頃に決まっていたとのこと、就職状況はすっかり売り手市場になっている。北星学園大学の経済学部へ進学したのだが、12月ころに志望校を決めたので、そのあと2か月間がたいへんだった。数学の問題集を2冊やった。毎日塾へ来て勉強していた、そして時間がどんどん迫ってくるので、あせって別人のように目が吊り上がっていたのも懐かしい。
一人暮らしを始めて、最初にご飯をたいたら大失敗、でもなんとか四年間を過ごして一人暮らしに自信がついた様子。就職先は道内では大手の会社の運輸部門の子会社だから、経営は安定している。
どうしてそういう視点(経営の安定している企業)で就職先を決めたのか、尋ねてみた。大学のゼミがブラック企業をテーマに取り上げていたのだそうだ。北海道ではおなじみの大手の会社の運輸部門子会社なら、ブラックではないとの判断。会社組織や諸制度(諸規程)は大部分が親会社のそれをコピーするから、なるほどと思った。
わたしは大学院を終えて数か月ぶらぶらしてから新聞募集をみて2社に応募した。その際の選択基準は前職とは違う業種、そしてスリリングな企業だった。赤字と黒字を繰り返す産業用エレクトロニクスの輸入商社を選んだ。最先端のさまざまな電子機器が技術部に無造作に置かれていたのも魅力だった。入社直後から社長直属のプロジェクト5つを任され、仕事のしかたを根こそぎ変えて、その会社を3年で優良会社(高収益、財務安定性の高い会社)に変えた。そして2年後に辞職し、転職した。F田君の話を聞いて時代が変わったと実感した。
最初の3か月間、手を抜かずに全力で仕事に励めと激励。3か月やれたやつは、その後の3年間をそのスタイルで押し通し、10年たったら仕事で大きな差がつくもの。
時々は様子をメールで知らせるように言って別れた。笑顔で「がんばります!」、うれしい1時間だった。
どうやら春が来た。
<余談:東根室ツアー客>
観光バスが道路向かい側で止まった。ツアー客がなかなか降りてこない。しばらくすると降り始めた。みなさんサングラスをかけている。家の前で写真を撮ったりしているので、出て話しかけてみた。全員台湾からのツアー客だった。日本語がわからないようなので英語に切り換えたら話が通じた。10時20分ころ着いたが、列車が来るのは11時3分。30分以上ある、東根室駅はトイレがないので、寒い時はきびしい。10時の気温はマイナス1.2度。
若い人で日本語の話せる人がいて、その人と日本語と英語で話し始めた。ずいぶん若く見えるが、さらに若い女性と一緒だから夫婦のようだった。日本語が上手ですねと褒めると、高校2年生の時に留学していたという。もうずいぶん昔で、自分は41歳だという。30歳くらいにしか見えない。横にいる人はずいぶん若くて細身で小柄な人だった。ひょっとして奥さんかもしれないと思い、訊いたらそうだという。20代前半かと思ったら、5歳の子どもがいるときいてびっくり。35歳だという。笑っていた。台湾の人は実年齢よりずっと若く見える。コンビニはないかと訊くので、突き当りにあると教えてあげた。セイコーマートがある。他の人へは彼が説明してくれるだろう。トイレに行きたい人もいる。40人くらいいた。
東根室駅は日本最東端の駅だから、観光スポットになっており、訪れるツアー客も多い。北海道JRは大赤字だ、根室市の負担で東根室駅にトイレの設置ぐらいしてもいいいのではないか?汽車通学の高校生もいる。
トイレはきれいでなければいけないランニングコスト(清掃費)がかかる。JR花咲線自体が廃止になるから、無駄な投資か?花咲線の宣伝に使っている市の予算も同じことがいえる。
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時々は様子をメールで知らせるように言って別れた。笑顔で「がんばります!」、うれしい1時間だった。
どうやら春が来た。
<余談:東根室ツアー客>
観光バスが道路向かい側で止まった。ツアー客がなかなか降りてこない。しばらくすると降り始めた。みなさんサングラスをかけている。家の前で写真を撮ったりしているので、出て話しかけてみた。全員台湾からのツアー客だった。日本語がわからないようなので英語に切り換えたら話が通じた。10時20分ころ着いたが、列車が来るのは11時3分。30分以上ある、東根室駅はトイレがないので、寒い時はきびしい。10時の気温はマイナス1.2度。
若い人で日本語の話せる人がいて、その人と日本語と英語で話し始めた。ずいぶん若く見えるが、さらに若い女性と一緒だから夫婦のようだった。日本語が上手ですねと褒めると、高校2年生の時に留学していたという。もうずいぶん昔で、自分は41歳だという。30歳くらいにしか見えない。横にいる人はずいぶん若くて細身で小柄な人だった。ひょっとして奥さんかもしれないと思い、訊いたらそうだという。20代前半かと思ったら、5歳の子どもがいるときいてびっくり。35歳だという。笑っていた。台湾の人は実年齢よりずっと若く見える。コンビニはないかと訊くので、突き当りにあると教えてあげた。セイコーマートがある。他の人へは彼が説明してくれるだろう。トイレに行きたい人もいる。40人くらいいた。
東根室駅は日本最東端の駅だから、観光スポットになっており、訪れるツアー客も多い。北海道JRは大赤字だ、根室市の負担で東根室駅にトイレの設置ぐらいしてもいいいのではないか?汽車通学の高校生もいる。
