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#4791 『向山家の子育て21の法則』のススメ(2):第2章と第3章をめぐって July 30, 2022 [55.1 TOSSの水野さんとの対話]

<最終更新情報>7/31朝9:45 <余談:作家川野芽生の学びの意味>追記

 『向山家の子育て21の法則』のススメ(2)を書こうと思うが、共著者の水野さんがわたしのアップした記事を受けて、FB上に思うところを書いてくれたので、それを踏まえて第2章以降を逐次紹介しながらコメントを入れていきたいと思います。水野さんのご意見は後でまとめてアップします。

 水野さんはFBで重要な区分を提起しています。法則化運動であるTOSSのメンバーとしての立場と約200名の向山一門の中で直弟子としての発言を区別したいようです。
 師匠と弟子の関係では落語の一門を想起したらいいのかもしれませんね。もちろん師匠への批判はナシです、師匠の芸風にほれ込んでの全身全霊での弟子入修行ですからね。名人芸の授業はそういう師匠と弟子との関係で成立したものなのでしょう。そういう点でも落語の一門によく似ています。
 TOSSメンバーは1万人、その内の優秀なお弟子さんたち200人の中でも数名の「高弟」のお一人と水野さんをお呼びしても差し支えないのでしょう。

 ところで、わたしは前回、法則化に関して2つの異なる解釈を提起しました。
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A. 誰がやっても同じ結果が出せる教育技術を洗練して追求して行こうということかな?
B.自分の培ってきた教育実践を法則化しようという意味にもとれる。
 こちら(B)の解釈は部外者のわたしには不遜に感じる。
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 水野さんの説明によれば、AはTOSSとしての法則化運動の視点、Bは向山一門の弟子としての視点だそうです。師匠である向山家の子育ては、水野さんにとっては無前提で「子育ての法則」で、それを広宣流布するのは直弟子の崇高な使命なのでしょう。
 そうして整理してみると、「第2章 向山家の子育て21の法則」は向山一門の200名の方から21名の人がそれぞれ、向山家流の子育てをやってみた、あるいは考えた結果報告ということになります。

 部外者のわたしには、向山洋一氏の特殊な環境と経験を一般化しようと、向山一門の人たちが頑張っているように見えます。健気で純真な姿は十代の後半に出遭った二人の人(純真で熱心な共産党員と創価学会員)を思い出させました。一人は高校時代の同級生でもう一人は東京で隣の部屋に住んでいた板橋区役所職員でした。朝の5時まで「南無妙法蓮華経...」が聞こえていました。「眠くならないの?」と聞くと「お経をあげているからなんともない」と言ってました。純真な信仰の姿を見た思いがしました。
 60歳を過ぎたはずなのに水野さんは相変わらず純粋でお若い、そしてお人柄もたいへんよいのです。エトセトラというNPOの主宰者で、地域の子育てに中標津町のFM放送を通じて貢献しています。

 話を元に戻しますと、2章のタイトルは「向山家の子育て21の法則」であって、「向山家の子育て21の法則」ではありません。数学なら、公理のようなものです。法則化運動では、たくさんの教育実践から優良かつ一般化できるものを選び出して、教育実践の中から帰納的に法則を模索するというものでしたが、向山一門の活動は、「向山家の子育て21の法則」を所与の前提として、演繹的に自分たちの子育てに当てはめます、そしてどう思ったかを綴ったのが第2章です。

