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#3548 心意気-2 Jun. 1, 2017 [71.データに基づく教育論議]

  前回#3547でブログ情熱空間の記事を紹介した。成績下位層の約半分は救えるという主張にわたしも同感である。そこで、四月に実施された3年生学力テスト数学のデータを挙げて根室の中学校の状況を解説してみる。
 テストは60点満点である。市街化地域の中学校は3校だが、そのうちの2校、B校とC校のデータを挙げる。

< 6割の生徒が60点満点で20点以下の得点 >
 百点満点換算では33点以下が64.9%もいる。


 < 10点以下 >
  B中学校 12人(55人)   21.8%
  C中学校 23人(59人)   39.0%
     合計   35人(114人) 30.7%

 < 11点以上20点以下 >
  B中学校 22人  40.0%
  C中学校 17人  28.8%
     合計   39人  34.2%

 < 0点-20点 >
  B中学校 34人  61.8%
  C中学校 40人  67.8%
     合計   74人  64.9%

 10点以下は百点満点に換算すると17点以下であるから、いわゆる「箸にも棒にもかからない」というような学力と考えてよい。絶対評価で1をつけるべき学力層であるが、それが30.7%もいる。三人に一人の割合である。「学力下位層の肥大化」が進んでいる。14年前なら十人に一人だっただろう。
 20点以下は百点満点だと33点である。この階層も数学の学力に関しては高校普通科の標準的な教科書はとても無理である高校普通科の標準的な授業についていけるのは30点以上だがこの学力階層はB中で4人、C中で5人、2校でわずか9人(7.9%)しかいない。40点以上は2校で3人しかいない

< 高校1校体制でさらに学力低下が進む危惧あり >
 根室西高校が廃校になり、根室には高校1校になり、普通科に「特別進学コース」が設置された。ところがその対象と考えられる数学50点以上の高学力層が、2校で1人のみ。A校と郡部を合わせても根室市内で2人だろう市街化地域の中学校で学年トップが50点とれない状況、40点以上が根室市内の同学年に10人いないというびっくり仰天の状況が生まれている
 「高学力層の枯渇現象」がこの14年間で進んだ、「浜焼け」した海に魚がいなくなったような光景だ。根室では高学力層の枯渇化現象低学力層の肥大化現象同時進行している。高校1校体制になったことで、全員入学が保障され、低学力層が勉強をしなくなった。高校2校体制の時には「根室高校へ入学したい」とボーダーラインの生徒たちの多くが必死に勉強していた。インセンティブがなくなったのである。
  なくなって分かったことがある。高校2校体制は根室の中学3年生の学力アップに役立つ装置だった、いまやそれがなくなり、低学力層が「底抜け」してしまっている。だから、根室の中学生と根室高校生の低学力化はさらに進行することになるだろう。

< 学力を挙げる手段はある: 低学力層の半数は救える >
  生徒たちの学力を挙げるのは不可能か?この問いにはノーと答えたい。低学力層の生徒の半数以上は救えるのである。手間はかかるよ。自力救済は無理、大人が手間をかけなきゃ救えないということ。
  我田引水になるが具体例を書く。ニムオロ塾では個別指導をしており、入塾して数学の学力が低い生徒には2-3か月ほど補習体制を組んでいる。低学力層の生徒の3割ほどは生活習慣の改善ができずに成績が上がらないが、7割は学力が上がる。低学力層の生徒でも30-40点くらいなら、3か月の個別補習と普段の授業でアップする。
  過度な部活が癌だ、生活習慣を変えられずに家庭学習時間や補習時間がとれないと無理だ。生活習慣に問題がある場合でも、勉強1時間を最優先することで何とかなる場合が多い。1時間勉強してからスマホやゲームをやる、やらなければスマホを取り上げる。だから、家庭の協力がいる。

< 生徒の力を信じよう >
 教える側が低学力層の生徒たちを見放してはいけない。中高生の学力は突然に、飛躍的に向上することがある。
 ずいぶん前のことだが、2年生11月の学力テストで0点だったので慌てて入塾した生徒が、1か月弱の毎日の補習で88点取った。10点台の成績の生徒が2-3か月後に80点台というのは何度も見ている。定期テストで英語35点の生徒が入塾して半年後に学力テストで90点超をたたき出す。生徒の努力と指導の仕方次第でなんとかなるケースが少なくない。百点満点のテストで0-30点しか取れなかった生徒でも、半年くらいかけて数学と英語両方の科目をそれぞれ30-50点程度成績を挙げてくるのが普通だ。ほとんどの低学力層の生徒たちは自力で這い上がれない、だから教える側の協力、個別補習体制が必要となる。

< まとめ:データから言えること >
  根室の中学生の数学の学力は、いわゆる「箸にも棒にも掛からぬ」者が3割もいる、低学力層は6割を超えている。しかし、その半数以上は救えるのである。根室の未来を担う人材が低学力でいいはずがない、子どもたちの学力と素直な心は地域の未来を変える力だ

<学校の先生たちと保護者の心意気>
  いまはまだ何人かの先生たちが頑張っているのみだが、いつの日か、根室の中学校がこぞって低学力層の生徒たちに救済の手を差し伸べるようになることを祈っている。そのためには過度な部活に手を打ち、当該教科を教えている先生たちが自ら放課後個別補習をする必要がある。それが可能な環境は先生自身と保護者が協力してつくりあげなければならない。

< 根室の大人たちの心意気 >
 市教委や市議会も仕事を通じてやるべきことがあるだろう。
 市議会議員選挙が9月にあるようだ。文教厚生常任委員会の委員長は共産党の鈴木氏だったが、昨年の市議会報告会で名刺を渡して、データに基づく議論をしたいので連絡くれるように伝えたがなしのつぶてだった。市民との対話を拒否する姿勢は長谷川市政と変わるところがないのは残念だ。もっとオープンに市民と議論するようになれば支持が広がるだろう。
  先週土曜日に行われた年にたった一度の市議会報告会では市民から厳しい意見が相次いだと北海道新聞に載っていた。市議たちもまた閉鎖的に見える。
 立候補者が少ないから、9月の選挙でも引退する者を除いて現市議が全員再選される。市議選でも競争がないから、幾度(いくたび)選挙があろうとも根室は変わらない。

 学力問題を取り上げない経済団体も同様だ。人材の劣化が進めば地元企業に未来はない。経営改革ができない水産加工業界は外国人を雇用せざるを得なくなっている。この現象は昭和30年代後半の根室の水産加工業の状況に似ている。道内各地および青森県から女工さんが来なくなり、男工さんたちが根室の企業に見切りをつけ始めたころに似ている。働き手の不足は、経営改革がなされないから生ずる。地元の若い人たちが就職したいと思うような処遇ができる働きがいのある企業に変わらなければじり貧となる。この話は水産加工業界に限らない。

 (経理規程や退職金規程の制定、社員持ち株会の設立、決算の公表、予算制度の導入などオープン経営への切り替え、全国標準レベルの企業になるためにやるべきことはいくらでもある。わからなければ訊きに来ればいい。ebisuは店頭公開、東証2部上場、東証1部上場、業界の異なる企業でそれぞれ上場実務経験があるから、経営改革のやりかたと上場作業手順を知っている。3社4回、こんな実務経験を有する者はおそらく北海道には一人だけ。
 経営改革をした企業は優秀な人材を必要なだけ集められる。)

 それでも根室の大人たちは変わろうとしない。
 心ある大人たちがもっと現れてもらいたい。   

*3547 心意気
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-05-31

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