トイレはきれいでなければいけないランニングコスト(清掃費)がかかる。JR花咲線自体が廃止になるから、無駄な投資か?花咲線の宣伝に使っている市の予算も同じことがいえる。
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#3943 咳がでる、呼吸が苦しい、で診察 Mar. 4, 2019 [36. 健康]
3週間ほど咳が止まらないので主治医のO先生に診察をお願いした。20代前半のころにやはり風邪をこじらせて診察を受けたことがある。大気汚染による公害病に認定できるとその時の医師が説明してくれた。
2000年にある病院の常務理事をしていたが、そのときに風邪をこじらせたら副院長が診察してくれた。大判のフィルムで肺のレントゲンを撮ると全体に白く写っていた。肺の線維化が進んでいるという診断。
そういう背景があったので、一度肺のレントゲン写真を撮ってどの程度線維化が進行しているか確認したかった。
症状は鼻水と咳、とくに入浴後とか、就寝直後に身体が温まってきたときに、激しい咳が出て息苦しい。
身長と体重を計測したら、身長が172㎝、また1cm縮んだ。元々は174.5㎝だがスキルス胃癌で入院した40日間で1.5㎝低くなり、その後13年間でさらに1㎝低くなった。脊椎が圧迫骨折を起こさぬようにあまり重いものをもたないほうがよさそうだ。大きなスコップを購入して、載せる雪の量が1.5倍くらいになっているので、満載して持ち上げて運ぶのは危険だ。ほどほどにしよう。
呼吸機能検査をしたら、肺活量は3500㏄ほどあった。思いっきり吐く検査では3.7という数値がでていた。呼吸機能には問題なしだ。
肺のレントゲンをみたら、じつにきれいだった。2000年のときは白くなっていたが、今回のフィルムはしっかり黒く抜けていた。だから、肺機能には不安がなくなった。
人差し指の先で酸素飽和度を測ると、93くらいから数値がどんどん上がって97くらいで止まった。あの機械はパルオキシメータといったかな。
何かのアレルギー症状で咳がひどくなるのかもしれない。喘息用の薬の処方箋を出してくれた。
藤薬局によって「レルベア200エリプタ」を受け取ってきた。気管支を拡張する薬だそうだ。製薬会社はグラクソ・スミスクラインである。1984年に臨床検査会社SRLへ転職した当時は、世界No.1の臨床検査ラボはスミスクラインだった、当時SRLは世界第2位の規模の臨床検査ラボ。
薬剤師さんはわたしと同期、同じ学年だそうだ。高校は札幌と言っていた。愛想のよい人だ、笑顔の対応は具合いの悪い病人にはありがたい。
3か月に一度の定期検診も兼ねているので、いつもよりも検査項目を増やし、鉄剤とビタミンB12の静注もしてもらった。主治医がいると安心できる、ありがたい。
まだ数年はがんばれそうだ。(笑)
<余談:使用後> 午後11時50分追記
「レルベア200エリプタ」、効くね。一息吸っただけで気管支のガサガサ感がすっと消えました。まるで魔法!
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2000年にある病院の常務理事をしていたが、そのときに風邪をこじらせたら副院長が診察してくれた。大判のフィルムで肺のレントゲンを撮ると全体に白く写っていた。肺の線維化が進んでいるという診断。
そういう背景があったので、一度肺のレントゲン写真を撮ってどの程度線維化が進行しているか確認したかった。
症状は鼻水と咳、とくに入浴後とか、就寝直後に身体が温まってきたときに、激しい咳が出て息苦しい。
身長と体重を計測したら、身長が172㎝、また1cm縮んだ。元々は174.5㎝だがスキルス胃癌で入院した40日間で1.5㎝低くなり、その後13年間でさらに1㎝低くなった。脊椎が圧迫骨折を起こさぬようにあまり重いものをもたないほうがよさそうだ。大きなスコップを購入して、載せる雪の量が1.5倍くらいになっているので、満載して持ち上げて運ぶのは危険だ。ほどほどにしよう。
呼吸機能検査をしたら、肺活量は3500㏄ほどあった。思いっきり吐く検査では3.7という数値がでていた。呼吸機能には問題なしだ。
肺のレントゲンをみたら、じつにきれいだった。2000年のときは白くなっていたが、今回のフィルムはしっかり黒く抜けていた。だから、肺機能には不安がなくなった。
人差し指の先で酸素飽和度を測ると、93くらいから数値がどんどん上がって97くらいで止まった。あの機械はパルオキシメータといったかな。
何かのアレルギー症状で咳がひどくなるのかもしれない。喘息用の薬の処方箋を出してくれた。
藤薬局によって「レルベア200エリプタ」を受け取ってきた。気管支を拡張する薬だそうだ。製薬会社はグラクソ・スミスクラインである。1984年に臨床検査会社SRLへ転職した当時は、世界No.1の臨床検査ラボはスミスクラインだった、当時SRLは世界第2位の規模の臨床検査ラボ。
薬剤師さんはわたしと同期、同じ学年だそうだ。高校は札幌と言っていた。愛想のよい人だ、笑顔の対応は具合いの悪い病人にはありがたい。
3か月に一度の定期検診も兼ねているので、いつもよりも検査項目を増やし、鉄剤とビタミンB12の静注もしてもらった。主治医がいると安心できる、ありがたい。
まだ数年はがんばれそうだ。(笑)
<余談:使用後> 午後11時50分追記
「レルベア200エリプタ」、効くね。一息吸っただけで気管支のガサガサ感がすっと消えました。まるで魔法!
