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#4366 ライン配信方式「英作文千本ノック」: Sep. 10, 2020 [49-4 英作文トレーニング]

とつぜん思い立って、1月中旬から始めたライン配信方式での英作文特訓は8か月がたちます。昨日は110回目の英作文問題を配信しました。
 大西泰斗先生のNHKラジオ英会話の本文と解説をそのままWORDにタイピングして、生徒との対話授業で付け足すところがあれば、加筆しています。問題を追加することもあります。要は臨機応変にやっているということ。

 NHKラジオ英会話のテキストは単なる材料なのです。英検準2級と英検2級に初めてトライしてどちらもハイスコアでクリアした生徒に最適で良質なものを選びました。読解は高校教科書を全部やった後に、ハラリのSapiens原書講読授業で英文読解力アップトレーニングと並行して、リスニング対策として会話文をやっておく必要があったからです。Sapiensはすでに1年間やっています。左サイドバーのカテゴリー欄に「44-3原書講読講座Sapiens」に授業で生徒から質問のあった文章の解説で面白そうなものを選んでアップしてます。生成変形文法に基づいた解説になっていますが、50ページまでやり続けて生徒はやり方を熟知してますから、教えることはもうほとんどないと思います。後は意味のチャンクごとにスラッシュを入れながら、頭から読み解いていけばいい。速度は2倍くらいにはなるでしょう。もう下地はできあがっています。下地作りまでがわたしの役割で、あとは興味のある分野の洋書を選んで好きなように読めばいいのです。もちろん、Sapiensの続きを読んだっていい。50ページまででおおよそ16500語ですから、高校3年の英語教科書「Vivid Ⅲ」の3年間分の分量です。精読に1年と1か月間かけました。これからはスピードアップ・トレーニングへシフトします

 英作文にNHKラジオ英会話を選んだ理由の一つは、担当の大西泰斗先生の英語指導法が認知論に基づく新しいアプローチだったからです。イメージを中心にした語彙理解や英文法は最近20年くらいで指導法がずいぶん進化したと同時にポピュラーになりました。

 でも、教材がよくても、問題文をライン配信しても、自力でやってこない人には効果が小さいのです。大西先生の解答と解説を翌日午後10時に配信するのでそれを見て正解を知るだけ。たしかに文法や語彙の勉強にはなります。

 ライン配信した翌日に英作文をやってきた生徒には、15分くらいで答え合わせと正解の英文がどれほどコンパクトですぐれたモノであるかがわかるような解説を心がけています。最初の3か月は冠詞を中心にノックしました。冠詞が変わるとニュアンスが変わります。日本語にない機能なので理解がむずかしいので、具体的な文章に即して解説するのがいいのです。

 冠詞類A={無冠詞(∅)aanthe}、名詞類B={名詞の単数形と複数形}とすると、集合Aと集合Bの4×2の多対多対応です。a, anと複数名詞の組み合わせだけはありえません。30年前は冠詞に関する参考書が、一つだけありましたが、満足のいくものではありませんでした。役に立ったのは、Alan S.Brender 'THREE LITTLE WORDS A, An, The'のみでした。この本でトレーニングしてようやくわかった気がしました。
 著者や話し手が冠詞を操ることで脳内にどのようなイメージを創り上げているのか説明しています。書き手や話し手が脳内につくりあげたイメージを精確に自分の脳内に再現するのが文章に理解だと生徒に伝えています。ライン配信の作文問題をやってきた生徒は3か月で冠詞類の使いかたに迷いがなくなったようです。呑み込めたのです。3%くらいはまだ届かない部分があります。たくさん読んで事例にぶつかり、その都度考えるでしょう。それで十分です。そこは塾の役割ではありません。
 英作文問題を翌日やって来れば、大西泰斗先生の解説にさらに付け加えた解説をします。そこが対話方式の個別指導の強みなのです。半年もたつころには3-4割くらいがテキストそのままの文、それ以外も正解文例はあるので、正答率は8割ほどに上がりました。
 肝心なのは良質のテキストを使うことと、対話方式での解説、これが「英作文千本ノック」を動かしている車の両輪です。

