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#4808 ロシア軍のウクライナ侵攻に憤る元北方領土島民:山本忠平氏 Aug. 16, 2022 [21. 北方領土]

 北方領土である択捉島蘂取村の元と翁民の山本忠平さんが、ロシア軍のウクライナ侵攻を77年前の択捉島へのロシア軍の侵攻を重ねて、心を痛めている。
 墓参やビザなし交流が途絶えるのを心配する人は多い。しかし、もう6か月が経とうというのに、北方領土返還運動関係者で、ロシアのウクライナ侵攻を批判する人をほとんど見なかったが、3月にウクライナへのロシア軍の侵攻で77年前を思い出して共感を寄せる人がいました。ちょっとうれしい。
 北方領土返還運動関係者にこうした共感が広がってくれたらと淡い期待を抱いています。

 日本人の美質の一つに「惻隠の情」というものがあります。大数学者の岡潔先生によれば、それが日本人の心の中心にある情緒であるらしい。
*惻隠:かわいそうに思うこと、あわれむこと

 以下は3月に掲載された神戸新聞記事です。

*「理不尽な選択迫られた」 75年前、北方領土追われた男性 ウクライナに重ねる思い|総合|神戸新聞NEXT (kobe-np.co.jp
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神戸市中央区の山本忠平さん(87)は択捉島の蘂取村(しべとろむら)出身だ。「千島歯舞諸島居住者連盟」の語り部として戦前の島での暮らしやソ連軍占領下の状況とともに、故郷を追われた思いを語ってきた。
「着の身着のままの私たちは、引き揚げ者という名の難民でした」。国民学校1年生のとき、戦争が始まった。終戦直前の1945年7月には北海道根室市に買い出しに行っていた山本さんの父親が空襲で亡くなった。
島には米軍が現れないまま終戦。「武装解除し、現場にとどまり、指示を待て」。そんな命令を最後に、国や軍隊からの連絡は途絶えた。しばらくして択捉島にやってきたのはソ連軍だった。
通信は遮断され、海を渡ろうとした人は射殺された。財産は奪われ、行動の自由も言論の自由もなくなった。労働者として強制的に移動させられてきたロシア人やソ連軍の軍人らとの共同生活が始まった。
2年後の47年夏ごろ、島に残りたければ、ソ連の国籍を取るように言われた。村の人々は全員、拒否した。「理不尽な選択を迫られ、追い出された」。ほとんどの荷物を置いたまま家族で船に乗せられ、函館の収容所へ。助け合って生きてきた村の人々はばらばらになった。

和平へロシア人に期待も

山本さんは母親の出身地、秋田県に身を寄せ、高校卒業後に神戸の会社に就職した。故郷に墓参りに行けるようになったのは、43年が過ぎた1990年からだ。それから約30年、山本さんは、島に移り住んだロシア人との交流を積み重ねながら地道に返還を訴えてきた。そこにロシアのウクライナ侵攻が始まった。
平和の祭典である五輪閉幕直後の侵攻に、心臓が止まりそうなほどショックを受けた」と山本さん。ウクライナから着の身着のままで避難する人々と自身の経験を重ねる。

欧米と歩調を合わせてロシアに制裁を科す日本に対し、ロシアは平和条約締結交渉の中断だけでなく、元島民の自由訪問やビザなし交流さえ停止すると表明した。

山本さんは「30年間交流を続けてきたロシア人に悪い人はいない。プーチン大統領一人のために、息の長い交流が消えてしまうのは悲しく、残念」とする。

一方で、ロシア国内では弾圧の中でも反対の声を上げ続ける若者らの姿に、「世代が変わり、ロシアでも市民の声が届くようになれば、解決への道が開けるのではないか」と期待も見い出す「ウクライナの人たちは私たちより苦しい思いをしている。一日でも早く砲撃がやんでほしい」と願った。

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 山本忠平さんは『セルツェ こころ 遥かなる択捉を抱いて』の著者である山本昭平氏の弟です。

セルツェ――心 遥かなる択捉を抱いて

セルツェ――心 遥かなる択捉を抱いて

  • 作者: 理江, 不破
  • 出版社/メーカー: 東洋書店新社
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: 単行本