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#3942 話し合い(2):背景事情 Mar. 2, 2019 [71.データに基づく教育論議]
卒業式の朝、式の直前になぜ「話し合いの場」が設定されたのか、事情を推察してみる。
高校統合の失敗による学力崩壊の進行を食い止めるために、1年担任全員の協議によって宿題を課すことを決定したのではないか。普通科3クラスと商業科、事務情報科、合わせて5クラスの先生たちが相談して決めたことだから、普通科「特設コース」クラスの担任だけでは例外扱いできなかった。そういう理由で関係する先生全員が揃ったところへ生徒を呼び、話し合うのが一番よいと判断し、特設コースの担任が学年主任へ提案したと想像する。まるで会社組織のような仕事運び、すばらしいね。
生徒を仮にA君と呼んでおこう。A君は大人や先輩に対して敬語を使って話のできる生徒である。小学校低学年の時から大人に混じって会話することに慣れていた。そういうシーンのひとつ、六・七年前のある日「極東のワインバー」サリーで数種類のチーズをつまみにグラスワインを飲んでいたら、両親に連れられて入ってきた。小3だったのではないか、大人たちとのおしゃべりに疲れて10時ころにソファで眠ってしまった。お茶目な小学生だなと思いはしたが、数年後に教えることになるとは思わなかった。
苦手の国語の力をアップするために、音読トレーニングを5年間で15冊(リストは「余談-2」にアップ)やったと思うが、その際に解釈や著者の意見への批判も随時やりとりしていたから、大人と冷静に議論することそして議論の際の「お作法」にすっかり慣れてしまった。
開口一番「卒業式前の忙しい中、お集まりいただきありがとうございます」と感謝の言葉をそえた挨拶からはじめたというから、さもありなん。
計測するすべがないが、数学や英語の偏差値よりもコミュニケーション能力の偏差値のほうが高いだろう。議論を通じて先生たちはこの生徒の本当の力を自分の眼で見て、耳で聞いたことになる。
だから、具体例を交えて話しているうちに納得する先生が一人二人と増えていった。途中から話の風向きが変わってしまい、学力トップクラスの生徒にどう対応するのがいいのか、そういう視点から議論がなされた。何がしたいのかをA君から聞いて、どう協力すればいいのかが模索された。なんと柔軟でたのもしい先生たちではないか。
根室高校で現役で北大医学部へ合格した生徒はいないから、高校側にとっても大きな転換点、正念場である。あとは高校の先生たちの指導と協力次第、すでに英語担当の先生がときどき相談に乗ってくれている。成果は必ず出る、お任せしたい。
小学4年生からうまく育てたら、毎年このレベルの学力を有する生徒は根室で3人くらい出現することになるだろう。そういう生徒たちの学力を高校でさらに伸ばせたら、指導する先生たちにも夢のある楽しい話ではないだろうか?
学力トップ群の生徒を育成するために協力体制ができれば根室の町の未来が大きく変わる。北方領土四島返還戦略、市立根室病院年間17億円の赤字問題、街の未来ビジョンづくり、地域医療問題など、大きな問題が山積みになっているが、高度な問題処理能力とコミュニケーション能力を有する人材が不足していて解決できない状況を打破できる。
いま、根室の町はそして根室高校はだいじなところに差し掛かっている。高校統廃合の大失敗が1年担当の先生たちによってチャンスに変わるかもしれない。失敗を恐れるな、10回失敗しても11回目に勝てばいい。わたしは6人の先生たち、「根高改革六人衆」に期待している。
具体例を一つ挙げておく。根室にいても医学部進学に不安がなくなると、何が変わるのか。市立根室病院は東京の病院の2倍の年収を支払っているから、40歳代の医師が子どもを連れて赴任してくる。15~20年間いてくれるだろうから、市立根室病院の常勤医師不足問題は解消できる。もちろん、病院の赤字も半分に削減できるだろう。常勤医不足で、非常勤の医師によって代替しているからその部分の人件費が3倍かかっている。
こういふうに長期戦略があれば地域医療問題だって解決できるし、北方領土四島一括返還も可能になる。場当たり的なことしかできないからいつまでたっても大きな問題が解決できない。人材を育成すればいろんな問題が解決できるということだ。根室高校の先生たちの役割は大きなものがある。
根室高校ではいまあたらしい伝統づくりがはじまろうとしているのではないか。
わたしは根高学力向上運動の外野席の応援団、もちろん根高は母校である。18歳まで根室で育って、それから35年間東京暮らし、そして故郷に戻ってきて、17年目。根室暮らしと東京暮らしがちょうど35年ずつ、節目の年である。古い何かが終わり、そこからあたらしい何かが始まる、その結び目が「節目」。最近数週間の体調不良も「六人衆」の出現もその現れの一つ。悪いこともよいこともあわせて受け入れたい。
高校統合の失敗による学力崩壊の進行を食い止めるために、1年担任全員の協議によって宿題を課すことを決定したのではないか。普通科3クラスと商業科、事務情報科、合わせて5クラスの先生たちが相談して決めたことだから、普通科「特設コース」クラスの担任だけでは例外扱いできなかった。そういう理由で関係する先生全員が揃ったところへ生徒を呼び、話し合うのが一番よいと判断し、特設コースの担任が学年主任へ提案したと想像する。まるで会社組織のような仕事運び、すばらしいね。
生徒を仮にA君と呼んでおこう。A君は大人や先輩に対して敬語を使って話のできる生徒である。小学校低学年の時から大人に混じって会話することに慣れていた。そういうシーンのひとつ、六・七年前のある日「極東のワインバー」サリーで数種類のチーズをつまみにグラスワインを飲んでいたら、両親に連れられて入ってきた。小3だったのではないか、大人たちとのおしゃべりに疲れて10時ころにソファで眠ってしまった。お茶目な小学生だなと思いはしたが、数年後に教えることになるとは思わなかった。
苦手の国語の力をアップするために、音読トレーニングを5年間で15冊(リストは「余談-2」にアップ)やったと思うが、その際に解釈や著者の意見への批判も随時やりとりしていたから、大人と冷静に議論することそして議論の際の「お作法」にすっかり慣れてしまった。
開口一番「卒業式前の忙しい中、お集まりいただきありがとうございます」と感謝の言葉をそえた挨拶からはじめたというから、さもありなん。
計測するすべがないが、数学や英語の偏差値よりもコミュニケーション能力の偏差値のほうが高いだろう。議論を通じて先生たちはこの生徒の本当の力を自分の眼で見て、耳で聞いたことになる。
だから、具体例を交えて話しているうちに納得する先生が一人二人と増えていった。途中から話の風向きが変わってしまい、学力トップクラスの生徒にどう対応するのがいいのか、そういう視点から議論がなされた。何がしたいのかをA君から聞いて、どう協力すればいいのかが模索された。なんと柔軟でたのもしい先生たちではないか。
根室高校で現役で北大医学部へ合格した生徒はいないから、高校側にとっても大きな転換点、正念場である。あとは高校の先生たちの指導と協力次第、すでに英語担当の先生がときどき相談に乗ってくれている。成果は必ず出る、お任せしたい。
小学4年生からうまく育てたら、毎年このレベルの学力を有する生徒は根室で3人くらい出現することになるだろう。そういう生徒たちの学力を高校でさらに伸ばせたら、指導する先生たちにも夢のある楽しい話ではないだろうか?
