#3885 地域を支える医師を量産しよう:自前の地域医療の仕組みづくり Dec.20, 2018 [29. 道東の地域医療を考える]
<最終更新情報>
12/24 11時追記
最近人づてに知ったのだが、釧路市の総合政策部長のOさんは光洋中学⇒根室高校出身者。数人知っているが、釧路市役所の部長職は大卒がほとんどだから、かれもそうだろう。
教育は町の礎、未来への芽である、だから市教委へ教育政策を任せっぱなしにしていない、釧路市役所総合政策部は町のグランド・デザインに教育政策を組み込むつもりのようだ。釧路市議会では市議と教育長の岡部さんが教育問題で活発な議論を戦わせている。「基礎学力保障条例」制定(2012年12月14日)以降、市政の教育への関心の度合いが大きくなっている。根室市役所総合政策部にもそういう視点が必要だろう。
さて、ここからが本題である。市立根室病院の常勤医はこの数年12人前後を推移している。売上が30~35億円ほどあるから、常勤医換算で30人ほど医師が必要であると仮定してみる。たりない18人は大学からの派遣医師でやりくりするしかない。
12/24 11時追記
最近人づてに知ったのだが、釧路市の総合政策部長のOさんは光洋中学⇒根室高校出身者。数人知っているが、釧路市役所の部長職は大卒がほとんどだから、かれもそうだろう。
教育は町の礎、未来への芽である、だから市教委へ教育政策を任せっぱなしにしていない、釧路市役所総合政策部は町のグランド・デザインに教育政策を組み込むつもりのようだ。釧路市議会では市議と教育長の岡部さんが教育問題で活発な議論を戦わせている。「基礎学力保障条例」制定(2012年12月14日)以降、市政の教育への関心の度合いが大きくなっている。根室市役所総合政策部にもそういう視点が必要だろう。
さて、ここからが本題である。市立根室病院の常勤医はこの数年12人前後を推移している。売上が30~35億円ほどあるから、常勤医換算で30人ほど医師が必要であると仮定してみる。たりない18人は大学からの派遣医師でやりくりするしかない。
常勤医一人分を派遣医師で補うとすると、3人必要になる。異動に時間がかかるから、3日で1日分しか診療できない。投稿欄へ市立根室病院関係者から具体例の投稿があったことがあるが、常勤医一人分を代替するには8400万円/人かかる。常勤医の平均給与が2700万円とすると年間5700万円/人余計に人件費がいる。例えば18人なら10億円である。病院の赤字はこの分だけ毎年増えているという計算になる。根室市立病院の年間赤字額は17億円前後を推移している。十年前には年間8億円前後だったから、9億円ほど増えてしまった。
地域医療のネックは医師の不足にある。その地域が自前で医師を育てられなければ、他地域から医師を招聘せざるを得ない。それが困難であることは根室の現状を見てもあきらか。足りない分は北大や札医大へ非常勤医派遣をお願いするしかない。
長期的にみれば解決策はある、やっていないだけだ。根室からの医学部進学者に奨学金を出せばいい。学費は国公立・私大を問わず全額支給、毎月25万円の生活費を支給し、アルバイトはしないで勉強に専念してもらう。大学を卒業したら医療技術を磨くために10年間は戻ってこなくていい、奨学金の返済は10年間猶予しよう。そして5年間根室に戻って医師をしてもらえば奨学金返済を免除しよう。根室へ戻って市立病院へ勤務する場合は2500万円の年収を保障しよう。
看護学校への進学者にも奨学金の返済は10年猶予してやったらいい。都会の病院でスキルを磨いて戻ってきてもらった方が根室の地域医療のためになる。
根室の中学生の中には毎年2~3名は医学部進学が可能な生徒がいる。お金がかかるから、端から医学部進学を考慮に入れていない。実にもったいないことだ。都会の進学校と同じシステムで中高の6年間育てたら、毎年2人は医学部へ送り込める。
20年間続けてみようじゃないか。根室出身の40人の医師が誕生する。戻ってきた医師のうち何割かは古里で診療を続けることになるだろう。何人根室に骨をうずめるか見てみたいものだ。
1人5000万円かかるとして、40人では20億円である。根室出身の常勤医がつねに15人いれば、大学からの派遣医師にかかわる人件費が年間10億円、20年間では累計200億円の赤字が減らせる。
やり方次第で医師は必要なだけ自前で育てられるし、地域医療の半分んは地元出身の医師で支えることができる。
ニムオロ塾では5年前から都会の進学校と同じシステムで一人の生徒を育てている。「個別指導・特設コース」と命名したい。根室にそういう塾が必要だ。指導能力のある者は、定年になったら根室へ戻って古里のために数年間汗を流してもらいたい。
地元出身の医師が戻ってくる頃には結婚して子どもがいる。子どもの教育をしっかりできなければ、根室に戻ってこない。だから、根室でも医学部進学が可能になる教育システムが必要なのだ。私塾と根室高校が連携すればやれる。
根室市内で学力テスト学年3番以内に複数回エントリーできた生徒には、さらに学力を伸ばすために個別指導塾へ週4日通う権利を付与しよう。塾の授業料は市側で負担しよう。経済的に恵まれない家庭の生徒でも優秀なら医学部進学できて、根室の地域医療の重要な担い手となる道を拓いてやりたい。こういう具体的な政策を実現するのは根室に住むわたしたち大人の責任である。
結論を箇条書にまとめておく。
<奨学金支給条件>
〇医学部進学者の学費は全額奨学金として支給する
〇6年間毎月25万円支給し、勉学に専念してもらう⇒アルバイト禁止
〇10年間奨学金返済猶予期間を設ける
〇5年間根室で診療したら、奨学金返済を免除する
<選抜条件>
〇中学生で市内全校で学力テスト五科目合計点が学年3位以内の2-3名を選抜して医学部進学の意思を確認する
〇選抜した生徒が個別指導塾へ通うつもりがあるなら、週4日の授業料を根室市で負担する
<下げ止まらない中学生と高校生の学力>
12年前のことだ。市街化地域で一番学力の高かった柏陵中学校の1年生3クラスのひとつが学級崩壊を起こした。2年生となりクラスが再編されたら、騒ぐ生徒が散らばって増殖した。学力テストの五科目平均点がいきなり50点も下がった。そして下がったままだ。柏陵中学校は十数年前は五科目300点満点の学力テストで140点台だった。いい時には160点を超えたこともあった。光洋中が今年は140点台を維持しているらしい。母校であるがここが一番学力が低かった。年度によって5人ほど学力の高い生徒が出る年度があるので、そういう年は平均値も高い、数年に一度の頻度。そういう年を「当たり年」と呼んでいる。喜ばしいことだ。漁と同じよう
地域医療のネックは医師の不足にある。その地域が自前で医師を育てられなければ、他地域から医師を招聘せざるを得ない。それが困難であることは根室の現状を見てもあきらか。足りない分は北大や札医大へ非常勤医派遣をお願いするしかない。
長期的にみれば解決策はある、やっていないだけだ。根室からの医学部進学者に奨学金を出せばいい。学費は国公立・私大を問わず全額支給、毎月25万円の生活費を支給し、アルバイトはしないで勉強に専念してもらう。大学を卒業したら医療技術を磨くために10年間は戻ってこなくていい、奨学金の返済は10年間猶予しよう。そして5年間根室に戻って医師をしてもらえば奨学金返済を免除しよう。根室へ戻って市立病院へ勤務する場合は2500万円の年収を保障しよう。
