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#3626 定期テスト問題の難易度アップ:B・C中学校 Oc. 12, 2017 [71.データに基づく教育論議]

  C中学校の定期テストの難易度が上がってきていたのは確認していたが、B中学校も定期テスト問題の難易度が上がった。学力テストに比べると平均点が2倍にもなる科目があったのだが、そういうイージーな問題作成が減ってきていることは、この地の子どもたちの学力向上を考えるうえで重要な変化である。
  データで確認してみよう。
  データは①Jun.1学期期末テスト、②Sep.2学期中間テスト、③それらの平均、④4月学力テスト、⑤9月学力テスト総合A、⑥それらの平均の順序に並べる。学力テストは満点が60点なので、比較のために⑥の平均点のみ百点満点に換算表示する。⑦=③-⑥
 
<B中>   ①J    ②S      ③       ④A     ⑤B       ⑥       ⑦
  国語   54.2   46.2   50.2    32.5    33.2    54.3    -4.1
  社会   73.8   68.5   71.2    18.1    20.8    32.4   38.8
  数学   54.5   48.0   51.3    18.3    17.2    29.6   21.7
  理科   46.9   42.3   44.6    17.8    15.0    27.8   16.8
  英語   63.3   48.5   55.9    22.1    23.5    38.0   17.9
  合計 292.7 252.0  273.2  108.8  109.7  182.1   91.1  
  ①J - ⑥合計 110.6
  ②S- ⑥合計   69.9

<C中>   ①J    ②S      ③       ④A     ⑤B       ⑥       ⑦
  国語   71.0   56.6   63.8   31.5     32.0    52.9   10.9
  社会   51.4   47.3   49.4   20.0     22.9    35.8   13.6 
  数学   50.2   38.3   44.3  16.0      14.9    25.8   18.5
  理科   53.8   47.8   50.8  21.5      18.1    33.0   17.8
  英語   53.7   40.4   47.1   21.7     22.2    36.6   10.5
  合計 280.1 235.0  257.6  112.6  111.7  186.3   71.3   
  ①J-⑥合計 93.8 
  ②S-⑥合計 48.7

  生徒たちの大半は「学力テストは成績に関係ない」と言い、定期テストの点数さえよければいいと考えているから、定期テストの難易度が極端に低くても70点も取れたら学力があると勘違いしてしまう。たとえば、B中で6月に実施された社会科で70点をとっても、学力テストでは38.8点しか取れていないのだから、社会科の学力はかなり低い。C中の6月の定期テストの国語も同様で、70点取れる生徒が学力テストでは52.9点だから、平均的な点数に過ぎない。国語の定期テスト点数が50点以下の生徒は小4程度の語彙力があやしい
  ⑦は学力テストの平均点を百点満点に換算して比較可能に処理した数字と定期テストの平均点を科目別に比べたものであるが、20点以上の差があるのがB中学校社会38.8と数学21.7である、問題の難易度下げすぎだから次回は改善を期待したい。
  C中の9月定期テストの国語問題は記述式の問題が多かった、それも教科書からの出題ではなく、授業では取り上げていないテクストからの出題だった。記述式問題の解き方に重点を置いた授業を数回したようだ。学力テストの国語平均点が数点アップすることを期待したい。記述式問題は苦手な生徒が多いから、その克服は効果が期待できる。

  五科目合計点で見ると、B中は6月の定期テストの平均点292.7点に比べて、9月の定期テスト252.0点は39.3点下がっているから、定期テストの難易度に変化があったと言える。全科目の難易度が上がっているようだ、とくに英語が大きい。C中は280.1から235.0点へ45.1点低下している。国語と数学と英語のテスト問題の難易度を上げたように見える。

  各学校で教えている先生たちは、簡単すぎる定期テスト問題の難易度を上げる方向に変えつつある。2回の学力テストの平均点を基準にして測定してみると、B中は6月の定期テストでは五科目合計平均点で110.6点差があったが、9月の定期テストではそれが69.9点に縮まっている。現状を変えようと努力している。C中は93.8点から48.7点へ縮まった。学力テスト問題と定期テスト問題の難易度格差が縮小しつつあるのは結構なことで、歓迎したい。