学力トップ群の生徒を育成するために協力体制ができれば根室の町の未来が大きく変わる。北方領土四島返還戦略、市立根室病院年間17億円の赤字問題、街の未来ビジョンづくり、地域医療問題など、大きな問題が山積みになっているが、高度な問題処理能力とコミュニケーション能力を有する人材が不足していて解決できない状況を打破できる。
いま、根室の町はそして根室高校はだいじなところに差し掛かっている。高校統廃合の大失敗が1年担当の先生たちによってチャンスに変わるかもしれない。失敗を恐れるな、10回失敗しても11回目に勝てばいい。わたしは6人の先生たち、「根高改革六人衆」に期待している。
具体例を一つ挙げておく。根室にいても医学部進学に不安がなくなると、何が変わるのか。市立根室病院は東京の病院の2倍の年収を支払っているから、40歳代の医師が子どもを連れて赴任してくる。15~20年間いてくれるだろうから、市立根室病院の常勤医師不足問題は解消できる。もちろん、病院の赤字も半分に削減できるだろう。常勤医不足で、非常勤の医師によって代替しているからその部分の人件費が3倍かかっている。
こういふうに長期戦略があれば地域医療問題だって解決できるし、北方領土四島一括返還も可能になる。場当たり的なことしかできないからいつまでたっても大きな問題が解決できない。人材を育成すればいろんな問題が解決できるということだ。根室高校の先生たちの役割は大きなものがある。
根室高校ではいまあたらしい伝統づくりがはじまろうとしているのではないか。
わたしは根高学力向上運動の外野席の応援団、もちろん根高は母校である。18歳まで根室で育って、それから35年間東京暮らし、そして故郷に戻ってきて、17年目。根室暮らしと東京暮らしがちょうど35年ずつ、節目の年である。古い何かが終わり、そこからあたらしい何かが始まる、その結び目が「節目」。最近数週間の体調不良も「六人衆」の出現もその現れの一つ。悪いこともよいこともあわせて受け入れたい。
<余談-1:根室における産学共同のありかた>
もう十数年前になるが、普通科1年生のN君が、日商簿記2級に11月検定で合格した。高校受験を控えて暇そうにしていたから11月から簿記を教えた。根室高校で1年生で日商簿記2級の合格者は過去に例がない。2年生でもいない。日商簿記2級は商業簿記と工業簿記の両方があるので全商簿記1級相当である。N君は公認会計士になって数年仕事してから医者になりたいと言っていた。北大受験だったから、日商簿記1級へのチャレンジをとめた。結局、北海道教育大札幌分校へ進学した。北大以外への進学なら、日商1級を教えるべきだった。N君なら論文問題の解答のしかたをトレーニングすれば、合格できただろう。小樽商科大へ進学したSさんと進研模試で国語のトップを争っていた。作文能力が高くないと論文試験の答案が書けない。その高いハードルが超えられそうな優秀な生徒だった。N君は北海道教育大札幌分校を現役合格し卒業している。
この生徒に2か月遅れて、2月の試験で事務情報科の1年生がK君が日商簿記2級に合格している。K君には高校入学試験当日の夜から簿記を教えた。
「君は普通科のN君とは違って、事務情報科だから簿記は本職だ、追いついて見せろ」
競争心をあおったのである。かれらは同じ中学校の同じクラスだった。K君は6種目1級を取得して卒業していった、この記録は破られていない。事務情報科では工業簿記を選択できないので、独力で勉強するしかない、しかし塾がサポートすれば事務情報科の生徒でも高校1年生で日商簿記2級や全商簿記1級なら合格できる。K君は推薦で北海商科大学へ進学した。就職活動には困らなかっただろう。
根室高校と私塾の産学共同の実例である。根室高校に日商簿記1級合格プロジェクトが生まれたらいい。卒業生に税理士、公認会計士が続出するだろう。帯広南商業に負けぬ、全道一の商業科はやり方次第でつくれる。
根室商業の時代は釧路湖陵よりも格上だったと釧路の教育を考える会の会長から忘年会の席で聞かされた。「まぶしかった」とおっしゃっていた。ebisuよりも一回りくらい年上の釧路の人のご意見です。総番制度と応援団はその時代までさかのぼる。だからどちらも商業科の生徒だけで組織され受け継がれていた。男子校でバンカラな校風、そうした歴史と伝統はとっくに絶えた。総番制度はわたしたち団塊世代が潰した。カテゴリー「90.根高総番制度」をクリックすれば、その経緯がわかる。
作詞に才能のあった歯科医の田塚先生(故人)も考古学者で文学博士の北構先生も根室商業の同期。北構先生には3年ほどお会いしていない。
<余談-2:音読トレーニングリスト>
○『声に出して読みたい日本語』
○『声に出して読みたい日本語②』
○『坊ちゃん』夏目漱石
○『羅生門』芥川龍之介
○『走れメロス』太宰治
○『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
『五重塔』幸田露伴
『山月記』中島敦
●『読書力』斉藤隆
●『国家の品格』藤原正彦
●『すらすら読める風姿花伝・原文対訳』世阿弥著・林望現代語訳
●『日本人の誇り』藤原正彦
『日本人は何を考えてきたのか』斉藤隆
『語彙力こそが教養である』斉藤隆
『福翁自伝』福沢諭吉
『近代日本150年 科学技術総力戦体制の破綻』山本義隆 岩波新書
この生徒には『福翁自伝』の途中まで一緒に読んだ。物理学者、山本義隆の著作は知の職人の仕事そのものだが、独力で読めと指示した。いつまでも教える必要はない。一流の物理学者の思索がどういうものが自力でトレースすることが大切。
(○印は、小学生の音読トレーニング教材として使用していた。●印の本は中学生の音読トレーニング教材として授業で十数年使用した実績がある。音読トレーニング授業はボランティアで実施、ずっと強制だったが3年前から月2回各90分授業に変更し希望者のみに限定している。)
#3842より引用
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-10-20
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高1の生徒から昨日(10/19、2018年)、福沢諭吉『福翁自伝』を読み終わったと報告があった。「次は何をやりますか?」と問うので、山本義隆著『近代日本150年 科学技術力総力戦体制の破綻』をとりあげると通告した。
