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#4390 大卒就職内定率の現状:88.7%、昨年比-5.1% Oct. 26, 2020 [60. 進路(進学・就職)]

 今朝(10/26)朝のNHKラジオニュースによれば、来年3月卒の就職内定率が88.7%(10/1調査)で昨年同月に比べて5.1ポイントダウンだという。文科省は3年間は新卒と同様の扱いをしてもらいたいと、大手企業へ要請しているが、企業側から実績の報告はない。要請だけで結果の検証をするという意識すらない様子。萩生田文科大臣、じつにお粗末な仕事ぶりである。馬鹿に付ける薬はない。これもまた、デジタル庁の仕事だとでも言うのだろうか?システム開発はユーザ部門に実務設計能力のある人材がいれば稼働した後にスムーズに動くが、システム部門主体にやると欠陥だらけとなるのは30年前の通例だったが、いまは事情が変わったのか?

 ネットを検索したら、8/1時点でのリクルート社の調査データにヒットした。昨年同月よりも10.0ポイント低下しているから、2か月後の10月には半分に差が小さくなったと云える。2017年卒も2020年卒も卒業時点までは95%だから、大学生の5%が職を得られず卒業ということになる。

 学力の低い者やコミュニケーションに障害を抱える学生は新卒と同じ扱いをしてもらっても、学力をつけるか、障害となっているコミュニケーションスキルを磨くか、何か他に高いスキルを身につけなければ、何度トライしても同じことになりはしないだろうか?仕事のスキルは仕事することでしか磨けないから、門を閉ざされたら手の打ちようがなくなる。公的な助けが必要だと思う。

 ボーダフリ―の大学を4年間遊び惚けて卒業しても、正規雇用の職がほとんど期待できないのは自然の道理。そんな人材を正規雇用で採用して高い給料支払っていたら経営がなりたたない。

 人と話すことに障害を抱えている子どもは1割はいそうだ。この中には、まじめで能力が高くても、対人スキルが著しく劣るために就職できないでバイトで食いつないでいる者がいる。こういうところに何か具体的な対策を打つべきではないのか?扱いにくいところはあっても、真面目にしっかり仕事するので、積極的に採用してもらいたい。

 その一方で、通常の会話はできても、語彙力不足で、仕事の指示を精確に理解できないとか、まともな業務日誌や業務報告書の書けなさそうな者が2割はいる。高校生に中学入試用(小3-小6の範囲)の語彙力問題集『言葉力ドリル実践編』をやらせたら、高校卒業時点で60点以下の生徒が3割近くいるのではないだろうか?この階層の生徒たちは高卒であろうと大卒であろうと、正規雇用の職に就くには困難だろう。文章を読み書きできる能力は仕事の能力の基礎部分をなす。語彙力が著しく劣ると、仕事で必要な資格を独力で取得することが困難だ。それまでにまともな本を読んだことがないから、語彙力不足なのであって、就職できても資格取得に必要な参考書を読み、問題集を消化できない。必要な資格が取得できなければ、その企業にとってはいずれは不要な人材となり、離職することになる。

 その一方でどんな大学でも上位1%は優れた人材の宝庫だろう。どんな集団でも上位1%には優れた人材が隠れている。ボーダフリ―の大学にだって、上位1%はすごい奴がいるよ。

 『信長の原理』という小説を読んでいるが、どんなに鍛えても、実際に戦場で勇猛果敢に働くのは2割、あとの8割はそれに付き従うだけ、と信長が慨嘆するシーンが何度も出てくる。「働きアリの法則」というのがある。一生懸命に働くのは2割、適当に働いているのが6割で、残り2割は働かない働きアリだという。パレートの法則の亜種らしいが、これを軸にして信長の思考の原理を説明している。説得力があってとてもユニークな信長論である。


 企業で2割が一生懸命に働いていたらその会社は繁栄するだろう。あとの8割はぶら下がっていたらいい。(笑)
 企業の命運を左右するのはトップ1%の人材である。そのゾーンでは受験学力は屁のツッパリにもならない。企画・デザイン力(これらに必要な文書作成能力)、企画の遂行力(大きな仕事は決裁権限保有者の承認が必要なのでそういうコミュニケーション能力も含む)、人の統率力、複数の専門能力を兼ね備えた人材だろう。就職採用時点でそうした能力を人事部が見抜くなんてことはまずないだろう。社内のだれにも解決不可能だった仕事を担当させたらわかる。

