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#4373 医学部受験予定・高3の足跡 Sep. 18, 2020 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

 いつまでに何を使ってどのようなことを教え、生徒が自ら課題を見つけてチャレンジしたことなどの記録をつけておかないと、いずれ忘れてしまう。折に触れて思い出しながら、あるいは記録を見返しながら、書き留めておきたい。地域医療を支える医者の半数は自前で育てよう。そのために、あとから医学部進学を目指して歩む根室っ子、そしてそれぞれのふる里で医者として地域医療を支えようとする若者たちの参考になれば幸いである。


 来年からセンター試験は共通試験に変わる。英語の出題傾向ががらりと変わるので受験生は調整に苦労しているのだろう。

 件(くだん)の生徒は、今月受験した河合塾の共通試験様式での模試で、英語は85%の自己採点、いままでやってきた勉強にようやく自信を深めている。7月にはちょっと自信がぐらつき焦っていた。実績が出だしてスキルアップの手ごたえを感じてほっとしているのだろう。センター試験レベルよりも河合塾の模試は難易度が高いから、目標値にまもなく手が届きそうである。
 共通試験の英語の獲得目標は95-100%に設定して勉強している。ハラリのSapiens原書講読は8月初旬に51頁まで読んだところで休止した、あとは自分で読めばいい、それだけの力はついた。授業で解説した主なものは弊ブログに記録してある。左サイドバーのカテゴリー「44-3. 原書講読講座 Sapiens(41)」をクリックすれば出てくる。休止の理由は、自分で課題を見つけたからだ。標準的な長文問題の設問になれることで解答速度を上げることと、本文読解のスピードアップである。

 昨日はZ会の長文問題(V)をやっていた。設問の該当箇所は難易度の高い構文だったが、2分くらいで精確な訳をしていた。答えがないので確認のための質問があった、「これでいいと思うのですが…」、ちゃんと訳せていた。生成変形文法で基底文に分解できれば、文の理解はたやすい。教えたとおりにやっている、上手なものだ。医学関係の専門書数冊読めばそのまま大学院試験にも対応できるだろう。医学専門書で修辞法の凝ったものなんてないから、医学系の専門用語を2000から4000語ほども覚えてしまえば、全国どこの大学院でも選べる。本人は海外留学のつもりはないが、大学卒業したら、興味の方向がかわるかもしれない。

 8月中旬に’Cutting Edge 2000’という長文問題集を1週間ほどでやり終えた。長文18問題のコンパクトな問題集。各問題15-20分で解けるようになった。スピードアップトレーニングと長文問題の設問に慣れるためだった。彼にとってはスケジュール通りの成果獲得、英語の語順通りに頭から読むのに慣れたようだ。
 大学共通試験の英語はリスニングが50点、リーディングが50点の配点。リーディングはもう満点が狙える域に入っている。

 1月から「英作文千本ノック」をやっているが、昨日は第115回目の解答と第116回目の問題文を送信した。すでに800題を超えた。NHKラジオ英会話の英文を問題に利用しているから、日常会話の語彙がこれで固めることができた。会話文主体のリスニングに出てくる語彙には問題がなくなっており、リスニングが楽になったという。しかし、何かの単語に注意が向くと、聞き逃しが出るので、そうならぬようにいまチューニングしている。もう一月以上前から、勉強の仕方の指示はしていない。自分でトライして、課題を見つけ、解決法を考え、坦々とそれをこなしている。
 いま英検準1級を受験したら、すんなり合格できるだろう。


 河合塾の模試で、数学が失敗だったと反省していた。一番得意な科目であるはずの数学でこの体たらくはプライドが許さないのだろう。メラメラとチャレンジ精神が首をもたげているのが目に見えるようだ。7年目だから、この生徒の性格は熟知している。(笑) 
 試験時間中にできなかった問題は、試験が終わった後にやったらすべて解けたという。焦ると力が落ちる。まだ難易度の高い問題を高速処理できないので、塾でもしばらく数学に集中して不安を払拭したいというので、好きなようにやれと伝えた。もう指導すべきことはない。(笑)
 『大学への数学 1対1対応』シリーズ全6冊を今月末には解き終える。不安のある分野の問題は全問解いたようだが、自信のある分野の簡単な問題は時間のロスだから自分で判断してパスしている。
 目標点は英語も数学も95-100%だから、共通試験用にチューニングも必要、手抜きはしない性格だ、いや手抜きがあれば95%をコンスタントには取れない。自分で点検している。