山本は日本でトップクラスの物理学者である、そして知の巨人でもある。緻密な論証の技は一流の職人そのもの。語彙が豊富で引用文の読解に苦労するところはある、たとえば鉄を意味する用語に充ててある漢字が漢和辞典には載っていない字だったりする。明治に鉄がはいってくるが、従来の鍛冶屋の製鉄とは規模も製法も違うので、その違いを表現する字を創った。明治の人々が外国へ行き、見聞きしたものを紹介するのに、既存の漢字では表現しきれぬものを感じたのだろう。そういうみずみずしい感動も引用文に綴られた見たことのない漢字から伝わってくる。
山本義隆氏の緻密な論証の積み上げを味わってもらいたい。
『福翁自伝』は途中まで一緒に音読し、残り2/3を独力で読ませた。高校1年生でこのレベルが読めたら、明治期のものの半数くらいは読めるだろう、もちろん『学問のススメ』も、よって十分に目的は達成した。あとは古典、それも文学作品なのだが、本人が嫌いなのでやらない。
日本語語彙力と読解力はセットになっている。日本語読解力の大きな者は日本語語彙も豊富である。そして外国語の読解が母語である日本語の読解力を上回ることはない。そういう意味で日本語語彙が豊かで日本語の文章の読解力が大きいということが英文読解の基礎をもなしている。今年初めころから英文読解トレーニングをしている、だいぶこなれた日本語にできるようになってきたので、精読と合わせて頭から読みこなす速度アップトレーニングを数か月前から始めた。一緒に読んで、やりかたを伝授するだけ。半年後にジャパンタイムズ記事を読むことになるだろう。ジャンルが様々だから、よいトレーニング材料になる。
当代の知の巨人の一人である山本義隆は1968年に東大全共闘議長だった。団塊世代には懐かしい名前である。
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#3941 話し合い(1):学力トップ層をどう育てるか? Mar. 1, 2019 [71.データに基づく教育論議]
本稿は#3940の続編である。
根室高校1年生の生徒と1学年の担任5人それに学年主任で6人の先生たちが今日(3/1)話し合いをした。
宿題の出し方についての話し合いである。生徒の主張は、学力差を無視して難易度の低い問題の宿題を一律に課すのはやめてもらいたいということ。つねづね高校の先生たちが言っているように勉強は自主的にするものだから、一律の宿題はそうした主張と矛盾しているとその生徒は感じていた。そして自分は北大医学部受験をめざしているので、難易度の低い問題に割いている時間の余裕はないと事情を具体的に説明した。1月の進研模試では数英の偏差値が82.1の生徒である。前回も80を超えている。
(実はこの生徒にはシリウスを使っている。センターレベルよりも少し難易度が高いが、いきなりそういうレベルの問題集で圧縮された解説を独力で読んで問題演習をさせている。この生徒だからそう言うことができる。学年2位以下の生徒には無理、進研模試で学年3位の生徒には別のやり方で指導している)
小学校や中学校で起きた先生とのトラブルを説明して、勉強は学校を頼らずに独力でやるしかないと決めたと話すと、「高校の先生をもっと頼っていい、宿題については出し方を考慮するので、希望があれば言ってほしい」とどなたかが発言した。話の分かる先生がいたようだ。
科目ごとに自分の弱点になっているところを述べると、別メニューの宿題をつくってくれることになった。忙しいからそんなことは無理ではないですかと再度問うと、それは仕事だからやるとの返事。気合が入っているね、先生たちも学力トップ層をどのように育てたらいいのか悩んでいたのだろう。
対決ムードではじまった話し合いだったが、生産的な話し合いに変わっていた。
この生徒は塾で数学と英語の勉強をしているだけでなく、Z会のタブレット端末利用の学習も併用してやっている。とくに塾では教えていない化学や物理を中心にやっているが、数学や英語も難易度が高くて使いやすくなっていて便利だと言っていた。毎月のテストをこなすのがなかなかたいへんな様子。高校生になってから必要に迫られて時間の使い方はとっても上手になった。
学力トップレベルの生徒を育てるには、学校と塾が連携したほうがはるかに効果が大きくなる。いいケーススタディになった。このレベルの生徒は根室には毎年数人いるが小中高の連携がなくうまく育てきれていない。よき前例となってほしい。
根室高校の先生たち、協力ありがとう。
*#3940 進研模試の結果データ:全国平均値と根室高校平均値比較 Mar. 1,2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-03-01
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根室高校1年生の生徒と1学年の担任5人それに学年主任で6人の先生たちが今日(3/1)話し合いをした。
宿題の出し方についての話し合いである。生徒の主張は、学力差を無視して難易度の低い問題の宿題を一律に課すのはやめてもらいたいということ。つねづね高校の先生たちが言っているように勉強は自主的にするものだから、一律の宿題はそうした主張と矛盾しているとその生徒は感じていた。そして自分は北大医学部受験をめざしているので、難易度の低い問題に割いている時間の余裕はないと事情を具体的に説明した。1月の進研模試では数英の偏差値が82.1の生徒である。前回も80を超えている。
(実はこの生徒にはシリウスを使っている。センターレベルよりも少し難易度が高いが、いきなりそういうレベルの問題集で圧縮された解説を独力で読んで問題演習をさせている。この生徒だからそう言うことができる。学年2位以下の生徒には無理、進研模試で学年3位の生徒には別のやり方で指導している)
小学校や中学校で起きた先生とのトラブルを説明して、勉強は学校を頼らずに独力でやるしかないと決めたと話すと、「高校の先生をもっと頼っていい、宿題については出し方を考慮するので、希望があれば言ってほしい」とどなたかが発言した。話の分かる先生がいたようだ。
科目ごとに自分の弱点になっているところを述べると、別メニューの宿題をつくってくれることになった。忙しいからそんなことは無理ではないですかと再度問うと、それは仕事だからやるとの返事。気合が入っているね、先生たちも学力トップ層をどのように育てたらいいのか悩んでいたのだろう。
