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#4391 go-toトラベル・クーポン詐欺:システムデザインのバグ Oct. 28,2020 [8. 時事評論]

<最終更新情報>10/29正午


 go-toトラベルキャンペーンを利用して予約を入れると、当日の3時にスマホで、利用予定額の20%の地域共通電子クーポンを受け取れるという。予約を入れて、電子クーポン取得して、予約は実質キャンセル、そんなことが可能だというのは、驚いた仕組みです。

 システム設計のミスですよ、それも初歩的ミス。
 実務をよく知らぬ人によって杜撰なシステム設計がなされたということです。そして誰もチェックができなかったというおまけつき。所轄官庁は国土交通省、いったいどこの会社にいくらでシステムの発注したのだろう、こんな技術レベルの企業にシステム開発業務を委託してはいけませんよ。企業名公表したら何かまずいことでもあるのでしょうか?
 詐欺が出たら、即対応できていい。ホテル側で予約の客が来てから確認入力すれば簡単に防げるのに、なぜ手間がかかっているのだろう。

 これが政府が叫んでいるデジタル化の実態なのか?まともなシステムデザイン力就中実務デザイン力がないのに、いろんなデジタル化がスタートするとしたら、実に危うい。
 システムデザインのバグが出たら、すぐに仕様変更して対応するしかない。35年前なら、このシステム設計に携わったSEたちはバカと言われます。そんなに力が落ちているのかね、信じられない気持ちです。

<余談:システム概要設計>
 80年代半ばに2社でユーザー部門として経営統合システム開発に携わった経験がある。外部設計書、実務設計はわたしの方でやり、内部設計とプログラム開発のみ外注業者を使いました。担当SEはそれぞれ業界トップレベルでした。バカは相手にしない、トップレベルでないとできない仕事ですから、レベルの低いSEでは共同開発ではなくて外部業者の指導になってしまいます。臨床検査会社の統合システム開発のときに、最大手の監査法人から半年間応援に派遣されていた公認会計士資格のあるシステム担当者と1か月だけ一緒に仕事しましたが、2か月目には切りました。仕事にならない技術レベルでした。300万円/月支払っていました。公認会計士の資格が取れてもたいした頭ではないのです。複数の専門分野で最先端のスキルで仕事するというのはそういうレベルの話です。
 今回のgo-toトラベルに関わるシステム設計でいえば、ユーザ部門のわたしの方の担当です。ユーザ部門側の視点でテストデータの設計は自分でやります。大事なところなので人任せにできません。旧システムからの移行の問題があったので、切り換え・本稼働までのテスト全体のデザインにも関わります。


 思い出すのは1980年代後半からスタートした臨床検査項目コードの標準化作業です。大手民間検査センター6社と臨床病理学会(現臨床検査医学会)臨床検査項目コード検討委員会(櫻林郁之助委員長:自治医大)の共同プロジェクトにました。システム部門と学術部門の専門家を6社それぞれから出して、それぞれ実際に使用している臨床検査項目名とコードをオープンにして、実務ベースで分類作業をしていきました。毎月一回作業部会を続けましたが、5年間ほどかかっています。厚生省には参加要請しませんでした。理由は簡単、臨床検査に関わるシステムの専門家と分類作業に必要な人材の両方が必要でしたから、必要なしと判断しました。厚生労働省はビジョンがないから人材が育っていないのです。
 産学共同プロジェクトの立ち上げには、システムの専門知識と臨床検査の専門知識の両方が要求されます。そういう人材はなかなかいません。幸いなことに臨床検査業界にビジョンを提示して、関係者を説得できる人材が一人だけいました。(笑)
 仕事は「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」、この場合は臨床検査会社と。さんも含まれます。
 1990年代半ばから、全国の病院や医院のシステムがこの日本標準臨床検査項目コードで動いています。保険点数が2年に一度改定されますが、その都度最大手のSRLにあるコード管理事務局からインターネットで保年点数と臨床監査項目コードがセットにされたリストが配信されているのでしょう。