  気になるのは、根室西高校の入試が今年春から停止されたので、低学力層が勉強しなくなったこと。五科目平均点が上がらなくなった。以前は学力テスト総合A、B、C、模試へと15点くらい上がった。根室高校へ進学したいと下位4割くらいの生徒たちの中に秋以降一生懸命に勉強し始める者が少なくなかった。高校統廃合で学習動機が弱くなった。

<参考データ:教育こそ地域発展のカギ>
 5年前のB中4月の学力テストの五科目合計平均点144.7点であった。今年4月のそれは108.8点35.9点も下がっている釧路市内で一番学力の低い学校よりもさらに低い

  根室の教育関係者、とくに根室市教委は危機感をもってもらいたい。
  人口減少が年間400人だった十数年前に比べて年600人近くに加速しており、その点からも商売の環境はいっそう厳しくなるし、加えて資源の減少も加速しているから、地元企業は優秀な人材確保が必要不可欠、地元企業経営者こそ教育=学力向上に関心をもつべきだ。


<余談:6月定期テスト範囲の特殊性と出題難易度調整>
 6月の定期テストはテスト範囲が狭いので平均点が高く出る傾向があるのは事実である。数学に関していえば、「第一章 多項式」「第二章 平方根」だから、計算問題がほとんどである。それでも難易度の調整はむずかしくない。たとえば、式の展開問題、

   ① (a+b)^3
   ② (a-b)^3
   ③ (a+b)(a^2-ab+b^2)
   ④ (a-b)(a^2+ab+b^2)
   ⑤ (a+b+c)^2
   ⑥ (a+b)(b+c)(c+a)
   ⑦ (a-b)(b-c)(c-a)

 因数分解問題
 ⑧ 3x^2+8x-3
   ⑨ 6x^2+11x+3

  などの展開問題を出題することで難易度アップは簡単にできる。こういう問題をやらせることで、基本対称式や基本交代式の性質や概念に気がつく生徒がいるかもしれない。これらを授業で教えてもよし、教えずに既習事項の応用問題として出題してもよい。発展問題として学習指導要領の範囲を超えて高校の内容を先取りすることは数年前から公に認められているのだから、授業で高校の内容の先取り学習がまったくなされていないことのほうが異常な状態に見える。
 短文章問題を全体の3割くらい出題することで、計算偏重の出題を避けることができる。市販の問題集の中には短文章問題を付録に載せている便利なものがある。文章を読み、文字式を組み立てるのが苦手な生徒が7割はいるから、数学の学力を伸ばすにはこういう短文章問題トレーニングも不可欠だ。

*#3618 学力テスト総合Aの結果データ: ほめる教育 Sep. 23, 2017
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-09-23

 #2732 グッドニュース!:C中学校も学校全体で授業進捗管理 July 12, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12

*#2608 A中学校授業進捗管理が格段に進化した:<教頭先生の仕事>  Mar. 1, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-01-1


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根室人

数字で決められる世界において、学力を判定する試験の内容を見てみたいです。
ニムオロ塾長はどう思われますか?

by 根室人 (2017-10-13 22:56) 

ebisu

根室人さん

>数字で決められる世界において、学力を判定する試験の内容を見てみたいです。
>ニムオロ塾長はどう思われますか?

「数字で決められる世界において」というところはもうすこし書き足してくださるとわたしにも意味が理解できるでしょう。
わたしは結果データから判断して書いています。

次の「学力を判定する試験の内容を見てみたい」というのは中高でなされている試験を最近は見たことがないので見たいということですか?
わたしは仕事ですから、もちろんテスト問題を見て生徒を指導しています。

「ニムオロ塾長はど思われますか?」というのは、学力を判断するのにテストの点数では不十分、問題の内容にもよる、あるいはそういうものでは判断できないと主張しているようにも聞こえます。

論点をはっきり、具体的に書いていただければ、データと論拠に基づいたお答えができます。

by ebisu (2017-10-14 00:00) 