対決ムードではじまった話し合いだったが、生産的な話し合いに変わっていた。
この生徒は塾で数学と英語の勉強をしているだけでなく、Z会のタブレット端末利用の学習も併用してやっている。とくに塾では教えていない化学や物理を中心にやっているが、数学や英語も難易度が高くて使いやすくなっていて便利だと言っていた。毎月のテストをこなすのがなかなかたいへんな様子。高校生になってから必要に迫られて時間の使い方はとっても上手になった。
学力トップレベルの生徒を育てるには、学校と塾が連携したほうがはるかに効果が大きくなる。いいケーススタディになった。このレベルの生徒は根室には毎年数人いるが小中高の連携がなくうまく育てきれていない。よき前例となってほしい。
根室高校の先生たち、協力ありがとう。
*#3940 進研模試の結果データ:全国平均値と根室高校平均値比較 Mar. 1,2019
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#3940 進研模試の結果データ:全国平均値と根室高校平均値比較 Mar. 1,2019 [71.データに基づく教育論議]
根室高校と根室西高校が卒業式である。根室西高校はこれで閉校になる。根室の教育環境が変わる大きな節目の3月である。
さて、1月実施の進研模試の結果データで全国平均値と根室高校普通科平均値の比較をしてみたい。たったこれだけのデータでもいろいろなことがわかる。最初に断っておきますが、進研模試は各科目百点満点です。
平均点の合計で見たら、根室高校は全国平均値の7割の得点である。中学校の全国学力テストには現れていないとんでもない差があるということ。試験問題の難易度が高くなると、学力格差が拡大してしまうというのは、ふだんいかにぬるい授業に終始しているかということ。全国標準からかけ離れたローカルな難易度の授業の結果である。そして自律的・自主的に難易度の高い問題に取り組む生徒がいかに少ないかということも表している。家庭学習の躾の問題も大きい。
中学校の学力テストで五科目合計点で400点を超える生徒が各校学年に1人しかいなくなっている。最近はゼロの学年すらある。学力上位層が枯渇しかかっているから、全国平均の7割という結果が出てしまっているのだろう。
全国平均値と一番差の開いている科目は英語である。国語の2倍の開きがある。根室の高校生は英語が苦手と言えるだろう。なぜ苦手なのだろう?根室は英語教育が盛んである。中高生時代に英語が苦手だったお母さんたちが多いということか。その英語教育が英語の学力向上にはちっとも寄与していないことをこのデータは示している。会話中心、お遊びだからだろう。それはそれでいい、どこかで英語の学力をアップするような勉強法に切り換えたらいいのだ、そこがうまくいっていないということ。中学校でも高校でも英語の授業が成果を上げていない証拠である。格差は高校生になってさらに拡大しているのではないだろか。
根室高校で英語を教えている先生たちはこのデータを見ているはずだが、自分たちの指導のしかたや、学校の指導体制に問題アリとは考えないのだろうか?わたしにはとっても不思議に見えている。
次に全国平均との差が大きい科目は数学である。数学は学力別に5クラス編成になっており、試験問題も共通問題が40%、残りの60%は学力別編成によって異なるものが作成されている。ようやく学年末テストでそういう方針が決まったようだ。学力データを無視した高校統合によって無用な混乱がようやくひとつの出口を見つけたように見える。英語よりも数学のほうが全国平均との格差が小さくなっているのは、学力別クラス編成の授業が効果を上げたのだろう。英語だって、根室高校普通科の生徒たちの学力格差は、数学同様に大きいのである。中学校の学力テストデータを見ればよくわかる。
この学年が3年生だった時の最後の学力テストは昨年2月2日である、C中学校の英語の平均点は60点満点で22.7点、数学は20.3点だった。B中学校は数学が22.9点、英語が24.6点である。別海中央や中標津中学に比べて著しく低かった。C中学校は一番悪い時には16点を切った。最後の模試が一番平均点が高いのは例年のことだ。
それが根室高校普通科へ進学してから、さらに格差が広がったとみるべきなのだろう。英語がとくに低下している。進研模試の試験問題の難易度は北海道の中学校が実施している学力テストに比べると格段に高い。生徒たちはそうした難易度の高い試験問題になれていないし、学校の授業も難易度の高い問題はほとんど取り上げない。学力が低すぎて取り上げられないというべきか。中学校の学力テスト問題の難易度には大きな問題があるのだが、現場の先生たちから改善の声があがったという話を聞いたことがない。問題の難易度を上げたら、学力の低い生徒たちがますますやる気を失う。学力の底上げをしないと行かないのだが、有効な対策は採られていないので、平均点が下がる一方である。10年後も同じなのだろう。
学力の低下にあせった高校の先生たちは宿題を出し始めた。宿題ノートの提出まである、まるで小学校。一方で自主的、自律的な学習を推奨しながら、他方で宿題を強要する。学力の高い生徒は、先生たちはいったい生徒をどういう方向にもって行こうとしているのかと不信感を強めている。自分で計画を立て、難易度の高い問題集にチャレンジしている生徒にとっては、レベルの低い宿題の強要は邪魔なだけ。そういう教育をしていたら、親が仕事で根室へ赴任しても子どもの学力が高ければ連れてこない。
国語が一番全国平均との差が小さい、英語の半分である。だが、全国の中高生の3人に一人が教科書を独力で読んで理解できないほど、日本語能力が低下していることを考えると、根室のこどもたちの日本語の力はじつに憂慮すべき状態にある。
根室高校普通科には4割程度、教科書を独力で読んで理解できない生徒がいるだろう。教科書を音読させればすぐにわかることだが、そんなことを試す先生は聞いたことがない。読んで理解できないということは予習して来れないということだ。高校の標準的なレベルの教科書は予習してくることを前提につくられている。予習しなければ授業についていけない。先生たちも授業のレベルを下げざるをえなくなる。
根室西高校と統合したことで、根室高校の教科書ではとても歯が立たない生徒が4割ほどに増えていると思う。わからないから、授業も聞いていない。スポイルされたままになり学校は荒れてくる。若いからどこかにエネルギーをぶつけることになる。
