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#3635 オブジェクションあり:たとえていうと三次元思考 Nov. 6, 2017 [71.データに基づく教育論議]

<更新情報>
11/5 午後11時55分 <補足説明>追記
11/6 朝8時 <補足説明-2>追記
11/6 朝10時 <補足説明-3:学校通信>追記


  2項対立と2項協調を比べれば2項協調がいいように見える。たとえば、イスラエルと米国の協調はwin-winの関係だろう。ところがアラブ世界を入れたら、キリスト教原理主義の米国とユダヤ教のイスラエルのwin-winの関係は対立の溝を深くし、戦火が拡大するだけのこと。
  根室では地元経済界と市政がwin-winの関係だが、その一方で95%の普通の市民がwin-loseの関係となっている。
  2項の間に私的win-winが成り立っているときにはそれを「公」の立場からチェックしてみなければならない。
  私的関係の2次元平面へ高さの軸を導入して、一段高い「公」という地点から平面を眺める必要があると思う。

  なんてことはない、簡単な理屈だ。昔から言われている商道徳、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」でなければいけないということ。売り手と買い手だけがよければすべてよしとはならぬ。

  win-win、win-lose、lose-loseなんていう欧米流の二項対立図式に知らず知らずに染まって、日本的価値観での思考ができなくなるようでは危うい。

  弊ブログはしばしば耳に痛いことを書くし、物議を醸すような論も主張する。毒にも薬にもならぬ論を書くのは、書くほうがつまらないし、読むほうもつまらないだろう。

  最近、ある学校通信で見た校長先生のwin-win礼賛論へのオブジェクションとして書いている。校長先生にとっては迷惑だろう。しかし、生徒たちは物事を相対的に見て考えることに慣れ親しみ、精神的な成長を遂げるためには、何か意見があった時にそれと異質な論が対置されていることが望ましい。そうした材料の提示が考える契機となりうる。
  正論を吐けばいいというものではない、大人げない議論はよしにして、win-winの関係が築けるようなもっと大人の議論をすべきだということが書いてあったが、まことにその通り、ご説ごもっとも。この論に従えば、弊ブログはwin-loseの図式でしか物事を考えないもの、確かにそういう面はあるな。だが、そういう2項図式の論はしばしば「公」というものをないがしろにしていることは先に書いたから再説しない。

  ついでに別の論点を取り上げたい。そこ(学校通信)には正義の論同士がぶつかって戦争が起きるとも書いてある、世界の現状を見るとその通りだと思う。だが、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教にwin-winの関係なんてありうるのか?かれらは千年もの間戦争を繰り広げている。これら三つの宗教の神は同じ天地創造の神である、ただ名前が違っている。ヤハウェ、造物主、アッラー、啓典宗教だからこれから千年後も戦っているだろう。
  ギリシアの神々や日本の八百万の神々とは違う。あ、日本も天地創造の神がいた、『古事記』で最初に出てくる参神がそうだ。天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)・高見産巣日神(タカミムスビノカミ)・神産巣日神(カミムスビノカミ)の参神であるが、天地を創造したら自分の仕事は終わったとばかり、二度と出てこない。参神だからそれぞれが自分が唯一絶対神だなんて主張もしない、必要な時に現れ、仕事が終わるとそろっていずこともなく消えてしまった。『古事記』には天地創造以後この三柱の神は二度と出てこないのである、じつに偉い。この三柱の神様のお陰でわたしたちはユダヤ教徒やキリスト教徒やイスラム教徒を異教徒=悪魔として殺戮する義務から免れた、どの宗教の教徒とも戦争する宗教的必要がないのである。最初に現れた参神の神は日本に永遠の宗教的寛容性と宗教的平和をもたらしたじつにありがたい神様なのだ。

  ところで、学校通信で一番気になったのはこんなことではない。学力テスト総合Bで数学の平均点が13.4点、釧路の14校、根室の3校、中標津や別海の中学校よりもはるかに低いということへの言及がないことだ。そして学力テストの結果データを見るとが、回を追うごとに数学の平均点と五科目合計平均点が下がっているのである。学力がこれほど低下しているのにそのことへ言及がないのはどうしてか?