看護学校への進学者にも奨学金の返済は10年猶予してやったらいい。都会の病院でスキルを磨いて戻ってきてもらった方が根室の地域医療のためになる。
根室の中学生の中には毎年2~3名は医学部進学が可能な生徒がいる。お金がかかるから、端から医学部進学を考慮に入れていない。実にもったいないことだ。都会の進学校と同じシステムで中高の6年間育てたら、毎年2人は医学部へ送り込める。
20年間続けてみようじゃないか。根室出身の40人の医師が誕生する。戻ってきた医師のうち何割かは古里で診療を続けることになるだろう。何人根室に骨をうずめるか見てみたいものだ。
1人5000万円かかるとして、40人では20億円である。根室出身の常勤医がつねに15人いれば、大学からの派遣医師にかかわる人件費が年間10億円、20年間では累計200億円の赤字が減らせる。
やり方次第で医師は必要なだけ自前で育てられるし、地域医療の半分んは地元出身の医師で支えることができる。
ニムオロ塾では5年前から都会の進学校と同じシステムで一人の生徒を育てている。「個別指導・特設コース」と命名したい。根室にそういう塾が必要だ。指導能力のある者は、定年になったら根室へ戻って古里のために数年間汗を流してもらいたい。
地元出身の医師が戻ってくる頃には結婚して子どもがいる。子どもの教育をしっかりできなければ、根室に戻ってこない。だから、根室でも医学部進学が可能になる教育システムが必要なのだ。私塾と根室高校が連携すればやれる。
根室市内で学力テスト学年3番以内に複数回エントリーできた生徒には、さらに学力を伸ばすために個別指導塾へ週4日通う権利を付与しよう。塾の授業料は市側で負担しよう。経済的に恵まれない家庭の生徒でも優秀なら医学部進学できて、根室の地域医療の重要な担い手となる道を拓いてやりたい。こういう具体的な政策を実現するのは根室に住むわたしたち大人の責任である。
結論を箇条書にまとめておく。
<奨学金支給条件>
〇医学部進学者の学費は全額奨学金として支給する
〇6年間毎月25万円支給し、勉学に専念してもらう⇒アルバイト禁止
〇10年間奨学金返済猶予期間を設ける
〇5年間根室で診療したら、奨学金返済を免除する
<選抜条件>
〇中学生で市内全校で学力テスト五科目合計点が学年3位以内の2-3名を選抜して医学部進学の意思を確認する
〇選抜した生徒が個別指導塾へ通うつもりがあるなら、週4日の授業料を根室市で負担する
<下げ止まらない中学生と高校生の学力>
12年前のことだ。市街化地域で一番学力の高かった柏陵中学校の1年生3クラスのひとつが学級崩壊を起こした。2年生となりクラスが再編されたら、騒ぐ生徒が散らばって増殖した。学力テストの五科目平均点がいきなり50点も下がった。そして下がったままだ。柏陵中学校は十数年前は五科目300点満点の学力テストで140点台だった。いい時には160点を超えたこともあった。光洋中が今年は140点台を維持しているらしい。母校であるがここが一番学力が低かった。年度によって5人ほど学力の高い生徒が出る年度があるので、そういう年は平均値も高い、数年に一度の頻度。そういう年を「当たり年」と呼んでいる。喜ばしいことだ。漁と同じよう
学校ごとの生徒たちの学力も「豊漁」の年がある。
柏陵中学校うの今年の3年生の学力テストの平均点は総合Bも総合Cも100点(300点満点)を切っている。9月の学力テスト総合Aは修学旅行が予定されていて未受験、折あしく数日前の9/8が胆振大地震による全道ブラックアウトで延期となった。
4月103.6点、10月学力テスト総合B90.2点、10月学力テスト総合C95.6点
(啓雲中:4月101.1点、9月A101.5点、10月B100.7点、11月C117.3点)
啓雲中学校は総合Bよりも総合Cが17点も高かった。校長先生が書いている学区通信によれば、放課後補習で教えあいをやったそうだ。学力の高い生徒が学力の低い生徒に教えたら、平均点が上がったということのようだ。いろんなことを試みている。秋田県大館市でやっている「学び合いの授業」と似ている。
柏陵中学校では、15年前は100点未満の生徒はゼロに近かった。平均点が百点を切ったのは初めてだろう。
<学力低下と地域医療の関係>
根室市教委はふだんの学力テストデータすらモニターしていない、だから危機感無しだ。
高校1校体制になってから根室高校生の学力低下も拍車がかかっている。新入生の最初の全国模試で数学の学年平均点が20点を切りそう、もちろん百点満点だ。こんな状況を放置している根室市に小中高生の子どもを連れて赴任したいと思う医者がいるか?子育てを終わった医師しか赴任する気になれないだろう。それもあって慢性的に常勤医が不足している。医師が来ない原因を一つ一つ取り除く必要がある。
学力低下を放置したら、地域医療崩壊だけではすまない、地元企業は人材を確保できず、そして地域経済も地域社会もドミノ倒しのごとくに倒れていく。
どうするのも根室で生まれ育ったわたしたち次第だ、それぞれができる範囲でなにかやったらいい。
<余談:四国の地域医療を支える県立大学医学部>
四国の人口は375万人だが、県立大学医学部が四つもある。道東の人口は約百万人だが、医学部のある大学は一つもない。道東に国立医科大学を設置してもらいたいというのは当然の主張である。道東の市と町が協働して国立道東医科大学設置の運動をしたらいい。まずは根室市役所総合政策部と釧路市役所総合政策部が医科大学設置について打ち合わせをはじめよう。核になるところができたらあとはなんとかなる。
国立道東医科大学ができて、道東地域枠が15人なら、30年で450人の医師が誕生するから、道東地域医療の医師不足は消滅する。
(歩留まりは1割くらいかもしれない、2割なら道東の地域医療はずいぶん変わるだろう:2019年2月2日追記)
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柏陵中学校うの今年の3年生の学力テストの平均点は総合Bも総合Cも100点(300点満点)を切っている。9月の学力テスト総合Aは修学旅行が予定されていて未受験、折あしく数日前の9/8が胆振大地震による全道ブラックアウトで延期となった。
4月103.6点、10月学力テスト総合B90.2点、10月学力テスト総合C95.6点
(啓雲中:4月101.1点、9月A101.5点、10月B100.7点、11月C117.3点)
啓雲中学校は総合Bよりも総合Cが17点も高かった。校長先生が書いている学区通信によれば、放課後補習で教えあいをやったそうだ。学力の高い生徒が学力の低い生徒に教えたら、平均点が上がったということのようだ。いろんなことを試みている。秋田県大館市でやっている「学び合いの授業」と似ている。
柏陵中学校では、15年前は100点未満の生徒はゼロに近かった。平均点が百点を切ったのは初めてだろう。
<学力低下と地域医療の関係>
根室市教委はふだんの学力テストデータすらモニターしていない、だから危機感無しだ。
