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#5266 日経平均下落:2日で3192.12円 Aug. 2, 2024 [A5. 通貨の未来]

 7/9には161.30円/$でした。今日は149.03円/$ですから12円も円高になっています。
 7/31夜に日銀総裁が長期金利を様子を見ながら0.25%へ徐々にアップしていくと発言、国債買い入れも毎月6兆円規模を2026年には3兆円まで縮小するつもりだとアナウンスしました。

 株価は2日続落、-975.49円(8/1)、-2216.63円(8/2)、今日の終値は35,909.70円でした。
 為替先物取引は、日米の金利差で相場が決まります。仮に日米の金利差が4%なら、1年先物は6円ほど円高で為替予約できます。実際には長期金利ではなく、短期金利の差だったと思います。ああ、プライムレートに連動してました。米国のプライムレートは8%を超えています。日本は6月から1.8%になっています。仮に日米の金利差が7%とすると10円ほど1年先物為替予約相場が円高になります。だいたいその線になっているようですね。でも、これはそうなっているというだけの話です。現在の為替相場と日米金利差と将来の為替相場の間にいかなる論理的な連鎖があるのかはわかっていません。だから、そうしたかく乱要因を除いたときに為替相場がどのような水準になるかに興味がわきませんか?
 
 日米の長期金利が同じになったときに、金利の差に起因する為替相場の変動はゼロになります
 米国10年物財務省証券の金利は先週まで4%台を維持していました。FRBパウエル議長は9月に金利下げを予定しているようです。米国のプライムレートは、10年物財務省証券(米国債)を基準に動きます。どうやら、1・2年後には日米の金利差は少し小さくなりそうです。
 日本の長期金利が米国並みに4%なったら、対ドル為替相場はどれくらいに落ち着くのでしょう?
 為替先物相場は円高にも円安にも振れません。今日の相場が149円なら、1年先物も149円/$となります。そこははっきりしています。
 米国財務省証券で資金運用すれば、4%の利ザヤが稼げます。だから、日銀の異次元の低金利政策は恒常的な円売り・ドル買い圧力となって「異次元の円安」もたらしていたとは言いうるでしょう。
 1年先物が円高なら、利ザヤは消滅します。問題は1年先の為替相場がいくらになっているかです。金利差による「円売り・ドル買い」の恒常的圧力が消滅すれば、対ドル為替相場の適正水準が100円/$なのか120円/$なのか、誰にもわかりません。

 日銀は債券市場の金利を操作せずに、国債買い入れを停止してほしいと思います。金利高騰により債券相場が急落します。そのとき円の評価がどうなるのか見てみたい。新規国債が発行できず日本政府の財政破綻が起きる可能性があります。国債が債券市場で売買できるほどの金利が5%なら、プライムレートは8%を超えるでしょう。内部留保の厚い企業は借金がないので影響を受けませんが、内部留保の薄い企業は次々に倒産するでしょう。下請け企業が経営破綻を次々に起こせば、トヨタなどの川上の企業の経営も、部品供給がされなくなるので、業績が急激に悪化するでしょう。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」で経営していないと、こういうリスクが表面化したときには打つ手がありません。

 このことから言えることがあります。日銀がゼロ金利政策を続けたことで、円安が加速したという事実です。日米で長期金利に差がなくなれば、たとえば100円/$なら、輸入される食料品などは30%近く下がります。
 日銀がゼロ金利政策を続けたことで、食料品やガス・原油などのエネルギー、スマホなどが法外に高くなっているということ。
 アベノミクス三本の矢のひとつが異次元のゼロ金利政策でした。日銀が政府や財務省の言いなりになっていたということかもしれませんね。

