SSブログ

#4609 根室高校から東大理系現役合格へのシミュレーション Sep. 1, 2021 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

<最終更新情報> 9/2 11時 麒麟さんの投稿を読んで、書き直しました。麒麟さんどうもありがとう。
 9/3朝8:35追記 <東大理三を受験したい生徒が現れたら>


 偏差値45の根室高校は都会の偏差値45の高校とは決定的な違いがある。それは少数だが高学力層が存在することだ。田舎の偏差値45の高校には全国模試で偏差値75超の生徒がいる。都会ではありえない。
 根室という地域社会はこうした貴重な高学力の生徒たちを育て切れているのか、というのがわたしの問題提起である。

<東大理系の1次試験と2次試験の合格最低点>
 東大理系は、理科一類、理科二類、理科三類に分かれている。理科三類は医学部進学系。
 共通テストでの足切りラインを検索してみると

      共通テスト  2次合格最低点  合格定員  定員割合
 理科一類:699/900   333/550   1108人 (63.8%)
 理科二類:629/900   314/550    532人  (30.5%)
 理科三類:534/900   375/550    97人    (5.6%)
                    1737人

 共通テストは700点をクリアすればよろしいということになる、問題は2次試験である。理科三類は医学部で定員が少ないので、2次試験の合格最低点が68.2%と高い。
 共通テストの足切りラインをクリアできたら、後は2次試験のでき次第と言うこと。

<理三受験は学習スタイルが特異>
 理三受験者は共通テスト対策はほどほどにやって、2次試験対策に勉強時間を投入していると読むべきだろう。
 ハンドルネーム麒麟さんの投稿によれば、2次試験の配点は東大理系(理科一類から三類まですべて)の550点は、共通テスト110点(900点満点を圧縮)、数学・理科・英語が各120点、国語が80点です。
 以下のサイトで確認しました。
*東京大学の入試科目および配点(共通テスト・二次試験) | 東京大学入試情報2022 | 東大塾 | 河合塾 (kawai-juku.ac.jp)


  麒麟さんによれば、地方の国公立高校からの合格者は毎年数名にすぎないという。数学オリンピックに合格できるくらいの素質のもち主でないと地方の国公立高校からは合格できぬほど、熾烈な戦いであるようだ。そんなレベルの生徒を指導できる教員は地方の公立高校にはほとんどいません。私塾だって同じことです。


<根室高校から国立旭川医大へ合格した生徒が東大理三を受験したとしたら?
 今年3月に根室高校から国立旭川医大へ現役合格した生徒の共通テストの得点は706点。110点に換算すると86点。
 東大理系の2次試験国語・数学・理科・英語の4科目。2次試験で平均65点を超えるのは地方の公立高校からでは無理がある。理科一類か理科二類が目いっぱい。理科三類は地方の公立高校の生徒たちにとっては手の届かない北極星のようなもの。

<いつから勉強をスタートさせるべきか?>
 小5の1月からの通塾だったので、高3になって英語も数学もかなり厳しいスケジュールで勉強せざるを得なかった。わたしが、思い描いているのは小4スタートである。この標準スケジュールに1年9か月遅れてスタートしたことが大きく影響した。数Ⅲが終わったのは3年生の夏休みころだった。そのあとで大急ぎで「1対1シリーズ」で勉強していた。東大受験なら『マスターオブ整数』などの問題集も手を付けないといけなかっただろうが、そこまで手が回っていない。英語は受験長文問題集のほかに2次試験対策としてハラリ『Sapiens』を原書で50頁ほど精読している。(国立旭川医科大学の2次試験科目は数学と英語の2科目)
 小4スタートなら、もっと余裕をもって勉強できただろう。結局都会の進学校や東大受験の塾と同じことをやらなければいけないことになる。