高校1校体制になってから根室高校生の学力低下も拍車がかかっている。新入生の最初の全国模試で数学の学年平均点が20点を切りそう、もちろん百点満点だ。こんな状況を放置している根室市に小中高生の子どもを連れて赴任したいと思う医者がいるか?子育てを終わった医師しか赴任する気になれないだろう。それもあって慢性的に常勤医が不足している。医師が来ない原因を一つ一つ取り除く必要がある。
学力低下を放置したら、地域医療崩壊だけではすまない、地元企業は人材を確保できず、そして地域経済も地域社会もドミノ倒しのごとくに倒れていく。
どうするのも根室で生まれ育ったわたしたち次第だ、それぞれができる範囲でなにかやったらいい。
<余談:四国の地域医療を支える県立大学医学部>
四国の人口は375万人だが、県立大学医学部が四つもある。道東の人口は約百万人だが、医学部のある大学は一つもない。道東に国立医科大学を設置してもらいたいというのは当然の主張である。道東の市と町が協働して国立道東医科大学設置の運動をしたらいい。まずは根室市役所総合政策部と釧路市役所総合政策部が医科大学設置について打ち合わせをはじめよう。核になるところができたらあとはなんとかなる。
国立道東医科大学ができて、道東地域枠が15人なら、30年で450人の医師が誕生するから、道東地域医療の医師不足は消滅する。
(歩留まりは1割くらいかもしれない、2割なら道東の地域医療はずいぶん変わるだろう:2019年2月2日追記)
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2018-12-21 08:51
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コメント(17)
非現実的です
by 匿名医療人 (2018-12-21 13:24)
匿名医療人さん
「非現実的」と一刀両断、わたしにも読んでいる皆さんにもわかるように具体的な論拠を書いていただけるとありがたい。
そしてあなたが現実的と考える代案があるならそれもお書きください。
by ebisu (2018-12-21 15:44)
失礼しました。
全国の医学部には地域枠が設けられていますが、卒後に奨学金を一括返済するなどの抜け道もあり簡単には地域に医師はいつかないのです。
医学部に入学した当初の志は6年間後には現実との擦り合わせで大きく変わります。
ebisu氏の提案は確かに画期的ですが最近の若手医師は給与面での好待遇よりもプライベートの充実を優先したがるものです。
とにかく医師資格を取得するのが最優先という方にはありがたいお話と思います。
また女性医師は結婚を機に配偶者との生活拠点を優先するものです。
子育てしかり、子供には充実した教育環境を望みます。
残念ですが代案はございません。
全国的にみても過疎化が進む街は医療過疎地とならざるを得ないのです。
by 匿名医療人 (2018-12-21 16:20)
匿名医療人さん
丁寧なご返事ありがとうございます。
まえに類似の内容の投稿があったのを思い出しました。
医師になった方が根室への赴任をためらうのはもっともなお話です。配偶者の意向は無視できませんし、全道最低レベル、根室管内最低レベルである中学生の学力も子どもの教育にとって致命的です。
だから、そこを補完する具体策がなければいけません。
秋田県大館市の高橋教育長の講演会が先月釧路市でありました。「地域崩壊は地域医療の崩壊から始まる」だから大館市はこどもの教育を充実させることに懸命です。地域医療は地域の人材で賄う、そういう考えで学力向上に努力しています。
教育長は小中学校全部を回って授業を参観し、授業の巧拙に評価をつけて、最低ランクの教員にはなんらかの対応をとっているそうです。
地域医療の崩壊を防ぐには教育から見直さなくてはいけません。
過疎地がますます過疎化するのは止めようがなくても、人口が減ったなりにいい街づくりができるはずです。
まずは、根室の大人たちができることをやってみる。そして結果を観ようじゃないかというのがわたしの主張です。
座して死を待つような町であってほしくありません。生まれ育ったふるさとの町をなんとかしようという人の輪ができればことは動きます。
それでもだめならしかたのないこと。とっても残念ですが、あなたのご意見の通りの結果になります。(笑)
投稿どうもありがとう。
by ebisu (2018-12-21 16:37)
結局のところ地方から医学部に行く層は地元中学の神童か医師の子息しかいません。(中日ドラゴンズの根尾くんのような家庭が典型的です)
そういった層が地方に留まるかどうかはその地域の進学校がコンスタントに国公立医学部に合格者を出しているか否か、これにつきます。医師家庭は子供を医学部に入れたいと考えるところが非常に多く、学費の高い私大医学部すらそれなりに高い学力が求められるためです。 低く見積もっても高校入試段階で8割得点出来る力は必要です。
この時点で過疎地域では該当の生徒は1人、二人いれば良い方です。そして該当の生徒がみんな医学部に行くわけではありません。東大などに行って研究者や弁護士、官僚、一流企業社員などになりたいという学力の高い生徒に対し田舎は医者が足りないから医者になれなんていうのは進路指導としては最悪以外の何物でもないです。医師になっても都会に出ていく人の方が多いでしょう。そう考えると過疎地域に育ち過疎地域に戻る医師は10年に一人くらいのものではないでしょうか。過疎地域の医師を増やすには過疎地域の高学力層を増やさないことにはそもそもどうにもならないのです。
金さえ貰えれば医師が田舎に来るだろうという安直な発想しかしていない地方自治体が多いのですが、分かってない。本当のニーズは自分だけでなく自分の子供にも富を継承できるかどうか、つまり医学部に入れられるかどうかなのです。低学力、学級崩壊、教科書は終わらないでは子育ての環境としては論外です。大都市から過疎地域に移住を考える医師がいたとしてもその現状を知ったらあっさり考えを変えると思います。
金さえ積めば田舎に医師が来るという認識を改めない限りかくして地方の学力低下と医師不足はスパイラル化していくのです。
by 麒麟 (2018-12-21 21:25)
麒麟さん
お久しぶりでした。
あなたのおっしゃる通りですよ、匿名医療人さんのご意見ももっともです。
地域医療が崩壊しはじめたのはいつからだったのか、定かではありませんが、とにかく崩壊し始めていることだけはたしかです。根室だけでなく同じ根室管内の中標津町立病院もあやしくなってきています。
人口2.6万人の町で毎年17億円の赤字は、国から10億円が補填されても巨額です。
幸い、ふるさと納税資金が潤沢にありますから、地域医療を自前で何とかしようという声は聞こえてきません。
中学生の学力はこの十数年間で最低、学級崩壊もめずらしくありませんから、子どものいる医師が来たがらないのは当然です。常勤医不足は慢性化しています。
だから、地域医療を支えるのはその地域に住んでいる者たちしかない。生まれ育ったふるさとの地域医療を支えようという子どもを発掘して育てるしか方策が思いつきません。
ひとつひとつ障害になるものを取り除いていく努力をしなければならないのでしょう。
