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#4248 緊急事態宣言は「壮大な空振り」:池田信夫 May 16, 2020 [35.1 COVID-19]

 8割の人の接触削減をしないと42万人が死ぬかも知れないという西浦モデルの前提条件はついに明かされることがなかった。その後の感染者の推移のグラフは西浦モデルの誤りを証明しているよう見える。
 北海道では2月下旬から小中高の学校の休校措置が続いている。高校は来週からようやく分散登校になる。その結果、いま、教育に新型コロナ氷河期世代が生まれようとしている。緊急事態宣言で未曽有の学力低下作用が働いてしまった。次の時代を担う子どもたちの壮大な学力低下はどうしたら歯止めがかけられるのだろう、教育関係者は知恵を絞り、効果的な策を実行しなければならない。2か月の逸失は教え方と夏・冬の長期休暇期間の取り方次第でいくらでも対処可能だ。私塾で年間カリキュラムを消化できないなんて言うところはほとんどないだろう。
 新型コロナ感染症は経済界にも甚大な影響を及ぼしてしまっている。トヨタ自動車の豊田章男社長は「リーマンショック以上」と形容した。日本航空や全日空など航空会社は3・4・5月の売上激減、飲食業界も倒産の瀬戸際の事業主が激増している。ピント外れの緊急事態制限であることがはっきりしたのだから、大きく方向転換すべきだろう。
 ここで反省である。ピント外れの提言をする専門家が巷にあふれている。結果から見ると未必の故意や詐欺にも等しい「ご意見」は適切な質問を数回繰り返すことでチェックできる場合がある。西浦モデルとその提言に関して言えば、「シミュレーション・モデルの前提条件は何か?」ということだった。彼を顧問にした東京都知事の小池氏も政府もマスコミも肝心の質問をしなかった。彼は言をあいまいにして、いまだに説明していない。そんなはずはないと思いながらも、変数が多くて複雑なモデルで計算した結果の筈が、6月中に東京都の人口を超えてしまうような簡単な曲線回帰分析の結果と変わらないようにみえる結論でした。

*「緊急事態宣言は「壮大な空振り」だった
https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/緊急事態宣言は「壮大な空振り」だった/ar-BB146lp8

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(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

 政府は5月14日、新型コロナウイルスについての緊急事態宣言を一部解除する方針を決めた。ここに来てはっきりしたのは、日本の新型コロナ死亡率が世界的に見てきわめて少ないばかりでなく、絶対数でもインフルエンザより少ないことだ。

 死者はアメリカの8万5000人、イギリスの3万3000人に対して、日本は668人。昨シーズンのインフルエンザ死者3325人の20%である。国を挙げて大騒ぎした新型コロナ対策は、壮大な空振りだったといわざるをえない。

感染が減った原因は緊急事態宣言ではない

 マスコミでは「4月7日の緊急事態宣言で感染が減った」といわれているが、これは誤りである。新型コロナの感染確認者数のピークは4月11日の714人だが、感染からその確認までは約2週間かかる。発症のピークは、その2週間前の3月末だった。

これは「8割削減」を提唱した西浦博氏(北海道大学教授)も認めており、図のように彼の調査でも3月27日が新規感染者数のピークである。

新型コロナの推定新規感染者数(棒グラフ・人)と実効再生産数(折れ線・右軸)(西浦博氏の図に加筆) [コピーライト] JBpress 提供 新型コロナの推定新規感染者数(棒グラフ・人)と実効再生産数(折れ線・右軸)(西浦博氏の図に加筆)

 発症日ベースでは4月初めには新規感染者数は減少に転じていたが、緊急事態宣言は4月7日に発令された。しかし上の図でもわかるように、緊急事態宣言の前後で新規感染者数の減少率は変化していない。つまり緊急事態宣言の8割削減には感染を減らす効果はなかったのだ

....(以下は記事本文をお読みください)

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*「宿題渡してあとはよろしく」休校中の学校に高まる保護者の悲鳴
https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/20200512-00178141/?fbclid=IwAR3orqWhMpkgJ2y_-0JvCeie0exvmIcwa7xg7ANz21OMNRp7E9Xt45gUfIw

 
別の仮説・研究
*「新型コロナ、日本人の低死亡率に新仮説…すでに“集団免疫”が確立されている!? 識者「入国制限の遅れが結果的に奏功か」
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200509/dom2005090005-n1.html?fbclid=IwAR3K3i90uGZTc4WXrIOWZ2hxrQGOiCqh2NBIIdAJFVRqDN9ytlOeV4OkbU4