新入社員の平均離職率
 大卒の1年以内離職率11.5%、同2年以内離職率21.5%、同3年以内離職率31.8%。
 高卒の1年以内離職率17.1%、同2年以内離職率29.0%、同3年以内離職率39.3%。
 
 大卒が55万人いたとして、その95%が就職できたとする。3年間は新卒扱いしてもらうと、その31.8’%の17.5万人が「新卒採用戦線」へ参加することになる。
 東証1部上場企業の人事部が受け入れるだろうか?新卒に限定しても、SRLが東証1部へ上場したときには20人の採用枠に1万人が応募してきた。それが「3年間新卒扱い」にすると、20人の募集採用枠に13000人が応募してくるなんてことになりかねない。求人に困っていない企業側にメリットは何にもないから、文科省が企業へ要請しても、面従腹背となるのがオチ。3年以内の離職では高いスキルのものは稀でしょう。

 でもね、離職率がこれだけ高いのだから、なんとかしなければいけない。チャンスが一回限りであとはほとんどが転落なんていうのは、大きな問題であることは慥かだ。3年以内に離職した人たちの中にも、優秀な者が2割はいるだろう。「敗者復活」のコースが普通にあっていい。手間がかかるけど、SPIテストをして人事担当者が会って面接してみることだ。上場企業対象に、そういう経緯での採用数を自動集計できるような仕組みを創り上げ、四半期ごとにデータを公表したらいい。そうだな、決算短信情報に項目を加えるなんてことはどうかな。上場企業があたりまえにこうしたデータを公表し、東証で集計値をとりまとめてホームページで公開したら、非上場企業でも規模が大きいところはやらざるを得なくなる。案外面白いかも。




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コメント 4

tsuguo-kodera

 大いなことが書かれている記事だと思いました。仕事はつらい物。如何にして随時随所楽しまざる無しにできるか。なかなかできるものではありません。
 いくら二十歳以上の大人を支援しても、企業の人事の尻を叩いても、使えない人は使えるようになりません。既に小学校までに潜在能力がほとんど決まると思います。
 私の尊敬する人は20歳代で死を覚悟した人です。また家族全員が大洪水で死んだ人です。それほどの大事件が無い限り人は変わりません。
 凡人が変わる唯一の手段は就職せず、新卒で起業すること。3年で地獄を見るでしょう。そこで一生派遣社員、非正規社員、アルバイターで生きるか、超優良企業に再就職するかです。これなら凡人も可能です。
 私が派遣会社の顧問をした時、高卒でアメリカに渡り、2年アルバイターになり、起業して失敗。帰国して日本のベンチャーを立ち上げて大成功した若者がいました。
 今ならシンガポールなどの東南アジアか、インドでアルバイターを3年して、生きていたら日本に帰ってきて起業する。旅行解禁になったら先陣を切れば良い。
 海外に行くべきは優秀な高校生でしょう。そういえば家のクラブの人で中国に行き大成功した人と、息子さんが中国に行き成功した人がいます。10年前ならそうでしたね。 
by tsuguo-kodera (2020-10-27 17:44) 

ebisu

koderaさん

使えるようになったら、元々使える人材を使いそこなっていたということですかね。
「いくら二十歳以上の大人を支援しても、企業の人事の尻を叩いても、使えない人は使えるようになりません。既に小学校までに潜在能力がほとんど決まると思います。」

そんなふうに理解しました、いけませんかね。
小学校卒業までで潜在能力が来まるなら、中高大の教育は潜在能力の高い人だけが受ければいい。
でも、中学校で飛躍的に伸びる生徒はときどきいますし。高校生になってから飛躍的に伸びた生徒も確かにいます。
もちろん大学生になってから飛躍的に伸びる人もいます。そういう友人が周りに何人かいました。大学院へ進学して大学で職を得ています。
わからないものですよ、だれがいつ伸びるのか。
社会人になってから伸びるものもいます。その人の周りには人が集まってくる。統率力があるんです。もちろん中学校の時代にそういう片りんはうかがえます。

学力に限らず、統率力、企画力、企画遂行力はそれぞれいつ飛躍的に伸びるかわからないものです。適切な仕事があれば、それをきっかけに伸びるもの。潜在的にあったものが表に顔を出す。
わたしにはその時期がいつであるか、人によってバラバラですから、発現する時期はわからない。きっかけがあれば伸びるとしかいいようがありません。