*#3630 学力テスト総合B:学力向上をどうやるか Oct.23, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-10-21-1

  学力低下と言う不都合な事実は自分の学校の生徒たちの未来にかかわる問題だからどのように取り組んでいるのか言及すべきではないのか?それが学校管理職の本来の仕事、マネジメントそのもの。暢気(のんき)にwin-winなんて論じている場合ではないと民間会社で仕事をしてきたわたしは思うのだが…。赤字の会社が黒字転換への政策について何もアナウンスをしないというのは民間会社ではありえない。2期続いたら、企業存続にかかわる問題となるから生き残りをかけて戦う。こんなに学力が低下しているのに学校はずいぶんのんびりしている。だから、違和感を感じてオブジェクション(異論・反論)を書きたくなった。
  次回の学校通信で学力低下お現状とその対策について数値を挙げて取り上げてもらいたい。ebisuは教育にかかわりのある地域住民の一人として期待している。

  具体的なデータを挙げていろいろ不都合な事実を書くから、たまには取り上げた学校の管理職から顰蹙を買うのは仕方のないこと。反論があっても立場上匿名ですらコメント欄へは書き込めないから、学校通信で自分勤務する学校の生徒たちの学力の現状をデータを挙げて説明し、そして実行に移している学力向上策を具体的に正々堂々と書かれるのがよろしい。
  地域に開かれた学校づくりは文科省が旗を振ってやっている施策の一つだが、さて、どういう風に開くのだろう。

<補足説明>
  学校通信には出典を挙げてあります。『コピィー博士、七つの習慣より』とあります。6分類されているので全部挙げておきます。
①win-loseの関係:自分の意見を通すパターン
②lose-winの関係:相手の言いなりになるパターン
③lose-loseの関係:勝ちたいばかりに自分も損をしてしまう
④win:相手の迷惑や不幸に関係なく、自分の主張だけにこだわるパターン
⑤no dealの関係:違う方法を見つける
⑥win-winの関係:社会で生きていくにはこれがベスト

  わたしにも処世術としては理解できます。
「公」や「世間よし」を忘れたwin-winが企業が大ダメージを受けた例は枚挙にいとまがありません。食肉偽装で問題になった雪印乳業、子会社の不始末でしたが一時はつぶれかけました。拓殖銀行は不正融資でつぶれました。不正融資で業績を挙げて出世した銀行マンがすくなくなかったはず。当時の役員は裁判で有罪、服役しています。マイナーだった北洋銀行が拓銀を吸収して大きくなりました。最近問題になっている神戸製鋼も従業員と役員がwin-winの関係、どちらも不正を承知していながら、改善すればコストアップになるので40年間も不正な製品検査が行われていました。この会社の製品を買っていた取引先企業と最終製品ユーザに多大な迷惑がかかっています。三菱自動車、日産自動車、富士重工…これらは国の検査制度自体に問題がありそうですが、資格をもった検査員が最終検査をしていませんでした。利益が増えれば増えるほどいいわけではありません。必要な経費を惜しんで利益を出してはいけないのです。
  わたしのいた会社でもRI検査試薬の廃棄に関して不正のあったことがあります。ショ糖のまざった検査試薬でした。法定通りに廃棄していませんでした。内部告発があって当時の社長(創業者)はすぐに動きました。担当部長叱責、大きな声で叱っていました。後にも先にも温厚な創業社長のFさんがあんな大声を挙げたのは見たことがありません。わたしは学術開発本部で仕事をしており、背中が社長室の壁でした。急ごしらえの簡易パーティションだから、大きな声を出すとまる聞こえでした。社長のFさんはチェック体制を強化し、1年間ラボに社長室をおいて週に二度は来て、ラボ内を巡回し、社員の話を聞いていました。廃棄にかかわった社員は何も言わなければ、軋轢を起こさずに勤務を続けられました。しかし、それを潔しとせず、内部告発をして辞職しました。典型的なlose-loseの関係ですが、こういう立派な社員がいる企業は永続できます。やるべきことをやるべき時に損得を度外視してもやり抜く、日本の現在の教育にはこういうことが欠けているように感じませんか?
  モノや事実は、光の当たる角度が違ったり見る角度が違えば別のものに見えるもの。中高生は人の意見を聞く都度、相対的な見方・考え方を試してほしいと思います。わたしの意見を含めて、けっして人の意見を鵜呑みしないこと