 北大医学部の大学共通試験の合格ラインは800点/900。東大医学部は830/900、まるで神業だね。旭川医大には道北・道東圏の地域医療推薦枠がある。地元で地域医療に従事することになるから、魅力的な選択肢である。
 さて、どういうことになるのだろう。自分で課題を見つけ、それを一つ一つかたずけて、希望の大学を選択して受験、合格したらいい。

<小論指導について>
「挑む」「挑戦する」という言葉が好きなようだ、最近書いた小論にそういう言葉が並んでいた。そのような性格ということだろう。文は人なり、語彙にも文体にも文の勢いにも人柄が出る、それでいい。
 小論指導は1時間半やった。小寺次男氏の本を高校生がイラストをつけて鈴木朗さんが編集し直したものを利用した。『高校生が絵を担当 総合力アップのためのガイドブック 夢こそ生きる力 企業人の教えが生きカエル』(出版元:星奈のお店)、この本に四項目箇条書の小論の書き方が載っている。これを読み直してみた。
 600-800字の小論文ように少しだけアレンジした。結論を最初に書き、それを補強・論拠づける材料を2-3つほど上げる。実体験に基づいた具体例が一つは欲しい。書こうとすることを四項目の箇条書にして、眺め、展開の順序を決める。結論を先に持ってきての項目は論拠とする。それで論旨一貫した小論文ができあがる。
 テーマを5個ほど用意しておいたので、そこから選んで一つだけやらせてみた。理解するのとやるのはまったく別、やってみてわかったようだ。四百字だととってもたいへんで、長いほど楽になるなんてことはやってみないとわからない。
 テーマを変えて、3-5回ほどトレーニングすればこの生徒には十分である。6年間の日本語音読指導で、大学生でもしんどいようなごつい論説文を何冊か読んでいるので、論理展開や高度な語彙の使用に慣れている。音読した本のリストは弊ブログ内を検索してもらえば出てくる。議論についてこれるので、著者の意見への共感と批判的な方向からの読みのトレーニングもしていた。もちろん議論もときどきした。結構鋭い思考ができるし、頑固、そして相対的な見方に慣れた。この生徒はオウム真理教のようなカルトにであっても心配ない、6年間の音読指導がワクチンの作用を果たす。授業はライブに限る、生徒とまみえるのはじつに愉しい。(笑)

 小寺さんの本の紹介は弊ブログ#3324にあります。企業人による実践的な小論指導、とってもいい本なので再販を期待しています。

#3324 人間万事塞翁が馬:中国故事成語に親しむ June 10, 2016

#4275 「青チャート数Ⅲ制覇」:5か月と7日間 June 24, 2020

 ここに実際に音読で使った本のリストが載っています。音読は国語の学力をアップするだけでなく、結果から言うと小論指導のためでもありました。良質なアウトプットは良質なインプットに支えられています。豊かな語彙があれば、小論文と言えどもそういうものが顔を出します。読み手が優れていればいるほど、それが目につきます。小論指導はたった1時間半で済んだと言えますが、6年かけて下地をしっかりつくりあげたとも言えます


