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#3645 学力テスト総合C:低下する五科目合計平均点 Nov. 25, 2017 [71.データに基づく教育論議]

 とっくに得点通知表が出ていたのですが、なんとなく記事を書くのをためらっていました。推移データを見てください。

      B中学校                       
          四月    総合A   総合B   総合C  
  国語   32.5    33.2    32.9  32.0
  社会   18.1    20.8    21.0    15.8
  数学   18.3    17.2    18.7    14.5
  理科   17.8    15.0    17.1    16.1
  英語   22.1    23.5    24.2    25.0
  合計 108.8  109.7   113.9  102.9
*総合Cの合計値が合わないが、得点通知表のママ。

     C中学校                       
          四月   総合A    総合B   総合C          
  国語   31.5    32.0    34.1    31.6
  社会   20.0    22.9    17.4    16.1
  数学   16.0    14.9    13.3    10.9
  理科   21.5    18.1    16.7    17.5
  英語   21.7    22.2    21.4    24.3
  合計 112.6  111.7  103.6   100.8
*合計点はどれもあわないが、得点通知表のママ。

  基礎学力の柱である「読み・書き・そろばん(計算)」、つまり国語と数学、そして五科目合計平均点に話の焦点を絞ります。国語はどちらの学校も32点前後を動いていますね、とくに問題がなさそうです。
  しかし、生徒たちの語彙力は落ちています。英語を母語とするネイティブが会話で使う語彙は3000、日本語は10000と言われています。笑うという言葉をとっても、「にににこ」「にこっと微笑む」「微笑み」「薄笑いを浮かべる」「冷笑する」「失笑する」「嘲笑う」「破顔する」「からから笑う」「ニタニタする」「にやける」「にんまり」「苦笑い」「腹を抱えて笑う」「大笑」「どっと笑う」「馬鹿笑い」「目が笑っていない」…といくらでも出てきます。このそれぞれのニュアンスの違いは日本人なら容易にわかりますし、日常使い分けています。擬音語擬態語も英語が350に対して日本語は1200ある*そうです。語彙数や擬音語・擬態語の種類の多さから判断すると日本人は英語圏の人たちよりも3倍以上も微妙なニュアンスを言葉で操りコミュニケーションしています。もっともっと日本語語彙を知り、豊かな表現を楽しんだらいいのだと思います。語彙数の多い文学作品を朗読する授業を小学生のうちからやってもらいたい。小学生のうちに日本語語彙を爆発的に増やすべきです。
 「よくきたね」「いらっしゃいませ」「ようこそお運びくださいました」、同じことを言っているのに使われるシーンや品が違いますね。ちょっとしたことですが、使い分けられたらすばらしい。親や先生に友達言葉で話しかけるなんて、下の下ですからやめましょう。恥ずかしいとだと思えるようになりましょう。

*豊田美加講演会(11/25 NHKラジオ放送より)
http://www.o-bje.net/events/detail/1852

  数学はC校が回を重ねるごとに平均点が落ちていきます。怖いくらいですね。今回は問題の難易度が少し高かったようです、B校も前回に比べて4.2点差下がりました。
  C校の数学はどんなに上手な授業をしても、通常の授業で平均点を上げるのは無理、放課後個別補習が効果的です。わたしのところではこの数か月でC校の3年生が3人、B中の2年生が2人入塾していますが、個別補習を実施しています。「苦手」「できない」という意識を払拭するのに数か月かかります。補習をやれば効果はあるのですが、補習を嫌がり来ない生徒もいます。5人のうち2人がそうですが、もったいないですね。塾は塾生の学力向上という役割を忠実に果たします。学校と塾は生徒の学力向上のための車の両輪です。
  問題演習、そして理解が不足している問題をピックアップして解説し、ときに質問に答えながら、生徒が自分の能力を否定する心の枷(かせ)を外せたらあとは勝手によくなります。わたしはそういう心の枷を外すのをお手伝いできるだけ、枷を外すのは生徒自身。ヒステリシス*、心にも慣性の法則が働いているから、それを変えるには何かきっかけが必要です、わたしはそれを作ってあげるだけ。自分がびっくりするくらいよい点数をとることが一番効くようです。それまでの自分とおさらば、「な~んだ、自分ってできるじゃん」。30点台の点数だった生徒が90点台を何度もとるようになり、たまに下がって75点をとると、「なにこの点数」って言ってます。点数の悪かった以前の自分をすっかり忘れてしまっているんです。そういう生徒を見るとこちらもハッピーになれます。(笑)
  3‐4人に一人くらいの割合でそういう極端な生徒が出てきます。生徒が本来もっている力を信じましょう。