 TOSSの活動の母体となった法則化運動は、教育実践から帰納的に法則を追求していますが、第2章は「向山家の子育て21の法則」と書いてあるように、そこから自分たちの子育てを演繹的に実証しようというものです。方法が真逆に見えます。これは一門の方々には違和感がないのでしょうがTOSSのメンバーで一門ではない方々には違和感の大きいものでしょう。
 優良な実践例から、一般化するという法則化運動の方法論は、本家本元の向山家の子育て21の法則ではなぜ放棄されたのでしょう?
 なぜそうなったのかは、向山洋一氏を師匠と仰いでいる21人(21の質問をした人が全員向山一門とはかぎらないようです)が、そのまま受け入れたからだとわたしは考えました。それは信仰そのものです。外に向かっては、優良な教育実践例を集めて、そこから一般的なものを拾い、法則化を試みようと言いながら、向山一門ではまったく反対の方法論で子育てを論ずる。どなたか一人ぐらい、「方法的な矛盾がありませんか?」と声が上がっても不思議ではないと思いますが、あがらないのでしょう。それは、一門の師匠に対する絶対的な信頼がベースになっているからなのでしょう。絶対的的信頼とは信仰と変わるところがありません。そういうところも、外側から見ると、宗教臭さを嗅ぎ取ってしまう原因のような気がします。これでは大きくなれませんね。TOSSには熱心な教員が多いのに、一門の存在が、方法論のベクトルの違いが、組織拡大の足かせになっているのではありませんかね。
 向山一門ではない私は、あくまでも向山洋一氏を一人の人間として見たいと思います。

 わたしは事例の一つとして、自分が受けた子育てを前回詳細に書きました。ビリヤード店が家業だというのも珍しいし、そこで小学生から高校生まで毎日遊んだり店の手伝いをして身につけた脳の使い方も大半ユニークです。とても一般化できません。トレーニング次第で数%の人は似たような脳の使い方をマスターできるとは思いますが、特殊な事例の一つであることは否めません。脳の使い方を広めることができたら、一般化可能ですし、それを「法則化」ということはできるのでしょうね。
 向山洋一さんの子育ての経験もたくさんある中の一つだとわたしは考えます。共通点はいくつか見つかりました。代表例は「両親のどちらからも勉強しろとは言われたことがないこと」です。他にもいくつか類似点があることは前回書きましたが、各人がそれぞれ違った子育てをされてきて、いまがあるのではないでしょうか。普通はそう考えます。

 第2章では向山一門の21名の方の子育てが、「向山家の子育て21の法則」に則って紹介されています。わたしはこの法則を全否定しているのではありません。わたしが受けた子育てもいくつか該当するものがあるのですから、賛同する項目も多いのです。だから、これはこれで面白いし、きっと多くの人の役に立つでしょう。わたしの言いたかったことは一つだけ、方法論がAとBとでは真逆であるということ。第2章はこれくらいにします。

<日本の伝統的な子育てや価値観をめぐって>
 第3章のタイトルは、「講座・日本人が知らない「日本の子育て」」(113-172頁)となっています。ここは直弟子である水野さんのご担当です。「法則①先人の知恵に学ぶ」と関連しているので、とっても大事な部分です。

 最初に母子手帳を取り上げています。終戦後間もなくのでしょうが、母子手帳に書かれている子育て4箇条と現在の母子手帳に記載のある子育て4箇条が真逆である事実を述べています。面白いので書きます。
 これが昭和20年代の母子手帳記載事項です。
・別々に寝ましょう
・抱かないようにしましょう
・一人で遊ばせましょう
・甘えさせてはいけません
 現在の母子手帳には...
・見て話しましょう 
・抱っこしてあげましょう
・一緒に遊びましょう
・甘えさせましょう