<余談:英作文千本ノック>
 昨日263回目を作り終えた。平均し。て7.5題だから、1975題、A4版で280頁あるから本にすると560頁の英作文問題・解説集になるだろう。このままのペースなら、年末までには400-500回に達する。「英作文3000本ノック」か「英作文4000本ノック」に化けそうだ。はじめたら面白くてやめられない。(笑) 来年の3年生用には学力に対応して改訂版をつくるつもり。
 件の生徒は100回目までは前日夜10時に送信した英作文問題を翌日の授業のときにやってきた。15分くらいかけて、作った英文のチェックと解説を繰り返した。最初の3か月ぐらいは冠詞を中心にチェックと解説を繰り返したので、いまでは冠詞の扱いにミスがほとんどない。それは読みの方の力にも影響しているし、もちろん本命の狙いの模試の英作文問題には璧もミスがなくなった。大量の作文をこなすこととSapiens読解トレーニングの相乗効果でで並び替えの問題分野でも、複雑な構文に慣れてミスがなくなった。第100回目を送信したのは8/12である。そこらあたりから、卒業。問題文と解説は週に4回送っているが、見てるかどうかはわからない。他の3年生の生徒たちもいるので、年内は配信を続ける。もう、趣味の領域である。


<余談:ギャップ>
 学校の英語の授業で2行の英文の解説に1時間を費やしたと生徒が苦笑していた。彼にしてみたら、解説の必要のない普通の難易度の英文。主語の修飾節が長い。本動詞はずっと後に出てくるneedである。その前に出てくる現在完了は修飾節の動詞。この生徒は文末のthe change in lawに「法改正」というこなれた訳語を当てていた。
 トップクラスの学力の生徒には高校の標準的な難易度の授業は退屈極まりない。高校統合以来、入学してくる生徒の学力が低下しているので、根室高校の授業レベルも下がるばかりだ。


(2005年ころの定員オーバのときの合格最低点は150点を超えていたから、それを基準にすると、普通科120人中20人程度しかいない。特設コースのクラスの半数のみが、当時の根室高校普通科の学力レベル。大多数の8割、100人は旧根室西高校レベルの学力ということだ。学力の実態から判断すると、根室高校が消滅して根室西高校が生き残ったようなものである。教育行政も含めて根室の大人たちはそういう学力低下の危機的な状況に気が付いていない。今月行われた中3の学力テスト総合AはC中学校の平均点は95.3点(五科目300点満点)、こんなに低いのははじめた見た。釧路根室管内で最低レベルである。根室市教委も市議会も学力低下に関心がまるでない。学力テストデータすらモニターしていないで、具体的で有効な教育政策が立案できるはずもなし)


 化学と物理の先生は、トップレベルの生徒2人の要請に応じて放課後補習を一月余実施してくれた。難易度の高い内容だったので、残念ながら他の生徒の参加がなかったようだ。通常の授業ではトップレベルの生徒の知的好奇心を満足させることがむずかしい。放課後補習で難易度の高い問題を取り上げ、解説をしてくれる先生たちがいるのは心強い。私塾とそういう先生たちが協力関係を築けたら進学実績によい影響がありそうだ。
 根室から国公立大医学部現役合格者がでるの初めてかもしれない。


<根室市内に国公立大医学部が受験できそうなこどもはどれくらいいるのか?>

 小4からスタートすることを前提にすると、おおよそ学年に2-3人いると思う。特別な個別指導をしても資質のある生徒はそれくらいなもの。
 特別な資質をもった子たちに合致した現実的で具体的な長期学力アップ戦略を立案すると同時に、予習中心で容易に答えを見ないで考える学習スタイルが身に着けば、学力は後になるほど伸びる。土台作りの小学校のときが大切だ。どのような学習習慣を身につけるかで、高校生になってからの学力の伸びに大きな差が生まれる。
 そうした資質の高い子どもが根室で一学年に数人いる。いままで育てそこなっていただけ。市立病院の常勤医不足は根室っ子を上手に育てることでずいぶんと緩和できるということ。毎年3人医学部へ進学すれば30年間で90人である。過去30年間で根室は何人の子どもが医学部に進学できたのか?30年後目指してじっくり取り組んだらいい。