<どうやれば根室高校から東大理系への合格者を輩出できるか?>
 国語・数学・英語の三教科は小4から一貫して同じ教師が教えたほうがいい。問題は物理や化学だが、根室高校には放課後補習でなら東大進学希望でも指導できる教員が2名いる。複数の生徒が一緒に、放課後補習を提案すれば数か月間時間を割いて協力してくれる。部活も担当しているからたいへんだろう。とってもありがたいことだった。問題は2次試験の指導ができるかということになる。1次試験のウェイトは1/5しかないのだから、4/5のウェイトを占める2次試験に勉強の時間を割いて戦うことが、受験戦術としては有利だということ。
 これらのことを考えると、小4スタートなら、理三以外の東大を受験できる潜在学力レベルの生徒が根室には毎年3~5人前後いることになるが、2次試験対応で著しく不利となる。それが現実だ。
 根室高校から東大文系への現役合格者は過去2人のみ、見てきたように2次試験のハードルは高いから東大理系へは合格者なしだが、チャレンジしてもらいたい。
 小4から長期教育戦略を立てて、しっかり勉強すれば、根室高校から東大へ現役進学可能な時代が来るかもしれぬ。それには、関係する大人たちの協力体制が不可欠に思える
 東大理系へのハードルは高い、北大や地方の国公立大医学部への進学者を増やすというのが根室という地域の現実的な教育戦略目標にふさわしい。今年、根室高校から現役で国立旭川医大へ合格した岡田君の受験記録が参考になる。いつまでに何をどのようにやればいいのか、目安になる。毎年、現役で国公立医大や北大への現役合格者が出せるようになれば、東大理系の山の崩し方も見えてくるに違いない。いまは見えぬ。

<東大理三を受験したい生徒が現れたら>
 それでも、東大理三を受験したいという生徒が現れたら、伴走することになる。2次試験も英語の指導は問題なしだ。数学は生徒と一緒に勉強したらいい。とりあえず2科目なんとかすればいい。暇を見つけて物理も一から勉強してみるのも一興だ。
 FB上で千葉大学名誉教授の夏目先生とはお友達。彼は百均で手に入るようなものでさまざまな実験をして、解説してくれる。とくに私にやって見せてくれているわけではない。市民講座や子供向けにやるイベント用の準備として、事前にFB上で実験案を示し、チェックのためにやって見せてくれる。複数の物理学者がコメントしているのもとっても興味深い。物理は経済学や数学のようにとっても面白いのだ。


<地域医療問題との関わり>
 根室市の地域医療の大きな問題は、中核病院である市立根室病院の常勤医不足である。毎年国公立大学医学部へ一人を進学させることができたら、20名の常勤医師を確保するのはそれほど困難ではない。そういう能力の子どもが学年に3-5人いるのだ。うまく育てたらいいだけ。
  毎年、根室高校から国公立大医学部へ進学していれば、学齢期の子どもを抱えた医師が市立根室病院へ赴任してくる。東京で働く2倍の収入が保障されるのだから、子どもの教育問題に懸念がなくなれば、根室で働きたいという医師はたくさん出てくる。自然がいっぱい、魚貝類が美味しい。市政が閉鎖的でなければ10年住むうちに定年までずっと働いていたいと思うだろう。住みよい街は、ここに住んでいるわたしたちが創る。

#4608 ②学力格差の原因、①英語音読特訓授業はその時に参加している生徒で内容が決まる Aug. 26, 2021



にほんブログ村


nice!(0)  コメント(10) 

nice! 0

コメント 10

麒麟

東大の配点について書いていただいたところ恐縮ですが、東大理系(理科一類から三類まですべて)の550点は共通テスト110点(900点満点を圧縮)、数学・理科・英語が各120点、国語が80点です。

東大理三は現役合格者70名強のうち50〜60名が、名門中高一貫校御用達の鉄緑会という塾の出身ですが、そこのカリキュラムは英語数学を中1で中学修了、中2・3で高校の共通テストレベルを修了、高1で高校の応用レベル、高2で東大の難問レベル、高3はひたすら東大型の演習をするという非常に過酷なものになっており、受験マシーン養成所と言っても過言ではありません。地方公立から現役で合格するのは(数名)それに匹敵するペースで学習を進められた人か、数学などの科学オリンピックでメダルをとる天才くらいです。

