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#3503 融けて固まった核燃料瓦礫撤去はできるか? Feb. 10, 2017 [14. 原子力発電]

 昨日のニュースによれば、福島第一原発2号基の融けて固まった核燃料デブリの撮影ができたが、ロボットは650Sv/hの強烈な放射線で停止。2号ロボットも画面が暗くなって撮影続行不能になった。
 東京電力はメルトダウンを起こしたデブリを撮影するだけで6年を費やした。既成の機器がないため配管を伝ってデブリに近づくロボット開発に時間がかかったからだ。
 最終目標は原子炉の鉄やコンクリートと溶けて固まった核燃料デブリを取り出すことである。そのためにはデブリのところまで通路を開かなくてはならない。650Sv/hの強い放射線下では電子機器が壊れるから、30年たっても必要な機器を開発できるかどうかすらおぼつかない。
 融けて固まったデブリを切り取り小さくして持ち出す重機の開発も必要になる。650Sv/hの放射線を放つ核燃料デブリ周辺は人間が立ち入ることができない。
 結局、数百年間は融けて固まった核燃料デブリの撤去作業できないことになりそう。監視と保守点検には一日6000~9000人の要員が必要になる。チェルノブイリでは3000人が壊れた1基の原子炉の保守管理に当たっているが、福島第一原発は3基の原子炉がメルトダウンを起こした

 仮に、300年間取り出し作業ができずに保守管理するとしたら、どれだけの費用がかかるのだろう?人件費を計算してみる。

 30,000円/人 × 6000人 × 365日 × 300年 
  = 1.971×10^13

 19.7兆円である。

 人件費だけでこれだけ。実際の作業には人件費の5割程度の物件費がかかるとすると、29.5兆円である。地下水の浸入を防ぐために凍土壁をつくったが、年間の電気代はどれほどかかるのだろう。ほとんど効果のないことも明らかになり始めた。より深いところから海へ流れ出るだけ。
 これらに撤去費用+保管に適当な形態に加工する費用が数兆円かかる。そして撤去した後どこかで保管しなければならない。プルトニウムの半減期は2.3万年だから、11.5万年安全に保管すれば放射能は1/32に減らせる。
 日本列島は火山列島でもある。なぜ火山列島なのかというと、日本列島周辺で二つの大陸プレートと二つの海洋プレート合計4つのプレート(ユーラシア、北米、フィリピン海、太平洋、)がぶつかり合っているからだ。こんな地形的特長を有するのは地球上で日本列島のみだだから地震も火山噴火も多い。11.5万年間安全に保管できる場所などないということは火山学者でなくてもわかる理屈だ。

 すでにできてしまっている使用済み核燃料を一箇所に集めて保管するのに毎日1000人の人間が必要だとしよう。11.5万年でどれほどの費用がかかるのか大雑把な試算をしてみる

 30,000円/人 × 1000人 × 365日 × 115000年 × 1.5
 = 1.889×10^15

 なんと1889兆円である。

 国内50基が産み出した使用済み核燃料の11.5万年間の保管費用が1900兆円とすれば、保管費用の引き当て計上を原発の稼動期間に割り振ってしなければならない。稼動期間を40年とすると1年間に引き当て計上すべき金額は

 1900兆円 ÷ 40年 = 47.5兆円

 計算してみるのもばかばかしいほど巨額のコストがかかる。原子力発電は民間事業として採算に合うはずがないのである。原発1基あたり年間1兆円の再処理済み核燃料保管コスト引当金計上が必要になる

 使用済み核燃料はそのまま保管できるわけではなく、保管するための濃縮再処理に莫大なコストがかかる。ウラン鉱石を掘り出し核燃料に加工するまでにかかる費用の10倍以上が再処理コストの現実である。
 原発災害で地域住民への補償費用が数兆円かかるとも言われ始めた。お金で補償できても元には戻せない。山林の除染は膨大なコストがかかるので東京電力はやるつもりすらないから、年寄りはふるさとに戻れても、放射能に感受性の高い孫たちは戻れない。年寄りだけの町や村は30年をかけて消滅していく。

 原子炉一基がメルトダウンを起こすと、百兆円を超える事故処理費用がかかり、そして核燃料デブリ撤去は数百年間不可能であることが次第に明らかになり始めている

 仮に1機の原発事故処理費用に100兆円かかるとしたら、耐用年数40年の稼動期間の間に毎年事故対策引当金を積み立てなければならない。年間2.5兆円である。東京電力の年間売上げは6兆円。