 英語の学習においても視野を広く持つことは大切です。古ゲルマン語がドイツ語と英語に分化したのは5世紀ごろではないかと推測されています。英語はゲルマン語に属しており、近縁関係にあるドイツ語と文法規則が類似しています。英語で理由のわからない事項は、ドイツ語の文法と比較すると、その理由がはっきりすることがあります。
 高校分野で新しく出てくる仮定法はドイツ語では接続法です。なぜ、I wereなのかは英語の範囲では説明がつきませんが、ドイツ語の接続法を例に挙げて説明すると納得がいきます。動詞に接続法第2式をいう変化形があります。仮定法について投稿欄で議論があったときに、英語とドイツ語の達人「後志のおじさん(ハンドルネーム)」が指摘しました。彼は、ゲルマン語系の言語であることを意識して思考する人でした。
 もう一つ付け加えると、知覚動詞とともに使われる動詞が基本形であることも、ドイツ語文法を見ると納得がいきます。知覚動詞は助動詞などとともに「準助動詞」なので、動詞の基本形とセットで使われます。ドイツ語では「基本形」とか「原形」とは言わずに、「不定形」と言います。
 I see them play tennis.
 Ich sehe sie Tennis spielen.
 もちろん生徒の学力を無視してこんな説明はしません。生徒が疑問を感じて質問すれば答えます。あるいはこの生徒ならここまで説明したほうがいいと感じたら、高校英語あるいは大学の教養課程の英語の外側へ躊躇なく踏み込みます。だから、対話型の授業が楽しい。
 英語とドイツ語の文を比較してみると、英語で知覚動詞のseeは動詞の原形playを伴なう理由がよくわかります。英語の勉強を英語という狭い視野で考えていると、答えの出ない問題にいくつも突き当たります。
 生徒はいつ・どのような質問をするかわかりません、だからごまかさずに答える用意はしておかなくてはならないのです。わからないときは「わからないので調べて次回説明します」と答えるほかありません。真摯に調べることで、自分の知識が広がると同時に今まで知っていた知識が別の新しいつながり方をします。シナプスが伸びて別の立体構造に組みあがるのが手に取るように実感できます。だから、教えるということは学び、すなわち自分の知識構造を組み替えるとか再構築するということと等価です。 

 すでに実施・消化したのは110回分、約800問題。昨夜第220回分を作ったので、おおよそ1650題が20回分ずつ小分けされたWORDファイルにおさまっています。打ちっぱなしにするとタイプミスが出ますから、校正がたいへんです。自分で校正してミスがないだろうと思っても、翌日生徒から「こことここにタイプミスがあります。・・・ということだと理解してやってきました」、そんな場面はしょっちゅうです、とってもありがたい。本にしてすでに450頁ほどの分量になっていますが、300回までやれば2000題、年内に600頁を超える英作文問題・解説集になります。基本は大西泰斗先生、それに生徒とわたしが少し付け加えて出来上がります。
 言いたかったことは、NHKラジオ英会話のテキストは単なる材料でして、このトレーニングの本質部分は生徒がつくりあげた英作文をまな板に上げて、15分間の対話形式の授業によって「切れる英文」へと仕上げることにあります。
 塾で問題プリントを渡してその場でやらせたら、1-1.5時間かかる授業がライン配信して家庭学習でやるか、学校で暇な時間を見つけてやってくることで、1115分間ほどの対話授業に短縮できるのです。それを週4回やったのですから、効果が大きくないはずがありません。でも、週1でもいいでしょうね。
 英語の指導はとっても手間がかかりますし、生徒本人の努力を要求します。どちらが欠けても成立しません。
 わたしの理想は、自分が中高生だったら、こういう塾で学びたいというところにあります。このごろようやく近づいてきたような気がしています。


<余談:思いがけぬ効果あり>
 「英作文をやり始めてから、並び替えの問題にミスがなくなりました」とは生徒の弁です。英作文トレーニングを積んだことで、文例が頭の中にたくさんあり、並び替えが間違っていると、違和感が働くのです。そして複雑な構文はハラリSapiensでたくさん出くわしています。鬼に金棒。

