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#3718 e^(iΘ) = cosΘ + isinΘ:春休みの読書 Apr. 9, 2018 [52. 数学]

 9時の気温は6度、7m/sの風が吹いているから外は寒い。
 根室高校は今日が入学式である、O君が新入生を代表して挨拶文を読む。学力テストではいいときは300点満点で280点を超えていたが、入試の合計得点は3年次の5回のどの学力テストよりも低かったのに、それでもトップ。学力トップ層が枯渇化現象を起こしているのがよくわかる、幾分か悔しい思いをしながらの挨拶と決意表明だろう。

 3月17日から春休みを2週間とった、歯の治療のほかはとくに用事もなく暇なので本棚にあった複素関数の本を開いてみたら、その中に出てくるオイラーの公式がまぶしい。数Ⅲで複素平面がでてくるが、計算はできても意味がわからなかった。
 複素関数はまったくの別世界、そしてそれは 複雑な構造をもちながら単純でとてつもなく美しい。

 e^(iΘ) = cosΘ + isinΘ

 両辺を2乗すると三角関数の2倍角の公式が簡単に導出できる。習わなくても、高2の生徒は覚えておいた方がいい公式である。

 この式を見て、グラフがイメージできるだろうか?わたしにはできなかった。代を継いで40年来愛用しているHPの社製・科学技術用プログラム計算機HP-35sには複素数の機能がついているので、方程式を入れると数値計算は容易にできるから、グラフを手作業でプロットすればいいだけ。
(グラフ描画はプログラミングすればいいのだが、もっているC++コンパイラーは20年以上前のもので16ビットマシン用、64ビットマシン用OSであるwindows10では動かない。コンピュータの性能が指数関数的に向上していくから、コンパイラーへ投資してもじきに使えなくなる。)

*「複素三角関数~単位円の束縛を超えて」
http://taketo1024.hateblo.jp/entry/complex-trigonometric

 オイラー(1707~1783年)はどうしてこんな式を考え付いたのだろう?
 間をつなぐものは、指数関数と三角関数の級数展開式である。オイラーは計算に堪能なだけでなく、飽くことなく計算に没頭する人であったらしい。
 eはネイピア数で、iは虚数単位である。この式は複素平面上で、指数関数が三角関数に還元されることを意味している。三角関数側から見ると、複素平面上では三角関数は指数関数の一次結合としてあらわすことができるということ。
 数Ⅱで指数関数と三角関数がでてくるが、これらを統一的に論ずる場は高校数学の範囲では提供されない。実数の範囲内で考える限り、別物である。それが複素数の世界では密接な関連がでてくる。
 π(pi)と i(虚数単位)と e(自然対数の底)、これら三つが一つの式の中で使われていることも新鮮な驚きである。
 
 1955年に提出された谷山・志村予想というのがあるが、これは楕円関数のモジュラーリティに関する議論であった。ウィキペディアによれば、「モジュラー群という大きな群についての対称性をもつ上半平面上の複素解析的函数である」と書いてある。ワイルズのフェルマーの定理の証明は谷山・志村予想を証明するというステップを踏んで可能になった。

∀n [ n≧3⇒∀x∀y∀z ¬(x^n+y^n+z^n]
nが3以上の自然数ならば、方程式 x^n+y^n=z^n を成り立たせる自然数x,y,z は存在しない


 どうやら、複素関数は別世界への扉のようだ、その奥にある世界をのぞいてみたくなる。
 春は感覚が新鮮になり意欲が高まる時期、教えることは学ぶこと。

#3538 ∀n [ n≧3⇒∀x∀y∀z ¬(x^n+y^n+z^n] May 7, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-05-07


*#3507 数学のセンス(1):数字に表れる美への感動がセンスを育てる Feb. 16, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-15-1

 #3509 数学のセンス(2):「同型性」と「拡張」⇒どのように考えるのか Feb. 19, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-19

 #3511 数学のセンス(3):授業時間数減少、数量、平面図形 Feb. 24, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-23

 #3512 数学のセンス(4):空間図形 イメージ操作 Feb. 26, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-26

 #3514 数学のセンス(5):空間図形と論理的思考 Mar. 2, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-02


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なっとくする複素関数 (なっとくシリーズ)

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