<余談:山本さんの祖父とその弟>

 山本昭平氏と山本忠平氏の祖父の弟は、北海道開発庁長官であった黒田清隆の副官山本忠令です。
 あるとき、お爺さんは根室町長と交渉事があって根室町役場を訪れたが、とても無礼な扱いを受けて、席を立って札幌行きの汽車に乗りました。そうして、札幌から戻り根室駅に着くと、町長以下町役場の幹部が並んで出迎えたそうです。札幌から根室町役場に電報が打たれたようです。当時の根室町長は選挙ではなくて、北海道開拓庁長官の任命によって決まりましたから、根室町長はさぞかし肝を冷やしたことでしょう。(笑)
 蘂取村の村長はI氏になりましたが、任命された後で、お爺さんのところへ挨拶に来ていたそうだ。お爺さんに蘂取村の村長を決める実質的な権限があったからでしょう。中央集権ですから、町長や村長は、北海道開拓庁には頭が上がりませんでした。いまも、市役所の職員は道庁の職員に頭が上がらず、道庁の職員は本省の職員に頭が上がらない。百年たってもかわりゃしません。

<余談:ソ連に対する思いの違い>
 山本家は択捉島蘂取村で商店を営んでいました。択捉の漁民は北海道の漁民の3倍ほどの漁があったから、裕福でした。だから、商店もとても繁盛したのでしょう。戦時中でも砂糖はあったし、高島屋や三越から着物も取り寄せて着れるぐらい裕福だったそうです。本州からの出稼ぎ猟師は、根室の3倍稼げたと言ってました。水産資源が豊富で、魚やカニが濃かったので。
 山本家の二人の兄弟は商店の息子だましたから、漁の経験はありません。漁師の息子たちはソ連軍が入ってくると、強制労働に駆り立てられました。ソ連共産党中央から指示された食糧生産のノルマがあるのでかなり厳しいものだったようです。わたしの叔父貴もそうした漁労に従事した一人ですから、とうぜん、ソ連に対する思いは別のものがありました。ソ連支配下でどのような生活であったかは、ひとそれぞれでした。漁業従事者がきつい思いをしたようです。
 漁獲量が大きかったので、ソ連共産党は北方領土に注目したでしょう。それはいまも変わりません。戦争でもしない限り、彼らが北方領土を手放すはずもありません。


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tsuguo-kodera

 おはようございます。
お元気にお過ごしのことと思います。

 3000年以上前から続いている他国侵略と異邦人虐殺。21世紀でも現実に起きました。北方4島で済んだのは天啓だったのかも。北海道こそ彼らの真の狙いだったのでは。

 さて、これから世界はどうなるか。動物からのウイルス、性行為の感染、電力不足、国債残高、水不足、温暖化、自国主義、他国侵略。3000年以上続いてきたことが100年で解決することはありません。

 神の様な天才が現れることはありません。金儲けの才能が一番の評価軸のよう。ますます世界は終焉に近づいていると私は思います。

 私は情報、コンピュータ、システム、新規事業が仕事でした。世界が続く可能性はDXしか考えられません。DX加速のために学校は何をすべきか。私には明らかですが、目クラの教育行政のように感じています。

 根室でDX塾を始めませんか。もちろん小学生、中学生のためにです。将棋も碁も小学生から始めるから強くなる。野球もです。(笑)
by tsuguo-kodera (2022-08-18 08:11) 

ebisu

koderaさん
おはようございます。
なるほどと思いました。3000年の歴史を俯瞰してみたら、人間は進歩がない。進歩したのは殺戮の武器。
ソ連の狙いは北海道の東側半分を占領することでした。稚内と根室海峡の自由通行がしたかったのでしょう。

性感染症は不用意な出会いの場がSNSの普及で増え居るのと関係があるとすれば、性風俗の分野でDXが進んでいるのかもしれませんね。
ウィルス感染症も希少金属を求めて森林の奥深くへ分け入り、野生動物を食料にしながら違法採掘をする数千人の密猟者たちはお金に目がくらんでいるので、なかなか減りません。サル痘なんてのもその類かもしれません。
国債残高はもう破綻必死です。だれがやっても回避できません。
まあ、koderaさんのおっしゃる通り、破綻に向かっているのでしょう。
でもなくなることはありません。
プーチンが核の発射ボタンを押しても、ビビッて欧米が連鎖的に押すことはないでしょう。万が一両方で核弾頭ミサイルを撃ちあっても、先進諸国の人口の大半が消滅するだけで、そのあとはおだやかな世界が訪れるのかもしれません。未来は不確定です。