 「別々に寝ましょう」は欧米の性生活とも関連していると思います。日本では人の気配のある所でのセックスはタブーではありませんでした。平安時代だったかな、絵巻物に爺と婆が真昼間に孫たちが周りではしゃいで走り回る中で、まぐわっている絵図が残されています。源氏物語や枕草子には、男が女のところに通いますが、当時の家屋事情では女のいる部屋には、衝立があるくらいで、女房たちも同じ部屋に寝ていますから、そこでいたしたら丸聞こえですが、そんなことにはお構いなしです。翌朝、男が帰った後で、女房達は昨夜訪れた男がどうだったかとエッチな話で盛り上がるのです、そして昨夜の男のランキングを決め、大きな声で笑って話していたのでしょう。枕草子にそうしたシーンが出てきます。清少納言は、男が訪れたが、なかなか中に入ってこないので、何と決断のできない男だと笑いものにしてます。男ならさっさと入ってきて、することして帰ればいいのにと。かわいそうな男は平生昌(たいらのなりまさ)*でしたね。カテゴリー「枕草子」に収納してあります。高校の古典授業で取り上げる先生はいますでしょうか?
*「#4039粋な女と無粋な男:第六段 平生昌」
 そういうことを考えれば、子どもと一緒に寝ている横で、夫婦が交わるのはなんともないことでした。そもそも古事記ですら、国産みが男女の神様の交わりから始まるのですから、セックスは神事に関連づけられていたのです。だから、子供は「神の子」、水野さんはそうも書いています。個人の自立を最優先に考えた欧米の子育てには、宗教の影響が大きいのでしょう。幼子をセックスの場から遠ざける。マリアが処女受胎してキリストが生まれたなんて神話を本気で信じているのですから、高貴な人間はセックスでは生まれない、セックスは忌避すべきものになっているのではないでしょうか。もっとも、ロシア語通訳だった米原真理子に言わせると、ヘブライ語から他の言語、ラテン語でしょうか、書き替えたときに、誤訳されてそうなっただけで、ヘブライ語の方ではマリアは不特定の男性と交わっていて妊娠しただけと書いていました。
 日本の伝統的な価値観に基づく子育てと言いながら、水野さんは日本人が明治まで維持してきた性風俗はばっさり切り捨てています。なぜでしょう?

 最初の四項目は欧米の価値観での子育て、日本の伝統的な子育てと違って当たり前です。性風俗と宗教が違いますから。GHQが「日本の古い家族制度を変えるためにやってきたわけです」(p.115)と水野さんは書いています。
 そうですね。でも、キリスト教をベースとするこうした子育ては日本には合わない。もちろん水野さんもそう思っています。

 博学ですね、水野さん。わたしの知らない名前が出てきました。1889年から1894年まで駐日公使を務めたフレイザー氏の夫人の言を引用して15歳で日本人が「一夜にして大人になる」と書いています。水野さんの書いているところを要約すると。これはその歳になると若衆宿や娘宿に所属することになるからです。「読み・書き・そろばん」を教える寺子屋を卒業して青年の独立組織に入ることになります。そこで運用されていたルールを七つ、140頁に水野さんは列挙しています。教育機関としての若衆宿や娘宿を取り上げているのですが、この仕組みは性風俗と切り離しては論ぜられません。筆おろしは若衆宿の頭の指示で新入りメンバーが指定された女性のところへ行っていたします。娘宿との雑魚寝もありです。子どもができると女性に指名権があります。関係をもった男たちは、女が指名したら拒否できないのです。性は奔放でしたが、厳格なルールがありました。20歳にもなって童貞とか処女なんてありえなかったのです。現在は30歳になっても未経験の女性や男性がかなりの割合でいるそうです。若衆宿や娘宿がないからでしょうね。代わりにSNSがありますが、STD(性感染症)のリスクが大きい。梅毒がこの10年間で6倍に増えています。若衆宿や娘宿の時代なら、共同体の中ではだれがどんなSTDに感染しているか情報の共有がなされるので、感染拡大を防げるでしょうね。

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古来からの性教育の智慧
<若衆宿・娘宿の目的>
 昔の農村における若衆宿や娘宿は、一緒の性の知識の伝習塾だったが、本来の目的は、村の労働力の均等な確保のためであった。
 村という共同体では、誰もが等しい労働能力や知識をもつことが要求される。それでないと共同体が保持できない。たとえば、田植えにしても、みんなが早く植えているのに、一人だけ遅いようでうは、全体の能率が下がってしまう。
 このように、村落における秩序と労働能力の均一化、能率化のために、若衆宿や娘宿がつくられ、そこで、共同体のしきたり、人との付き合い、信仰,他村との対応法、そして文字習熟、計算能力の向上、体力の強化、人としての道徳や作法、さらには、幸福な結婚のための身の処し方や相手の選び方などが教えられた。いわば、今でいう研修のための合宿所である。