 事故処理コストを引き当て計上しただけで、国内の電力会社は全部債務超過になる。だから東京電力はいまだに事故処理費用の総額がわからないと主張して、引当計上を先延ばししている。一部でも確定すれば、その金額で残りの原発について引当計上義務が生じ、原子力発電がとんでもない高コストであることが白日の下に曝(さら)される。

 一般企業は企業会計原則や会社法に準拠して会計処理をしなければならない。上場企業はさらに証券取引法にも準拠しなければならない。ところが電力事業は「電気事業会計規則」というのがあって、それに準拠すればいいことになっている。福島第一原発事故以降これを政府は次々に改変している。原発事故処理費用を電力料金に上乗せできるように変えた。これで東京電力は事故費用がどれほど巨額になっても電気料金を値上げすればよく、負担しなくて済む。
 こんなことをやっているから、経営者にモラルハザードが起きる。日本人が数百年間培ってきた商道徳、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」は東京電力の経営者の頭の中にはない。

 言いたいことは、原子力発電は途方もなく高コストだということ、そして11.5万年の保管管理が必要だから、民間事業としても国家事業としても成り立たないものだということ。それでも維持を図る姿は、経営者のモラルハザードそのものだ。原発事業は日本の伝統的な商道徳と真っ向から対立する。
 11.5万年の歴史を誇る国家は存在しないのだから、政府が保証できるわけがない

 小学生でも理解できる単純な理屈が、利害が絡むとわからなくなるという人間の愚かしさにあきれるばかり。


*#3501 ドイツと日本:発電政策の違い Feb. 8, 2017  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-08

*#3499 ドイツと日本:生産性比較 Feb. 6, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-02-06


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コメント 26

田代克

こんにちは。
原発リスクを少しでも低減するため全原発を根室に移すという、根室の方にとっては由々しき案を考えました。
http://agora-web.jp/archives/2024855.html
こんなことを言っているのは世の中で私一人ですので心配には及びませんが、根室の方にはお知らせしておこうと思い、こちらに書かせていただきました。よろしくお願いします。
by 田代克 (2017-04-02 19:36) 

ebisu

田代克さん

弊ブログへの初投稿ありがとうございます。
面白い提案ですね。

しかし原発増設稼働が必要なほどのエネルギー需要があるとは思えません。人口減少速度が大きいので、原発なしで十分やれるのではないでしょうか。
釧路と根室は使用済み核燃料の廃棄場所として候補に挙がっています。

根室半島には30-40mの津波の痕跡が地層に残っているそうです。5百年に一度の頻度で大きな津波が来ます。根室半島を津波が横断する可能性もあるようですから、50基全部がメルトダウンする可能性があります。地質学者の調査によれば、根室半島は五百年の一度の巨大津波が明日来ても不思議ではないそうです。
そういう事態が起きれば、北海道は言うに及ばず、北方領土全域もアウトです。太平洋が大規模に放射能汚染されます。福島の10倍規模の原子力災害が現実になるのでしょう。

だから根室半島に原発を移転させるとしたら5基くらいの提案のほうがいいのでしょうね。

北海道の食料自給率は200%ですから、そこが消滅するリスクがあります。北方領土周辺海域は世界三大漁場の一つです。わたしは故郷の海で獲れた新鮮で美味しい魚介類が大好きです。お金には代えられません。

福島県の原発周辺の人たちが、避難解除になっても戻らない。原発の誘致で数十年町が潤ったのでしょうが、結果から見ると故郷と引き換えでした。
そういう愚かな選択を道東地区100万人の住民がすることはないと信じたいのですが、補助金が大好きな住民もいるので危うい。あなたの提案の一部が現実になる可能性はゼロではないのでしょう。

でもジョークと受け取りました。(笑)

by ebisu (2017-04-03 00:12) 