ですので、現実的には東大理一・ニとなりますが、共通テストで満点近くとれても、二次試験の問題は全く質が違うため半分もおぼつかないことが珍しくないです。クリアするためには数学・英語を先取りして完成させ、高2の後半から理科の追い込みをかけることがセオリーになります。しかし、地方から東大理系(理系の難関大学)に合格するためには、特に数学・理科において、一人で参考書を調べるだけでは理解に限界のある、難解な部分をどうカバーするかが1番の課題になると思います。そこをクリアするためのシステムがしっかりしている進学校や大手予備校をヒントにして、方法論(どの時期に、どういった問題集を進めるのが良いか、不明点の理解を深めるにはどういった参考書が良いか、どの模試でどのくらいの成績をとる必要があり、そのためにはどのレベルの問題が解けるようになる必要があるか)を確立できるかがカギとなるでしょう。
by 麒麟 (2021-09-02 09:55) 

ebisu

麒麟さんありがとう。
配点はそう言うことですか。
字句訂正よりも書き直した方がよさそうです。
やってみます。
by ebisu (2021-09-02 10:16) 

ebisu

麒麟さん
いただいた情報を検索して一部確認してから書き直しました。
1次試験の右側に配点が出ていたのを見落としてました。
小4からスタートすれば、高2の夏ごろまでに共通テスト対策は何とかなります。
そこから先の数学、物理、化学の学習は専門の先生の指導が不可欠のようですね。根室ではその辺が限界です。

ところで根室高校には物理と化学は東大受験の生徒がいても指導できる先生がいます。

共通テストで満点レベルなら問題なしですが、そこから先の部分は、数学と物理と化学担当の先生が同時に根室高校で揃うなんてことはないでしょうね。
地方の公立高校から東大を目指すというのはいくつかの条件がカチッと全部が揃って歯車が動き出すときだけ。

それにしても、中学卒業までに共通テストレベルの学習をクリアするのが必要条件だとしたら、小4スタートでは間に合わない。
小学校低学年から受験マシーンの養成のような学習スタイルになりそうです。

自分がやること考えても嫌ですね。道草を楽しみながら、ときに脱線して、もっとのびのびと勉強させてやりたい。

具体的なデータに基づく的確な指摘、とっても勉強になりました。ありがとうございます。
by ebisu (2021-09-02 11:13) 

麒麟

北海道の稚内、網走、紋別、留萌、名寄あたりですと各校で北大合格者が1人出るかどうか(0人も珍しくないです)のようですから、地方の小都市から難関大学合格者がなかなか出ないのは根室に限った問題ではないと思います。
一つの高校だけで考えるだけではらちがあかないので、道内の似た境遇の高校でグループを形成し、高1の段階から北大以上を目指すトップ層の指導のためのノウハウを共有・トップ層同士のモチベーションも含めた切磋琢磨をできると理想的なのではないかと思います。もちろん地理的には非常に距離があるため一堂に会するといったことはなかなか難しいと思いますが、共同で模擬試験を実施し、トップ数十名程度を氏名掲載する、記述問題の添削を行う、大手予備校講師の遠隔講義を受講する、学習の進捗状況や情報などを共有する、オープンキャンパスの日程に合わせて学習合宿を行うなど出来れば、進学校に少しでも環境を近づけられるのではないでしょうか。格差を是正するためにも、税金はこういうところにこそ使うべきだと思います。
こういった地道な取り組みを続ける中で、少しずつ成果が出てきたらノウハウを共有し、学習のロールモデルを作りあげることができます。
by 麒麟 (2021-09-03 21:43) 

ebisu

麒麟さん

確かに根室の問題だけではありませんね。
でもそういう共通の問題があることにこれらの地域の市教委も、首長も、学校も気がついているのかいないのかさっぱりわかりません。
20年後、30年後がどうあるべきかなんて議論は、各市レベルでもなされてすらいません。
問題は、どうやるかということ。

釧路の教育を考える会というのがあります。地域の子どもたちの学力低下に危機感を感じてさまざまな職業の人たちが集まってもう11年めかな。
会員専用掲示板をもって議論しています。年に2度、忘年会あるいは新年会と総会で顔を合わせ、お酒を飲み歓談しています。「基礎学力保障条例」というのが釧路市にあります。市議会の超党派の学力に関する研究会と釧路の教育を考える会が共同で創り上げたものです。

