#4403 日本製紙釧路工場撤退騒ぎ:市政は重要企業の決算情報をモニターしよう Nov. 18, 2020 [8. 時事評論]
13日に、北海道新聞が日本製紙釧路工場の紙生産撤退と蛯名釧路市長が日本製紙本社に陳情に訪れたことを報じました。蛯名釧路市長は4期目です。
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釧路市の蝦名大也市長と釧路経済界の代表者らは13日、東京都内の日本製紙本社を訪れ、釧路工場(釧路市)からの製紙事業撤退を再考するよう野沢徹社長に要請した。…
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11/5付読売新聞の記事が撤退の事情を報じています。
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日本製紙は5日、釧路工場(北海道釧路市)で紙・パルプ事業から撤退すると発表した。2021年8月に新聞用紙や印刷用紙の生産を終える。従業員約250人は配置転換し、雇用は維持する。これに伴い、21年3月期連結決算に約50億円を特別損失として計上する。減産分は宮城、熊本両県の工場などで生産するほか、他社に委託して補う。保有する石炭火力発電所を活用した電力の卸売り事業は続ける。
日本製紙の釧路工場は、100年前の1920年に操業を開始した。年間の生産能力は約22万トン。新聞用紙や印刷用紙などを生産する「洋紙」部門の約6%を占めている。
デジタル化の進展によって、紙の需要は減少傾向にある。日本製紙連合会によると、20年の新聞用紙と印刷用紙の需要見通しは約970万トンで、10年に比べて3割近く落ち込んでいる。
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釧路市の蝦名大也市長と釧路経済界の代表者らは13日、東京都内の日本製紙本社を訪れ、釧路工場(釧路市)からの製紙事業撤退を再考するよう野沢徹社長に要請した。…
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11/5付読売新聞の記事が撤退の事情を報じています。
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日本製紙は5日、釧路工場(北海道釧路市)で紙・パルプ事業から撤退すると発表した。2021年8月に新聞用紙や印刷用紙の生産を終える。従業員約250人は配置転換し、雇用は維持する。これに伴い、21年3月期連結決算に約50億円を特別損失として計上する。減産分は宮城、熊本両県の工場などで生産するほか、他社に委託して補う。保有する石炭火力発電所を活用した電力の卸売り事業は続ける。
日本製紙の釧路工場は、100年前の1920年に操業を開始した。年間の生産能力は約22万トン。新聞用紙や印刷用紙などを生産する「洋紙」部門の約6%を占めている。
デジタル化の進展によって、紙の需要は減少傾向にある。日本製紙連合会によると、20年の新聞用紙と印刷用紙の需要見通しは約970万トンで、10年に比べて3割近く落ち込んでいる。
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従業員は250名、配置転換してもらえる、従業員にとってはグッドニュースですが、釧路市にとっては人口の流出なのでバッドニュース。
釧路経済にそんなに大きい影響があるのだろうか?関連企業も含めると、何もしなければきついだろう。何もしないわけはないと思う。
たとえば釧路から1社東京証券取引所に上場できる企業が現れたら、日本製紙釧路工場撤退なんて屁でもないだろう。10人雇用できる新規事業が毎年1社現れるだけでもお釣りがくる。地元企業の経営改善を進めるだけでも状況は変えられる。
菅総理が「自助、共助、公助」と言っているではないか。釧路市政にとっても自助とは何か、地元経済界にとっての自助とは何かを問うべき。
工場撤退は会社法上取締役会決議事項である。当たり前だが、撤退のアナウンスはその手続きが済んでのこと。それをいまさら、陳情に行っても社長は話を聞くが、変えられるはずもない。そうした事情をわかって行っているとしたら市民向けのポーズだろう。
去る者は追わず、やるべきことは、地元企業の経営改善や、地元企業から上場企業が出るように仕掛けることだ。ようするに、地元企業を育てることに尽きる。いつまでに、なにを、どのようにやるのか、そういう議論をして、ビジョンとそれを達成する長期戦略を作成し、実行すればいいだけ。
