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#4371 学力テスト総合A:C中学校に異変アリ Sep. 18, 2020 [71.データに基づく教育論議]

 9/10実施、学力テスト総合Aの得点通知票を9/15に見た、事務処理が速い!
 五科目合計点が百点を切っている。コロナで授業開始が遅れたことも影響しているだろうが、どの程度かはわからない。百点を切れば学力は赤信号である。
 右端は「2019年平均点-2020年平均点」である。全科目マイナスとなっている。


  2019年 2020年 20-19
国語 32 29.3 -2.7
社会 25.4 21.6 -3.8
数学 16.2 14.1 -2.1
理科 24.2 13.1 -11.1
英語 19.9 17.2 -2.7
合計 117.7 95.3 -22.4


 平均点の五科目合計が22.4点下がった。95.3点という五科目平均点を始めてみている。百点を切ったのは何度か見たが、過去18年間で一番低かったのは2018年10月実施の学力テスト総合BB中学校の90点であるから、2番目かも知れない。最近は、百点を切ることがそんなに珍しくなくなったので、ああ、またかと思うだけ。あまりの低学力に感覚が麻痺してきたようだ。しかし、釧路根室管内18校のデータでみると根室の市街化地域の3校は最下位なので、愕然とする。


 200点を超えている生徒が一人(昨年の学力テスト総合Bデータを見ると3人/42)だけいる。トップの生徒だ、230点に近い得点だから、トップは例年に比べて得点に遜色がない。161-200点までの階層に3人しかいない。昨年は5人いた。学力上位層がさらに減少している。学力上位層が枯渇化現象を起こし、底辺層が肥大化しているのは高校統合の結果である。
 2005年だったか、普通科が定員オーバーしたときの合格最低点はFランク150点を超えていた。その150点を基準にすると、41人中6人のみ。根室高校普通科特設コースですら、3年次の学力テスト総合Aで五科目合計点が150点に満たない生徒が4割ほど含まれることになる。120人の普通科の生徒のうち100人ほどが旧根室西高校の生徒と同等の学力ということ。


 数学の点数分布をみると26点以上は4人/41(9.8%)である。15点以下は22人/41人(53.7%)。学力テスト総合ABCの3回で一度も30点以上を取ったことがなければ、高校普通科の標準的な数学授業を独力では理解できないだろう。
 市内全体は170人ほどだから、4倍するとおおよそ市内全体の推計ができる。だから、市内全校を併せても、高校普通科の標準的な難易度の数学の授業を独力で理解できるのは16人未満ということになる。普通科特設コースの生徒ですら半数以上が独力で数学の授業を理解できないということになるが、現実はその通りである。高校1年生が受験しているベネッセ全国模試の根室高校普通科の生徒の数学の平均点は毎年20点付近である。全国数学の平均点は32-36点、標準偏差が18点前後だから、偏差値で見ると根室高校は42付近である。全国に高校が100校あるとすれば80番である。


 何が起きるか?高校側は授業の難易度を下げるということになるし、実際にそうなっている。しばらくの間必修だった数Bが選択科目になって久しいだけでなく、統合後に数Ⅱは選択科目になってしまった。2年生の低学力の生徒用には「ベーシック数学」という科目が設定されている。中身は内容のほとんどが中学校の復習に近い。

 入学してくる生徒の学力が低ければ、高校の授業は生徒の学力に合わせて難易度が低下していく。とめどなくそういう現象があらゆる科目で起きているということ。
 
 高校卒業までに習得する英単語数は3000語であるが、学習指導要領の改訂に伴い、来年から4000~5000語に増えていく。日本という国の高校授業の難易度は高い方へ向かっている、教育と倫理が国の礎だから。
 しかし根室高校の現実は低い方向へと流れだしてとめられないし、教育行政には止めようという意識すらない。データすら見ようとしないのだから。

 根室の町の未来は子どもたちの学力にかかっている。
 根室市教委も教育長もは普段の学力テストのデータすらモニターしていない。
 根室市議会文教厚生常任委員会のメンバーは、普段実施されている学力テストデータくらいはモニターして、学力問題を議論してもらいたい。
 学力問題に一肌脱ごうという市議さんはいませんか?いましたら、ebisuまで連絡下さい。