田代克

コメントありがとうございました。面白いと言っていただけて良かったです。確かに全原発移転後に大津波が襲ったら世界的にも無視できない汚染が起こりますね。またこの案をやるなら漁場も農場もあきらめる覚悟も必要になりますね。日本にとってはそれだけの価値がある可能性もありますが、根室の人たちにとっては生活のすべてを換金するつもりがない限りやるべきではない案ですね。まあ、ジョークと思ってください。この案は誰からも賛成も反対も得られておりません。
by 田代克 (2017-04-03 21:02) 

ebisu

田代克さん

根室半島の地質調査による巨大地震と大津波の痕跡は日経サイエンスに載っていたデータです。5500年間で15回ありました。

*#1782 北海道大震災:根室・釧路沖 400年に一度の巨大地震の可能性あり Dec.25, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-24

#3270 根室も四百年に一度の大地震が近い:熊本大地震は他人事ではない Apr. 15, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-04-15

合理的に考えれば、人口密度が低い道東へ原発を移転すればリスクが分散するような気がしますが、そうしたとたんに根室半島を大津波が襲い、全原発がメルトダウンという事態が現実に起きてしまう。
そういうことを証明したのが福島第一原発事故だったと思います。

by ebisu (2017-04-03 23:03) 

田代克

根室の津波の可能性は大きいようですね。逃げ場がない地域もあるようですから対策が必要ですね。由々しき案を提案したものの立場としては
・まず先に住民用の津波対策設備を作ること
・40m級の津波による衝撃や水没に耐える設計とすること
・原発内に住民保護施設をつくること
などを条件にして全原発根室移転誘致に動くという手もあるように思いますがどうでしょう。
by 田代克 (2017-04-05 13:18) 

ebisu

田代克さん

ははは、面白い、ありますね。
40mクラスの大津波が来たら、津波は太平洋岸から根室半島を乗り越えてオホーツク海へ通過していきます。逃げ場なんてありゃしません、全滅です。
それでいいのです。
そのあとに日本人がまた住めます。
農業も漁業も再開できます。

50基の原発があり、大津波で全部がメルトダウンしたとしたら、北海道は数百年間人の住める場所ではなくなります。
根室の住民が楽と得をしたいために補助金につられて、原発50基の移転に賛成したら、北海道内のほかの市町村に甚大なご迷惑をかけることになるでしょう。
道と国の補助金100%でウニの養殖事業を始めたようですから、補助金目当てにそういう提案に乗る根室人は少なからずいるのでしょう。
桑原桑原

面白い提案とは思います、しかし子どもたちとこれから生まれてくる者たちのためにのために、わたしは賛成しかねます。
これからどれだけ命があるかわかりませんが、贅沢も得もしたいとは思いません。故郷でつましく暮らしていけたら十分です。欲深になったらろくなことがありません。(笑)

by ebisu (2017-04-05 22:44) 

田代克

そう、補助金補助金と言わないでください。もともとこの案は根室を助けるためのものではありません。原発事故リスクにおびえている人の99%を救い、原発の仕事がなくなることにおびえている人を救い、CO2を出さない電源を増やして地球を救うためのものです。日本と地球のために根室が率先してリスクを引き受ける気概がありますかと問うています。気概が大切でそれで落ちてきたお金は副産物です。ただ、根室にその気概があっても周辺市町村にはたしかに迷惑でしょう。根室だけ暴走するわけにもいきません。また、一度受け入れたら原発関係者の人口の方が多くなりますから後戻りはできません。気概で受け入れても乗っ取られたような状態になります。根室は事故がないうちからお国のために消滅したも同然になってしまいます。受け入れない方が無難なことは確かです。でも逆に先生のような方でも補助金の方に目が向くようなら結構いけるのかもと思ってしまいます。
by 田代克 (2017-04-06 21:44) 

ebisu

田代克さん

提案が実現した時の様子がどんどん具体的になってきています。こういう仮定の議論が福島県双葉町でも、周辺の町や市でも必要だったのでしょうね。
提案を受け入れた後の根室がだんだん具体的なイメージとして見えてきました。
by ebisu (2017-04-06 22:41) 