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ヒステリシス: hysteresis 一般に物質や系の状態が、それまでたどってきて系に依存する現象。特に磁気ヒステリシスをさすが、他に、誘電分極や弾性体のひずみなどにもみられる。履歴現象。『大辞林』より。
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 B校は五科目合計平均点が横這い、C校は毎回低下しています。どの学校も、一昨年までは回を追うごとにご科目合計平均点が上昇していました。根室高校に入学したい成績下位層が勉強し始めるからです。高校統合の影響でしょうが、成績下位層が勉強しなくなりました、それで平均点の底上げが難しくなった。やる気のない生徒が増えていますから、教えている先生がお気の毒。

  C校の数学はもはや担当の先生の問題ではありません。放課後補習体制を組んでも成績下位層は出てこない。学校管理職とPTAの協力体制が必要です。このままでは時間切れで、問題は高校へ持ち越されます。
  中小企業はオヤジ(社長)次第、オヤジがしっかりしていれば業績は上がる、オヤジのしっかりしていない企業はつぶれるとは、中小の病院経営にかんしてSRL元社長のK藤さんがよく言っていたこと、学校も中小企業に比せられます。どうぞ、担当の先生と校長や教頭先生とPTAが協力して、放課後補習体制を敷いて学力向上へ舵を切ってください。3年生は部活がないので放課後補習が可能です。問題は部活担当している先生が時間を取れないことですが、優先順位は部活よりも学業のほうが高い。抵抗勢力は「部活命」の保護者や生徒、これが少なくありませんから、PTAの全面的な協力なしにはできません。たいへんな仕事です。
  根室管内では別海中央中学校が学力向上で成果を上げていると聞きますが、チャンネルがあれば向こうの校長先生にコンタクトしてみたらいかが?
 根室市教委は根室管内の中学校(郡部校除く)の普段の学力テストの五科目合計平均点データを収集してホームページ上で公表したらいかがですか?根室の市街化地域の中学校がどれほどひどいかデータではっきりします。中標津や別海に比べて20-30点低い。事実を知れば、事の重大性に気がつくのではないでしょうか?

 C校の理科の先生頑張ってますね、B校に3勝1敗です。国語の先生は息切れ気味?、今回(11/22)の定期テスト問題は生徒たちがびっくりするぐらい難易度を上げたようですね。平均点が50点くらい、そのまま頑張り続けてください。C校は出題傾向ががらりと変わって、準拠問題集からの丸写し出題はなくなりました。2年生は数学と英語の出題量が多いので時間内に全問解くのがたいへんだったと言ってました。定期テストの難易度が上がり、学力テストの難易度に近づくのはいいことです。いままでは、教科書準拠問題集の答えを記憶しているだけで高得点が可能でした。両校ともに初見の問題が増えました。C校の国語は準拠問題集からの出題は15点以下でした。好い変化です。

<C校の数学の得点分布>
 0-10点  32人
 11-20   19人
 21-30    5人
 31-40    1人
 41-50    1人
 51-60    0人
合計      58人

  学力テストは裁量問題ではないから、大問1の計算問題だけで18点の配分があります。そこで半分以下の得点しかできない生徒が32人/58人(55.2%)もいますから、通常の授業ではこうした計算問題すらフォローできないということ。B校にも10点以下が25人/55人(45.5%)います。A校や郡部校にも同じくらいいるとすれば、根室高校は来年度裁量問題で得点が5点以下の生徒を受験者の約半数120人ほど抱えるかもしれないのです。勉強したい生徒の学習権が大きく侵害されます。高校が統合されて全入になったので、成績下位層は嫌いな勉強をやらなくても入学できるとタカをくくっています。五科目合計平均点が回を追うごとに上がっていかない理由です。
 根室高校は入試で五科目合計点90点以下は不合格でいいのではないですか?標準的な高校教科書に従った授業には90点以下の得点層はついていけないでしょう。勉強しない生徒を甘やかせすぎです、高校は得点30%は赤点だから五科目合計点が3割の90点を越えられない生徒は不合格としましょう。不心得者も追い詰めれば半数はやるようになります。

<余談:ヒステリシス>
 この語彙はkoderaさんのブログで知りました。koderaさんの専門領域の語彙です。仕事の専門領域では集合の交わりに部分(システム開発)が大きいのですが、アカディミックなバックグラウンドはまったく異なります。彼は機械工学、わたしは経済学や会計学や原価計算。異質なバックグラウンドをもっているからこそ、わたしにとって彼のブログは宝の山、吸収すべきものがたくさんあります。
 ブログ「創造性の理論」をご覧ください。
*http://blog.goo.ne.jp/tsuguo-kodera/e/61f86063a612a6f5679bdf1aad8070f2


 3年前がどうだったのか、ご覧ください。C中は130点台だったのに、どうしてこんなに下がったんでしょう。市街化地域で断トツに学力が高かったB中学校は3年前もいまと変わらないほど学力が低下してしまっています。(12/10追記)
*#2900 学テ総合ABCで全国平均レベルはどれくらいの得点か  Dec. 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-10


*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13


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