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#4703 根室高校から偏差値65の大学へ現役合格する勉強の仕方(2) Jan. 27, 2022 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

 田舎の偏差値45の高校から偏差値65以上の難関大学へ合格するのは、都会の進学校からの受験生よりも圧倒的に不利であると思われているが、やり方次第でそうでもなく、ギャップを埋める工夫ができることに「通りすがり」さんの問題提起で気がつきました。このテーマは前回に続いて2回目になります。

 数学の問題で、題意の把握がむずかしい問題は進学校の生徒は、授業のレベルが高いので、そうした問題を普段の授業で採り上げ、先生が題意についてもスマートな解説をしてくれますから、それを記憶して使えるようになればいいだけです。だから、題意の読み取りトレーニングの機会が小さくなります。田舎の偏差値45の高校ではそもそも大学入試共通テストレベルを超えるような高レベルの問題は授業では取り上げられませんから、共通テストレベルの問題でも、題意は解説を読むか自分で把握するしか手段がないのです。
 ここで田舎の生徒は二つに分かれます。問題集の解説をすぐに読んで正解手順を記憶するスタイルをとる生徒と、自力で答えを出してから解答と解説を読む生徒に分かれるのです。「解説依存型学習」「独力での題意把握型学習」と仮に名付けておきます。
 解説依存型の学習を中高6年間継続した生徒は、難易度の高い問題の題意の把握を独力でした経験がほとんどないので、そういう題意の読解力を試す問題にはひ弱になってしまっていることは想像に難くありません。独力での題意把握型の学習を6年間続けた生徒には、通りすがりさんが挙げてくれた理科大の過去問のような問題は「ふつう」の問題なのです。いつもやっている通りに、題意把握に集中すればいいだけです。2次試験に圧倒的な差が出ます。
 十数年前になりますが、「お迎えテスト(中1の四月の学力テスト)」で数学が満点の生徒が入塾してきました。野球部の生徒でした。勉強の仕方を観察していると、むずかしい問題はすぐに解答・解説を参照して、覚えてしまいます。もうひとり、水泳をやっている生徒が6年生から来ていました。学力が高いので6年生の途中で問題集を終了し、中1の問題をやらせていました。ところが、方程式の文章題で躓きました。「先生、問題少し飛ばしていいですか?」とあるとき言いました。辛かったのです。学力の高い生徒だったので、「ダメだ、全問やれ!」と指示しました。涙目でやってました。二人は同級生でしたが、数学で「独力での題意把握型学習」をつづけた生徒は4月の学力テストをのぞいて、卒業するまで「解説依存型学習」の生徒に数学の点数で後れを取ることはありませんでした。「解説依存型学習」は学力の伸びが小さくなるようです。

 高校が偏差値45の1校しかない地域では、小学生のときから「独力での題意把握型学習」スタイルを身につけたら、難関大学の2次試験で進学校のトップクラスの生徒と同じ程度の学力にあるいはそれをしのぐ学力に達することができるということではないでしょうか。

(昨年、根室高校から現役で旭川医大へ合格したO君のケースを書いておきます。道北・道東推薦枠で26名が応募、半数を共通テストの得点でで足切りし、そのあと13名に面接と小論文を課して総合点で合否を決めています。10名の合格者はもちろん道内や道外の進学校からの受験者です。トップ合格者は旭川東高校の浪人生でした。O君が2位でしたから、現役合格者ではトップ合格です。小論文295点/300点満点で差がつきました。名だたる進学校からの受験生全部を超えたのですから、彼の快挙を称えたいと思います。難易度の高い本を選んで音読指導を7年間続け、対話型でその内容を批判的に吟味していました。大学のゼミレベルの対話を重ねていましたから、論理的な思考スタイルがしっかり身についたことと、7年間やり通した「独力での題意把握型」学習スタイルが決め手になったと思います。(2/12追記))
 
 いま俎上に載せているのは、学力が上位3-5%の生徒たちの話です。それ以下の生徒には「独力での題意把握型」でも学習は無理です。だから、上位5%に届かない生徒たちには丁寧に題意の解説をしています。ただし、解説の程度は生徒の学力に応じてやるので、同じ問題でも解説の仕方に違いが出ます。個別指導ですから当たり前ですね。(笑)

 あと二つ、英語の学習と国語の学習の仕方についても、言うべきことがあります。これもやり方次第で、都会の進学校の生徒を凌げるということ。次回、それらについて実証済みの方法に具体的に言及します。
 
<余談:観察事実>
 どちらの生徒も部活に熱心でした。熱心すぎて「解説依存型」の生徒は肘を壊して2年生のときには野球をやめて陸上部に移っていました。小学校から投げさせすぎました。小中学校の野球部担当の先生はスポーツ医学の知識をもってもらいたい。
 水泳をやっていた生徒は、高校のときに全道2位の成績を残し、全国大会へ出場してます。
「47都道府県からトップレベルの高校生が集まるのだから、厳しかっただろう?」
「はい、ビリから2番目でした」
 そういって笑っていました、気持ちのいい奴でした。
 両方の生徒が高校で部活に熱心で、通塾はしてません。前者は釧路公立大へ、後者は室蘭工大へ進学しました。北海道には工学部では北大と室蘭工大の間に位置する偏差値の大学がないのです。道内の国公立大が学費も4年間の生活費も低く抑えられるので、選択肢が狭くなります。学力の高めの生徒たちにはちょっと気の毒です。



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