 さて、異次元のゼロ金利政策はさまざまな形でツケを残しています。例えば政府財政の放漫化もその一つです。
 植田総裁は26年中には国債の買い入れを半減して3兆円/月規模へ縮小すると言いましたが、そのとき長期金利はどれくらいになるでしょう?現在は新規国債の発行は実質的に日銀引き受けになっています。だから、低金利では売れ残ります。半分を市場で売るなら0.25%なんて金利では不可能でしょうね。たとえば、現在の40倍の4%になったら、
 60兆円×0.04=2.4兆円
 2年後にはさらに60兆円ですから4.8兆円、3年後にはさらに60兆円で7.2兆円、...10年後には年間24兆円の新たな国債金利負担増が生じます。ああ、大事なことを忘れていました。満期償還分の国債の金利も4%になるので、年間100兆円になるかもしれません。この前提では10年後には国政の金利負担増が40兆円にもなります。税収60兆円の2/3が国債の印理支払いで消えてしまいますから、国家公務員の給料は支払い不能になります。公務員の大量解雇と給与削減がはじまります。
 生産年齢人口が急激に減少するので、GDPも減少に転じますよ。政府の予算規模も縮小しなければいけません。国家公務員の給与削減もそれらの対策のひとつです。

 金利が0.1%でも日銀保有国債600兆円は、実質評価損で債務超過です。民間企業なら経営破綻です。
 でも、円が国際取引で使われ続ける限り、問題は表面化しません。長期的に円安が進み、国民の生活が苦しくなるだけのことです。何かがきっかけになって大規模な円売りが起きれば事態はまったくちがったものになります。円の信認が崩れ、政府財政が破綻します。でも、それも大丈夫です。国民の銀行預金や株、不動産に直ちに課税できますから。1946年の大蔵省による預金封鎖の発表なんてことも不要です。マイナンバーで名寄せすれば、すべては電子データですから、簡単に課税できますよ。財務省に極秘のプロジェクトチームが動いているかもしれませんね。いや、マイナンバー制度そのものがそうしたプロジェクトの一環でしょう。株取引の電子化も、株主名簿も電子化されています。不動産登記も電子化が着々と進んでいるようです。政府は省を超えてもう大ぴらにやっています。スムーズに課税するために周到な準備は必要ですから。

 日銀植田総裁、とっても困っていますね。日銀買入を半減するにはそれくらいの金利上昇を容認する必要があります。金利をあげれば、為替相場は大幅に円高になります。輸入されるものが安くなるので、庶民にとっては歓迎すべき状況です。しかし、円の信認が崩れるのと政府財政破綻が近づきます。

 政府はそう遠くない将来に財政破綻の覚悟を決めるのでしょう。戦時中の玉砕戦法に似てきたような気がします。財産は奪われますが、命までとは言わないところがちがっています。
 敗戦を経験した団塊世代の親たちは、財産がなくなってもどうってことはないと腹をくくっていました。貧乏のどん底から、戦後の経済成長を成し遂げましたから。いまの若い人たちにはそうした貧乏の経験が乏しいので、少し心配になります。智慧を絞って、きっと何とかするでしょう。ほんとうに困れば智慧は自然に湧いてきます、そんなものです。

<余談:日銀債務超過>
 日銀保有の国債残高は2024年7月末で589.8兆円になっています。日銀の純資産額は令和5年5月末決算書では5.8兆円ですが、金利が1%なら保有国債で8兆円の実質評価損が出ます。すでに日銀は実質債務超過ということですよ。こんな中央銀行はOECDの中には日本銀行以外にはありません。
 日銀はその経営の健全性を取り戻すためにも国債買い入れをやめなければならないのです。購入をやめるだけでなく、リスクを生んでいる総資産を減らすために保有国債を債券市場で売却しなくてはなりません。それを直ちにやると、政府財政が破綻し、日銀も無事ではすみません。ヘッジファンドから大量の円売り圧力がかかります。
 ソフトランディングする選択肢はもうないのです。クラッシュするしかありません。

8/5追記
 5日の東京市場日経平均終値は4451.28円安で、31,458.42円。史上最大の下げ幅となりました。3営業日連続で合計7,643.40円の下落です。

8/6追記
 6日の東京市場日経平均終値は3267.04円高で、34,675.46円。史上最大の上げ幅を記録しています。まるで異常気象に見舞われたかのような東京証券取引所ですね。明日水曜日はどうなるのでしょう?


