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#4595 雨降って地固まる? July 30, 2021 [65.b 成績下位層にかかわる問題]

  来始めたのは昨年1月だからもう1年半たつが、なかなかてこずっている生徒がいる。成績が上がらないのである。こういう生徒は20人に一人以下だ。だが、そういう生徒はいる。
 一般論であるが、小学校から少年団活動(部活を小学校ではそう呼んでいる)に熱心で、家庭学習習慣をつけられなかったケースがときどきある、その割合は中学校で部活をやっている生徒5人に2人くらい。この層を何とかしたら、根室管内で最低の根室の中学生の学力の底上げができる。

 中学生になるとそこそこ上手なら道内の私立高校のスカウトから声がかかる。そうすると有頂天になって、プロになれるなんて勘違いをする者も中には出てくるが、スカウトにすれば50人に声かけて半数も集められたら十分で、そのうち2/3は捨て駒である。レギュラーになれるのは3人に一人でいい。
 たとえば、道内のある高校で部員が80人を越えている部がある。しかし選手登録は25人、ベンチ入りできるのは20人、5人はスタンドで応援。根室から強豪校へ進学していった生徒たちでレギュラー選手になれるのはサッカーや野球の場合は半数以下である。もちろんプロへの道はもっともっと険しい。

 文武両道でなければ高校卒業したあと生活していけないと嫌な勉強も嫌々ながらもしていたのが、強豪校へ推薦で入学できる可能性が見えてくると本格的に勉強が嫌になる。たとえ妄想であっても本人の眼には「プロへの道」が見えてしまうからだ。
 プロで通用するくらいの選手は中学ですでに群を抜いているし、トレーニングの仕方も自分の考えをもってやっているケースが多い。

 一流のプロは子どものころから特別なトレーニングをしている。具体例を挙げると、スリークッション世界チャンピオンの小林先生はビリヤード店の息子、どんなトレーニングをしたか知らないが、理論面ではたくさんの検討を積み重ねている。どうやればいいか迷うボールの配置を図面を書いてもっていくと、プロの技を解説してくれる。セミプロ用の教本を書いてくれませんかと問うと、誤解して文句を言う読者が出てくるので面倒だとおっしゃってました。その代わり、図面を書いてもっていくと、下手くそな私にも丁寧にプロの技を説明してくれます。
 アーティステックビリヤードで世界銀の町田正さんの実家のビリヤード店(八王子市)には、素振り用鉄製のキュウとマッセ練習用の1辺が80㎝の正方形のミニ台があった。マッセはキュウを首に当てて垂直に立てて球を上から撞くので、数百回も練習するとラシャ(石のスレートの上に張ってある緑色の生地)が圧力と摩擦で穴が空いてしまう。だから頻繁にラシャを取り換えられるようにミニの台をあつらえたのだろう。息子にそこまで練習させたお父さんの執念を感じた。まるで『巨人の星』の父親星一徹である。「シルクハット」というマッセの大技をできるのは世界で町田正さんだけだが、そういう道具でトレーニングを積んだからこそできる技だ。あれを見てビリヤードのプロにならなくてよかったと思った。かなわない。もっとも、十代でプロになっていたら、その後はトレーニングメニューの工夫もしただろうし、理論面での研鑽も積み重ねただろうから、そこそこ戦えたとは思う。当時(1960年代)はビリヤードのプロは飯が食えない時代、それを知っていて、それでもプロになるという覚悟はわたしにはなかった。無謀さも必要条件なのである。

 6年ほど前に、高校進学せずにブラジルへいってサッカーしたいという中学生がいた。
「ブラジルはポルトガル語だよ、英語が大嫌いじゃなかったっけ?」

そう聞くと、絶句して一呼吸おいて
「やめた」
とあっさりあきらめた。「腹減った、何か食べたい」、日常会話なんて語彙が少ないから何とでもなる。ポルトガル語だってへっちゃらだと言い切れたら、大丈夫だろうと思って試したのに覚悟がなかった。簡単に折れた。あれではブラジルに行って何か困難にぶつかったらひとたまりもない。プロになるには才能とこの道で喰っていくという覚悟が要る。
(根室高校の同級生に神田たけしという劇画家がいるが、彼は高3の夏休みが終わってから、根室高校を中退して『ゴルゴ13』のサイトウタカオ先生の所へ赴き弟子にしてもらった。斉藤先生のもとで3年修行してから独立している。絵が好きで上手な友人Tがいたが、神田のような覚悟はなかった。プロになって50年、昨年彼の作品展が根室市文化会館で開かれたが、飾られていた原画は駆け出しのころとはまるで違っていた。風格のあるすばらしい絵が並んでいた。アマチュアとは描いた絵の枚数が比較にならない。技は五十年間磨かれていたのだ。)
 ゴールキーパーだったが中学時代は頭を使わないプレーをしていたので、ボールをキャッチすると蹴っ飛ばして敵へボールが渡る。自分がボールをキャッチしようと意識をボールに集中したとたんに味方の配置が変わるのが見えないそして読めなくなる。ボールをキャッチする直前に味方のいた方向に蹴るが、そこには敵のプレーヤーがいる。結局敵側にボールが渡って、数回そんなことを繰り返すうちの点を入れられてしまっていた。サッカーだって一流選手は頭を使ってプレーしている。頭を使わないやつは一流のプレーヤーにはなれない。その点だけはわたしにはわかる。
 高校へ入ってからは「名ゴールキーパー」だと噂されるようになった。頭を使ったプレーができるようになったのだ。ゴールキーパーはチビには無理だが、身長も伸びた。大学サッカーをやりたいと言っていたが、自分の望みをかなえて、レギュラー選手になって活躍している。