**#4232 全道一律休校というのはいかがなものか:100%の休業補償あり April 23, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-04-22-1



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tsuguo-kodera

 とても面白い記事だと思いました。でも、経験論と実践論では全く違います。
 教育にコロナの氷河期世代が何故生まれるのか私には分かりません。むしろ、食うや食わずの戦後生まれはチャンスだと思えるだけなのです。
 アホな孫も自宅学習を喜んでしています。息子と娘は好きな仕事の割合が増え、喜んでネットで仕事をしています。彼らは古い考え方の親に育てられ、昔者だと周囲から言われていたようです。今は言われなくなったようです。
 何故戦後の良い教育が失われたのか、私は全く分かりたくありません。南無大師金剛遍照。
by tsuguo-kodera (2020-05-16 09:52) 

ebisu

koderaさん
現実の政策は「実戦」ですから、間違いは避けられない。その点はわたしもそう思いますよ。
政策の間違いに気づいたときにどうすべきかという問題と、間違いを事前に避けるにはどうしたらいいかという問題があります。
対応を間違えて発病してから対処するのと未病のうちに予防手段を講ずる、二通りの対処があるようです。予防手段が最善手であり、それが採れなかったときには事前の策で適切な治療をするだけのことですが、これに異論のある人はほとんどいらっしゃらないでしょう。

西浦氏の提言を受け入れて緊急事態宣言を出す権限を持っている安倍総理には無理でも官邸スタッフが、人の接触を8割減らさなければ42万人が死ぬという西浦シミュレーションモデルの前提条件を確認するだけで、避けられたのです。安倍総理も東京都知事の小池氏も、「適切な質問」をせずに彼の「提言」に乗ってしまいました。
だから、方向転換すればいい。間違いによって引き起こされた、経済への計り知れないダメージを緩和するにはどうすべきか、教育へのダメージを軽減するには土王いう具体策があるのかということ。

言葉が足りなかったようなので、新型コロナ感染症で「学力氷河期世代」が生まれてしまうということを説明しておきます。
鈴木都知事が慌てて出した指示で、2月下旬から全道の公立小中高は休校でした。現場との調整はさぞかし激務だったことでしょう、北海道教育長の佐藤さんが突然亡くなられました。
(5月に釧路の教育を守る会のセミナーで地域の学力状況について会のメンバーと具体的なお話しをする機会がセットされていました、とても残念です。)

道内の小中高生は4月に10日間ほど登校していますが、あとは自宅学習でした。高校は来週から分散登校、小学校はすでに分散登校しているようです。ランドセル姿を見かけます。
宿題に渡されたのは復習プリントばかりです。それも大量に出されています。教科担当がそれぞれの判断で出しているだけ、横断的な調整はないようにみえました。
3月と4~5月2か月間も学校の授業はありません。
koderaさんのお孫さんのように、喜んで自宅学習して予習までやっている生徒は根室では1割程度なのです。中学生のこどもに教えられる親は3割いるでしょうか、高校生はほとんどの保護者が無理でしょう。
そして例年通りの授業時数が確保できても教科書の全部の章を終えられない先生たちが少なからずいます。教科書全部を終える必要なしという判断の先生すらいます。
高2で英語のテキストを半分しかやっていなかった例、微分積分の章に手が付けられなかった例は今年の話です。微分積分は宿題の範囲には含まれてましたから、やる気のある生徒は強くなる。自力でやれる生徒は根室高校の3年生の上位10%あたりまでです。
もちろん、自力で予習型の勉強スタイルの生徒は、コロナ休校に関係なくガンガン勉強してます。(笑)
「休みなので、いくらでも勉強できるのでうれしい、学校始まってほしくない」なんて喜んでます。こういう生徒は根室市内全体で学年3人程度なものです。
小学校1年生から高校3年生まで、根室では9割を超える生徒の学力に深刻な影響が出るでしょうね。
道内の都市部以外はどこも似たようなものです。札幌だって市内に学力の低い公立学校はいくらでもあるようです。転勤族の多い地域にある中学校は総じて学力が高いのは、親の学歴が高いことと、それゆえ教育への関心が強いからでしょう。
そうしてみると、koderaさんのお孫さんたちの事例はわたしには納得がいきます。10%の例外に属しています。それはお孫さんにとってとっても幸せなことです。(笑)

「食うか食われるかのチャンス」到来、これもそうなのでしょう。物事をどちら側から見るかで見え方が違ってきます。
振り返ってみれば、私たちも社会人となり民間企業で「食うか食われるか」の中でずっと働いてきたのかもしれませんね。とっても愉しかった。

by ebisu (2020-05-16 11:17) 

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