学力をアップできれば防げる。学力アップには戦略が必要である。たとえば、数学はまあまあ興味があるが英語は大嫌いな生徒がいたとする。わたしは、生徒が嫌いではないほうの数学ばかりやっているのを黙認する。そのうちに学力が上がってくると、「学校の授業がよくわかる」といいだす。そしてテストの点数もかなりあがる。英語も上がらなければ3科目合計での偏差値が上がらない時期が来る。その時がチャンスで、英語の特訓を開始する。生徒がやる気にならなければ特訓は英語嫌いをさらに助長するだけに終わる。だから、じっと時期が来るのを待つのである。
生徒の学力をどのようにあげていくのか戦略があれば、数年かけて苦手科目を得意科目に変えられる。その場しのぎの対策では苦手科目を得意科目には変えられない。
さて、根室高校の先生たちは、科目別にみてこんなに全国平均値と差がある現状を変えるために戦略をどのように立案するのか期待している。
大きな学力格差があるのに一律の宿題なんてナンセンスの極地である。根室の人口を減らす方に大きく寄与することになる。教育が豊かな町づくりの礎である。進研模試の結果データをもう一度見て、学力分布を一瞥すれば、一律の宿題がいかに現実無視かすぐにわかるはず、素直に反省し再考願いたい。
生徒がもってきた英語の宿題プリントを見た。電力エネルギーがテーマになっており、結構長いものだ。進研模試の偏差値が70以上なら30分、50なら2~3時間かかるだろう。半分の生徒が偏差値40未満だろう。この生徒たちは何時間にらめっこしてもできない。独力では無理で、手とり足取り教えてやらないとアウト。
塾では別に時間をとって、全文解説しなければならない、それも個別補習である。今週からはじめたよ、数人の生徒が半年後には偏差値が15-20アップするだろう。とっても手間がかかるが、塾は生徒が可愛いからやる、なにがなんでもやる。いまなら、生徒たちは期待に応えてくれるだろう。
<宿題について>
2月の進研模試で偏差値60以上の生徒はその科目は宿題免除でいいのです。自主的・自律的に難易度の高い問題を解いていないと偏差値60は超えられませんから。
そして偏差値45以上と以下とで、宿題は2種類用意してもらいたい。それくらいの手間かけてやりましょうよ。自力で勉強できないほど学力の低い生徒がたくさんいますから、対策を何か考えてください。
<FBお友達のコメント> 3/2追記
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受験者層(母集団)の違いじゃないでしょうか。全国学力調査は全生徒が対象。進研模試は進学希望者が対象。
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言えますね、高1の進研模試は全国の公立高校普通科の生徒たちが参加しています。参加人数は45万人です。公立高校でもレベルの低い普通科は参加していません。意味ありませんから。昨日閉校になった根室西高校は一度も実施したことがありません。
公立高校でレベルの低い群が参加していないことにより、平均点が高くなっているでしょう。だからそこからの偏差も大きくなる。Sさんの言う通りのようです。ありがとう。
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さて、1月実施の進研模試の結果データで全国平均値と根室高校普通科平均値の比較をしてみたい。たったこれだけのデータでもいろいろなことがわかる。最初に断っておきますが、進研模試は各科目百点満点です。
2019年2月進研模試平均点比較 | ||||
国語 | 数学 | 英語 | 合計 | |
a.全国 | 43.8 | 30.8 | 33.7 | 108.3 |
b.根室高校 | 36.4 | 20.0 | 19.6 | 76.0 |
a-b 差異 | 7.4 | 10.8 | 14.1 | 32.3 |
平均点の合計で見たら、根室高校は全国平均値の7割の得点である。中学校の全国学力テストには現れていないとんでもない差があるということ。試験問題の難易度が高くなると、学力格差が拡大してしまうというのは、ふだんいかにぬるい授業に終始しているかということ。全国標準からかけ離れたローカルな難易度の授業の結果である。そして自律的・自主的に難易度の高い問題に取り組む生徒がいかに少ないかということも表している。家庭学習の躾の問題も大きい。
中学校の学力テストで五科目合計点で400点を超える生徒が各校学年に1人しかいなくなっている。最近はゼロの学年すらある。学力上位層が枯渇しかかっているから、全国平均の7割という結果が出てしまっているのだろう。
全国平均値と一番差の開いている科目は英語である。国語の2倍の開きがある。根室の高校生は英語が苦手と言えるだろう。なぜ苦手なのだろう?根室は英語教育が盛んである。中高生時代に英語が苦手だったお母さんたちが多いということか。その英語教育が英語の学力向上にはちっとも寄与していないことをこのデータは示している。会話中心、お遊びだからだろう。それはそれでいい、どこかで英語の学力をアップするような勉強法に切り換えたらいいのだ、そこがうまくいっていないということ。中学校でも高校でも英語の授業が成果を上げていない証拠である。格差は高校生になってさらに拡大しているのではないだろか。
根室高校で英語を教えている先生たちはこのデータを見ているはずだが、自分たちの指導のしかたや、学校の指導体制に問題アリとは考えないのだろうか?わたしにはとっても不思議に見えている。
次に全国平均との差が大きい科目は数学である。数学は学力別に5クラス編成になっており、試験問題も共通問題が40%、残りの60%は学力別編成によって異なるものが作成されている。ようやく学年末テストでそういう方針が決まったようだ。学力データを無視した高校統合によって無用な混乱がようやくひとつの出口を見つけたように見える。英語よりも数学のほうが全国平均との格差が小さくなっているのは、学力別クラス編成の授業が効果を上げたのだろう。英語だって、根室高校普通科の生徒たちの学力格差は、数学同様に大きいのである。中学校の学力テストデータを見ればよくわかる。