医学部進学したい生徒はいます。いますが、中3になってからでは遅すぎます。同じ学校のわずか40-60人の生徒と比べて学力が優っているからといっても、全国レベルでは進研模試なら偏差値60前後しか得点、全国レベルでの自分の学力の実態を知らない。そういうことを知っている親も非常に少ない。
手遅れになってしまうケースがほとんどです。
都会と同じように小4からスタートさせたいところですが、選抜の方法がありません。中学校の学力テストで中1と中2なら五科目合計で90%超の得点域に、中3なら五科目300点満点で250点以上でなければ、無理でしょう。
毎年、市内1学年200名の中には数人そういうレベルの生徒がいます。難易度の高い問題集を使用して、1年先取りで鍛えたら、全国レベルで戦える生徒がいます。
学力の高い生徒たちはそのほとんどが、とくにどんな職業に就きたいというイメージはないのです。このあたりが都会とまったく違うところです。
すこし具体的に書きます。キャリア官僚は根室の町には一人もいませんし、中央官庁と道庁の職員そして根室市役所の職員との権限の違いも知りません。身近に住んでいないので知りようがないのです。
一部上場企業の本社もありませんから、民間企業のエリート社員がどういうものか根室の子どもたちはみたことすらありません。
偏差値の高い大学の学生がどのようなものかも身近にはいないので知りません。偏差値の高い大学のある町とは事情がまるで違っています。
旭川は医大があり、旭川東高校から毎年20名近くが進学しているので、旭川の子どもたちは身近に医大生を見ているのです。
見る機会のないのは子どもたちだけではありません、大人も同じです。
あきらめたらそれまで、未来を切り開くにはひとつひとつ障害を取り除き、有効と思える手を打って様子をみるしかありません。
人口が減少しても、生まれ育った町に住み、それなりに暮らしていければいいのです。
そのためには地域医療の崩壊をなんとかしなくてはなりません。
根室の町で生まれ育った大人たちがいま試されているのだろうと思います。
by ebisu (2018-12-22 00:51)
とめどない学力低下がはじまっており、根室管内最低にまで落ちているのに根室の地元経済界も市議会も市教委ですらもちっとも危機感がない。
釧路の青年会議所は市教委と教育に関する連携協定を結んでいます。青年会議所は釧路の教育を考える会の創立以来のメンバーでもあります。
自分たちの町の未来はそこに生まれ育ったものたちがなんとかする。そういう気概があるかなしかが、30年後の町のありように大きく影響します。
by ebisu (2018-12-22 08:43)
医師を作り育てる前に、この問題も解決できない日本の厚生医療の現状です。
時間外上限「2000時間」
厚生労働省が1月11日、医師の働き方改革に関する検討会に、病院勤務医の時間外労働の上限として休日を含み年間960時間、さらに2035年度末までの経過措置として、「地域医療確保暫定特例水準」を設け、労働時間短縮や健康確保策の義務化など要件を付し、対象医療機関を限定した上で「1900~2000時間程度」に設定する案を提示した。
Q1: 「地域医療確保暫定特例水準」の上限1900~2000時間についてどうお考えですか
「長すぎる」は勤務医が50.1%、開業医が50.3%とほとんど同じだったが、「長い」は勤務医13.8%、開業医8.6%と違いが出た。「適正」は勤務医7.0%、開業医6.1%で全体でも6.9%とわずかで、「短い」と「短すぎる」はほとんどいなかった。
Q2: 時間外労働の上限や長時間労働、地域医療提供体制の確保など今回のテーマについて、ご意見をご自由にお書きください。(任意)
【医師だけ特例はおかしい】
医師だけ特別枠は納得がいかない。【勤務医】
例外なき改革を望みます。【開業医】
長い目で見た早急な対策が必要なので、1割の無理している人を“救う”当たり前の基準が必要。【勤務医】
医師の命を軽視した地域医療なんぞ、速やかに崩壊させるべきだろう。【勤務医】
国が長時間労働を容認していることになる。医師はいくら働いても病気にならないと思っているのでしょうか。地方の救急病院は若手が行かなくなり、中堅の医師は疲弊して辞めていく。地方医療は崩壊しますね。【勤務医】
医師だけ特別扱いをしなければいけないということは制度に問題があるということ、そこを素直に認めた上で、どうしても制度を当てはめると立ち行かないのであれば、恒久的に医師には特別な特権(ないしは報酬)を付与して施行すべきでは、と思いますが。【開業医】
【やむを得ない】
上限2000時間は長すぎると思うが、地域医療体制の維持には必要。【勤務医】
医師の時間外労働の定義は極めて難しい。病院での勉強は時間外労働で、自宅での勉強は余暇、とか。嫌ならいつでも辞められるから、基本的に医者は労働者ではなく、病院勤務医も個人事業主に近い。医療は医師の善意で成り立っているのを理解しているので、世間の人たちは敬意を込めて医者を先生と呼んでいる。今の医師の社会的立ち位置を保ち続けたければ、医者はある程度は「医は仁術である」と自己犠牲の精神で仕事を続けた方がよいと思う。誤解を恐れずに、批判を覚悟の上で語ってみました。【勤務医】
【そんなところで働けるのか】
みんなが行きたがらないところへ行ったら、2000時間の時間外ありって悲しすぎる。【勤務医】
月に160時間以上の時間外勤務だと、地域医療を希望する医師がいなくなるんじゃないですか?【勤務医】
労働時間の規制がほとんどかからない地域に行きたいだろうか?医師不足になり、さらに深刻な問題が生じる可能性があると思う。上限を甘くするのであれば、一般の時間外労働時間を超えた部分については、国からの補助で通常よりも高い手当てを設けるなど何らかの対策を検討してもらいたい。【勤務医】
【時間外手当の議論が必要】
時間の上限だけ決めてもその計算方法や手当が曖昧なままでは、病院管理者がいくらでも恣意的に運用することが可能です。例えば、診療密度の高い当直、大学勤務医の外勤、オンコールなどの計算はきちんと決めておくべきでしょう。また、時間外勤務が適用されない管理者の定義、時間外手当ての額もきちんと決めておくべきです。【勤務医】
上限を設けることで、結果的に超過勤務手当が支給されないサービス残業が常態化する事を危惧する。【勤務医】
【勤務環境是正が必要】
時間外労働を考えるとき、主治医制にある医師のオンコール体制についても議論してほしい。いつなんどきも拘束される現状はかなり異常であり、是正が必要と考える。【勤務医】
長時間労働は医師を疲弊させるのみで、敢えて実行すれば医療の質が低下するのは明らかです。【勤務医】
【自分でやってみろ!】
こんなことを言い出した者や賛成したものが、2000時間の時間外労働をすべきである。【開業医】
【強制的な医師配置が必要】
地方病院勤務を、全ての若手医師の義務とする仕組みの確立。【勤務医】
【議論のためのデータが足りない】
医師過剰なのかどうか 救急体制に必要な人員はいくらなのか そのための医療費確保はどうするのか 明確にしないと何も議論できない。【開業医】
【厚生労働省ではだめだ】
「毎月勤労統計」もまともに調査できない厚労省に、こんな課題を任せるのは危険です。【開業医】
【短い】