死ぬほどしんどい目に遭遇すればそれを契機に大きく変わる人が要るというのは、賛成です。そういうものでしょう。
そんな目に遭う人は稀でしょう。
そういう目に遭遇しない人はダメか、大方はダメかもしれませんが、1割くらいは化けそうです。

小論指導して、ダメ生徒を早稲田に合格させた話を以前あなたのブログで読みました。それくらいの変化で十分です。起業して上場企業のオーナーにならなくても、そこそこ化けられたらほとんどの人には十分ではないでしょうか。
by ebisu (2020-10-27 22:26) 

Kenichi

ブログは拝読していたのですが、初めてコメントをさせていただきます。

「人と話すことに障害を抱えている方は」発達障害の可能性もあり、2年前から国や地方自治体で発達障害支援の取り組みが行われていて、2018年4月から障害者手帳の交付対象に追加され、障害者枠での採用されるケースも増えています。

ebisu様も大学院時代に自閉症(現在は発達障害の自閉スペクトラム症(以下ASDと記載します))の生徒さんが、現在は整形外科医として活躍されている過去の経験から、能力の高くてもコミュニケーション能力に欠ける劣る方が1割程度いるというのは現在にも通じることだと思います。
50年近く前にebisuさんが実践されてきたことは現在になって「環境調整」という治療の一環として確立されつつある方法なので、先進的に指導されてきたのだろうと思います。整形外科医で活躍している医師の先生も、自分の強みが何かを見つけて能力を開花されていらっしゃるので、素晴らしいことだと思います。いつか整形外科医の先生が医師を引退した後は、発達障害との付き合い方とか発信していただけることを願っています。


by Kenichi (2020-10-29 09:27) 

ebisu

Kenichiさん
いつもお読みいただいているようでありがとうございます。そして初の投稿もありがたい。
「環境調整」という用語があるんですね。
件の生徒は、ADHDではありませんでした。注意力が散漫とか多動症の傾向はなかったのです。
口を動かさずにしゃべるために、聞き取れないのです。あいうえおの発音からやりました。段々慣れてきます。算数の授業なのに音読トレーニングもしてました。とっても手間と時間がかかるのですぐに1対1の授業にしてもらいました。経済的に余裕のある家庭でしたから、渋谷駅前の進学教室でそんな贅沢ができました。
いまアスペルガーの生徒が一人います。本人がケロッとカミングアウトしてますから、周りはみんな知ってます。ADHDの傾向も強い。中学時代は授業中ほとんど寝ていたと同級生が言ってました。いまだに夜中までゲームやマージャンにはまってます。環境調整の必要アリですね。
でも成績はそこそこいい方、特設コースの生徒なんです。このままでは脱落するよと言っても、努力しなくてもいいと勝手に思い込んでます。
でも、それでは自分の希望する職業には到底就けません。年収の大きいプログラマーになりたいのが彼の夢。
なんとか夢をかなえさせてやりたいのですが、それには数学と英語は死に物狂いでやらなくちっやいけない。カチッとはまれば、あるいはと思わせてくれます。自分で自分がコントロールできないのです。
塾では数学や英語の勉強しなけらばならないのに、世界史や化学の勉強していることがしばしばあります。一区切りつくまでやらせておいてから、切り換え。でも切り換える前に時間が来てしまうことが多い。こちらがいらいらしないことです。無理な指導はしない。ヘンな塾長です(苦笑)
他人の話に関係のない話題で割り込むことも時々あります。そんなときは先輩に叱られてます。わたしはそのままやらせています。干渉しません。何度も注意を受ければ、何がまずいのかわかってきますから。わかっても、なかなか自分で制御できないのがアスペルガー。
中学生のときだったかな。n!を高校生に教えていたら、ホワイトボードで何か計算していました。15!まで計算してました。途中で計算間違いしてました。(笑)
夢中になるととまらない、面白い子です。
この生徒も将来どんな風に育つのか、まだまったく見えてきません。だから楽しいのかもしれませんね。

あ、思い出しました。わたしは小1のときに学校で教科書を読まされると吃音が出ました。母が音読につき合ってくれたら、数か月で消えました。それから本を読むのが好きになりました。小4で北海道新聞のコラム「卓上四季」と社説を読み始めました。半年ぐらいで語彙が増えたのでそれからは読むものに制限がなくなり、ジャンルを問わず、面白いと思ったら片っ端から読み漁ってました。吃音傾向がなければ、あんなに本に耽溺することはなかったと思えます。
人生何が幸いするかわかりません。
人間万事塞翁が馬
ケセラセラ。
by ebisu (2020-10-29 16:52) 

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