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#3669 わけのわからぬ「広報ねむろ1月号」(1):人口統計 Dec. 30.2017 [89.根室の過去・現在・未来]

 広報根室1月号が届いた。バックナンバーは次のURLにあるので、クリックしてご覧いただきたい。
 今回は裏表紙の人口統計データに注目する。
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/0/C5BA49B257175EBA492570C300446F71

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 平成29年12月1日現在 人口 26,435人 前月比-30
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 このデータを見て、1年間でどれだけ根室市の人口が減少したか±10%の精度で推測できる人はほとんどいないだろう。民間企業で予算の統括業務をしたり、経営分析で様々な統計データを加工してきたことのあるわたしにだってできやしない。

 こういう統計は、ふつうは「前年同月比」で見るのが当たり前だ。民間企業でも各種の前年同月データがよくつかわれている。
 では、前年同月データではどうなっているのか、同じURLで前年1月号の裏表紙のデータと比較しよう。

 2017年1月号  27,046人(2016年12月1日現在)
 2018年1月号  26,435人(2017年12月1日現在)
          -611人

 前年同月比でみると、根室市の人口は611人減少している。
 では、この年間611人減少というのは根室市の未来にとってどういう意味をもつ数字なのか?

 人口推移データと比較するしかない。
 根室市の人口減少が年間600人を超えたのは1969年からの3年間だけである。団塊世代が1969年に高校を卒業してからの3年間、住民票を移し始めた時期だ。わたしもその一人である。
 1971年以来45年ぶりに人口減少が600人を超えた。
 
 広報根室は昨年12月号から、裏表紙の人口統計データを「前年同月比」から「前月比」へ替えた。通常、こういう統計データの表示法を変えるときにはそれなりの説明があるのがふつうだが、なにも説明がなされていない。市議で質問をした人もいなかったように思う。市政チェック機関である市議会は機能しているのか?

 昨年12月号から変えたのは絶妙のタイミングだった。年間減少が45年ぶりに600人を超えたからである。忖度して「広報根室」を編集している部署がやったのかもしれない。それとも市長の指示だったのか闇の中。

 よらしむべし、知らしむべからず

 こんな言葉を思い出した。

 第5代根室市長だった藤原さんと現市長長谷川さんの時代に区分して、人口統計データを御覧に入れる。
 
【根室市の人口データ】
  人口 対前年変動数 %CH
1997年 34,835    
1998年 34,534 -301 -0.86%
1999年 34,183 -351 -1.02%
2000年 33,859 -324 -0.95%
2001年 33,488 -371 -1.10%
2002年 33,028 -460 -1.37%
2003年 32,668 -360 -1.09%
2004年 32,266 -402 -1.23%
2005年 31,771 -495 -1.53%
2006年 31,381 -390 -1.23%
2007年 30,881 -500 -1.59%
2008年 30,469 -412 -1.33%
2009年 30,081 -388 -1.27%
2010年 29,596 -485 -1.61%
2011年 29,139 -457 -1.54%
2012年 29,015 -124 -0.43%
2013年 28,549 -466 -1.61%
2014年 28,050 -499 -1.75%
2015年 27,629 -421 -1.50%
2016年 27,018 -611 -2.21%

 藤原市政の8年間は年平均394人の人口減少だったが、長谷川市政になってからは人口減少が加速しているように見える。それは移住促進というピント外れの政策を人口減少対策の中心においているからだ。地元企業の経営改革なくして、人口減少の加速はとめられない。人材難もますますきつくなる。
 地元企業の経営改革はそんなに難しいことではない、上場企業をお手本にすればいいだけ。

①決算をすべての従業員へ公開する
②予算制度を採り入れる
③予算達成と賞与をリンクさせる
④退職金規程を作り、年度末にいまやめたら退職金がいくら支給されるか文書で通知する
⑤経理規程を作り、会社の経費と個人のものを区別する
⑥会社に寄与していない親族を役員にしない、
等々。

 上場審査基準でチェックして、足りないものを整備すれば、会社の未来を担う優秀な人材は集められる。

 2040年根室市の人口は現在の2.6万人から1.8万人へ3割減少する。人口減少は危機であるが、やりようによってはチャンスに変わる。チャンスに変えるにはいまさまざまな職種にある大人たちが、仕事を通じてなすべきことをなさねばならない。
 市議は集まって、喫緊の問題と30年後の状況をハッピーなものに変えるために、議論のテーブルに着かなければならない。地元企業主も同じだ。根室の未来はわたしたちの手の中にある。