おまけ:投稿欄でのやり取りが楽しかった記事です、話題の中心は数学。

#4072 「先生、土日やってないんですか?」 Aug. 31, 2019





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コメント 4

麒麟

旭川医大の地域枠、本当に医師になりたいのであれば検討しても良いと思います。共通テスト75%はおそらくクリア出来るでしょうし、浪人をしたり、一度大学に入学したり、大人になって医学部を再受験するために苦労する人もたくさんいるのですから、推薦という手段が使える状況にあるのならばチャンスを活かした方が良いと思います。11月初めが出願期間となっているようです。もちろん推薦の準備をするとなるとその分の学科試験対策の時間が削られるので、よく考えて決められたらよろしいかと思われます。
また、一般前期で受けるにしても、二次試験が英語・数学となっているので、理科の仕上がり具合などを見て北大医学部に現役で受かるのは冷静に判断すると厳しいとなった場合でも、スムーズに切り換えられると思います。(医学部の場合は数学Ⅲで差がつくので、微積などをちゃんとやった方が良いです)
by 麒麟 (2020-09-19 09:11) 

ebisu

麒麟さんへ
おはようございます。
具体的なサジェッションありがとうございます。

いま「1対1対応」の最後の一冊、積分のところをやっています。あと1週間ほどで6冊クリアします。そのあと最高難易度の問題集を選んでやりながら、過去問に取り掛かるのでしょう。
この生徒は数学が一番得意なのですが、前回の河合塾模試で取りこぼした問題がありました。不甲斐なさに腹を立ててましたね。すぐに対策を立ててました。わたしは報告を聞くだけ。
共通テストは安定して90-100%の得点を目標にしていますが、間もなく届くでしょう。

旭川医大は2次試験は数学と英語の2科目。生徒にはとっても有利だと思います。
900wordsの長文が2つ、合計1800wordsですから、難易度が標準的な共通テストでは現れてこなかった学力の違いが答案にはっきり出ます。英語に関しては難易度が上がれば上がるほど彼には有利です。受験を無視して、ひたすら読解力をアップするためにトレーニングを積んできました。最近2か月間くらい、受験問題にチューニングしたトレーニングを自ら積んでます。模試の点数に現れだしたので自信を深めてます。力が上がって、いまではZ会の英語の問題も軽くなっています。

昨日の授業中は卜部さんの化学の難問題集を解いてました。札医大受験用だそうで、北大受験にはここまでは必要なしと言ってました。2か月ぶりにSapiensを読むつもりでいましたが、化学の問題集に時間を取られ、最後の10分しか時間がありませんでした。
目先のことのほうがなかなか予定通りにいかない。(笑)

旭川医大の道東推薦枠については、彼のためにデザインされたようなもの。大学院へも行くつもりです。そこにターゲットを絞って英語のトレーニングを積んできました。30代半ばころに戻って来て地元で地域医療を支えるつもりです。
同大出身のお父さんと相談して決めるでしょう。
by ebisu (2020-09-19 10:20) 

ebisu

『青チャート数Ⅲ』も『1対1対応』シリーズ6冊も、自力で問題を解き終えてから、答えを見てチェックしています。例題を読んだだけで、ほとんどの演習問題が解けます。そういう方式で7年間やってきたからです。だから、いま学力がさらに一段伸びているように見えます。
トップクラスの生徒でもこんなやり方のできるのは稀です。答えを参照して問題消化するような癖のついてしまっている生徒はそこそこの学力で終わります。
だいじなのはふだんの学習のスタイルのような気がします。
by ebisu (2020-09-19 10:55) 

ebisu

今日(9/20)の北海道新聞第3面に旭川医大の地域枠の解説が載っていた。
それによると、2020年度は入学者のほぼ半数の52人がこの枠で入学しているという。
「道内出身者らを対象に」「卒業後の勤務を条件に」
と書いてある。

奨学金制度もあるようだが、5年間の指定病院での勤務を義務付けているので、キャリア形成に不安を覚える学生もいるようだ。
指定病院の一つは富良野協会病院である。旭川医大から近いので、常勤医を派遣することで地域医療を支えようということのようだ。

道東は旭川医大からは遠すぎる。
人口約百万人の道東地域には医科大学が必要である。
釧路や根室や網走管内の病院に常勤医を派遣できる病院が必要だ。
国立道東医科大学誘致が道東地域の医療に不可欠だということ。
道東の市町村が連携して、国立医科大学誘致に動くべきではないのか?
by ebisu (2020-09-20 22:44) 

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