SSブログ

#4412 武漢コロナウィルスとPCR検査の怪:そしてレイチェル・カーソン Nov. 29, 2020 [35.1 COVID-19]

 「#4410 河合塾共通試験模試:PCR検査の学術的なトピックス」でPCR検査について触れました。PCR検査のもとになっているSARS-CoV-2ウィルスの公開されている遺伝子情報が、元はたったの21塩基のみ、それをいままでいくつか出現しているコロナウィルス、たとえばSARSやMARSウィルスの遺伝子情報をもとに、コンピュータ上でモデリング、つまり「こうではないだろうか」と30,000塩基へ拡張計算して公表したデータに基づいて世界中が動いている。中国のたった1症例から、それもSARS-CoV-2由来か人間が普通に持っている日和見細菌やウィルスのものとも判然としない研究に依存していることを、「めいこ」さんという頭の回転の速いユーチューバーが文献を引いてアカデミックに解説してくれています。拍手を送りたいくらい鮮やかな解説です。もう一度、それが載っているサイトを紹介します。詳しい話は弊ブログ#4410に書いたので、そちらを参照してください。
*https://www.youtube.com/embed/VTCUgc1ytg8

 論点の整理のために、要点だけ時系列で書いておきます。
 ①1月1日、ドイツCharite所属のクリスティアン・ドロステン気博士がネット上の噂を信じコロナ検査のためのPCRテストを開発し始める。
 ②1月21日ドロステン博士が新型コロナPCRテスト完成を非公式に発表
 ③1月21日WHOがドロステン博士のPCR検査の信頼性を確かめずに、世界のスタンダード・テストとして使うように世界各国へ推奨
 ④1月23日ドロステン博士、論文を公表。
 ⑤1月24日中国CCDCが初めて報告書を提出
 ⑥2月3日 全遺伝子情報を中国CCDCが公表、ただし、コッホの原則(4ステップ)を満たしていない旨明言。

 コッホの原則とは、
 1.病気になる
 2.ウィルスの分離isolation
 3.再現性確認(他に感染させて同じ症状が起きる)
 4.ウィルスの精製purificationと2で分離したウィルスとの同一性確認


 以上の4つが満たされて初めて病原性ウィルスの存在が証明できるというもの。中国CCDC論文はこれらを満たしていないことを明言。つまり、中国CCDCが公表したSARS-CoV-2ウィルスの全遺伝子情報というのは分離・精製されたウィルスの全遺伝子情報を読み取ったものではないということ。ウィルスが分離されていないのなら、それを遺伝子解析システムで全遺伝子情報を読み取ることもできないから、コンピュータ上でのmodelingによるほかはない。


 このような経緯で、モデリングされた30,000塩基のSARS-CoV-2ウィルス遺伝子情報とドロステン博士が開発した新型コロナPCR検査がが世界中に広がりった。ワクチン開発もこの遺伝子情報からスタートしているのだろう。

 モデリングのベースになっているのはSARSやMARSのような、実際のコロナウィルスであることに注意。存在しているウィルスをベースにしたモデリングだから、まったく荒唐無稽とも言えないのである。

 その後、ウィルスがさまざまな変異を遂げており、その変異株が世界中の研究機関や研究者でトレースされている。武漢コロナウィルスは終息したようで、ヨーロッパで変異した株が主流のようだ。第1波、第2波、第3波とそれぞれ変異したSARS-CoV-2が流行の山を形作っている。変異株というのだから、変異前の株の遺伝子配列と対照して、変異部位を特定しているはず。それがどのように行われるかの解説は専門家にお任せ、わたしたちはとりあえず、そういう手順で作業が行われることがわかればいい。
 さて、手順は理解したとして、変異株について国際的な協力のもとになされている多くの研究はどれもコッホの原則を満たしていないのだろうか?わたしには考えにくい。変異株の遺伝子情報は変異株を分離、精製しなければできないはず。

 そこで問題の焦点は別のところへ移ることになろう。コッホ三原則を満たした研究が変異株についてあるのかないのか、たとえばこの変異株とあの変異株は分離isolationに成功しているとか、再現性が確認されているとか、精製purificationされているとか、そういう情報をネットでどのように検索したら確認できるのかがわからない。素人の限界か。(笑)

 既存のCOVID-19・PCR検査への、PCR検査法の発明者のノーベル賞科学者の発言も気になる。通常のPCR検査は検体を前処理して遺伝子を抽出し、プライマーを使って35-45回温度を上げ下げして遺伝子を増幅する。30回で2^30だから10億倍である。SARS-CoV-2の遺伝子でプライマーが作製されていたら、検体にウィルスが付着していなければ、どれほど増幅しても陽性になるはずがない。PCR検査とはそういうものだが、PCR法を開発したそのノーベル賞受賞の研究者自身が、新型コロナPCR検査については65回増幅すれば、すべての検体が陽性になると示唆していることが気になる。これは、いま世界中でなされているPCR検査は、SARS-CoV-2のものではなくて人間がもっている日和見細菌やウィルスの遺伝子情報を基にしたプライマーでPCR検査がなされていると言っているようなもの。ならば同じ情報に基づいて開発した新型コロナワクチンも同じことがいえるのではないのか?新型コロナワクチンはかなり胡散臭い商品ということにならないか?