<性教育機関に変質>
 若衆宿や娘宿は、若者たちに共同体の一員としての意識をもたせることが第一の目的であったが、夜まで技術の勉強ばかりやってはいられない。そこで夜とか雨の日に、先輩は後輩に性の知識を教えた。先輩が後輩に性知識を教えるという不文の義務が、習慣としてあったのである。
 「源氏物語」の「帚木(ははきぎ)」の巻の中に、有名な雨夜の品定めの段がある。
 宮中の物忌(ものいみ)が何日も続いたある雨の日の夜、光源氏の部屋に頭中将(とうのちゅうじょう)や佐馬守(さまのかみ)や藤式部丞(とうしきぶのじょう)がやってきて、女たちの話を始める。佐馬守が女の三階級論や中流重視論、良妻難説などを、自分蘭体験を交えながら話す。藤式部丞もインテリ女性について話す、これは、先輩たちが性についての話をして、光源氏に女を選ぶ条件などを教えているのである。
 このように平安時代からすでに、先輩が、後輩に性的な知識や女性の選び方なども含めて教えていたのである。
 娘宿では娘に対しては、所長が訪れたときに、それに対する諸地方や恐怖感の除去を、親ではなくて、先輩たちが教えてくれた。男性の能力や、健康に応じてどういう男を選んだらいいかという智慧も、そこで教えた。
 具体的な性の接触行為についても、その場になって慌てたり、傷ついたりせず、自然な生の営みができるように、教えられた。不倫な行為が引き起こす悪しき結果についても、教えられたのである。
 若衆宿では男に対して、大尉など具体的なテクニックのほかにも、性行為は相手の女に対して道徳的に責任があるということなどが教えられた。 樋口義之著『日本人の歴史①性と日本人』102-103頁
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 林望現代語訳『謹訳源氏物語第1巻』で先週、この部分を読んだ。出版される都度購入して全巻読んだが、最近また読みたくなって、本を開いている。
 紫式部が書いているのだが、彼女は男が女をどのような視点から選ぶのかをよくご存じです。理路整然と複数の視点から三人の男の持論を展開して見せます。これは清少納言にはできない技です。ここまで品位の高い女選び談義を書く能力をもった作家は現代にはいないかもしれません。それほど格調高いのです。光源氏は三人の話を聞きながら、ふんふんと気のない返事をして、自分の意見はちょっと違うと距離を置いているように見えます。あのシーンでは光源氏は他人には言い出せない鬱屈や心の悩みを抱えているようにも見えます。
 漢学の素養のある女は難があると誰かが発言しています。漢文での文のやり取りなんて情緒に欠けるでしょうよ。漢学者の娘であった紫式部は、そういう風に周りから揶揄されていました。それとなく物語に自分を登場させています、とってもオシャレな人だ。(笑)

 祭りや盆踊りは乱交の場でした。亭主も人妻も盆踊りに出かけ、相手を見つけてお互いに踊りの息が合えば、手に手を取って輪を離れて、適当な場所でいたします。女房殿が妊娠しても亭主は自分の子どもとして育てます。それがあたりまえのルール(不文律)でした。
 暗闇祭りで有名な、東京府中の大國魂神社は、昭和30年代初めのころまで、お祭りの三日間は無礼講でした。境内の中に入れば、乱交してかまわなかったのです。元々寺社奉行の管轄ですから、町奉行所の警察権は及びません。そういう伝統があるから昭和30年代初頭まで、闇祭りの時の境内内は警察の管轄の埒外でした。親は年ごろの娘を大国玉神社例大祭の三日間は出したくない、年頃の娘は親を出し抜いて家を出て祭りへ行きたがる...
 根室高校を卒業して、昭和42年に東京へ行きましたが、その年に府中の人から聞いた話です。