田代克

原発1基あたり500人は働くでしょうから50基で2万5千人が根室で働くことになります。家族も入れれば5万人くらい住民が増えるでしょう。土地は高くなり、住居もスーパーも道路もタクシーもホテルもコンビニも不足します。外部からの投資が増え工事が増え、サービス業者もやってくるでしょう。根室の人口は10万を超えるでしょう。この人たちが休日は周辺を刊行するでしょうからお土産などもよく売れるでしょう。お店は増えて便利になるが、どこも込み合い、物価は高くなり暮らしにくくはなるでしょう。根室の人口の3/4が原発で稼ぐことになるのでこれまでの立地自治体と違い、原発は政治的に完全に安定します。これまで安全神話や改善工事をしなかったのも地元に危険と見られたくないという理由が大きかったようですがそういう地元への遠慮はもはやありません。なにか問題があればすぐ改善できるし、福島の場合は柏崎の力を活用できませんでしたが、根室の場合は不具合等あれば50基のなかで最適な人材をすぐに送り込むことができます。原発を集積してもかえってリスクは下がるかもしれません。根室には活断層も少ないようですし風は西風が多いです。建設のため高速道路は必須。空港もすぐできるでしょう。さすがに新幹線は難しいでしょうが。原子力の大きな学会や会合も根室で開かれ、会場となるホテルも必要になるでしょう。世界中から学者がやってきて国際都市にもなるでしょう。いろいろ妄想するのは楽しいです。
by 田代克 (2017-04-07 23:57) 

ebisu

田代克さん

妄想なんてとんでもない、現実に迫るこういう具体的な想像力が福島第一原発の町、双葉町に必要だったのです。
想像力の貧困が根も葉もない安全神話を一人歩きさせ、しまいに取り返しのつかぬ大事故を招く。

立地を集中させたら安全対策が進むという視点は斬新です。
続けてどんどん書いてください。

了解いただけるなら、適当なタイトルをつけて投稿欄での対話をキリのよいところでアップします。面白い!
by ebisu (2017-04-08 08:25) 

田代克

根室を舞台にした勝手な妄想を面白いと言っていただけて恐縮です。では続きの妄想。この計画がスタートするということは5000万kWの高圧直流送電線が日本を縦断することになります。その一部、津軽海峡分だけでも渡せば北海道から本州に電力を送ることに支障がなくなります。北海道では風力発電の開発がどんどん進むことになります。また、サハリンと稚内の50kmをパイプラインで結んで液化しない天然ガス火力発電所を稚内に建設しても本州に送れるのでそっちの構想も進むでしょう。北海道は根室原発完成を待たずに日本の電力基地になります。原発建設の方は今すぐスタートしても最初の原発ができるまで10年以上かかるでしょう。東芝・日立・三菱が毎年1基建設しても50基作るには25年はかかるでしょう。一部をアレバやWH、韓国、中国、カナダ、ロシア、インドなどに原発を作ってもらえば多少早く進むでしょう。そうなると根室は原発ショールーム化します。各国の原発の得失が共有され技術開発のスピードもアップし、安全対策も進むでしょう。その成果は各国の原発にフィードバックされ世界の原発がより安全になるでしょう。ただ、北海道の電力基地化が予想以上に早く進むと、せっかく作った原発は稼働する必要がなくなるかもしれません。それでもショールーム化すれば研究基地としての役割は増大します。とうぜんそこでは廃棄物処分技術についても検討が進むに違いありません。その実験は歯舞諸島でできますが、安全検討が進むにつれ、日本で処分することの危険性が各国に理解され、他国への受け入れの可能性も出てくるのではないでしょうか。すいません、だんだん都合のいい妄想になってきました。もちろんアップしていただけるなら大変うれしいです。
by 田代克 (2017-04-08 16:50) 

