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#3765 尊厳死について議論しよう June 30, 2018 [37. 老人介護・医療]

 「#3674 カラスの死と介護疲れで起きる尊属殺人のニュース価値」で老人介護について取り上げたので、その続きを書いておきたい。

 わたしは昭和24年3月生まれ、団塊世代の一番最後の年に生まれた。2006年に巨大胃癌とスキルス胃癌を同時に発症し胃の全摘、胆嚢摘出、リンパ節切除、浸潤していた大腸一部切除をした。外科医後藤先生の腕がよかったのと、主治医で消化器内科専門医である岡田先生のお陰でこうして12年後のいまでも小さな私塾で中高生を教えていられる。

 術後の抗癌剤治療は生き抜くのがつらいことが何度かあった。抗癌剤治療が終わった後も、食事の回数を日に5回に増やし、2時間おきくらいに果物入り自家製ヨーグルトやお菓子を食べていたので、口内環境の悪化によって歯が次々にダメになり、ほとんどの歯の神経を抜いて治療することになった。インプラントも2本やっている。治療中は歯が痛くても食べないと体力が日に日に衰えるので、食べること自体が苦行であった。なんどか「楽になりたい」、そう思った。食べないで死んでいくのは苦しくない。
 30代は2年に一度くらいの割合でひどい下痢を起こした。無理して食べると下痢が悪化したから、食べずにほうじ茶と梅干だけで3-5日くらい過ごすことになる。断食そのもの、精神は透明になり、気分はハイになる。そのまま食べなければ精神が高揚したまま苦しまずに死ねるのだが、最大でも5日もすれば自然に下痢が止まり、おかゆが食べられるようになる。そうするとあとは下痢をする前よりも体調がよくなるのだ。体内の毒が全部出てしまった感じと言えばよいだろうか。

 数か月前に娘に宛てて「延命治療の拒否書」を手書きして、置いてある場所をメールした。食べられなくなったら、そのまま死なせてほしいと書いてある。経管栄養や胃瘻(いろう)による延命はしてほしくない。そうすることで1年もっても、歩けるほど回復するはずもないのだから、意味がない。
 人はいずれ死ぬ、だから自力で食べられなくなったらそのまま緩慢に餓死することで人生を終えたい。精神は透明になり、すぐに体力は衰えていく。3-5週間もすればこと切れるだろう。

 老人人口が急激に増加することを見越して、施設医療にかかる医療費を削減するために政府は療養型病床をこの十数年間で10万ベッドも減らした。だから在宅で介護して、息子が母親を殺すような悲劇が日常的になってきている。
 施設介護を減らすのは結構だが、それとともに尊厳死の議論もすべきだ。どのような書類と手続きによってそれを認めるか、議論に3年間はかかるだろう。あと6年で団塊世代は75歳を超える。時間の余裕はほとんどない。ちゃんと議論して法律を整備してもらいたい。
 こういうことは当事者である団塊世代でなければ言い出せないだろうから、あえて声を上げた次第。


<余談:歯科治療>
 術後は根室で歯科治療していたのだが、5年ほど前から東京在住の時の主治医の林先生にお願いしている。年に一度東京へ行くので、そのときに集中的に治療してもらっている。神経の治療をしている最中でも、かならず仮歯を装着してくれるので、治療当日の食事も楽だ。2週間で治療が間に合わぬ時は仮歯のまま1年後に本歯をいれてもらう。仮歯の材料がよいのだろう、1年間どころか数年は大丈夫そうだ。治療器具と歯科材料もだいぶ違っている。仕入れ先がちがうのだろう。東京の歯科クリニックは先端情報や品質に詳しい仕入れ先を選んで取引できる点が極東の町とは事情を異にする。
 とくにセラミックスの義歯はドイツ製の機器「CEREC:セレック」で1日で製造してくれるので、日数がかからない。レントゲンで3次元撮影したデータを転送して、工業用セラミックスをセットし、削りだすのである。工業用セラミックスはいままでの義歯に使われていたセラミックスよりも頑丈である。色は3種類あったが、自分の歯の色に合わせて選んでも1本3.5万円、根室でセラミックス材料で義歯をいれると8万円である。
 導入してから数年たつが、価格を訊いたら5000万円しましたと笑っておられた。比較のために書いておくと、歯科技工士による手作り(外注)だと12万円である。安くて高品質のセラミックス義歯という商品が登場したお陰で、患者にセラミックス義歯を勧めやすくなっただろう。東京聖蹟桜ヶ丘駅前の歯科医院で、患者数が多いのでセレックを導入できた。林先生は札幌生まれ北大歯学部、生粋の道産子である。
 こうした機器は普及すると量産効果で価格が低下してじきに1000万円程度で導入できるようになるから、根室の歯科医院で導入されるのも時間の問題だろう。工業用セラミックスブロックも価格が下がるだけでなく色の種類が増えるだろう。真っ白なセラミックス義歯は2万円を切っている。女優さんならいいだろうが、あれはきれいすぎる。
 ブリッジのときは3本になるので、価格差が大きい、迷わずにセラミックスでやれます。
 あのドイツ製の機械セレックは弊ブログ#3265で紹介しました。

 CEREC:CEramic REConstruction セラミック修復 三次元レントゲン画像を取り込み、CAD/CAMシステムで元の形状を再現するので、歯型をとる必要がありません。使うセラミックブロックが耐久性に優れているだけでなく、わたしのように極東の町から、東京まで行って治療する者には1日でできることがありがたい。
*セレックシステムとは
http://cerec-style.com/cerec.html

#3265 最新歯科医療の実情:価格破壊の進行 Apr. 4, 2016
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-04

**#3674 カラスの死と介護疲れで起きる尊属殺人のニュース価値
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2018-06-30


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