陳情に行くくらい慌てふためいているところを見ると、日本製紙の決算情報すら見てなかったのだろうか。決算情報を見ていたら、不採算工場撤退の可能性は察知できたはず。
2017年3月期から2020年3月期までの4期の決算を見ると、売上高は1兆円前後、純利益は決算期順に並べると、
83億円⇒78億円⇒-352億円⇒142億円
2019年3月期に大きな赤字決算をしている。2020年3月期は142億円のプラスだが、相当無理をしていることが、キャッシュフローを見るとわかる。現金期末残高の推移は次の通りだ。
905⇒590⇒634⇒528億円
1兆円の売上規模だと現金の期末残高は830億円ほど必要だ。この水準を割ると、財務担当者は資金繰りにてんやわんやとなる。適正規模の2/3ほどしか現金がないから、資金ショート寸前です。急いで資産を処分して資金手当てをする必要があるような資金繰りの状況に陥っているとみていいでしょうね。この会社は300億円ほど運転資金を増やす必要があるが、借金するよりは不採算部門を切り捨てると同時に資産売却で資金の確保するのが筋。とっくに後戻りできません。
メインバンクや借入金の推移、投資の部に載っている資産の状態がどうなっているのかを分析をすれば、状況がもっとよくわかる。地元にとって大事な企業なら、普段から決算情報をモニターし、分析するくらいの努力をしたいものです。上場企業だから決算情報はオープンになってます。いつでもだれでも見ることができます。
低学力問題では釧路の市教委も根室の市教委もふだんの中学校の学力テストデータすらモニターしていません。町を支える重要企業のオープンになっている決算情報にすら目を通さずに市政運営をやるのと、どこか共通した根っこを感じます。仕事の基本すら外しているということ。
ふだんはなんにもしないで、惚けていて、企業の意思決定の仕組みもわからず、市長が慌てて陳情に行く、みっともなさすぎです。釧路市民はそういう蛯名市政の対応に落胆したでしょうね。
補助金頼みで、自助努力の足りないのは根室市政や根室の地元経済界も似たようなもの。
それでも、両管内の地元企業が1社でも上場を果たせば、状況はがらりと変えられます。
4期目ですから蛯名市長は最後でしょう、どこがまずかったのか反省して、しっかり締めくくってください。市長の仕事って責任重大ですね。
この記事を書くのに、タイピングしながらデータを調べて、およそ30分で出来上がり、そんな程度の仕事なんですから、それぞれの地域の重要企業について公開情報があるなら、手間暇を惜しまぬことです。
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従業員は250名、配置転換してもらえる、従業員にとってはグッドニュースですが、釧路市にとっては人口の流出なのでバッドニュース。
釧路経済にそんなに大きい影響があるのだろうか?関連企業も含めると、何もしなければきついだろう。何もしないわけはないと思う。
たとえば釧路から1社東京証券取引所に上場できる企業が現れたら、日本製紙釧路工場撤退なんて屁でもないだろう。10人雇用できる新規事業が毎年1社現れるだけでもお釣りがくる。地元企業の経営改善を進めるだけでも状況は変えられる。
菅総理が「自助、共助、公助」と言っているではないか。釧路市政にとっても自助とは何か、地元経済界にとっての自助とは何かを問うべき。
工場撤退は会社法上取締役会決議事項である。当たり前だが、撤退のアナウンスはその手続きが済んでのこと。それをいまさら、陳情に行っても社長は話を聞くが、変えられるはずもない。そうした事情をわかって行っているとしたら市民向けのポーズだろう。
去る者は追わず、やるべきことは、地元企業の経営改善や、地元企業から上場企業が出るように仕掛けることだ。ようするに、地元企業を育てることに尽きる。いつまでに、なにを、どのようにやるのか、そういう議論をして、ビジョンとそれを達成する長期戦略を作成し、実行すればいいだけ。
陳情に行くくらい慌てふためいているところを見ると、日本製紙の決算情報すら見てなかったのだろうか。決算情報を見ていたら、不採算工場撤退の可能性は察知できたはず。
2017年3月期から2020年3月期までの4期の決算を見ると、売上高は1兆円前後、純利益は決算期順に並べると、
83億円⇒78億円⇒-352億円⇒142億円
2019年3月期に大きな赤字決算をしている。2020年3月期は142億円のプラスだが、相当無理をしていることが、キャッシュフローを見るとわかる。現金期末残高の推移は次の通りだ。