 この仕事は社内の評価ゼロです。東証Ⅱ部上場準備要員として中途入社して2年目でした。経理部管理会計課員として経営統合システム開発をしながら予算編成・管理実務を任されていたときに書いた「臨床診断支援システム開発と事業化提案書」の一部でした。日本標準臨床検査項目コード制定はのこの提案書に載っていた10個のプロジェクトの内の一つでした。
 創業社長の藤田さんに稟議決裁してもらってシステム開発部門のK課長と臨床検査部長のK尻部長とSRL顧問の櫻林先生を巻き込んで勝手にやっていた仕事ですから。仕事を評価してくれる人間は社内にいませんでした。(笑)
 損得なんて考えていたら、大きな仕事なんてできません。世の中に必要だと思うから、遮二無二突き進むんです。どういうわけか必要な人材が全部そろって、案外うまくいきます。遊んでいるのか仕事しているのかわかりませんね、とにかく楽しいのです。このプロジェクトはお金がかかってません、持ち回りで会議室を確保するだけですが、それはそれぞれ大手6社の本社ビル内の会議室を使ってました。お金が必要なら、わたしが稟議書を書けばいいだけ。10億円くらいなら、自分で捻出できました。利益を10億円や20億円増やすのは簡単なことでした。その一部を使わしてもらえばいいだけ。副社長のY口さんがOKだすので自由自在、私心がありませんし入社した年度から著しい実績もあったので仕事には信用がありました。



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hattori

私は12年間ITエンジニア(主にデータベース、インフラ構築、ITサービスマネージメントというシステムの提案から本番稼働後の運用保守、監視までをインフラ側からマネージメントする業務)を担当していました。

私が就職活動をしていた頃は、Linuxブームで企業の基幹系システムにLinuxが利用し始め、インフラ構築のエンジニアの需要が高く、Webサービスをメインとする企業(Yahoo Japan、楽天、今はありませんがLivedoor等)が積極的に新卒採用をし始めた頃でした。

リーマンショック後に、システム開発会社が経営難に陥り企業の統合があり、企業が希望退職者を募ったところ、優秀なITエンジニアが海外に進出した方、起業した方、異業種のITエンジニアに転職した方を見てきました。
現在は自動運転技術(自動車、鉄道、バス、ドローン)、VR技術、データサイエンス等、異業種がITエンジニアを積極的に採用したり、クラウドサービスを展開している企業のSaaS(Software as a service)パッケージシステムを経営情報システムや業務システム等を利用するベンチャー企業が増え、優秀な人材が流れていると考えられます。省庁や、地方自治体、古い体質の企業の情報システム部門が、管理職を除けば外注業者や子会社のシステム会社に委託するケースもまだまだ残っているため、go-toトラベルや、事業者向けの新型コロナウイルス持続給付金申請システムでのトラブルも全て外注業者に丸投げしている可能性が高いように考えられます。


私自身の話になりますが、海外の企業への転職を考え、仕事をしながら転職活動をしていたのですが、2015年2月に脳梗塞で倒れ、後遺症として高次脳機能性障害が残ったため、ITエンジニアを辞め、故郷に戻って、現在は障害者採用で、小中学生用のプログラミング教室向けの教材作り、発達障害の生徒さん向けの数学の教材作りをしている企業に勤務しています。



by hattori (2020-11-15 15:52) 

ebisu

hattoriさん
投稿ありがとうございます。
あなたはLinux時代、21世紀のITエンジニア、世代が違いますね。(笑)

IT技術はずいぶん領域が広がりました。働き盛りの2015年に脳梗塞ですか、つらかったでしょうね。2月は冬真っ盛り、脳梗塞が起きやすい季節。
でも、小中学生用のプログラミング教材制作会社に勤務できるところまで回復された。よかったですね。
投稿の文章も健常人と何ら変わらないきちんとしたもの、これなら仕事も大丈夫でしょう。
わたしは2006年にスキルス胃癌と巨大胃癌を併発し、どういうわけか生きています。
53歳の2002年の12月から古里の根室に戻って小さな塾で中高生を学力面から育てる仕事をしてます。
今の仕事に満足してます。
仕事にはいつでも満足していた気がします。

ところでGoToトラベル関係のシステムが、丸投げで外注されているのではないかというご意見、そうだと思います。
仕様書も書けない人たちが、ルーズな発注をする、技術もアプリケーションに関わる実務知識もない。チェックできるわけがありません。何度もやり直して洗練されていくのでしょう。開発費が数倍かかってしまいますが…
日本はシステム関係のスキルに対する評価が低すぎます。だから、いい加減な開発が行われ、コストも何倍もかかってしまう。

極東の町、根室市の事例で挙げると、市立根室病院の院内システムが挙げられます。

暇を見つけて、投稿してください。何か面白い議論が飛び出すかもしれません。
by ebisu (2020-11-15 23:09) 

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