 1990年頃に米国の製薬メーカの人がSRL八王子ラボを見学したいというので、ご案内しました。HLA検査室へはいると、テスト数を訊いてきました。その中で親子鑑定はどのくらいかと問うので、ゼロですとお答えしました。日本では移植の組織適合性を判断するためにだけ使われていました。親子鑑定は一つもないとお答えすると米国人の方は絶句してました。その当時、国内ではは親子鑑定のDNA検査はまだ商業ベースではなされていませんでした。やるとすれば、たしかな親子鑑定は白血球の血型検査であるHLA検査で判定するしかありません。米国では裁判で親子鑑定にHLA検査が使われているというのです(HLAタイピング検査は要するに白血球の血液型検査です。数万人に一人の割合でしか同じタイプがありません)。日本では、そもそも親子ではないという夫側からの裁判事例が一つもなかったのです。米国ではその当時で年間3000件あると聞きました。凄いでしょ、日本の性風俗に関する伝統はいまでもちゃんと息づいています。

 「0対3000」、それほど、日本と欧米の性風俗には大きな違いがあります。水野さんは日本の伝統的な価値観に基づく子育てと言いながら、太い柱である日本の性風俗には触れていません。日本人が千年以上も育んできた性風俗でとっても大事なものですから、そこを知っているのにスルーはいけないと思うのです。(笑)

 明治政府は富国強兵・殖産興業で欧米に追い付けと、肩を並べるために、日本の性風俗を破壊しました。若衆宿や娘宿を廃止したのです。いくら廃止しても価値観はそのまま残っています。HLA検査が親子鑑定には一つも使われなかったのが日本です。問題にしていないのです。調べたら、10人あるいは20人に一人ぐらい親子ではないケースがあるかもしれませんね。でも「育てりゃ自分の子だ」というおおらかな考えが日本人の心の底にはあるのです。少なく見積もっても1000年を超える伝統的な価値観ですよ。
 水野さんは「子供組」を「若者組」と並べて書いていますが、この点はわたしは少し抵抗があります。
 子供組は共同体の行事を担当する組織ですから、行事のある時だけ、通年の組織ではありません。根室では金刀比羅神社の例大祭に四祭典区があって、それぞれ先太鼓や笛、金棒、山車の太鼓や笛、手古舞などを担っています。大人が混じって指導していますが、子どもたちの集まりです。イベントの担い手ということ。だから根室の大人は、イベントが大好きな人が多い。大人になり切れていないのかも。

 性風俗に関するまとめです。
 明治政府の文部省は欧米に対して体裁が悪いので、若衆宿や娘宿を廃止し、日本の伝統的な性風俗を葬り去ろうとしました。それはいまも続いています。高校の古典教育が性風俗を切り取った形で授業が行われていることに端的に現れています。伊勢物語や源氏物語、枕草子、和泉式部日記など、古典は性愛をふんだんに取り上げていますが、そこをスルーしてしまうのです。明治政府と文部省が敷いた路線を、令和に生きるわたしたちが墨守する必要はないと思いますが、伝統的な性風俗に言及すると、現在の文教政策批判にならざるを得ません。だから、TOSSのメンバーとしての水野さんはあえてそこへは踏み込まない。でもそれでは都合の良い日本の伝統的な子育てをつまみ食いしているように見えます。
 正直で誠実な水野さんにはこちらも同じ態度で接したい、そういう思いで書きましたが、最後のところで辛辣な表現になってしまったことは、どうかご容赦ください。

 私個人が感じた問題点をあげつらいましたが、総じてこの本はお母さんたちが子育てするのに役立つ本だと思います。この本を書くために、彼は1000冊も育児に関する本を読み漁ってます。そのエッセンスをいただけるのですから、ありがたい、ありがたい。孫がいるので感謝、感謝してます。(笑)