905⇒590⇒634⇒528億円
1兆円の売上規模だと現金の期末残高は830億円ほど必要だ。この水準を割ると、財務担当者は資金繰りにてんやわんやとなる。適正規模の2/3ほどしか現金がないから、資金ショート寸前です。急いで資産を処分して資金手当てをする必要があるような資金繰りの状況に陥っているとみていいでしょうね。この会社は300億円ほど運転資金を増やす必要があるが、借金するよりは不採算部門を切り捨てると同時に資産売却で資金の確保するのが筋。とっくに後戻りできません。
メインバンクや借入金の推移、投資の部に載っている資産の状態がどうなっているのかを分析をすれば、状況がもっとよくわかる。地元にとって大事な企業なら、普段から決算情報をモニターし、分析するくらいの努力をしたいものです。上場企業だから決算情報はオープンになってます。いつでもだれでも見ることができます。
低学力問題では釧路の市教委も根室の市教委もふだんの中学校の学力テストデータすらモニターしていません。町を支える重要企業のオープンになっている決算情報にすら目を通さずに市政運営をやるのと、どこか共通した根っこを感じます。仕事の基本すら外しているということ。
ふだんはなんにもしないで、惚けていて、企業の意思決定の仕組みもわからず、市長が慌てて陳情に行く、みっともなさすぎです。釧路市民はそういう蛯名市政の対応に落胆したでしょうね。
補助金頼みで、自助努力の足りないのは根室市政や根室の地元経済界も似たようなもの。
それでも、両管内の地元企業が1社でも上場を果たせば、状況はがらりと変えられます。
4期目ですから蛯名市長は最後でしょう、どこがまずかったのか反省して、しっかり締めくくってください。市長の仕事って責任重大ですね。
この記事を書くのに、タイピングしながらデータを調べて、およそ30分で出来上がり、そんな程度の仕事なんですから、それぞれの地域の重要企業について公開情報があるなら、手間暇を惜しまぬことです。
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2020-11-18 17:20
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コメント(2)
子育ても、事業も日々のコツコツ次第です。こつこつ10年。最善策を考え努力しなければ破綻します。オリンピック出場も、有名な賞受託も同じです。間違いありません。
日本全体がインスタントラーメンやウーバー化。笑えました。仕方ないですね。
余談ですが、私は今年の年末食材に北海道の海鮮品をネットで依頼しました。ふるさと納税ではありません。
私の会員の多くは北海道の海産物やお菓子をふるさと納税でオーダーしています。
ネットの新規事業関連は安直だと思います。
by badmintonmusume (2020-11-19 10:12)
badmintonmusumeさん
日本製紙内の社長室長と社長のある日の会話を再現してみます。
「社長、釧路市長から釧路工場閉鎖の件で陳情に来たいと申し入れが来てます。向こうも立場があるのだろうから会うだけ会ってあげましょうか?」
「わかった、空いている時間を見つけて3つ候補を連絡しておいて」
「それで、話は聞き置くだけですか?」
「当たり前だ、取締役会で決議してしまっているから変えられるわけもないよ」
こんな話がなされたのでしょう。わたしも本社の経営管理部門や社長室で働いたことがあったので、予想がつきます。
日本製紙の本社スタッフからは、釧路市長って、民間企業のことがちっともわかっていないんだなとあきれられたでしょう。
町の経済の大半は民間企業です。その仕組みや意志決定、情報公開のことを知らなければ、行政などできるはずもないのですが、現実にはそういうことをご存じで、事前に適切な手が打てる市長は稀です。釧路だけではありません。もっと勉強してもらいたい。12年間市長をやってこの程度です。前任者でも同じだったでしょうね。蛯名市長が特別不勉強なわけでもなさそうです。この程度の人材でやっていくしかないのです。
だから、根室の町を将来託せる人材を数人育てられたら幸せです。それが私の望み、そしてやるべきことのようです。
ところで北海道の海産物をお買い上げいただきありがとうございます。
数日前に新鮮なイカを5杯もいただいて、美味しく食べました。こちらで獲れるワカサギは川の匂いがしません。とっても新鮮でおいしい、そして安いのです。
古里のありがたみを、毎日すこしいただいてます。
by ebisu (2020-11-19 11:01)