SSブログ

#4600 オリンピック閉幕 Aug. 9, 2021 [8. 時事評論]

 放送はどの局もオリンピック一色で、ニュースを見るのもたいへんだった。
  女子バスケットの決勝戦だけ楽しんだ。身長162cmと165㎝の小柄な選手が、米国の大きい選手と戦っていた。一時は22点差だったが、15点差にまで詰めた。米国選手にボールが渡ると、ペイントエリア内に2m前後の大柄な選手がさっと入ってきて、その選手に高いパスが通る。これはディフェンスが不可能。簡単に2点奪われる。それでもめげずにすぐに点を取り返しに行く。3ポイントシュートは大柄な選手に何度も叩き落された、それでも心は折れぬ、共感が持てた。

 さて、閉会式が終わったので、今回のオリンピックの問題点もしっかり整理しておかねばならぬ。
 ❶7000億円でコンパクトに開催できると招致したのはいわば国際公約だったが、実際には3兆円を超えた。
 ❷「福島復興オリンピック」という旗を揚げ、福島原発事故は「under control」と安倍首相(当時)が世界に向かって宣言した。しかし、大量にたまった汚染水は海洋放出せざるを得ない状況を迎えている。森林の除染はあきらめ、大量に積み上げられた汚染土ももって行きどころがない。メルトダウンした燃料デブリは、10年たった今もその組成すら不明で、いつから取り出せるのかすらわからない。子どもたちを対比させなかったことによって生じた小児甲状腺癌の多発もひどい話である。とても「アンダーコントロール」と言えぬ。復興五輪の看板は途中で降ろされ、コロナに打ち勝つ五輪へ看板が架け替えられたのも記憶に新しい。福島原発事故をそんな程度にしか考えていなかったということだろう。
 ❸招致に絡んで裏金が国際オリンピック関係者の子どものダミー会社へ振り込まれて、フランス警察が動いていたが、それもうやむや。組オリンピック織委員会の竹田会長が引責辞任のようなことになっている。その後の森氏も不祥事で引責辞任。開会式関係者も数人責任をとる形で開会式直前にやめている。
 ❹「7月は気候が温暖」だという謳い文句で招致したが、あいにくと30度を超える酷暑と高い湿度の中でのオリンピックとなった。7月下旬から8月初旬では当たり前だ。こんな嘘で塗り固められていることは誰だってわかるのに、IOCは黙認。商業主義で汚染されたオリンピックの在り方を考え直すいい機会になった。
 見方によっては、いくつもの嘘によって招致されたオリンピックだった。そのことによって、日本の国際的な信用や評価が貶められた。長期的な視野で見ると、正直や信用という一番大事なものに瑕をつけたのである。

 ❹大多数の国民の反対を押し切って新型コロナパンディミックのさなかに強行されたオリンピックは、関係者400人がPCR陽性が判明した。デルタ株は一人が6-7人に感染させるほど感染力が強いとされている。小さい方の6人で計算すると、400人が2週間後には2400人、それらの人たちが帰国し、さらに2週間後には14,400人に...4か月後には400×6^8.5=16.5億人へと感染が広がる。4か月で400万倍である。指数関数的な感染拡大は人間の感覚ではとらえきれないものなのだ。パンデミック下でのオリンピック開催はこれほど大きなリスクがある。オリンピックで国内で感染者が増えた証拠はないと主張する人たちがいるが、ウィルスには国境なんて関係ない。水際対策とバブルでの封じ込めを十分にしたつもりでも、オリンピック関係者で400人もの感染者が出た。
 ❺東京都はCOVID-19陽性者が先週4000人を越える日が続いた。全国では最近4日間15,000人(8/8は14,472人)を越える日が続いて、首都圏内ではすでに医療崩壊を起こしている。
 8/9の東京都の「NHK調べのデータ」を見ると、自宅療養が17,812人、入院調整中13,244人、ホテルへの隔離宿泊両用1,908人、入院中3,517人である。

 ❻台風10号が8/8に千葉沖を通過し、洪水被害をもたらし、今日8/9は台風9号が鹿児島県枕崎を通過して、広島県呉市へ上陸し、西日本に大雨をもたらし、各地で洪水被害が出始めている。7月下旬から8月上旬は梅雨が明けて、台風シーズンに入り口で、空模様は不安定な時期に当たる。

 ❼3兆円を超えるお金をかけて建設したオリンピック施設はこのあと巨大な負の遺産となる。長野オリンピックでそうなったのに、総括しないから、施設建設の拡大再生産をしてしまった。そのまま利用するはずだった国立競技場すらいつの間にか解体、新築された。当初のお約束「7000億円のコンパクトオリンピック」はどこへ行ったのか?
 ❽電通や竹中平蔵氏が会長をやっているパソナにオリンピック関連事業とコロナ関連の補助金業務が法外な金額で丸投げされている。電通と竹中平蔵氏と菅義偉総理の巨大な利権構造がむき出しになった。

 とにかくオリンピックは終わった。これから、後始末が始まる。長野オリンピックのときと同様に総括はなされないだろう。東京都は積み上げてきた余裕資金のすべてを新型コロナパンディミックとオリンピック開催につぎ込んで失った。もう資金の余裕はない。老人医療やインフラ維持の資金に困ることになる。首都直下型地震や富士山噴火への資金の備えはゼロになった。わずか2週間のオリンピックのために備えの資金を使い果たす、なんだかアリとキリギリスの寓話に似ています。
 富士山噴火も首都直下型地震もいつか必ず起きる。今日からまた資金を積み上げなければならない。言い出しっぺの石原元都知事とそれを支えていた猪瀬福都知事(石原氏の後に都知事)、そしてそれを後押しした安倍首相(当時)が一番罪が深い。
 札幌冬季オリンピックに向けて、また利権に群がる人々の競演が始まる。


にほんブログ村

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。