示された時間で、現場は運営できるのでしょうか?現場の運営を考慮すれば「短い」ように思います。現在の状態をありのままに広く世に示し、それが是か非か、改善策も含めて議論すべきです。時間だけ示しても改善に繋つながりません。医療に関するさまざまな制度や仕組みが、医師を過労状態に留めているように思います。医師という特殊な専門的職務に付帯する医師の使命感や善意に依存している制度や仕組みもあるように思います。【開業医】
by 隣町の住人 (2019-01-28 08:50)
隣町の住人さん
勤務医や開業医の様々な意見のアップありがとうございます。先生の議論は具体的で医療業界以外の人間にもわかりやすい。
残業の上限を年間2000時間とする、無茶苦茶ですね。へき地医療に携わる医師がいなくなります。
だからと言って他の産業と足並みを揃えたら、地域医療が崩壊します、にっちもさっちもいかない状況です。それを認めるところから、議論をはじめなければならないのでしょう。
上限2000時間がどういうものか法制化を推進している人たちがまず自分でやってみたからにしてほしい。
週休2日制なら、一日16時間の労働時間です。30代のころは毎月百時間くらいの残業をしていましたが、仕事のスキルを磨く就業期間中だったからです。上司に指示されてやる仕事なら、ストレスがたまっておかしくなるでしょうね。裁量が任されたプロジェクト仕事で忙しかったので、何ともありませんでした。
40代を振り返ると、ずいぶん余裕で仕事してました。残業がほとんどなくなりました。仕事の進め方が上手になったのと、30代のころよりも権限が大きくなったからでしょう。
医師の数が足りないということも問題を複雑にしていますから、2倍いてもいいのではありませんか?
多少レベルは下がっても医師の人数をもっと増やさなければ、にっちもさっちもいきませんね。増やしたところで、僻地には赴任したくないというのもわかります。その一番の理由は子どもの教育でしょうね。
それぞれの問題に具体的な答えを出さなければならない。だから、議論が必要です。
何をやるのか、どういう順序でやっていくのか、国会でも市議会でも町議会でも村議会でも議論してもらいたい。
道東の住民は、釧路に国立道東医科大学設置運動をたちあげよう。道東の人口はほど100万人です。人口百万人以下の県でも、医学部あるいは医科大学があります。
by ebisu (2019-01-28 23:50)
「道東の住民は、釧路に国立道東医科大学設置運動をたちあげよう。道東の人口はほど100万人です。人口百万人以下の県でも、医学部あるいは医科大学があります。」
ふーむ、これがPlanAですか・・・そのバッターがどこを狙っているかを無視した直球ですね!
バッターの打球が落ちる場所は次の通りです。センター方面は臨床医、ライト寄りが大学や研究所での研究者(基礎医学的な)、レフト寄りが厚労省や保健所などの役人、ライト線ギリギリが保険会社の嘱託医や大手企業の産業医、レフト線すれすれが「国境なき医師団」や「青年海外協力隊」、ホームベースの直前は南極や7大陸最高峰遠征隊などの随行医師・・・まあ大体まっすぐに打っていればバールは臨床医の領域に落ちるでしょう。ただ野球場の広いダイアモンドは更に区画されていて、内科、外科、小児科、産婦人科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、泌尿器科、脳外科、精神科、麻酔科、放射線科などが書かれています。更に最近の野球では夫々の科の区画内がより細分化されています。そして才能のあるイチローの様なバッターは自分の狙った場所に球を打ち込みます。イチローに期待するファンは「脳外科に打って欲しいなどとは考えません。とにかくhitを打って欲しいのです。バッターが何処に打つかはバッターの自由でファンがどうのこうの言える筋合いではありません。野球が公明正大なスポーツであるならば、監督やコーチ、球団上層部、ひいてはプロ野球機構も同様でしょう。
PlanAには残念ながらその視点が欠如しています。卒業生が全て日本中の病院で必要とする専門分野の専門医の割合通りに自分の進路を取るわけでは有りません。バッターによっては卒業後医療現場では働かないファールボールばかり打つ者すら居ます(昨今私立医大で問題となっている女性の入学を悪しく思うのは、これも一因。序でに言うならば、悪名高き私立医大の裏入学に関しては小生が医学部に入った昭和40年頃には業界では常識だった。それを今頃に成って騒ぎ立てるマスコミや文科省の体たらく! だから森友・加計などの恥さらしな問題が絶えない!)
PlanAは 需要=供給ですが、皆さんの思惑通りには供給されない事が欠点です。このsimpleな数式を成り立たせるには、未だ唯一の方法が有ります。
「医師を公務員にして国家が勤務先に介入する」
しかし現在の自由主義国家の日本ではさすがに政府はここまでは出来ないでしょう。もっとも一部の大学では入試時点で地域特別枠を設け卒後地域での勤務を条件付けている所は有りますが。(自治医大などはいわば全国レベルでの特別枠)。
今回敢て「国立道東医科大学構想」に批判的な意見を書いたのは、一つは(当たり前なんですが)地域の皆さんは「自分たちを助けるために医科大学が在る」と言う「美しい誤解(幻想)」をお持ちだと言う事に対する警鐘です。大学の医学部を卒業した医師全員が「地域の人々のために頑張ろう」などと思ってはいけません。(勿論中にはその様な医師は居るとは思いますが)。
どなたかもお書きになっていましたが、大学入学時点と6年間の医学部経験後では、恐らくかなりの心境の変化が有ると思われます。以前このコラムに、TVで自治医大の卒業間近の6年生数名と佐久総合病院の若月院長との対談が有り、とにかく諸手を上げて喜んでいる若月院長の横で複雑な表情の自治医大生の話を書いたことが有ります。優秀であるが故に選ばれ胸膨らませて、自治医大に入ってみたものの勉強が進につれ、卒業後の自分たちの自由を奪われた環境を思い悩みあの様な暗い表情になるのだなと思ったものです。東京辺りの私立医大にはベンツに乗りモデルの様なガールフレンドを従えた開業医の息子が居たりします。地方から出てきた真面目な秀才の目にはどう映るのでしょう。
小生も実際に数人の自治医大卒業生を知っています。皆それなりに優秀な医師たちですが、やはり皆さんの自身に課せられた重みの様なものが言葉の端端に感じられました。
PklanA:確かに明快なアイデアですが、その数式の中に埋没した個人の自由や尊厳を考えるにつけ、簡潔な式ゆえの或る種の残酷さを感じざるを得ません。
by お名前(必須) (2019-01-30 16:36)
隣町の住人さん
PlanAの評価はおっしゃる通りです。
「そのバッターがどこを狙っているかを無視した直球ですね!」
それでいいとわたしは思います。
医科大学を卒業後どこで働こうとご本人の自由です。
ですがあなが挙げてくれた国家公務員医師というアイデアは現実性がありそうです。たとえば、年収2500万円で採用枠を500人用意したらどうなるでしょう。やってみる価値はありそうです。
医師の絶対数が足りない中でこういう政策を実施したら、大きな歪と副作用が必死ですから、やれないでしょうね。まずは医師数を増やすことが最優先ではありませんか?