そろそろもっと広域でやるべきですね。
ネットを武器に何かやりようを見つけます。
一緒にやりませんか?
by ebisu (2021-09-03 22:32) 

ebisu

根室高校から現役で国立旭川医大へ合格した生徒の事例があるので高校との仕事の分担や現状の問題点については具体的なものをまとめることはできます。
高校1年からでは遅すぎるので、小4スタートとすると、地域の小学校や中学校も巻き込まなくてはいけません。
もちろん私塾も。
都会で勉強している生徒たちと互角に戦えるように高学力層を育てるには、何をどのように変えたらいいのか、整理はできます。
「根室モデル」をつくれば、それを稚内や日高や網走の高校が巻き込めたら、汎用パッケージに造りかえられます。

1年間しか時間がないので、キックオフまでが、わたしの担当すべき仕事でしょうね。

by ebisu (2021-09-04 09:03) 

tsuguo-kodera

 私のバドミントンクラブには多数の理三進学者が居ました。皆さん真面目な開成生でしたが、勉強以上にバドミントンが好きでやっていました。小学校の時に四谷大塚の有名上位者でした。
 四谷大塚の名もない小学生は千葉大や横国、慈恵などの医学部でした。
 さてそこで今私が入院し面倒を見てもらうなら東大の理三の人はごく少数。多大に進学した人は皆さん優秀です。私は彼らの言うことを聞き、治療をしてもらいます。
 要するに東大理三に行く必要はありません。政府の代弁者で偉ぶりたいなら別ですが。
 足らればですが、もし私が50代なら根室に夏休みに長逗留し、小学4年生から塾で教えます。ebisu塾で雇ってもらいます。(笑)
 確率5割で東大理三、物理に進学させられるでしょう。幸いにして根室はできる生徒にとって中高一貫のようなebisu塾があります。
 先生が目標を持ち10年指導すれば合格しない大学などありません。でもすでに本当に優秀な開成3年生は東大にも京大にも行きません。ハーバードに行きます。先が見える3年生はシンガポール大やマラヤ大に行きます。
 日本の大学はすでに30位以下です。もし私ならどうするか。東大にもハバードにも行きません。2流大学を訪問し先生を面談評価し、やはり数学科です。そしてコンピュータでノーベル賞を狙います。
 人生ダメもと。バカと阿呆の絡み合い。少年よ大志を抱け。北海道だと最高です。コロナでよくわかりました。(笑)
by tsuguo-kodera (2021-09-14 13:40) 

ebisu

koderaさん

なるほど、東大理三にこだわる必要はありませんね。
国公立大医学部は授業料が安い。6年間で360万円ですから、私大の文系学部よりも安い。
それでも根室からではハードルが高いのです。
集団指導で、全国模試偏差値75-80の生徒を指導するのは不可能です。やったら、確実に難関大学は現役合格できません。
だから、個別指導しなければ道を拓いてやれないのです。
中高の学校のふだんの授業レベルは偏差値45です。そこから這い上がるのは首都圏でも無理な話です。

それでもニムオロ塾で貴兄と一緒に根室の子どもたちを小4から教えたら、毎年東大現役合格者が複数名出せるでしょうね。(笑)
教える側の力量次第かも。

by ebisu (2021-09-14 14:53) 

asahi

東大の定員の6割が理Ⅰ、理Ⅱなので目指してほしい気がしますが今まで根室高校では合格実績がないのですね。
by asahi (2021-10-05 07:33) 

ebisu

asahiさん
昭和30年代に東大文系(学部不明)に一人。根室高校へ中標津から転校してきた生徒が合格しています。当時の根室高校長が「東大を受験しようなんて身の程知らずがいる」と言ったそうな。(笑)
十数年前にも文系学部へ1人現役合格しています。
根室高校では2人のみ、まだ東大理系への合格実績はありません。
小寺さんとタッグを組めば、彼の言う通り、毎年合格者が出るかもしれません。
小寺山は、「教える側の力量次第かも」と書いています。そうだと思います。
by ebisu (2021-10-05 08:30) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。