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#3521 数学のセンス(7):他科目(英語)への拡張 Mar. 12, 2017 [51. 数学のセンス]

 思い込みが生じると正解への経路が閉ざされることがあり、そういう場面では「思い込み」をリセットしなければならない。そのやりかたを解説してきたが、同じことは英語の問題でも生じるので、具体例を挙げて説明する。数学で培った技が英語へ応用が利くのである。

 平成15年ころのものではないかと思うが、生徒がやっていた道立高校入試の過去問である。
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問題5:北海道の高校で、農業をテーマにパネルディスカッション。Mr.Kingが司会、未来、宅、陸の3名が発表した内容です。

Mr. King: Now let's talk about "agriculture," one of the import industries of Hokkaido. What can we do to develop agriculture in Hokkaido? What do you think, Mirai?
Mirai: I think famers in Hokkaido should try to produce delicious products. My parents are farmers. We raise a cows and produce milk. Sometimes tourists visit us and drink our milk. They ofte say, "Wow, delicious! The milk I drink (different / are / and / every day / likes / this milk / very. )"
This always makes me happy but I didn't know why our milk was so special. I didn't know why our milk was so special. I asked my father about it. He answered, "Because the cool climate in Hokkaido is very good for raising cows. Cows eat a lot when it's cool. This makes milk delicdious."
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 問題は青字の部分を並び替えろというものだ。わたしは「The milk I drink」が主語だと早とちりしてしまったから、動詞は三人称単数現在形のlikesしか選択肢がない。

 The milk I drink likes ...

  日本語では「牛乳が好きだ」とはいうが、そういう意味なら「I like milk」だからlikesを選択肢から外さざるを得ない。そこで、「The milk I drink=主語」から焦点を外してみる。likesがつかえないとなるとつかえる動詞はareだけである。「The milk I drink every day」は単数だから「are」は動詞の選択肢となりえない。隘路に行き着いたときは絞り込んだ焦点をぼかしてみる。気をそらすために後の方の文を読んでみたら、前後関係から文意とシーンに推察がついた、後は簡単だった。
 主語が二つだったのである。「the milk」と 「this milk」が主語、実に単純な文だった。
   A and B are different.
  Aの部分が関係節を伴っており、複文である。目的格の関係代名詞は消去変形が働く。修飾関係を[]で括ると次のようになる。

   The milk [I drink every day] and this milk are different.

 こんな簡単な問題でも、主語が単数であると思い込むと、正解経路から外れてしまうから、思い込みをリセットする必要があることは数学と同じだ。並行して文脈読みするところは日本語の文の読解と同じ。
  数学のセンスで採りあげた、「思い込みのリセット」が英語問題でもつかえることがわかる。少ないスキルで分野の異なる問題が解けたら便利この上ないから、汎用性の高いスキルをドントンためて、使って、磨こう。数学の分野で培ったスキルを他の科目へ拡張してみるとよい。使える科目と使えない科目があるから、試してみないとその限界がわからない。技の適用限界を知るためにも「拡張」は必要だ。

 さて、次回は7回書いた数学のセンスとその周辺にあるものをまとめてみるが、数学のセンスの正体が見えるだろうか?

   帰納的分析⇒総合
   
 これも数学的思考法だから、こういうことを通して数学のセンスを磨こう。


< 余談:失敗談 >
 日本語の文をたくさん読んでいる生徒ほど、文意の把握が早いことは当たり前、そのスキルが英語にも応用が利く。
 英語が大嫌いな生徒がいた。教科書はつまらないから嫌だと言い、本棚においてあった Gone with the Wind (1448ページの大著)をやりたいというのでやってみたが長続きしなかった。文学作品はむずかしいから小説がいいと今度はDarren Shan 'Vampaire Blood'を読みたいというので付き合ったがこれも十数ページでダウン。50ページ我慢してくれたら、ずいぶん読むのが楽になるのだがその手前で2度あえなく白旗。一冊読み通したら英語の力は格段につくのにもったいない。彼女の本棚にはいまも2冊英語の小説が並んでいるのだろう。いつか読むことになる、それでいい。
 勉強しないから定期テストの点数は悪いが、全国模試の英語は妙に点数が良くて、根室高校普通科で学年十番台のことが何度もあった。点数が取れるから、「わたし模試は点数いいから」と余計に勉強しなくなる。ニコニコして、これ読みたいというのだが、思い通りに行かないフラジャイル(取り扱い要注意)な生徒だった。本棚からいろんなジャンルの本を引引っ張り出しては「先生、これ貸して」と哲学からグリム童話まで読んでいた。東野圭吾はこの生徒が読んだものを次々にわたしに「これ面白かったから、先生も読んだら」と貸してくれた。
 小説が好きで、たくさん読んでいるから、日本語だとやたら読書スピードが大きい。この生徒は英語の長文問題の文意を知っている単語をつなぐだけでなんとなく正確に読めてしまう。文法語法問題はからっきしダメ、長文が得意、英語のベースは日本語だということがよくわかる事例だった。

< 余談-2:成功談 短期間での飛躍的な学力アップ >
 昨年12月に入塾した中1の生徒がいる。英語がわからなくなって点数が回を追うごとに下がったので何とかしたくて来たようだ。教科書を読ませたらまるで英語になっていないので、毎週1回90分、音読を中心に英語の補習授業を組んだ。3ヶ月やって前回の定期テストに比べて53点アップ、年度末テストは数学だけまだ返却されていないが試験の直前に『シリウス』の平面図形と空間図形の複合問題で8割の正解だったから90点は楽に超えただろう。五科目合計点は2学期期末テストに比べて130点前後アップしているようだ。苦手だった社会科の点数も飛躍的にアップしている。英語と数学の勉強を通じて、勉強の仕方がわかったようだ。いきなり学年3番以内に躍り出る。部活をやっている生徒である。文武両道。
 中学生にはこういうふうに短期間で劇的に点数をアップさせる者がいるから、学年トップはいつでも交代しうる。個別指導は相手を観察しながら、教え方を変えていくから、たまにこういうことが起きる。生徒の潜在能力が高かったのだろう。4月からは2年生だ、次の目標は学年トップ。ここまで点数が上がれば楽しいし、実績は自信を生み、根拠のある自信は大きな成果を生むものだ。


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