#4096 学力テスト総合A:17校データ比較 Oct. 5, 2019 


 クリックすれば、#4096へ飛びます。せめて一覧表をご覧いただきたい。17校中、根室の柏陵中と啓雲中は最下位です。光洋中はデータがありませんが、ほぼ同じでしょう。
 根室管内では別海中央中学校がダントツに五科目合計点が高い。昨年の学力テスト総合Aは137.6点でした。過去数年間高い点数を維持しています、校長の腕次第ですよ。(笑)


<余談:学力問題への無関心が生み出すもの>
 道庁の職員は根室振興局への赴任が決まれば、子どもの教育について考えざるを得ないでしょう。民間企業の社員だってだった同じです。「子どもの教育どうするの?」と奥さんに問われたら答えに窮します。

 市立根室病院も同じです。就学期の子どもを抱えているドクターは常勤医にはいらっしゃらないのでは?市立根室病院へ赴任したら、自分の子どもを医者にすることは無理と考えるのは自然です。かくしていつまでたっても、市立根室病院の常勤医不足は教育問題がボトルネックとなって解消できません。
 もうすぐ、そういう常識を覆すことができるかもしれません、できたらうれしいですね。根室の町にも希望の光が見えるのか、期待しています。




9/29追記:中標津町立広陵中学校 124.5点(国語33.3、数学22.2、社会24.3、理科20.7、英語22.7)






 

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コメント 3

Jun0927

道立高校の入試問題の難易度に近い学力テストで、学校平均点が3割強の得点率というのは、酷すぎるように思います。

昨年の結果の記事
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-11-14
に言及されている一部の生徒が「発達障害」の可能性があるのを調査するにしても、根室市の医療体制で、「発達障害」を専門としている医師も根室市内に在勤していないのではと考えられます。

道東に医学部なり医科大学の新設の誘致は必要に思います。
学力低下問題は地域医療、経済等様々な分野に負の連鎖スパイラルを引き起こすので、早急な対策が必要ですが、市長をはじめ危機感がなさ過ぎるように思います。

by Jun0927 (2020-09-28 09:11) 

ebisu

Jun0927さん
投稿ありがとうございます。
お示しの記事は#4123「根室の中3の数学・学力の現状とその波紋」です。本欄にURLを貼り付けておきました。
発達障害を専門に診れる医師は根室にはいません。市立根室病院は常勤医12名ほどの体制が何年間も続いていますし、135ベッド程度の小規模病院ですからね。
こんな貧弱な医療体制は道東に道東地域の医療に責任を持つ医科大学がないことに起因します。#3743「国立道東医科大学誘致」もURLを貼り付けました。
2017年の国勢調査では95万人が住んでいます。鳥取県は人口58万人、それでも鳥取大学に医学部があります。
根室に限らず、道東の住民は視野が狭いのでしょう。こんなアンバランスに声をあげません。怒っていいのだと思います。
戻って来もせぬ北方領土、その返還運動には熱心でも、地域医療の未来には具体的な構想すらもてない。これも低学力の影響のひとつとみていい。
人に踊らされるのではなく、自分たちで考え、値域を良くしようという情熱を、せめて若い人たちはもってもらいたい。

市長(歴代市長も含めて)も市議も歴代の根室教育長も、学力問題にはまったく関心がありません。歴代教育長は任期が終わるとみなさん根室から去っていきます。やる気もありません。
「釧路の教育を考える会」の会長の角田さんは釧路市役所職員で元釧路教育長だった方。もちろん、いまも釧路にお住まいです。
根室もいつかそうなってほしい。
by ebisu (2020-09-28 12:04) 

ebisu

要点は二つ。
①学力問題に危機感のある人を市長にする
②学力問題で実績をあげた人が根室管内には数人いらっしゃるので、その中から根室教育長を選ぶ

この二つが実現すれば、低学力の問題は、なんとかできます。
人はいるのですが、地元経済界と市役所を中心にした村社会、「オール根室」という構造、あるいは旧弊が障害になっているというのがわたしの意見です。
by ebisu (2020-09-28 12:18) 

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