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#4797 『向山家の子育て21の法則』(3):⑱砂糖は白い麻薬をめぐって Aug. 8, 2022 [55.1 TOSSの水野さんとの対話]

 水野さんの著書『向山家の子育て21の法則』に「⑱砂糖は白い麻薬」という項目があります。これをみたときに「おや?」と思ったので、わたしの素朴な疑問を書きます。

 砂糖は過剰摂取しなければ何の問題もない食品です。わたしは胃の全摘手術をしているので、血糖値が急激に下がることがあるが、そういう時に砂糖やブドウ糖は薬となります。適度に用いれば薬にもなり、過剰に摂取すれば体を害するというのは、食品全般に言えることです。

 過剰摂取すれば、塩だって水だって体を害することになります。過剰摂取が長い期間に及ぶと浮腫や血圧上昇を起こし、心臓病や腎臓病、高血圧症の原因になります。摂取量が過少なら、浸透圧の調整がうまくいかなくなるし、筋肉も動かなくなります。
 水の過剰接種も浮腫を起こします。人間の身体は毎日摂取する食品や水や空気で成り立っています、そして人間の身体はホメオスタシスを保っていますので、それを支えるために食品の摂取量についてもバランスが大事なのでしょう。過剰も過少も体にとっては害なのです。

 101頁に「砂糖は「白い麻薬」、向山先生のマクガバンレポートン話は有名である」と書いてあります。これは米国の上院議員だったマクガバン氏が1970年代後半に州議会や連邦議会に提出した一連の食品摂取と健康に関するレポートだそうです。精製した食品をとらないようにと書いてありますが、学術的な根拠のあるレポートではありません。
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<マクガバン・レポート>
レポートでは、具体的な改善目標が示されています。
1、 未精製である野菜・果物・全粒といった穀物による炭水化物(糖質)の摂取量を増やすこと
2、 砂糖の摂取量を減らすこと
3、 脂肪の摂取量を減らすこと
4、 動物性脂肪を減らし、脂肪の少ない赤身肉や魚肉に替えること
5、 コレステロールの摂取量を減らすこと
6、 食塩の摂取量を減らすこと
7、 食べ過ぎをしないことレポートでは、具体的な改善目標が示されています。
1、 未精製である野菜・果物・全粒といった穀物による炭水化物(糖質)の摂取量を増やすこと
2、 砂糖の摂取量を減らすこと
3、 脂肪の摂取量を減らすこと
4、 動物性脂肪を減らし、脂肪の少ない赤身肉や魚肉に替えること
5、 コレステロールの摂取量を減らすこと
6、 食塩の摂取量を減らすこと
7、 食べ過ぎをしないこと
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 この要約を見るかぎり、砂糖の過剰摂取を避けることを推奨しているだけに見えます。

 TOSSの先生たちは「⑱砂糖は白い麻薬」を見て「ほんとうだろうか?」と思う人が少なくないに違いありません。一般的な常識とは異なっていますからね。TOSSのメンバーは、普通の教員に比べて、たくさん本を読んでいるし、ネットのリテラシーにも優れた人が多いのです。もちろん、この本の著者の水野さんもそうで、以前ネットのリテラシーについて、優れた洞察をアップしています。

 向山家の子育て21の法則の⑱に「砂糖が白い麻薬」だ書いているのですから、言ったのは向山洋一さんですね。一門であり直弟子、それも「高弟」である水野さんが、師匠を批判しないのはよくわかる。落語界だって、師匠と仰ぐ人を批判するバカはいない。
 でも、「200人の向山一門」の外側にいる9800人、98%のTOSSのメンバーはどうでしょう?
 わたしが疑問に思ってネットでググったように、「砂糖が人体に悪い根拠」「砂糖が人体に有害である根拠」というようなキーでグーグルで検索するでしょうね。トップに出てきたのは次のサイトです。

 「「砂糖は健康に悪い」は本当? どんな影響があるの?
 中身を読んでみると、虫歯や体重増加など、砂糖の過剰摂取の害を列挙しています。そして最後に、「砂糖は成長に必要な栄養源、でも摂り過ぎに注意しましょう」となっています。過剰摂取がいけないのであって、砂糖そのものが悪いわけではないのです。砂糖の精製の仕方にも言及しているものがあります。純粋な砂糖の結晶は白い。三温糖は白砂糖と成分はほとんど一緒、黒砂糖はミネラル分が多い。白砂糖にミネラル分が少ないことが問題なら、それをサプリメントで補ったっていいのですよ。
 他にもいくつも出てくるから、ご覧いただきたい。
 「塩分の過剰摂取の害」も同様にしてたくさん出てきます。

 水野さんはの主張は向山氏とはまったく違って穏やかなものです。「砂糖が白い麻薬だ」なんて書いていませんよ。慎重に次のように書いています。わたしでもこういう風に書きます。
向山家と同じように、母乳で育てる、清涼飲料水は与えない、人口添加物の入った食品を極力避けるという点も意識するようになった」同書102頁