田代克

お金の話をしましょう。原発立地自治体には稼働前の10年で約400億、稼働後の10年で約500億がはいってくるそうです。50基だとそれぞれ、2兆円、2.5兆円。計4.5兆円が約45年くらいのうちに入ってきます。年間約1000億円の収入になります。今の根室の予算の約6倍、今の人口で割ると市民一人あたり年約400万円、45年で1億6千万円です。まず何年かは津波対策や道路などインフラ整備に充てる必要があるでしょう。10億円の避難施設を年100か所建設できます。200億円の防潮堤なら年5か所建設できます。その後は市民に無利子融資をして市民が自身で投資するといいでしょう。根室は風況がいいようですから風力発電所を作ればその売電収入は投資した個人のものです。牛糞を原料としたバイオマス発電に投資すれば、その売電収入は投資した酪農家のものです。漁船を最新鋭化すればその水揚げは投資した漁師さんのものです。こういう収入は原発がなくなってもなくなりません。北海道電力を買ってしまうという選択肢もあるかもしれません。時価総額2000億円くらいなので2年で買えます。買収できたら本社を根室に移転すれば原発の稼ぎにも税金がかけられて根室の収入になります。北海道電力にお金を貸し付け、風力や地熱発電等に投資させれば利息収入も得られます。電力自由化なので風力等自然エネルギーを前面に出して宣伝すればウニ・カニ・ホタテ・チーズなどと同様に北海道産ブランドの電力として全国に売れます。ブランド価値を高めるため泊の移転原発は他社に売ってしまう手もあります。根室に多数原発を抱えて発電しているが、根室に本社を置く北海道電力は脱原発で日本全国に電力を売るのです。原発の話なのでエネルギー中心で考えましたが、お金ですから東京のマンションに投資して家賃収入を得たっていいし、会社に投資して配当収入を得てもいいです。観光地温泉地のホテルに投資して配当収入を得る一方で事故がおきたときはそのホテルを避難場所にする手も考えられます。事故が起きて避難しなくてはいけない場合に避難先が温泉というわけです。
by 田代克 (2017-04-09 22:21) 

田代克

今度は熱の話です。50基の原発は1億kWという日本の全電力に匹敵する膨大な熱を排出します。水深の浅い根室湾の水温は確実に上昇するでしょう。結氷や流氷はなくなり水産物も相当な影響をうけるでしょう。その熱を熱水パイプで町に届ければ暖房や融雪に使えます。地域熱供給が実現し、暖房費で悩まされることはなくなります。根室だけでは消費しきれないので周辺市町村にもパイプで運ぶといいかも知れません。原発は温暖化対策ですが、根室は原発の熱で温暖化します。ハワイアンズのような温浴施設を作るのもいいかもしれません。世の中にはラドン温泉やラジウム温泉など、放射能を売りにする温泉施設が結構あります。原発こそ放射能で熱を作っているのでそのお湯を利用した温浴施設は意外にも人気が出るかも知れません。同様に加速器を利用した重粒子線治療施設などを作り、温泉とタイアップした療養施設を作れば放射線治療を望む患者がやってきます。放射線は一般的には嫌われ者ですが、好きな人、利用したい人もいるのでそういう人にとっては根室は聖地となります。
by 田代克 (2017-04-10 13:15) 

ebisu

田代克さん

集中立地したときに、現在すべての原発立地自治体に支払われている補助金合計額が根室に支払われるという想定は、甘過ぎるように感じますが、いずれにせよ国から膨大な補助金が根室市に排出されることはあるのでしょう。

根室湾は別名芭蕉湾という名前がついています。常盤台から眺めると、根室湾は芭蕉の葉っぱに似た形状をしているからです。その芭蕉湾はとても狭い。根室湾へはせいぜい3基が限度でしょう。熱の排出は湾外まで海底パイプを敷設すればすみます。
オホーツク海側に原発を50基設置したら、排出される熱で沿岸漁業は全滅します。
海水温が上がれば生態系が変わってしまうので、現在取れている地元の魚はほとんどが消滅します。ほかの種類の魚が増えてくのでしょうね。
原発の排熱で無料の公共浴場を運営するなら住民にとっては恩恵かもしれません。各家庭に温水を配給すれば冬の暖房はただ同然、それはうれしいことでしょう。

メリット、デメリットを具体的に検討してみる良い材料になります。好い議論だな。(笑)
by ebisu (2017-04-11 09:43) 