WHOが公表している「人口千人当たりの医師数」をみると、日本は55位で2.297人、さらに日本を都道府県別でみると北海道は2.29人で25位ですから、日本では真ん中あたり偏差値では48.5です。
http://top10.sakura.ne.jp/IBRD-SH-MED-PHYS-ZS.html
http://grading.jpn.org/y2121002.html
スイスがランキング10位で偏差値64.3、千人当たり4.082人ですから、スイス並みに医師数を増やすことを目標にしたら2倍の医学部・医科大学が必要です。ニーズが大きいのだから、それぐらいあっていいのではありませんか?どういう社会、どのような地域医療をビジョンとしてもつのかというところから議論したほうがよさそうですね。厚生労働省はそうしたビジョンをまとめ、公表してもらいたい。
医学部や医科大学を増やしたうえで、様子を見るというのが現実的な政策ではないでしょうか?
ところで、昭和40年代のころのお話ですが、私大医学部は裏口入学あたりまえだったというのは、わたしもそう思います。当たり前すぎて、ニュースの価値はありませんでした。何をいまさら、マスコミが騒ぐのか、ニュースの価値がでてきたということ。
世の中の眼がだんだん厳しくなっているということのようですね。
医学部や医科大学卒業後どこで働こうが、それは自由ですよ。ただ、困難なへき地医療を支える医師にはもっといろいろな面での優遇政策があって当然だと思います。とくに、子どもの教育に関して都会とそん色のない具体策が必要でしょう。
いまはそうした政策がなにもありません。これも、地域医療ビジョンに関係することです。
「東京辺りの私立医大にはベンツに乗りモデルの様なガールフレンドを従えた開業医の息子が居たりします。地方から出てきた真面目な秀才の目にはどう映るのでしょう。」
大学同期の友人の一人は、親が離婚して両方とも再婚、お母さんのほうから実父のほうへ籍を移した1か月後に交通事故でお二人が亡くなり、ある上場企業の大株主でしたからその株を含む遺産を相続、その後飲食業界で手広く商売をしていたおじさんに相談していたら、そのおじさんも1年後に亡くなり、子どもがいなかったので相続人に彼を指定していました。昭和40年代に20億円近くの遺産相続をした男がいますが、派手ではありませんでした。巨額の遺産を相続したことが知れ渡ると、
「ebisu、いままで友達でも何でもなかったやつらが寄ってくるんだ」
そうぼやいてました。数奇な運命です。新宿・池袋を経由して同じ私鉄で通学していたので盛り場でよく一緒に遊んだのです。
たしか埼玉銀行に就職しました。そこに預金の大半を預けていましたから。(笑)
わたしはうらやましいとは思えませんでした。極端な不幸と幸福がないまぜになった数奇な運命の友だと思います。
わたしは、医学部生についてもいろんな事情の人がいていい、あたりまえだと思うのです。
by ebisu (2019-01-30 18:08)
「医学部や医科大学卒業後どこで働こうが、それは自由ですよ。ただ、困難なへき地医療を支える医師にはもっといろいろな面での優遇政策があって当然だと思います。とくに、子どもの教育に関して都会とそん色のない具体策が必要でしょう。いまはそうした政策がなにもありません。これも、地域医療ビジョンに関係することです。」
”地域医療での医師不足”に対する解決策の一つに決定的とは言えませんが少しはましな方法は有ります。将来どうなるか分からない医学部入学者に夢を託すのも結構ですが、既に医師として働いている者を引き留める方が色々な面でbetterでしょう。公的医療機関は殆どが定年制を敷いています。大体が65歳前後でしょうか。勿論退職後は年齢不問の民間病院に再就職する医師も多いでしょう。現在小生も属する団塊の世代は70歳過ぎですが、その多くは一線を退いた年金暮らしだと思います。その年金組の中にも医師は居るでしょうから、その人たちを探し出して比較的楽な仕事をお願いしない手は有りません。ただここで大きな問題が有ります。Ebisuさんが仰るように、その人たちを受け入れる環境整備が全くなされていません。
これは小生の個人的な話ですが、小生は現在某町の病院でのんびりと働いています。その病院とはもう8年来の付き合いで給料もまあそこそこです。しかし、毎月の給料から所得税や道民税などの地方税が35%、更に健康保険や介護保険で40%は天引きされています。因みに小生は現在心疾患(ステント挿入、ペースメーカー)なの身障者1級です。しかし医療費は相変わらず3割負担のままです。もう本来なら長い務めを果たし安寧な老後を送れるのに、心臓病を抱えながらも地域の人のために自分にできる範囲ですが頑張ろうとしている年寄りに、国はこの仕打ちです。そんなこともあり、最近は真面目に現役を辞めて世間並みに年金暮らしの方が良いかなと悩んでいます。書類の関係で役場に行って知り合いに愚痴を零します。「町民ののために病気の体に鞭打って働いてるのに、何だよこの扱いは?!」。その愚痴を聞いた係は、にやっと笑って一言。「だって先生は高給取りでしょう!」。まるで「高い税金を払っているのはそれだけ収入があるからで、喜ぶべきことでしょう」と言わんばかりの態度。自分がそれ程感謝されていないと思えばモチベーションがどんどん下がります。「それならそろそろここらで自分の人生を大切にするか・・・」。まあ小生たちの仕事はどこでも働けるのが強みなので、月に1-2度何処かの病院で外来や当直をやれば贅沢を言わなければ食べては行けます。
最近つくづく思うことが有ります。自分が医師として患者さんのために一生懸命頑張っていたつもりでも、こちらが去ってしまえば意外と相手は何とも思ってはいません。「のど元過ぎれば熱さ忘れる」でしょうか。悪い話や噂は千里を走りますが、まず良い話を聞くことは有りません。居なくなった医師は話題にすらならないと言う事です。「去る者は日日に疎し」ですね。人は「袖すりあうは多生の縁」だと信じていた自分が馬鹿々々しく思えます。小生はこの道東に来てそろそろ13年に成ります。13年と言えば大体人生の1/6に当たりますが道東でのこの13年間が自分にとってどんな意味が有ったのか・・・ふと思い出しては考える今日この頃です。