 TOSSの活動は手弁当のようです。会費はなし、珍しい団体です。向山一門は宗教臭い匂いがわたしにはしますが、統一教会のようにお金を巻き上げる活動はありません。手弁当で持ち出しです、よくやってますね。今回の対話で、そのあたりがわかって熱心さに驚いています。
 高校まで含めると全国に約90万人の教員がいますが、TOSSは公称1万人の教育団体。教員の90人に一人しかいません。でも、1万人もいるとも言えますね。宗教くささが抜けたら、一気に会員が10万人になるかもしれません。いまのままだと、向山洋一さんのカリスマ性が大きすぎるので、お亡くなりになったら、組織がどうなるのか危惧します。当然、具体的なプランがあるのでしょう。人間はいつまでも生きてはいられませんからね。TOSSの法則化運動と向山一門の方法論の違いは、この教育団体の未来にどのような影を落とすのでしょう。スキルの認定を含めていくつか重要な問題をクリアしないといけないように感じます、大仕事ですね。いくつかの企業で長期計画や予算管理、経営改革を担ってきたので、たいへんさが肌感覚でわかります。

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 「親によし、子によし、世の中によし!」
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向山家の子育て21の法則

向山家の子育て21の法則

  • 出版社/メーカー: 騒人社
  • 発売日: 2022/07/08
  • メディア: 単行本
<余談:川野芽生の学びの意味>
 7/31北海道新聞8面「ほん」に『無垢なる花たちのためのユートピア』の作者である川野芽生のインタビュー記事が載っていた、その最後に彼女が考える学びの意味が記されている。
今の社会を批判し変えていく『危険人物』を育てること。それが『学び』の意味だと私は思います。」
 歌人のようですが、この女性、主張がはっきりしていて、凄いね。

無垢なる花たちのためのユートピア

無垢なる花たちのためのユートピア

  • 作者: 川野 芽生
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/06/20
  • メディア: Kindle版
 歌人が登場したので、今朝(7/31)NHKラジオで聞いた短歌を紹介します。
  暴力の うつくしき 世に住みて 
   ひねもすうたふ わが子守歌
 斎藤史の歌です。226事件が題材になっています。父親の陸軍少将斎藤 瀏が事件に関連して5年投獄されています。そして史(ふみ)の旭川時代の幼馴染の青年将校2人が死刑になっています。
 権力奪取のためではなく、やむに已まれぬ思いで決起し、処刑された青年将校たち。
 暴力がうつくしく映る世の中で、ひがな一日、死んでいった幼馴染の青年将校二人を思い出し、安らかに眠れと祈る史(ふみ)の姿がわたしの目に浮かびます。
 嘘偽りの政治をやりつくし、戦後最長総理大臣在任記録を打ち立てた政治家の生きざまに、挽歌を贈る歌人は現れるだろうか?



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参考にした本を六冊紹介します。



性と日本人 日本人の歴史第1巻 (講談社文庫)

性と日本人 日本人の歴史第1巻 (講談社文庫)

  • 作者: 樋口清之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/07/09
  • メディア: Kindle版





忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/04/20
  • メディア: Kindle版





盆踊り 乱交の民俗学

盆踊り 乱交の民俗学

  • 作者: 下川 耿史
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2011/08/19
  • メディア: 単行本

嬥歌(かがい:歌垣ともいう)についてはこちらの本をご覧ください。万葉集にもあります。ようするに乱交です。




日本古代文学入門

日本古代文学入門

  • 作者: 三浦 佑之
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2006/09/01
  • メディア: 単行本

文庫本が出たようですね。こちらでお読みください。




増補 日本古代文学入門 (角川ソフィア文庫)

増補 日本古代文学入門 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 三浦 佑之
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/09/18
  • メディア: 文庫

弓削の道鏡の事件で有名な孝謙上皇が、宮中で嬥歌を催すシーンが描かれています。どの巻だったか忘れました。




風の陣【大望篇】 ((PHP文芸文庫))

風の陣【大望篇】 ((PHP文芸文庫))

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: Kindle版

 文庫版が出たのですね。こちらの方が安いですが、オリジナルは装丁がとってもいい。日本の伝統的な和綴じになっています。


謹訳 源氏物語 一 改訂新修 (祥伝社文庫)

謹訳 源氏物語 一 改訂新修 (祥伝社文庫)

  • 作者: 林望
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2017/09/13
  • メディア: 文庫



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