田代克

稼働前の交付金は削減もあるかと思いますが、稼働後はほとんど固定資産税ですので特段免除しない限りは入ってきます。既存立地自治体のご機嫌をとるため振り返られてしまう可能性もありますが、だったら受け入れを拒否すればいいだけのこと。原発を動かすならお金は必要です。それは事故時の原資になるからです。根室で原発事故が起こったら別海町や浜中町が飯館村くらいの距離になります。もちろん賠償責任は電力会社や国ですが、根室も実質加害者的立場になるのでできる限り支援しなければなりません。しかし今回の自主避難者への支援問題にしても解決は難しく時間がかかります。そこで、原発事故被災者には交付金や固定資産税を原資とし、無利子・無期限・無条件融資をするのです。融資であって援助ではないので形式的には懐は痛みません。被災者はどこへでもいつまででも逃げることができます。もちろん除染にも使えるし、事業立て直しに使えば融資は返せるかも知れない。牧場がだめになっても融資金を風力発電に投資すれば放射能があっても動くので金が稼げて融資金が返済できます。別海・浜中・中標津くらいまで含めても5万人に対し、固定資産税の2.5兆円で一人5000万円まで支援できます。もちろん根室市民にも必要なので全員それだけ使うと破たんですが、電力会社からの賠償もあるはずなのでそこまではならないでしょう。事故はあってはならないことですが、事故後の避難生活の不自由さが避難をさらに困難にします。無利子融資でお金だけは自由に使えれば避難生活も少しは楽になるでしょう。事故を考えればお金はいくらあっても足りず、できれば投資により増やしていけるようにしなければなりません。それができるようになっていれば原発事故後も新たな投資で食べていくことができるでしょう。事故がありうることを理解したうえで原発を受け入れる場合には、何があってもなんとかするという決意も必要です。
by 田代克 (2017-04-11 13:13) 

ebisu

田代克さん

固定資産税収入と原発災害が起きた時の補償問題への言及ありがとうございます。
大規模災害が起きれば、災害補償が不可能なことは福島第一原発事故で証明されたように思います。

ところで東芝の第三四半期決算ニュースが流れていますね。監査人の意見表明がない決算公表はルール違反ですから、すでに監理ポスト入りしているので上場廃止が検討されることになるでしょう。
2千億円の債務超過となっていますが、年次決算が行われたら債務超過は7000億円に達する可能性が指摘されています。
今朝のNHKラジオ番組「わたしの意見社会の見方」で慶応大学経済学部教授の金子勝が、東芝経営破たんの原因は安倍政権の原発政策にありと解説しています。三菱重工も数千億円の損失を被っているようです。日立は600億円、金子教授の論を別途紹介したいと思います。
by ebisu (2017-04-12 11:56) 

田代克

風力発電の話です。根室は北海道の中でもえりも岬や稚内と並ぶ風況の良いところでしかも、根室湾は欧米で実績のある着床型洋上風力に最適な水深30m以下のところが大部分です。2000kWの風車を1平方キロに10本建て、これを1000平方キロに設置すれば1万本の風車が2000万kWを発電します。稼働率30%で年間600億kWh発電し、10円/kwhで売れれば年6000億円稼げます。しかし1万本の風車を立てるのに10兆円必要なので原発マネーでは足りません。とりあえず1兆円分設置すれば17年で1兆円かせぐので再投資すれば次の17年で2兆円稼ぎます。それも再投資すれば次の17年で4兆円、それも再投資すれば8兆円の投資ができ、50年くらいで年間5000億稼げる状態になります。もちろんこれは皮算用で、実際には根室湾は根室のものではないですし、船の航行とか風況とか考えてそこまで設置できないでしょうし、建て替え費用等も必要なので、実際にはその何分の1ということになるでしょうが。とにかく根室付近はそれだけの可能性を秘めた地域です。その可能性を生かすには巨大な送電線と売り先が必要です。そしてそれを地元が投資するには元手が必要です。根室原発構想は再エネ開発のためにこそ役に立つ構想なのです。根室の話だとこんな感じですが、北海道ならほかにも地熱も太陽光も水力もまだまだ膨大な開発余地があるので東京へ送る送電線さえあれば北海道が巨大な再エネ基地になります。再エネが増えすぎると今度は貯めることが重要になりますが、エネルギーをためる上でも北海道は有利です。エネルギーを貯める上でもっとも現実的なのが揚水発電ですが、今は北海道には揚水発電所が1か所しかありません。作ろうと思えば相当できるはずです。面白いのは閉山した炭鉱を揚水発電所として利用するアイデアがあり、そういう場合でも北海道は有利です。来たるべき再エネ時代には北海道は主役に躍り出ます。そのためには巨大な送電線がどうしても必要です。巨大な送電線を誰にどうしたら作らせることができるか。おそらく政府が最もお金を出しやすいのが原発なのではないでしょうか。
by 田代克 (2017-04-12 17:29) 

