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#4256 地域の老人医療・介護崩壊を招かないためになすべきこと May 24, 2020 [37. 老人介護・医療]

<最終更新情報>5/25朝8時半 <余談:外断熱仕様の重要性>追記

 介護施設やサービスにはさまざまある。療養型病床の病院、老人保健施設、特別養護老人施設、老人ホーム、グループホーム、ショートスティ、デイサービスなど。
 最近高齢者の入所系施設でのクラスター感染が散見されるようになっている。北海道では札幌市の介護老人保健施設で利用者と職員30人のクラスター感染があった。
 重傷者は感染症指定病院へ入院・隔離措置をとるが、陰性の入居者は施設にそのまま残置される。PCR検査がままならない現状を考えると、ヘルパーさんたちは身の危険を感じながら仕事しているのだろう。家族へ感染させるかもしれないというリスクを考えてやめる人も出る。フェースガードやサージカルマスクや消毒用アルコールも足りない。
 こうした施設が単独ではやれることには制限があって、十分な対処ができないことは想像に難くない。
 療養型病棟だと、褥瘡(じょくそう)を防ぐために頻繁に寝返りを打たせなければならないからそのために介助が必要。食事の介助が必要な患者さんもいる。オムツ交換も濃厚接触しなければできないし、ジエットバスやバブルバスの特殊浴槽に入れなければならない患者さんも少なくない。普通のお風呂を利用できる患者さんも介助の必要な人とそうではない人がいる。感染流行中は感染予防のために見舞客を病棟に入れることはできないが、医者・看護師・ヘルパーさんたちの中に、不顕感染者が出ることは防げない。症状が出たときにはすでにウィルスをバラまいた後になる。症状のでる直前3日間がもっともウィルス排出量の多いことが判明している。
 特殊浴槽は特養だって老健施設だってデイケアセンターだって備えているし、日々ヘルパーさんが入浴介助に当たっている。食事の介助は例に挙げた全施設で日常的に生じる風景である。

 こうした施設は、クラスター感染が発生した場合にどのような応援体制が必要なのか、施設内で具体的に議論して、所在地の市町村や都道府県に回答期限付きの具体的な要望書を出したらどうか?
 北海道知事や道庁や市町村長の動きは鈍いから、施設側から、欲しいもののリストと数量、応援スタッフの要件・人数・期間などを書いて提出したほうがいい。個々の事情は市町村長や北海道知事にはわからない、わからないのだから、道知事も市町村長も知る努力をすべきではないのか。

 コロナ騒ぎがあってから、わたしは大勢のヘルパーさんを抱えた療養型病床群の病院や老健施設やグループホームでクラスター感染が起きることを心配していた。首都圏の300ベッド弱の特例許可老人病院を療養型適合病院にするために常務理事として病棟建て替えの仕事をしたことがあるからだ。もし、自分が仕事している病院だったらどう対処するのか、他人事ではない思いでずっとテレビや新聞報道を見てきた。

 老健施設やグループホーム、特養施設内でクラスター感染が起きたときには、ヘルパーさんの応援部隊として感染症予防が指導できる看護師派遣や医師の派遣が必要になる。どの病院から応援部隊の看護師さんが派遣できるのか、その場合に、ヘルパーさんの感染防止対策はどのような手順ですべきか、必要な資材の確保や備蓄はどうあるべきか、そしてマニュアルの作成も必要だし、いざというときに備えて実践的なトレーニングもしておくべきだろう。やるべきことは多い。良好な経験値を積み上げておいたら、新たな感染症が出てきたときには十分な準備がなされていることになる。


 次の感染の波が来るまで半年くらいあるだろうから、具体策を練り実践的なトレーニングに充てて、間に合わせてもらいたい。放っておいたら多数の死者が出るだろうし、クラスター感染が起きた地域の老人介護医療や介護事業が崩壊する。クラスター感染を広げぬ鍵は初動体制にあるから、事前準備に地域の医療機関の枠を超えた協力体制があれば速やかに対処できる。

*茨戸アカシアハイツ(札幌市北区)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200524-OYT1T50066/

**「新型コロナで“介護崩壊”の危機? 高齢者施設で いま何が」「保健所は「施設内で看取って」、感染者が続々死亡…関係者証言」*
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200508/k10012422701000.html



<余談:外断熱仕様の重要性>
 老人医療や介護ではオムツ交換時に強い臭気が出るのは致し方ないことである。外断熱仕様にしてあれば、各居住スペースに換気扇が取り付けてあればスイッチを入れて臭気を排出すればいい。必要なら小窓を空けて部屋ごとに空気の入れ換えもできたほうがいい。外断熱仕様の建物なら空気を入れ替えても部屋の温度変化が小さいし、コンクリート建物なら外壁に蓄熱できるから輻射熱でヒートショックが起きない。
 暖房は輻射熱を利用した暖房がいい、遠赤外線が一番居心地がいいのである。北海道は厳寒期には-10度以下に気温が低下する。マイナス30度にもなる陸別などの内陸部は別としても、オホーツク海と太平洋を分けるように突き出している根室半島でもマイナス5度は普通だ。強い北西の季節風が吹くから、外断熱仕様のない建物は石の建物を外から強い風を当ててガンガン冷やしながら暖房することになる。まことに効率が悪く不経済だ。外断熱仕様にすれば燃料用灯油の消費が半分くらいにできるのではないだろうか?なにより病気を抱えて入院・入所している老人には換気してもヒートショックの小さいことがありがたい。弱って来れば急激な温度変化は強いストレスとなって命を奪う。療養型病床の病院では、春先の暖かくなったころが一番死亡率が高くなる。寒い冬が終わろうとして、温度変化が一年間で一番大きいからだろう。
 ところで、外断熱仕様にするには建築費が1割程度高くなるが、冬の暖房と夏の冷房を考えると、燃料費や電気料金が3割以上(冬は半分以下で済む)は節約できるから、増える建物減価償却費の何倍ものコストカットが可能だ。北海道の冬の外気温と室温との差は25°~50°もある。
 わたしが1999年にやった首都圏の300床弱の病院は外断熱仕様を採用した。仕事で病棟に出入りするとき、時々強い便臭が気になっていたからだ。冬に窓を開けて空気の入れ換えをすると、室温が下がって患者さんたちが風邪をひくと婦長さんたちが言っていた。


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