そうそう一つだけ忘れておりました。小生の住む町のお隣さんは、内地辺りでリタイアした団塊の世代などを地元に呼び寄せようと必死のようです。土地や建物を安価に提供し地元に永住してもらう。これ一見Good Ideaなんですが、自分の実際から見ると非常な問題点が潜んでいます。先ずは健康の問題。対象に成る年代での最大の健康リスクは脳出血・脳梗塞(いわゆる脳卒中)と心疾患(特に心筋梗塞)です。この2疾患は救急を要します。つまりbestは地元に手術ができる脳外科と循環器科が存在することです。「なあにドクターヘリがあるでしょ。釧路に運べば良いべさ」。だがしかし、ヘリは夜間や昼間でも視界や風で飛べなくなります。救急車も天候や道路事情で動けないことも有ります。それを考えると、地元の病院に最低でも脳外科・循環器の常勤の専門医が必要です。同じ疾患でも「発症したのが札幌だから助かった。これが何処何処だったら今頃は・・・」では洒落にも成りません。しかしただでさえ医師不足の地域に手術ができる都会的な脳外科医や循環器医の常勤など望むべくも無いのか・・・そんな所に老齢の医師は来ない・・・「鶏か卵か」の悪循環ですね。
様々なアイデアを巡らせて医師を作り世に出すまでは、国もこれまで何とかやってきました。その医師を教育し育てるのは赴任先の地域です。その医師の努力に報いる住民の感謝の気持ちが医師を地域に繋ぎ止めます。医師も患者も人間です。お互いに教えあい学ぶ仲間です。「診てやる!」「診ろ!」ではありません。「おっ、どうしたの?」「うーん、どうも最近・・・なんだよね」その歯車が狂いだすとモチベーションが下がった医師はその地域から去ります。Ebisuさんのお住まいの根室も、これまで何人の医師が現れ、そして姿を消したでしょうか。(医局のローテーションは別にして)。小生の住む町の病院でも同じです。医師と住民の間を繋ぎ止めるのは、金銭などの物質ではありません。それはお互いの間の信頼です。もっと違った言い方があるとすれば、それはお互いが限界まで頑張り、その地域病院のレベルに応じた妥協点を見出す事かも知れません。
最後に、Ebisuさんは何時もスキルスの手術の話をされ手術した外科医とその前後を見守っている地元のO医師に感謝されています。時々このコラムで論じられる様々な医療問題の答えが在るなら、きっとその中に在るのだと確信しています。
by 隣町の住人 (2019-01-31 16:17)
隣町の住人さん
建設的なご意見、まことにありがたく拝聴したしました。
定年後の医師に、週3日程度の勤務で道東の自然を満喫しながら暮らしてもらう、現実的でとってもよさそうです。
快適な住宅を用意する、除雪の心配がいらないように根室市の予算で配慮する。
そういうもろもろの条件と処遇を市役所のホームページで開示して全国募集してみたらいいとわたしも思います。
外断熱で空調設備がしっかりした住宅を用意し、市のホームページ上でビデオとか写真で紹介する。
海釣り、湿原の川釣りで釣れる魚種を写真入りで紹介する。じっさいにどれくらいの量が釣れるのかも釣果を紹介したらいい、首都圏近郊では考えられないぐらい魚が濃いのです。
わたしの趣味で言えば、信号のないサイクリングコースがあります。片道5㎞コース、周回18㎞コースなど。
6月から9月いっぱいまでは15-20度くらいの気温の中を快適に走れます。
日本最東端のゴルフ場はセントアンドリュースに似ているかもしれません。
国立道東医科大学誘致だけでなく、老後をのんびり仕事していただく、そういう場を整備して提供できたら、現在の状況が大きく改善できるでしょうね。
スキルス胃癌と巨大胃癌の併発でアウトのところを救っていただいた、あの当時30代前半だった後藤幹裕先生、とっても感謝しています。音更町で開業していらっしゃいます。地元に消化器内科専門医の岡田優二先生がいらっしゃったことも運がよかった。
オヤジもお父さん先生のに診てもらって、大腸癌が判明し、釧路市立病院で手術し、担当外科医の予告通りに2年後に再発して全身転移で亡くなりました。あのときの先生はたしか森山先生とおっしゃった。平成3年3月と再手術が平成5年でした。最後は1か月間根室市立病院でターミナルケアをしていただきました。地元の病院で、家族に看取られて逝きました、幸せだったろうと思います。ターミナルケアを担当してくれる病院が地元にあることはありがたいことです。担当の女医さん無理な治療はせずによくしてくれました。
岡田先生は親子でオヤジが焼き肉屋をしていた時の常連さんでした。若先生は当時中学生でした。「食いっぷりがいいんだよな」と話していたのが記憶にあります。
親子2代の付き合いです。そのわたしが、3代目を教えている。(笑)
ありがたく、そして楽しいのです。縁とは不思議なものです。
道東の13年間、お耳には入らないだけで、感謝している患者はおそらく少なくありませんよ。
関係ないと言えばない、あるといえばあるかもしれませんが、あると思って実際にあった話を書きます。
ある年の4月に高校1年生が入塾してきました。ずいぶん不機嫌でした。何か楽しくないことがあるの?そう訊いてみました。釧路管内のある中学校から釧路江南高校ヘ合格したら、親の仕事の都合で入学式にもでられず根室高校へ編入したと言いました。中学校では五科目オール5だった、そう言いました。それ相応に努力したのでしょう、釧路江南のほうがずっと偏差値が高い、そりゃがっかりだったでしょ。
「じつはもっとがっかりしたことがある、中学校から親の転勤で根室から転校したら、仲のよかった友達が、されも電話もかけてこないし、手紙もくれなかった」と、それがショックだったので、根室に戻って来たくなかったようなのです。人間不信だった。
面倒くさがり屋が多いから、電話もしないし、手紙もくれなかったのだろう、でもね、気持ちは別だろうと思うよ、そう伝えました。
次の日、教室に入ってきたら、小学校時代の友人がいたのです。「おまえ、何でここにいるんだ?」と二人ともびっくり、映画の一シーンのような再会でした。
それから3年間、ふたりは隣同士で座って仲良く勉強してました。ふたりがボーイフレンドの話を小声でするときは中学生が聞き耳を立ててました。わたしには聞こえないので、あとでこんなこと話してたと報告してくれます。ぜんぶ筒抜け(笑)
根室へ転校して舞い戻ってきた方は藤女子大学へ、友達のほうは文教大学へ。友達のほうは学校の先生になる予定が、エアドゥのCAです。元気にやってるようです。
この二人、いまは音信不通かもしれません。でも、きっとどうしているかなって思っているはずです。
心疾患でステント挿入、ペースメーカも入っているのですか。決して無理はなさらぬように願います。健康に暮らせる範囲で、病気に苦しむ患者をお救い下さい。
地域医療問題で先生の率直なご意見が伺えるのはとってもありがたいことだとebisuは心の底から感謝しています。
by ebisu (2019-02-01 00:42)
道東は釣り人にとっては海も川も天国です。海では50cmを超えるアブラコ、カジカ、身の分厚いクロガシラ、マガレイ、チカ、コマイ。淡水では50cmを超えるニジマス、80cmに達するアメマス、1mにもなるイトウ、知床の川には宝石の様なオショロコマetc.