 繰り返しますが、水野さんは「砂糖は白い麻薬」だとは書いていません。向山氏がそう言っていると書いただけです。
 白砂糖が白い麻薬だという記事はネットにいくつもあります。その中の一つに白砂糖は化学物質だと書いてありました。そうではない、サトウキビからつくられた天然由来の食品です。食品の製造過程も調べずに思い込みで、まるで化学的に合成されたか、化学薬品を添加して白くしたかのように書いています。間違っていますよね、白砂糖の原料は天然由来です。砂糖の製造法についてはっこちらのサイトをご覧ください。
*「白い砂糖は悪者ではなかった。なぜか根強い「白い食べ物は有害」説

 ネットのリテラシーについて卓見を披露している水野さんがこういうサイトをチェックしていないわけはない。でも、彼は直弟子ですから、師匠批判になることは避けます。だが、直弟子ではない一般のTOSS会員の中には、こういう記述を見たら、腰が引けるというのが本音でしょう。学術的な団体ではなくてとたんに宗教臭を感じるでしょう。「⑱砂糖は白い麻薬」説には学術的な根拠がありません。TOSS内部で、「過剰摂取でなければ問題ないのでは?」なんて言いにくいでしょうね。そんなことを言って居づらくなるなら、言わずに退会するでしょう。

 芸事なら師匠と弟子、宗教なら教祖と弟子、向山一門は向山洋一先生を教祖と仰ぐ団体に、外部からも内部からも見えてしまう。向山一門とTOSSの一般の会員の間には越えがたい溝があるように感じました。
 直弟子である水野さんの役割は、「白砂糖は麻薬」という、師匠の間違った認識を改めてもらうことではないでしょうか?そうじゃないのでしょう、彼なりの理屈がありますよ、きっと。
 師匠の「砂糖は白い麻薬である」という論と、自分の論、砂糖の過剰摂取がいけないを併記して見せたことだけでも大したものです。水野さんらしい。

<余談:栄養医学研究所の佐藤章夫君>
 彼はわたしより9歳年下でした。SRLでいくつか一緒に仕事してます。沖縄米軍からの出生前診断検査トリプルマーカ―は学術営業部員として彼が担当した仕事でした。慶応大学産婦人科医とトリプルマーカー基準値研究も同じ時期に彼が担当した仕事で、前者はシステム部に不可能と言われて暗礁に乗り上げ、後者はマネジメントできる人材がいなかったので暗礁に乗り上げてました。たまたま、わたしが学術開発本部へ異動になって、関係資料を米国から取り寄せた東さん(わたしの向かいの席で、米国在住25年の臨床検査技師さん、一回りほど年上でした)が、これ佐藤君が担当なんだけど、ebisuさんならなんとかできるでしょって、英文の学術論文をわたしの机の上にポンと投げてよこしました、「手伝ってやって」。否やはありません。資料に目を通したらシステム本部ができないという理由がわかりました。基幹業務システムの入口のところに大きな変更が必要なので、この依頼のためにそんな大きなことはできなかったのです。入り口部分の作り直しになるので、それ以降の処理にも影響します。基幹業務システムはほとんど作り直しです。6年前に基幹業務システム入れ替えで大失敗で、半年間ひどい目に遭っていましたから、断って当然です。だから、基幹業務システムには影響しない方法でやりました。営業所のパソコンで足りない項目、妊婦の体重、妊娠週令、人種などを入力して、八王子から検査結果ファイルが送られてきたら、結合処理して検査報告書を営業所のパソコンから出力したのです。東さんから資料を受け取り、実務デザインして関係部署と調整、プログラミング仕様書を書いて渡し、出来上がるまで1か月間でした。プログラミング仕様書を書くのに、HP43cで曲線回帰分析が必要でした。2次曲線回帰式でした。この仕事ができる可能性があったのは、わたしのほかは研究部でHP計算機を使っていた人と、研究部で統計解析の専門家でSASを使っていた古川君だけでした。二人ともシステムデザインは無理、製薬メーカーとの交渉も無理でしたから、社内でこのプロジェクトを担えるのはわたしだけでした。たまたま、絶好のタイミングで学術開発本部へ異動になったのです。
 それから9年ほどで佐藤君が休職して、米国で臨床栄養医学の学位を取得して、会社を辞めて栄養医学研究所を設立し独立しました。日本人ではこの学位取得者は初めてのケースでした。わたしのほうが先に辞めて300ベッド弱の特例許可老人病院の常務理事をやっていたので、彼が独立してから2年間、わたしはこの会社の監査役をやってました。佐藤君の上司の学術営業部長は窪田規一さん、現在はペプチドリームの創業社長です。創薬関係の仕事を請け負う一部上場のベンチャー企業です。
 専門家である佐藤君に砂糖について聞いてみたいのですが、2017年に亡くなっています。彼が処方したミネラルのサプリメントはいまでも販売されているようです。
 水野さんに紹介したかった。

 東京で仕事すると、人脈が違ってきます。これはどうしようもない。若い人たちは、一度は都会に浸ってきてほしい。北大なんか目指さずに東京の大学へ行ったらいい。


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