根室人

言葉足らずで失礼しました。
各教員が作成したテストに偏りがあるのではないかと思いました。
どのくらい授業を理解して学習したかを計るのが定期テストで、教科書には書かれていない内容であっても、広範囲に生徒自身の学力を確認するのが学力テストだと思っていました。 難易度の変動は、そのまま数字に表れるようですね。 テストの結果は、教員の教え方の上手下手も反映されるような気がします。 
記述問題が増えるのは好ましいと言えます。言葉や文章が理解できないと、どの教科も高得点が狙えないからです。 勉強しなくても高校に進学できるとなると、これからは、進学に意欲的な生徒とそうではない生徒との学力差はますます大きくなると考えられます。 少子化、高校統合など、子供たちの教育に不安を感じますが、市教委からは危機感などみじんも感じられないのが残念です。 
by 根室人 (2017-10-16 16:46) 

ebisu

根室人さん

問いかけの意味がようやくわかりました。(笑)

>各教員が作成したテストに偏りがあるのではないかと思いました。

おっしゃる通りです。いままでは学校管理職がテスト問題の管理はしないのが原則でした。多少は話し合いがなされるようになってきたかもしれません。教員が作成している定期テストの難易度が上がってきていますからね。学力テストの平均点に比べてみるとそのことがよくわかります。
その点では先生たちの改善努力に感謝申し上げたい。さっぱり改善がなされない科目もありますが、気長に今後の改善に期待します。

>どのくらい授業を理解して学習したかを計るのが定期テストで、教科書には書かれていない内容であっても、広範囲に生徒自身の学力を確認するのが学力テストだと思っていました。

学校の先生たちがこういう考え方だと困ります。理由を書かないといけませんね。授業内容は教科書のまんま、発展的な内容はほとんど盛り込まれていません。だから、学校の授業を理解したかどうかに絞ってテストをされると困るんです。難易度が低い授業に合わせてその理解を問う問題なら、当然難易度が著しく低くなってしまいます。学力テストの平均点の2倍以上か2倍に近い科目が複数あります。
わたしは、定期テストの平均点が、百点満点に換算した学力テストの平均点の1.5倍以上ある科目は、難易度が低すぎると判断しています。B中で4科目、C中で2科目です。
学力テスト問題自身が北海道の学力テストは難易度が低いのですから、その5倍以上の平均点がでるような定期試験問題は出題レベルが低すぎと判断すべきです。往々にしてそういう先生たちは授業のレベルも下げてしまっています。8回にわたる市街化地域3校の授業参観の結論です。内容の薄い授業に成績上位層が飽き飽きしています。そして成績上位層が激減してしまいました。
成績上位層とは、五科目合計500点満点の学力テストなら400点以上、300点満点なら200点以上の層が、15年間で約1/5に激減しています。

>市教委からは危機感などみじんも感じられないのが残念です。 

学力テストの結果すら見ていないのですから、根室市教委に根室の子どもたちの学力向上に寄与しようという気持ちがあるのか疑わしい。こんなに子どもたちの学力が低下しているのに教育行政がまったく無関心、データすら見ようとしないというのはほんとうに驚くべきことです。
ほかの仕事なんかよりも、子どもたちの学力向上のほうがずっと優先順位が高い、地域の未来がかかっています。
意見を言う大人が少なすぎます。経済団体は何をしているのでしょう。データに基づいて議論すべきです。

by ebisu (2017-10-16 22:05) 

ebisu

朝になって読んでみたら、22時05分のわたしの投稿に数字に間違いのある個所が見つかりました。失礼しました、訂正します。

前段で「1.5倍」と書いてあるので、後のほうの「5倍」は「1.5倍」の校正ミスだと気がついて読んでくれていたら幸いです。念のため訂正箇所を記します。この箇所は冗長・悪文ですのでそれも直すべきですね、読みづらいので一部カットします。

>学力テスト問題自身が北海道の学力テストは難易度が低いのですから、その5倍以上の平均点がでるような定期試験問題は出題レベルが低すぎと判断すべきです。

訂正後、
北海道の学力テストは難易度が低いのですから、その1.5倍以上の平均点がでるような定期試験問題は出題レベルが低すぎと判断すべきです。
by ebisu (2017-10-17 08:32) 

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