<余談-2:ドイツ訛りのような英語>
 1988年ころに染色体画像解析装置を3台購入したことがあります、もちろん、仕事ですよ。臨床検査会社で機器購入を一人で担当していた時のことです。英国のエジンバラ大学と画像解析装置開発会社の共同研究でできた製品です。エンジニアがしばらくいて現地組み立て調整していました、彼の英語はドイツ訛りのようなゴツゴツした英語で聴き取りやすかった。スコットランド人の彼の英語にはゲルマン語系の匂いが強かったのでしょうね。染色体に関する分厚い専門書を書いている副社長にラボ内で講演してもらいましたが、こちらは見事なセレブの英語、歌うような話し方でした。ああ、思い出しました、IRS(Image Recogunition Systems)という名前の会社でした。輸入総代理店は日本電子輸入販売、担当はS野さんだった。S野さん、お陰でいい仕事させてもらいました。有能な営業マンだった、元気にしてるかな?
 ニコンの子会社のニレコ社と染色体画像解析装置の共同開発をやっていたのですが、ニコンのレンズと当時最高速の画像処理用コンピュータであるマジスキャン社の製品を使っても、1検体1時間以上の性能が実現できませんでした。これでは顕微鏡写真を撮って染色体を大きさの順に並べて切り貼りしたほうがまだ早い。採算上お話になりませんでしたので、ラボで機器購入を任されてすぐに整理することに決めました。それまでの開発費を支払って染色体課と検査管理部にあきらめてもらいました。その直後に、虎の門病院に30分で4検体処理できる染色体画像解析装置があるという情報があり、連絡を取って、サンプルを持参してテストさせてもらいました。特殊なサンプルでなければそんなスペックは無理と思ったからです。なんと20分で5検体処理できたので、すぐに導入を決めました。ラボ管理部のO形さん、染色体課長のI原さんと三人でサンプルをもって虎の門病院を訪れました。なぜ、そんなに高性能だったかは弊ブログのどこかに書いてます。世界第2位のレンズメーカの子会社との共同開発でしたから、レンズにこだわった、それが間違いの元でした。データ入力に使っていたのはCCDカメラ、データ処理用に使っていたのは自作のボードコンピュータ、マッピングではなくてプリント基板でしたからおそらく100万円程度のコストでした。量産体制でのコストに見当がつけば、価格交渉やそれ以外の条件ツケ交渉がスムーズにやれます。ここまでの線なら利益が十分に確保できるから、製造メーカに飲めるだろう、輸入総代理店にはこういう情報と条件提示をすれば、営業マンが担当役員のyesを引き出せるだろう。実際にそうしましたし、こちらの思惑通りの仕事仕事になりました。
 産業用エレクトロニクス輸入商社で6年間働いていた時に、技術部で開発していたマルチチャンネルのマイクロ波計測器の開発にタッチしていたので、開発エンジニアとしょっちゅう話す機会があって、プロトタイプの作り方や量産段階への移行、関連コストについては専門知識があったので的確な判断ができました。商社としては初めての自社製品開発でしたから製品のプロトタイプの開発費や量産段階の原価計算のトレースを任されていました。社内の業務についてもいくつかコンピュータシステムを設計し、実務フローデザインやプログラム仕様書を書いていたので、プログラム仕様やプログラム開発のどれくらいの工数がかかるかもいくつか前提条件を置いて考えます。製品の実物を見ただけで、コスト構造や開発手順のおおよそが具体的に見えてしまいます。どこで何が役に立つかわからないものです。
 マジスキャンは当時2000万円くらいしたのではないかと思います。それがコスト100万円ほどの自作のボードコンピュータで十分。データの入り口にCCDカメラを使っていました。それで後処理工程が簡単になってました。
 いまSRL八王子ラボで何台動いているのだろう?当初3台だったから、倍にはなっているでしょうね。日本最大の染色体画像解析データがSRLにあります。染色体研究にこのデータを使えば宝の山です。学術論文がいくらでも書けるでしょう。患者の式別データにマスキングして、外部の研究者がこのデータにアクセスできるようになることを期待します。


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Three Little Words: A, An, and the (A Foreign Student's Guide to English Articles)

Three Little Words: A, An, and the (A Foreign Student's Guide to English Articles)

  • 出版社/メーカー: Delta Systems Co Inc
  • 発売日: 1991/08/01
  • メディア: ペーパーバック

 amazonを見るとペーパーバックで62頁となっているので、わたしの持っているのとは違いますね。
 マグロウヒル出版社が1991年に出した5刷で185頁あります。書名もカッコの中が違っています。(A Systematic Approach to Learning English Articles)となっています。
 どうやら、英語を外国語として学ぶ学生用に1/3程度に簡略化した本のようです。



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