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しろうとくん

日に日に日本の財政は悪化しているのに、なぜ国債金利は低下しているのですか。円が160円を超えたのは国力が低下しているからと以前書かれていたと思いますが、140円近くまでの円高転換は国力が上がったと市場関係者が考えたと捉えてよろしいのですか。
by しろうとくん (2024-08-05 20:26) 

ebisu

(1)日本国債の金利が低いのはアベノミクス三本の矢のひとつ、「異次元の低金利」のせいです。
実質的に日銀引き受けになっていて、債券市場が機能していません。したがって、長期金利は日銀が決めています。

(2)国力が上昇したから円高になったとはわたしは考えていません。日本の金利が異常に安かったから、日本国債の金利が上昇し、米国債の金利が今後低下するというだけでは145円/$への急激な円高は説明がつきませんが、日米金利差が調整局面に入って縮小しつつあり、その影響を受けて為替相場が変動していることは事実です。それだけでは説明がつきませんが…

日米の金利差が消滅したときの対ドル為替レートがいくらになるのか誰にもわかりません。見てみたいです。

先進国の所得水準と比較すると、100円前後が妥当な為替水準だったのかもしれません。購買力平価ではそれくらいになるのでしょう。

円高は円に対するニーズが高くなっているからでしょうね。米国金利が低下し、日本の金利が上がれば為替は円高へ走ります。9月にFRBが長期金利を下げそうですから、為替はさらに円高へ向かう可能性がありそうです。
そのあとFRBが長期金利をどちらの方向に動かすかで、為替相場が影響を受けます。
そういうわけで、国力が上がったから円高になったとは考えていません。
米国経済が急激に悪化したので、割安な円へ資金逃避が起きたように見えます。日本の株式市場には流れていないようですから、どこへ流れているのでしょう?わたしにはわかりませんが、いずれ専門家がどこへ流れたのか分析してくれます。

今後の為替相場がどうなるのか、振れ幅が大きくて驚いています。

長期的に見れば、日本企業は衰退しつつあります。その理由は本欄で述べました。内部留保の使い方に問題があるからです。上場企業の多くは新規事業を開拓せず、自社株買いを行って株価を吊り上げていました。姑息なやり方に見えます。成長が鈍化し、ジリ貧になりますから。
これでは、上場企業が大きく経済成長できるはずがありません。この30年間ジリ貧です。そして今後30年間もさらにジリ貧となりそうです。生産年齢人口が激減しますから、経済が縮小するのは当然のことです。
GDPや一人当たり国民所得の大きさを国力と定義するなら、国力はこの30年間衰退したし、今後30年間も衰退し続けます。

人口が8000万人程度になれば、一人上がりの当たりの資源量が増えますから、明るい灯が見えてくるのではないかと期待しています。現在の若者たちが高齢者になることによくなっていたらいうことはありません。そうなるでしょう。国力は小さくなりますが、バランスの取れた、自然から収奪の少ない経済社会を創り上げてもらいたい。

ああ、忘れてました。
日銀はとっくに実質債務超過、政府も1200兆円もの国債残高を抱えています。金利が上昇して国債の新規発行に支障が出るような事態が起きれば、極端な円安に走るでしょうね。200円/ドルはありうる水準と思います。何が契機となってヘッジファンドが円を売り浴びせるようなことが起きるか、誰にもわかりません。それは突然起きるでしょう。
極端な円安が起きて物価が2倍になれば、国債残高は実質半分になるので、財務省は大歓迎でしょう。もちろん、その後に大増税がなされます。最後に負担するのは国民なのですから。

金は本源貨幣ですから、こうした不安定な経済のときには安全な資産です。預金の大きい上場企業の財務担当取締役が、余剰の預金を金購入へなぜ回さないのか不思議です。どこかがやり始めたら、一気に広がる可能性があります。日本企業は右へ倣いが大好きですからね。
上場企業が余剰資金の円を売って金を買う。これもいつ起きても不思議ではありません。

わかった風なことを書きましたが、わたしにはわかってないことだらけです。申し訳ありません。
by ebisu (2024-08-06 00:06) 

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