<補足説明-2>
  根室の中学校では授業の進捗管理がじつにいい加減だった。十数年前は中3数学教科書の最後の章は2次関数だったが、2月半ばに「もうやれないから自分で勉強しておけ」とのたまわった先生がいた。2次関数は高校数学では関数の基礎をなす重要な章であるから、生徒たちは高校数学で大きく躓いてしまっただろう。独力で2次関数をやれる生徒は1割だ。2年生の最後の章「順列・組み合わせ・確率」も章をやり切れずに、3年次へ持ち越し、4月5月にやっている先生すらいた。どちらもB中学校であるが、授業の進捗管理がいい加減なことはほかの学校にも共通していた。故郷に戻り塾を始めてから10年間我慢していたが、私立高校を受験する生徒で問題が起きた。2月中旬の受験だったが、1月下旬に数学担当の先生に「このままで教科書終われるのですか?」確認すると、「やれない、自分でやっておけ」との返事だった。3年生になってから入塾した生徒で将来医学部へ進みたい生徒だったから、もちろんフォローはした、そして希望通りに札幌のある学校の特進コースに合格した。
  この生徒だけの問題ではないので、弊ブログで2013年1月30日に授業の進捗管理のずさんさを取り上げたら、炎上騒ぎが起きた。事情を誤解した十数名の生徒がコメント欄へ何度も書き込みを始めたのである。まずいことに、教頭先生が数学担当の先生へそのような発言を授業中していないことを確認し、保護者へアンケートをとった。わたしが嘘を言っているような文面になっていた。もちろん数学の先生は授業中にそのような発言はしていない、授業が終わってから個人的に確認したのだから。だが、そのあたりの事情を詳しく書くと生徒が特定されてしまうから、一切書かなかった。生徒からも相談を受けたが、口止めした。受験直前の生徒をこれ以上巻き込みたくなかった。教頭先生は市教委へ報告してアンケートをとっていた。公務員として当然の対応である。釧路の教育を考える会でブログ炎上騒ぎが問題となった。ふだんからさまざまな問題を会員専用掲示板で議論していた。名誉棄損で訴えろという強硬意見も出たが、2週間後に道教委から3課長連名で授業の進捗管理強化に関する通達が全道の公立中学校宛に出された。道教委は授業の進捗管理がルーズなことを知っていたがこの炎上事件は授業の進捗管理を徹底するチャンスだった。当時の道教育庁義務教育課長は文科省から出向していた切れ者、武藤さんだった。わたしは意を汲み、穏便に収束する道を選んだ。教頭先生と連絡を取り合い、翌年度の授業管理を徹底する約束をして不問にしたのだ。教頭の管理は見事だった、約束を守り切った。じつにうれしい、そして感謝。翌年度五科目全部が1月末までに教科書を終了した。教頭・校長そして道教委、わたしと三者三様にloseの関係だったが、この「事件」で根室の中学校の授業進捗管理が一時期格段に良くなったことは事実だ。1年たった後に、お互いにようやく「win-winの関係」になったと感じた次第。
  大事な日本的価値観をもう一度書く。

  「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

  たとえlose-loseの関係になろうとも、損を覚悟でもやらなければならないことがある。始めるときには何にも考えていない、いまやらないでどうする、そういう思いで軋轢を恐れずにやるだけ。根室高校の校訓は「敢為和協」。妥協せずにlose-loseの関係が出現しようとやるべきときにやり、やって後にwin-winの関係を築けという意味だと解釈している。

  この記事に事情がざっと綴ってある。
 *#3032 日高で武藤久慶氏の講演会開催4/18  Apr. 21, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-04-21

  月曜日を部活休止日として文武両道に努めること、事情があり休んでいる先生のフォローなど学校は苦労もしているし努力もしているが、結果が出せていない。理科の先生が生徒が計算問題ができないので基礎計算からトレーニングしている。それでも効果が出ていない、平均点低下に歯止めがかからない。問題はこの学年だけの問題ではないだろう。何をどのように努力しているか機会をとらえて生徒や保護者、そして地域の住民へ説明すべきだと思う。学校や根室市教委はこういう面の広報・宣伝が下手。ようするに子どもたちの学力低下が止まり、向上へ向かって動き出せばいいのである。このままではこの学年はまもなく時間切れとなる。問題を抱えたまま卒業ということ。根室高校で低学力と授業崩壊が問題になる。学習権の侵害が起きている、実質全入だからそれは根室高校へ持ち越されてしまう。
  学校の規模が小さくなり、先生が一人長期休暇をとったり、おやめになったりすれば、人事面でのフォローがないので4月までは学校運営が大変になる。いま一学年50-60人規模だが、統合すれば1学年5クラスにできるから、やりくりがずいぶん楽になる。根室市教委は中学校の統廃合が遅すぎる。実害が出ているよ、調査したらいかが?
  無理な対応が続けば、フォローしている先生たちがつぶれてしまう。ほうっておいたら大きな問題になるよ。そうなる前に根室市教委は何か手が打てないの?ebisuは傍からみていて冷や汗をかいている。