この学年が3年生だった時の最後の学力テストは昨年2月2日である、C中学校の英語の平均点は60点満点で22.7点、数学は20.3点だった。B中学校は数学が22.9点、英語が24.6点である。別海中央や中標津中学に比べて著しく低かった。C中学校は一番悪い時には16点を切った。最後の模試が一番平均点が高いのは例年のことだ。
それが根室高校普通科へ進学してから、さらに格差が広がったとみるべきなのだろう。英語がとくに低下している。進研模試の試験問題の難易度は北海道の中学校が実施している学力テストに比べると格段に高い。生徒たちはそうした難易度の高い試験問題になれていないし、学校の授業も難易度の高い問題はほとんど取り上げない。学力が低すぎて取り上げられないというべきか。中学校の学力テスト問題の難易度には大きな問題があるのだが、現場の先生たちから改善の声があがったという話を聞いたことがない。問題の難易度を上げたら、学力の低い生徒たちがますますやる気を失う。学力の底上げをしないと行かないのだが、有効な対策は採られていないので、平均点が下がる一方である。10年後も同じなのだろう。
学力の低下にあせった高校の先生たちは宿題を出し始めた。宿題ノートの提出まである、まるで小学校。一方で自主的、自律的な学習を推奨しながら、他方で宿題を強要する。学力の高い生徒は、先生たちはいったい生徒をどういう方向にもって行こうとしているのかと不信感を強めている。自分で計画を立て、難易度の高い問題集にチャレンジしている生徒にとっては、レベルの低い宿題の強要は邪魔なだけ。そういう教育をしていたら、親が仕事で根室へ赴任しても子どもの学力が高ければ連れてこない。
国語が一番全国平均との差が小さい、英語の半分である。だが、全国の中高生の3人に一人が教科書を独力で読んで理解できないほど、日本語能力が低下していることを考えると、根室のこどもたちの日本語の力はじつに憂慮すべき状態にある。
根室高校普通科には4割程度、教科書を独力で読んで理解できない生徒がいるだろう。教科書を音読させればすぐにわかることだが、そんなことを試す先生は聞いたことがない。読んで理解できないということは予習して来れないということだ。高校の標準的なレベルの教科書は予習してくることを前提につくられている。予習しなければ授業についていけない。先生たちも授業のレベルを下げざるをえなくなる。
根室西高校と統合したことで、根室高校の教科書ではとても歯が立たない生徒が4割ほどに増えていると思う。わからないから、授業も聞いていない。スポイルされたままになり学校は荒れてくる。若いからどこかにエネルギーをぶつけることになる。
学力をアップできれば防げる。学力アップには戦略が必要である。たとえば、数学はまあまあ興味があるが英語は大嫌いな生徒がいたとする。わたしは、生徒が嫌いではないほうの数学ばかりやっているのを黙認する。そのうちに学力が上がってくると、「学校の授業がよくわかる」といいだす。そしてテストの点数もかなりあがる。英語も上がらなければ3科目合計での偏差値が上がらない時期が来る。その時がチャンスで、英語の特訓を開始する。生徒がやる気にならなければ特訓は英語嫌いをさらに助長するだけに終わる。だから、じっと時期が来るのを待つのである。
生徒の学力をどのようにあげていくのか戦略があれば、数年かけて苦手科目を得意科目に変えられる。その場しのぎの対策では苦手科目を得意科目には変えられない。
さて、根室高校の先生たちは、科目別にみてこんなに全国平均値と差がある現状を変えるために戦略をどのように立案するのか期待している。
大きな学力格差があるのに一律の宿題なんてナンセンスの極地である。根室の人口を減らす方に大きく寄与することになる。教育が豊かな町づくりの礎である。進研模試の結果データをもう一度見て、学力分布を一瞥すれば、一律の宿題がいかに現実無視かすぐにわかるはず、素直に反省し再考願いたい。
生徒がもってきた英語の宿題プリントを見た。電力エネルギーがテーマになっており、結構長いものだ。進研模試の偏差値が70以上なら30分、50なら2~3時間かかるだろう。半分の生徒が偏差値40未満だろう。この生徒たちは何時間にらめっこしてもできない。独力では無理で、手とり足取り教えてやらないとアウト。
塾では別に時間をとって、全文解説しなければならない、それも個別補習である。今週からはじめたよ、数人の生徒が半年後には偏差値が15-20アップするだろう。とっても手間がかかるが、塾は生徒が可愛いからやる、なにがなんでもやる。いまなら、生徒たちは期待に応えてくれるだろう。
<宿題について>
2月の進研模試で偏差値60以上の生徒はその科目は宿題免除でいいのです。自主的・自律的に難易度の高い問題を解いていないと偏差値60は超えられませんから。
そして偏差値45以上と以下とで、宿題は2種類用意してもらいたい。それくらいの手間かけてやりましょうよ。自力で勉強できないほど学力の低い生徒がたくさんいますから、対策を何か考えてください。
<FBお友達のコメント> 3/2追記
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受験者層(母集団)の違いじゃないでしょうか。全国学力調査は全生徒が対象。進研模試は進学希望者が対象。
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言えますね、高1の進研模試は全国の公立高校普通科の生徒たちが参加しています。参加人数は45万人です。公立高校でもレベルの低い普通科は参加していません。意味ありませんから。昨日閉校になった根室西高校は一度も実施したことがありません。
公立高校でレベルの低い群が参加していないことにより、平均点が高くなっているでしょう。だからそこからの偏差も大きくなる。Sさんの言う通りのようです。ありがとう。
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このSさんというのは国内最大の研究機関職員で資格をたくさんお持ちの方です。ジャンルを問わず本をよく読んでいます。好奇心の塊のようなおもしろい人。あ、趣味であちこちの学校で理科の授業をしています。押し売りしなくても、お呼びがかかるほど関西では有名人になりつつあります。根室の中学校や高校でも理科の授業してほしいな。頼めば来るよ。根室市教委でお願いしたら?関西空港からの交通費と1泊の費用だけでOKです。名人芸の授業ですから、先生たちも勉強になります。