DXを小学生や中学生に教えるというのは賛成ですね。ビリヤードの世界でも、何度もスリークッション世界チャンピオンになった小林先生は、ビリヤード屋の息子でしたし、アーティスティック・ビリヤード世界2位の町田正さんも八王子のビリヤード店の次男坊でした。どちらも小学生になる前からビリヤードをしてます。
一流のプロになるには、小学生かあるいはその前からそのゲームに親しむのがいいようです。

Digital Transformationはコンピューター技術を使って新しいビジネスモデルを創り上げることと理解していますが、そのために小中学生に必要なことは、日本古典文学を読み、日本的情緒に浸ることや数学に親しむことだろうと思います。

文科省がいま進めているのは、小学生や中学生の教育にコンピュータ技術を利用すること、授業にタブレットを持ち込み、そうした授業を先生たちにやらせることです。

そうしたシステムで育った子どもたちが、将来DXを担ってくれると信じてやっているのかどうか、わかりません。
国際競争力のある企業を産み出すにはDXが必要なことは言うまでもありません。
担当している文科省の武藤さんの議論を見ていると、グローバル企業で働ける日本人を増やしたいという願望はあるようです。そのための授業へのIT技術の導入と英語教育の教科です。今後30年間は歩留まりは数%でしょうね。そういうものをこなせる人材は3%はいませんから。

文科省とは別の視点で、DX塾をやるというのは面白いかも。
根室にはもう1年はいません。私塾でDXへのチャレンジという課題は東京へもっていくことになるのでしょう。
*https://business.ntt-east.co.jp/content/cloudsolution/column-233.html

ところで、貴兄のブログは最近とってもむずかしい数学や物理の議論をなさっていますね。専門的過ぎて、入り込む余地がありません。(笑)
読むだけで、愉しませていただいてます。
by ebisu (2022-08-18 09:05) 

tsuguo-kodera

 コメントバックをありがとうございます。
ebisuの新経済論を分解し分解する。少なくとも16の課題があるはず。それをまた分解すると64の解決策が考えられます。
 塾で各位がその一つを担当する。1年塾長が指導。ボランティアの定年退職者も指導に参加。そして適当にグループを作り議論しまた課題を決めて解決策に挑戦する。
 グループ化は自由で柔軟。自然とリーダーが出来ると思います。そこで投資をネットで募ります。株式会社でなく、有限会社でも合資会社でも良いから責任の無い形態で良いでしょう。此処はebisu先生の十八番でしょう。
 私の友人で技術に明るい人、ネットが得意な人がいます。皆さん死ぬまでもがくつもりだと言っています。ebisu先生と私を足して4人のボランティア。しかも好みは似ていても専門分野は違います。個々のDXも成功確率は高いと思います。
 見果てぬ夢です。最近、大事にしていた資料の山が埃だらけ、捨てても捨てても出て来て困り果てて、目が覚める夢をよく見ます。自分で認知症の予防だと慰めています。(笑)
by tsuguo-kodera (2022-08-18 12:27) 

ebisu

koderaさん

ネットを武器に、異分野の大人が数人寄り集まって、現実のDXやろうというわけですか。
面白そうですね。

1986年に書いた臨床診断支援システム事業化案は当時はコンピュータの処理速度や通信速度が要求仕様を満たしておらず、断念せざるを得ませんでしたが、いまなら可能です。現実に小さいスケールで走っている企業がいくつかあるようです。
日本は臨床検査項目コードはすでに標準コードが25年ほど前に整備が終わっています。
やれるかも。

暇な大人の遊び、専門能力がないとチャレンジできない分野です。
興味のある中学生や高校生が出てくるかもしれません。
受験勉強すっ飛ばすので、保護者からは叱られそうです。(笑)
時代の向こう側を見てチャレンジするのは常に常識破りです。
DX体験塾...
う~ん!

by ebisu (2022-08-18 14:35) 

ebisu

臨床診断システム開発&事業化案を10個のプロジェクトに分割したと思いますが、資料は保存してあります。
問題はあります。臨床検査項目コードの標準化は、ターゲットとしては設定してありましたが、ブレイクダウンはできませんでした。
個人的なネットワークがモノを言いました。学会と大手六社の協力体制がつくれました。
同じことが他の9個のサブ・プロジェクトにも言えそうです。
わたしが示せるのはおそらく9個のプロジェクトの獲得目標のみ。