<補足説明-3:学校通信>
  前任の校長は学校通信で手を変え品を変えて繰り返し文武両道について具体的に語った。その結果荒れていた学校*(道新根室支局が取材し報道、弊ブログ#1307で記事転載をした)は落ち着きを取り戻し、学力も上がった。全国学力テストの平均正答率まで上がったのである。校長は自分が光洋中学校野球部時代にどのように文武両道を実践したのかを具体的に書いた。遠征時の細切れの時間を使った暗記、普段の学習のやりかたなど、部活をやっている生徒たちが大会でよい成果を挙げるたびにそれをほめると同時に、文武両道の大切さを説いた。知識や深い教養の大切さや、学力が社会人となってから人生を戦い抜く場面において有力な武器となることを説いていた。前任の校長が退職してから、先生たちの半数以上が入れ替わった。
 学校の欠点はよい事例が積み重なっても、それが長続きしないことだ。人事で頻繁に先生たちが入れ替わる。それは、悪しき実践もご破算になる(リセットされる)ということ。よき伝統の礎をつくり、それを次の人たちが守り育ててもらいたい。前任校長の学校通信を通して読んだら、どれほど文武両道と学力向上に意を砕いて職務をしていたかをうかがうことができる。中学時代に心根がまっすぐで礼儀正しかった友人(ヨシアキ)がいるが、彼と同姓同名だったこともありよく覚えている。

  団塊世代であるebisuの孫が根室の中学校へ通うことはないが、親戚や友人たちの孫や子どもたちは根室の中学校へ通う。孫子(まごこ)のためになんとかしたい、関係者はご協力をいただきたい。

*#1303 教育再考 根室の未来 第2部 低学力①:人財育成への不安深刻 Dec.16, 2010
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-16

 #1307 教育再考 根室の未来 第2部 低学力④:荒れる中学校
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-19-1



<余談>
 ハンドルネーム「後志のおじさん」が何かを主張するときは、反論を覚悟して主張すべしと何度か弊ブログ投稿欄へ書いてくれた。世の中の何事かについて主張を公にすれば、批判があるのは当たり前のこと。
  相互批判を失った根室の町がその典型だが、相互批判がなくなれば町が衰退するのは無理のないこと。小さなwin-winが町をダメにしている。私的利害を脇に置いて、町の未来と地元企業の未来を考えるべきではないのか?地元企業が経営改善して魅力的な企業に生まれ変われば、根室から出て行った若者たちが戻ってくる。株式上場できるレベルのオープン経営に切り替えるべきだと何度も書いたし、やりかたも教えてあげると。十年間ブログで言い続けても一社も手を挙げないところを見ると、地元企業経営者たちは頑迷固陋が揃っているらしい。わがふるさとではあるが、あきれている。経営改善をして著しく業績を挙げたという話も耳にしたことがない。聞こえてくるのは補助金頼みの話ばかり。停滞の町は何も言わない何もしない根室に住んでいるわたしたち自身がつくっている。あきらめたら終わり、なるようにしかならぬ。

 もちろんわたしの論へ反論があれば投稿欄で展開してくれたらいい。いつもそうしているように、ちゃんとお答えするし、わたしと意見が異なるからと言って削除するようなことはしないから、論拠を示して気楽に反論して楽しんでくれたらいい。

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そらさぶろう

Twitterをやってらっしゃるかどうか存じませんが、Twitterを使って多くの方に議論に参加していただけるようにしてはどうでしょうか?
by そらさぶろう (2017-11-07 12:21) 

ebisu

そらさぶろうさん

ご意見ありがとうございます。
Twitterですか、数年前にアカウント登録だけはしたのですが、利用しないのでそのままになっています。
なぜ利用拡大する気が起きなかったのか、短い言葉のやり取りだからではなかったかと思います。
もうひとつは、体力の問題です。11年前にスキルス胃癌と巨大胃癌を併発して、胃と胆嚢の全摘、大腸一部切除をしているので、体力の維持がむずかしいのです。それがTwitterで時間を奪われることをためらわせています。Twitterにはまっている生徒を数人みましたので、ああはなりたくありません。節度をもってやればフォローしきれない。

たしかに、多くの人に議論に参加してもらうには、Twitterのほうがいいのかもしれませんね。
うーん…

今年は弊ブログのアップ頻度を減らしています。
いまのところ、手を広げるつもりがありません。
by ebisu (2017-11-07 21:59) 

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