 件(くだん)の生徒は先週は、面白くない顔して勉強していたが、「勉強したくないんだろう?」と尋ねたら「勉強なんてしたくない」とはっきり。嫌で嫌でしょうがないという顔をしていた。8月は毎週水曜日に中3の英語音読・読解トレーニングを予定している。任意参加の補習の特訓である。無理に出席させたら、勉強嫌いにますますなるし、本気でやろうとしている他の7名の生徒の迷惑になる。
 お母さんに話してしばらく休塾するように説得してあげると伝えてあった。
 ところが、昨日塾へ来たらニコニコして、勉強を始めた。
「勉強いやだっていったよな、だからお母さんに休塾するように話してあげるって」
「先生、勉強する、先週はほんとうに勉強するのが嫌だった、だけど勉強しなかったら高校卒業してから困る」
「おいおい、あと1時間でお母さん来るよ、俺はどうすりゃいいんだ?」
「いや、父さんが来るって言ってた」
「じゃあ、8月は水曜日休まずちゃんと英語の特訓授業に来るか?本気でやらないとモノにならない。1回でも休んだら即休塾だ」
「やります!」
「日本語音読の方は読めなかった漢字を10回書き取りして来いと言ったが、一度もやって来ない、これもちゃんとやるか?」
「やります」
「じゃあ、じゃあ執行猶予だ、8月は様子見することにする」

 そのあとお父さんが来られたので、そのまま伝えた。気分にムラのあること、先週はやる気をなくしていたこと、全部ご存じだった。この2か月間は勉強したくないから、1時間もしたら勉強やめて暇つぶして、1時間10分ほどで帰っていた、何度言っても改まらなかった。6月からの記録を見せて説明した。ちゃらんぽらんなところがあり、性格はなかなか治るものではない。約束したことを一つ一つやらせるうちにちゃんとしてくるので、1か月様子を見ましょうということで話がついた。

 本当に手間のかかる生徒だが、あんなに嫌がっていたのが、ころっと今週は変わっていて、ニコニコして「勉強する!」っていう。わがままだが、メンコイところがあるのも事実。
 バカッタレ!しっかり勉強するぞ。

 このやり取りを聞いていた今週入塾したばかりの中3の生徒が、乱暴なやり取りに吃驚したのか、「先生トイレに行ってきます」と2度。
 8月の英語特訓受講者の枠は7名、一人空きができないと君の分はないので、金曜日に空きができたか否かがわかると伝えてあった。机を一つ増設して8人編成の授業をやることに決めた。ああ、暑くてなかなかたいへんな夏になったな。2時間ぶっ通しの音読授業は声を出すだけで大きなエネルギーを要求する。手を抜かずにやり通せたらうれしい。(笑)

<余談:原因不明の中3生徒増加>
 5月から来ている中3が2人いる。一人は週に3日来て熱心に勉強していたら、学年順位が53番もアップしてしてしまった。数日置いて来た同じ部活の生徒も7番アップ、9月の期末テストでは二人ともさらに順位がアップしそうだ。やる気を出して頑張る生徒の学力の伸びは予測できない。とんでもなくアップすることがあるからだ。
 どういうわけか今年は中3の生徒がばらばら入塾してくる。先週と今週、また塾生が増えた。しばらく募集停止を考えていたのだが、それぞれ事情があるので引き受けた。高3の大学受験生と新規の中3が入れ替わったようなもの。昨年は8割が高校生だった。水曜日の中3の2時間連続英語音読特訓授業は定員7人だが、8人でやることにした。9人は「物理的」に無理。
 勉強しなくても根室高校へは全員が入学できるから、中学生の通塾は根室西高校廃校に伴う、高校統合後に激減していた。勉強せずとも定員割れしている根室高校普通科へ全員合格できるのに、中3生が増えるのは、根室高校普通科「特設コース」以外では偏差値50以上の大学進学が不可能だという生徒や保護者たちの危機感の現れなのかもしれない
 特設コースのクラス(40人)だけが以前の根室高校普通科の平均的な学力層である。特設コース以外からは偏差値50以上の大学へ入学はすでに不可能であることが明らか。


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