事業規模を想定してみます。
仮に、日本の医療費が20兆円として、その内の半分が対象とすると、売上の1%のロイヤルティで1000億円。200人の異分野のコアメンバーで人件費が一人当たり2000万円/年とすれば、40億円。設備に毎年200億円ほど投下できますね。そのほかに200億円の経費予備費を見込みます。ネットワークされた病院からのデータ収集と研究協力費が必要になりそうです。
目標売上高経常利益率は50%。税引き後利益は35%くらいになるのかな。
10年で日本国内でビジネスモデルを創る。

世界市場が5倍だとすれば、年間5000億円の売上、2500億円の利益のビジネスです。
目標値としてはこれくらいがいい。
日本の上場企業としてはナンバーワンの利益率の高収益企業が目標です。
上場不要かな。ファンドと組むという手もあります。あるいはファンドを自ら立ち上げる。

やっていくうちにロイヤルティ以外の収益事業が出てきます。そちらの方が売り上げも利益も大きくなるでしょう。
その中の一つに医学用のCAE(Computer Aided Education)事業があります。病理医を短期間のトレーニングでベテランにします。病理診断精度は、画像データをディープラーニングすれば大幅にアップできます。
この分野ではSRLに大きなデータベースがあります。大手検査センターは他にも染色体画像の大規模な電子データがあります。これらは宝の山でしょう。まったく新しい医療ビジネスが生まれる可能性があります。
大手検査センターと、専門病院と大学附属病院と提携関係を結ぶ必要があります。
by ebisu (2022-08-18 23:03) 

ebisu

売上高経常利益率50%の高収益企業を目標の一つに掲げるのは配当するためではありません。開発・研究投資をするためです。新規事業分野の開発や研究投資はリスクが大きいので、みんながそういう仕事のチャレンジできるように内部留保を厚くします。

「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の経営をします。

社員(社長を含めて)最高年俸は2400万円とします。日本で生活するには十分な報酬です。平均給与をこの金額に近づけることができたらいいですね。

配当はしません。株式上場しないということ。株主は利益を手にしたいときには株を会社へ売却したらいいのです。純資産額を分子にして総発行株数で除して一株当たりの金額を算出して、いつでも買い入れます。

株式会社形態がいいのだろうと思いますが、他にもっとよい会社形態があれば検討していいと思います。

by ebisu (2022-08-18 23:35) 

ebisu

SRLは米国進出すれば、売上規模が3倍になりますが、グランドデザインと、実行計画を描ける人がいません。
どこにラボを置いて、どの病院と取引したらどれぐらいの売上が見込めるのかをシミュレーションしなければなりません。
グランドデザインと実行計画を描いて、実行時にサポートできるコンサル企業があれば、米国進出するでしょう。
BMLだっていい。

こういう分野を担う企業がないということ。これもビジネスチャンスかもしれません。
ラボの自動化を担っている、中小企業も飛躍のチャンスです。
by ebisu (2022-08-18 23:40) 

tsuguo-kodera

 ますます面白そうです。
破壊的技術で開発する。
量子コンピュータ素子を開発し、実現を目指す。
分解すれば個々に投資を募れます。
散乱の逆問題解析も入れたら新薬の開発や新ウイルス対応も研究できます。
国研や大学も興味を持つ5年先の夢を見て、今高齢者が得意な解決策を学童がトライする。
アップル、グーグル、アマゾンなど糞くらえ。少なくとも50年以上前はIBMやバローズやGEは今の巨大企業より強力でした。学生が目クラ蛇で挑んだから、ジャパンアズナンバーワンになりました。10年必要でした。
大学の先生を巻き込めたら同じ道を辿れるでしょう。3方良し、ebisuの理論があります。
by tsuguo-kodera (2022-08-19 08:50) 

ebisu

全然もうからない仕事もあります。
臨床診断システムをつくり世界中で使えるようにするには、たとえば、臨床検査項目コードの世界標準がなければなりません。これは産学共同作業になりますが、インフラの整備なだけで、儲け仕事ではありません。
日本国内では大手六社と臨床病理学会の数年にわたる共同検討作業が必要でした。
そういうことを先進諸国数か国でより大きなスケールでやらなくてはなりません。
日本標準があるから、それをたたき台にすればいい。元々そのつもりでした。世界標準臨床検査項目コードを制定するためのたたき台のつもりでした。
解決すべき問題がたくさん出てくるから面白いのでしょう。
来年ですね。
何がどこまでできるのか、突っ走りながら考える。(笑)
by ebisu (2022-08-19 23:04) 

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