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#4196 日銀異例の談話発表 Mar.2, 2020 [95.増え続ける国債残高]

 日銀黒田総裁が異例の談話を発表した。
今後の動向を注視しつつ、適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針である
*https://www.msn.com/ja-jp/news/money/潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努める%ef%bc%9d日銀総裁が談話/ar-BB10BGJ9?ocid=spartanntp

 中身は国債の大量購入とETF(上場投信)の大量買入れである。前者は放置しておくと、国債が売れ残り長期金利が暴騰し始めるからやらざるを得ないし、後者は大量の一部上場株を日銀が抱えているので、株価が下がり続けると、日銀は巨額の評価損を出して債務超過を起こしかねないから、債務超過を避けるために大量購入せざるを得ない。長期金利が上昇したり、株価が暴落して債務超過になれば、何が起きるかわからない。預金の取り付け騒ぎは必須、預金凍結そして新円発行というのが過去の経験の示すところであるから、新型コロナウィルスどころの話ではなくなる。

 だから、おしりに火がついて慌てて行動しているだけで、先の見通しがあってのことではない。日銀が国債を買い支えることは、政府財政赤字の垂れ流しを支え続けるということで、金利上昇による国債発行抑制というブレーキを外してしまうことになる。ずっとそんなことを続けている。要するに日銀総裁は政府が飼っている愛犬ポチということ。中央銀行の独立性などとっくに失われている。最近は司法(検察庁)の独立性すら危うくなっている。権力の暴走をとめられるブレーキは、一つずつ着実に壊されている。忖度政治はそうした土台があって可能になる。

 政府総債務残高は2019年末で1325兆円、毎年50兆円ほど増えるから、2023年にはGDPの3倍、1500兆円を超えそうである。租税収入は50兆円あるがその30年分の借金だから、もはや政府に返済の意志はない。
*国債発行残高の推移
https://ecodb.net/country/JP/imf_ggxwd.html

 中央銀行が政府とは独立の機関であるのは、一緒になると赤字財政に歯止めがなくなるからだが、政府と日銀が結託しているのだから、文字通り赤字財政はとめどなく膨らみ続けている。もう、誰が日銀総裁やってもマイナス金利とため込んだETF売却、国債売却の出繰り戦略は描けない。中央銀行の資産はその国のGDP20-30%でも多いとされ、そこまで膨らんだだけで財政的に不健全とみられるので売却を迫られる日銀の総資産はGDPの2.6倍を超えている。もうとんでもない比率になっている。
 日銀資産が膨らみ続ければいつか破裂する日(国際通貨としての円の不信認)が来るが、それがいつかは誰にもわからない。突然国内の預金が雪崩を打ってドル預金へと向かう。そして財務省が「預金引き出し凍結」を発表する。

 日本は戦前と戦後に2度、財政破綻した経緯がある。新円への切り替えで、国民の銀行預金はゼロになる。ああ、1000万円は保証されていた。
*<戦後の預金封鎖の実例>
https://finalrich.com/crisis/crisis-blockade-history-japan1946.html

 破綻すれば、国債通貨である円の信認が失われ数十兆円規模で円が投げ売られてドル買いへと向かう、そして預金封鎖。大幅な円安が起き、輸入品を中心に物価は高騰するので、いま1000万円でも、破綻後の価値は300万円かもしれぬ。こんなビタ銭では老後の足しにはならない。
 財務省の書類改ざんも、検察人事介入も、張り子の虎のアベノミクス(マイナス金利)も、日銀の度を越した国債買い入れやETF買い入れ、GPIFへの株式っ購入の道を開いたのも、すべては国民が選び支持している政権がやっていることだから、国民は自業自得である。この難局を乗り切れる人材は自民党にも野党にも見当たらぬ。もうだれにも止められぬ。大破綻の前に新型コロナ肺炎に罹って亡くなる老人は飲まず食わずの生活をせずに済むなら幸せ。

 また、米国ダウ平均と日経平均との差が広がりだした、株価の行方は誰にもわからない。
 円の信認が失われるとしたら、個人レベルで何か自己防衛の方法はあるだろうか?1億円以上の金融資産をもつ国民は2%程度だが、数千万円なら半数程度の国民が老後の資金に蓄えている。
① 金を買う
② ドルを買う
③ 人民元を買う
④ 土地を買う
⑤ 米国株を買う
⑥ 日本の上場株を買う
 
 それぞれ、それなりのリスクがある。リスクのあるところもうけ話もある。確実なのは①の金ということか。確実なものほどもうかもすくないのではないか。しかも金の安全な保管はむずかしい。保有金融資産の大きい人ほど悩みも大きい。だれだって損はしたくない。

 2016年11月の野村総合研究所が公表した記事では、「純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」、および同5億円以上の「超富裕層」を合わせると、2015年時点で121.7万世帯」だそうだ。国民の2%に当たる。別の2018年1月の記事によると、総資産額100万ドル以上は国民の23人に一人(4.3%)の割合、世界第2位。
*http://www.anyguidepost.com/entry/financial-assets-180107
**http://netgeek.biz/archives/109932
***https://stage.st/articles/dvpc8

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 3/12午前9時追記:「日銀会計規程」があって、日銀保有の有価証券(連動型株式)の評価は取得原価基準でなされています。つまり企業会計基準の時価法の埒外。取得原価法で昨日の日銀総裁発言(日経平均が18400割れを起こすと評価損が出る)をベースに計算しなおした結果、日銀債務超過ラインは日経平均15600円となりました。こちらをお読みください。
*#4205 日銀債務超過ラインは日経平均15600円割れ Mar. 12, 2020
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2020-03-12

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