 ここで思い出すのはレイチェルカーソンの『沈黙の春』である。ジョンズ・ホプキンス大学大学院修士課程で遺伝学を学んだ彼女はその後、政府機関に就職する。そして調査・研究を続けるうちに農薬DDTの害を訴えて農薬を生産している化学薬品メーカ業界を敵に回した。ダウケミカルやデュポンなどの大手薬品メーカーは化学物質の研究機関や研究者にそして政治家にも莫大な資金を供給しているから、資金をもらっている学者たちがこぞってレイチェル・カーソンを攻撃した。彼女は研究者生命を賭けた孤立無援の戦いを続けた。あるときケネディ大統領が彼女の研究に関心を寄せ、大統領諮問機関に調査を命じた。その結果、1963年にDDTは全面禁止となった。この年の11月22日金曜日にケネディ大統領はダラスで暗殺されている。57年と1週間前の「出来事だ。化学薬品業界にとってはレイチェル・カーソン以上にケネディ大統領が邪魔な存在だったことは間違いがない。化学業界は爆弾の原料やミサイルの燃料そしてさまざまな兵器の材料を開発・製造しているので、重要な軍需産業でもある。その化学業界が当時もうけ頭のDDTなどの農薬分野の商品群が発売できなくなったのだ。新商品の開発にも制約がきつくなった。売上激減だっただろう。新型コロナのパンディミックに遭遇した航空業界のようなもの。
 いま、国際的な研究機関や研究者がワクチン製造のもとになっているSARS-CoV-2ウィルス遺伝子情報に疑義があると言い出したら、1950年代のレイチェル・カーソンのような目に遭うだろう。
*レイチェルカーソン

 製薬メーカ2社の日本向け新型コロナワクチン輸出2.4億回分だけで7000億円の契約である。新型コロナワクチンは、巨大製薬メーカにとっては数兆円の売上高と数千億円の利益が期待できる、100年の一度の濡れ手に粟の商品なのである。

 「めいこ」さんの主張が真だとしても、その後世界中の研究者が追っている変異株に関する遺伝子情報が偽だとはわたしには言い難い。コッホ三原則を満たす研究が変異株についてあるのかどうかすら、その分野の研究者ではない私にはわからない、判断がつかない。


<パンディミック基準の変更>
 2019年にパンディミックの定義が変わった。それまでは致死率がパンディミック判定基準に入っていたが、それが外された。旧基準では新型コロナ感染症はパンディミックに該当しない。致死率が低いからだ。日本ではインフルエンザ並の致死率。だから、旧基準でいうと指定感染症の第5類でインフルと同じ。


<余談>
 農薬の害についてケネディ大統領が関心をよせ、大統領諮問委員会を組織して調査を命じ、DDTの使用禁止措置をとるに至る。政治家のトップである者のそうした資質は国民の健康と福祉に大きな影響を及ぼす。日本では原子力行政に置き換えてみたらいい。福島第一原発事故で4期の原子炉が爆発した。甚大な放射能災害が起きたのだが、オリンピック招致の際に「under control」と言い切った総理大臣がいた。物理学者であるドイツ・メルケル首相なら言わないだろう。
 政治のトップが先端的な科学研究に関心を寄せるというのは大事なことだ。歴代総理のだれが、そいういう資質があったのだろう。ぞっとするほどお寒い。ますます、総理大臣の資質が劣化しているように感じる。


<国立感染研、SARS-CoV-2変異株の分離に成功> 1/20追記
*感染性の増加が懸念されるSARS-CoV-2新規変異株VOC-202012/01の分離に成功 (niid.go.jp)



にほんブログ村

沈黙の春 (新潮文庫)

沈黙の春 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1974/02/20
  • メディア: 文庫
センス・オブ・ワンダー

センス・オブ・ワンダー

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/07/01
  • メディア: 単行本
われらをめぐる海 (ハヤカワ文庫 NF (5))

われらをめぐる海 (ハヤカワ文庫 NF (5))

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/11/29
  • メディア: 文庫
海辺 (平凡社ライブラリー)

海辺 (平凡社ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 2000/05/15
  • メディア: 文庫
失われた森 レイチェル・カーソン遺稿集 (集英社文庫)

失われた森 レイチェル・カーソン遺稿集 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/07/17
  • メディア: 文庫
一冊英単語 沈黙の春 / レイチェル・カーソン: 名著で英語多読

一冊英単語 沈黙の春 / レイチェル・カーソン: 名著で英語多読

  • 作者: AYM English
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/09/03
  • メディア: Kindle版

nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。