太平洋に面した原野に散在する沼群には時期に成るとかなりのサイズのアメマスが海から遡上してきます。かっては恐らく日本の全ての釣り場の中でも最高に釣れると誰をも唸らせる場所でした。
小生の知り合いの医師にもいわゆる釣りキチが居ます。一人は市立稚内病院の院長だった同級生のT。南極越冬隊に2回も参加したアウトドア親父で、ある時からイトウ釣りに目覚め、以来地元周辺の湿原河川で釣ったイトウは1000匹を越えた男です。釣りの世界では知る人ぞ知る存在ですので、別に病院のHPで宣伝しなくともイトウ釣りに関心がある医師なら興味を持ちます。
もう一人は、先ごろまで小生の町の町立病院の院長を務めていた後輩のN。こちらはニジマスとアメマス狂いで、毎週末にはランクルで道東の川を走り回り50cmのニジマスや70cmオーバーのアメマスを釣りまくっていました。こちらは院長室の壁に大きなニジマスの写真が貼ってあり、就職希望の医師が訪れるとその写真を見て「決めた!」(笑)
小生もかって前市長に、海岸沿いの釣り場(個人所有)を市で買い取って管理すれば、全国の釣り好きな医師の目に留まるからと話を振ってみましたが、答えは馬耳東風。ある会合でその旨を某酒造メーカーの女社長に愚痴ると「あら、あの唐変木にそんな話をしても無駄よ。そういう話は魚組の組合長にでもした方が良いわよ」と笑われました。
もう10年以上前の話です。
by 隣町の住人 (2019-02-01 10:07)
隣町の住人さん
おはようございます。
根室管内の釣り場や釣れる魚種、その楽しさについて詳細に書いて下さり、根室管内で生まれ育った者の一人としてたいへんうれしく感じました。
医師に限らず、興味をもって下さるかたが、道東で老後を暮らしてくれるかもしれません。楽しみがあることはいいことです。
でも、ご指摘のようにいいところばかりではありません。脳出血や心疾患の際には手遅れになるというリスクを承知で来ていただくしかありません。
人間いつかは死ぬのですから。
わたし自身はスキルス胃癌と巨大胃癌の併発で命のないところを、お二人の医師のお陰で救っていただいてから、死というものが怖くなくなりました。病からの救いでもあることが実感としてあります。死にかかってみなかれば理解できないことかもしれません。
今朝、目覚めたときに、呼吸が苦しいことに気がつきました。この感覚は久しぶりです。鉄欠乏性貧血のせいではなさそうです。19年前に勤務していた病院で風邪をひいたときに咳がひどいので肺のレントゲンを撮ってもらいました。肺が線維化して白く写っていました。
20代の時に大きな道路の交差点付近で仕事していたので、そのときに肺を痛めました。排気ガスによる公害がひどかった時代のことです。公害病に認定できると担当医師から親切な申し出がありましたが、辞退しました。それが加齢ともに悪化しているのでしょう。これも持病の一つ、死ぬまでお付き合いするしかありません。寝起きのベッドの中で安静にしていると酸素が吸収できずすこしずつ溺れていく感じが年々歳々強くなっています。
まだやれることがあるので、淡々と日々を過ごして、次の世代を担える人材を育てたいと思います。
先生もお体大切に、けっして無理はなさらずに過ごされてください。
by ebisu (2019-02-02 09:17)
肺線維症でしたか・・・間質性肺炎グループには最近ピルフェニドン(ピレスパ)が有効との治験があるのでもうお使いでしょうか。小生も心臓病(ほぼ完全房室ブロック→ペースメーカー挿入。右冠動脈の99%狭窄→心カテでバルーン拡張・ステント留置)ですので心臓への負荷を減らすべく少しでも体重減少に努めなければならないのですが、ついつい食べ過ぎで更に運動不足が重なり毎日が後悔の連続です。最近ではワカサギ釣りで氷の上を多少重い橇を引っ張ったり除雪でもそれ程息切れはありません。ただペースメーカーが入って以来どうしても毎日やっていた腕立てなどが遠のき、その結果肩の力や腕力が極端に落ち、それが更に労働負荷時の脱力感を生む悪循環です。それを断ち切るためには危険でない範囲で改めて筋トレも必要に思います。商売柄何ですが、最近はとみに「病は気から」と思うように成りました。武道で言うところの「心・技・体」の大切さを何となく感じる今日この頃です。
Ebisuさんも根室を中心とした道東の人々の為にご自愛ください。
by 隣町の住人 (2019-02-03 20:33)
隣町の住人さん
おはようございます。
抗線維化薬があるのですか知りませんでした。ありがとうございます。
肺の症状で専門医の診察を受けてません。2000年に風を引いて咳が止まらないので勤務している院内で肺のレントゲン写真を撮ってもらい、副院長がそれを一緒に診ながら解説してくれました。白く写っているのは石灰化と線維化しているからだと。たとえば、外から家に入ると空気の温度が変わりますが、それだけで咳き込みます。慣れるまで数分かかります。20代からのことですから咳き込みを抑えるのが上手になりました。腹筋と横隔膜に力を入れるとあるていど抑えられます。
スキルス胃癌の術後の鉄欠乏性貧血と低血圧(50-90)などが相乗効果で安静時に呼吸の苦しいのが自覚できるようになりました。あまり、進行しているという感じがありません。東京で1998年ころから、駅から登り坂を歩くのに呼吸が苦しいことに気がつきました。あれから20年です。
CT画像での判断ではないので、石灰化だけではなくほんとうに線維化しているかどうか、一度CTをとる必要がありそうですね。
市立根室病院には解像度の高い立派なフィリップス製CTがあります。
ご心配をおかけしました、そしてありがとうございます。
「病は気から」そして「心・技・体」、こころは体に密接に関係しているようです。術後は体力の衰えに慣れるまで、脳が思うように動いてくれませんでした。
雪が降っています、雪かきで汗を流す、これも健康にいい、雪の神様に感謝です。
いま市倉宏祐先生の『特攻の記録 縁路面に座って』を転載していますが、わたしたちの世代は戦後生まれですから、軍隊にもいかず、特攻を強要されることもありませんでした。特攻兵がどういう心情で征ったのか、その一端をようやく知ることができました。
この本は非売品ですから、弊ブログで読むしかないでしょう。たくさんの日本人に読んでもらいたい。とくに若い人たちと自衛隊に勤務する人たち、そして政治家に。
生き方の問題を問われているような気がしています。
by ebisu (2019-02-04 08:56)