 毎年、高校を卒業して故郷を離れる若者がたくさんいる。地元に残る者たちの3‐4倍もふるさとへ戻ってこない。そういう人たちも、根室の人口減が加速する現実を知れば、胸を痛めるに違いない。



*#2542 根室の人口:『広報ねむろ1月号』より Dec. 26, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-25


 #3574 根室市の人口減少加速: ついに年間600人台へ突入(広報根室8月号) Aug. 4, 2017

http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04


 ハンドルネーム「サルタヒコ」さんから、平成27年に根室市が作成した「根室人口ビジョン」という資料に人口動態データが載っていると投稿があった。なるほどよくまとまっている。有用な情報の存在場所の指摘や投稿欄を介して協働が成り立てばありがたい。
 根室市が何を考えているのかとくとご覧あれ。(6時半追記)

根室市人口ビジョン
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/75ea4dccff8db9f849257dd30027c337/$FILE/%E6%A0%B9%E5%AE%A4%E5%B8%82%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3(7.31%E7%A2%BA%E5%AE%9A).pdf





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サルタヒコ

自然減と社会減に分けて分析したらどうなりますか?
by サルタヒコ (2017-12-30 15:27) 

サルタヒコ

平成27年に根室市が人口ビジョンを出していました。ここに自然減、社会減の分析もありますね。少し読み込んでみます。

http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/75ea4dccff8db9f849257dd30027c337/$FILE/%E6%A0%B9%E5%AE%A4%E5%B8%82%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3(7.31%E7%A2%BA%E5%AE%9A).pdf
by サルタヒコ (2017-12-30 16:02) 

ebisu

そういう分類でデータが公表されていません。
老人人口が2.6万人のうち8000人、だから、老人の死亡数が増えています。300人くらいかな?
毎年地元の高校を卒業する数が240名くらいで、そのうち地元に残るのは60名ほどですから、ここだけで年間180名減少しています。
生まれるのが150人前後かな?

老人の死亡はどうしようもありません。療養型病床の病院すらないのですからね。市立病院を建て替えたときにそういう選択肢を根室市は捨てました。病院職員へのアンケートで一番要望の強かった部分です。
市民要望に耳を貸さないのですよ、市長も市議会も。
だから、この町に住み続けたいという住民の割合が、中標津町に比べてずっと少ないのです。
弊ブログ内をググっていただけたら、具体的な数字が出てくるでしょう。

社会減では、はっきりしていることがあります。定年退職をしたら、子供のいる都会へ引っ越す人が増えています。これは公務員に多い。地元企業勤務の人たちは退職金や年金額がずっと少ないので、そういう贅沢ができる人は少ないのです。
それと、病気を抱えて長期治療が必要な人も、都会へ引っ越していきます。これもお金に余力のある人たちです。
地域医療が貧困なことが社会減を加速していることは言えそうです。
by ebisu (2017-12-30 16:06) 

ebisu

サルタヒコさん

市の統計情報ではなくて、2年前につくった「根室市人口ビジョン」にデータが載っているのですね。
ざっと見ました。
社会減は5年間で1200人ですから毎年240人が純減していますね。
老人は予想通り、先に挙げたように毎年約300人が亡くなっています。

まとめると、プラス要因が
出生数150人
マイナス要因が
社会減 240人
死亡数 300人

これだと、おおよそ毎年390人の減少となりますが、最近数年間はもっと多いようです。
使われていたのは2013年までのデータでした。

この資料には出生数が出ていませんでした。特殊合計出生率だけをみてもあまり役に立ちませんから、出産年齢の人口を見る必要があります。
2010年のデータに、20-39歳の女性の人口データが載っています。中標津町が2995人で12.5%であるのに対して、根室市は2930人で10.0%です。ちょっと古い、直近のデータが見たいですね。

ようするに、高校を卒業して故郷を離れ戻らぬ人が多いということが、社会減の主要な要因であることはあの資料でもはっきりしています。
人口減対策はそこに目を向けなければイカません。
何をしなければいけないかは、すでに本欄で述べました。
by ebisu (2017-12-30 16:38) 

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