ebisu

田代克さん

年中強い風が吹く根室はたしかに風力発電に向いています。
いくつか懸念材料があります。
その一つが流氷です。海上風力発電所は流氷の影響は受けないのでしょうか?流氷が風力発電所にガンガンぶつかります。
二つ目は野鳥が多いこと。根室は大鷲やオジロワシが多数生息しています。白鳥も数千羽飛来します。タンチョウヅルも棲みついています。
陸上風力発電所が数か所既にありますが、バードストライクが問題になっています。ラムサール条約の春国岱は根室湾に隣接しています。
三つめは根室湾が狭いことです。幅500mほど、奥行き200-300m程度です。
オホーツク海側は根室湾➡春国岱➡風連湖➡野付半島です。
温根沼は砂の1/4がアサリです。帆掛け船で網を引く尾岱沼の北海島エビ漁も有名ですね。
資源を大事にして漁獲量を管理しています。まさか湾内で養殖をやるとは思いませんが、国の補助金でウニの養殖事業がスタートしています。

風力発電所は原発とセットですから、原発を移転すると、排出される温水で沿岸漁業が壊滅するでしょう。トリチウムも垂れ流し状態になります。人間の体のほとんどが水ですから、トリチウムが体内に入ってくることは防ぎようがありません。魚や水を通じて住民の体内に侵入してきます。どういう影響があるのか不明です。
風力発電も野鳥を観光資源の柱とする市政と真っ向からぶつかります。

最後はお金をとるか、いまある自然と天然の恵みを摂るかという選択になるのでしょう。
どちらを選ぶのも根室に住む者たちの自由です。
田代さんとebisuは想像力を働かせてありうる現実を描いて見せるだけ。

太平洋側は流氷がめったにきませんから、風力発電はそちらのほうがよさそうです。

雪が少ないので太陽光発電がいいのかもしれません。根室半島には廃屋になった牧場が点在しています。これならバードストライクもありません。100haで30か所なら投資金額と収入金額はおおよそどれくらいになるのでしょう。ああ、日照時間も関係がありますね。
首都圏の夏場のクーラーのピーク電力対応に便利がよさそうです。夜になれば夏でも15度以下に下がるので、根室では必要がありません。(笑)

by ebisu (2017-04-12 18:15) 

田代克

太陽光だと100haで5万kW程度でしょう。30か所で150万kW、原発1基程度。稼働率15%で20億kWh程度、10円で売って200億円、今年のFIT適用なら400億円程度の収入になります。費用は1kW20万として3000億円程度。採算はいいですがポテンシャルとしては風力の方がずっと上です。
by 田代克 (2017-04-13 13:01) 

ebisu

田代克さん

参考数字の提供ありがとうございます。
太陽光発電はそんなに収入が見込めるのですか。根室市の隣の別海町は200haが平均的な規模です。わずか15戸集まれば200億円の収入になる。
問題は投資金額が100ha当たりどれくらいになるかですね。それと送電網の完備。
1戸200ha、10万kW/hとすると、80戸で800万kW/hになりますよ。ちょっと数字が大きすぎるような気がするのですが…
by ebisu (2017-04-13 15:15) 

田代克

北海道は緯度が高いのでパネルを立てる必要があると面積効率は悪くなるかも知れないし、雪や霧でも発電量は落ちますが、そんなに違った数字ではないと思います。200haなら10万kW、年1億kWh発電し、200億円で作れて今のFITなら年20億円稼ぎます。ただ、送電線が無いので需要の限られる北海道では北海道電力が受け入れない。しかしそれだけの可能性が北海道のどこにでもあるということです。作る側にも魅力ですが使う側にも魅力です。送電線は絶対に必要と思いませんか。
by 田代克 (2017-04-13 23:16) 

ebisu

田代克さん

>送電線は絶対に必要と思いませんか。

田代さんの意見をいろいろうかがって、北海道と本州の送電線網の必要を強く感じるようになりました。風力と太陽光の二つだけで、北海道は電力の自給率を200%にも300%にもできそうです。
わたしには原発なしで可能に思えるのですが…
by ebisu (2017-04-14 00:20) 

田代克

もちろん原発なしでも可能です。政府がその気になって建設国債で作ればOK。送電線費用は1km10億円と言われるので2500kmを4回線作って10兆円。毎年の赤字国債額より少ないです。問題は政府がその気になるかどうかです。原発再稼働をしようとしているので再稼働すれば電力は十分だし温暖化対策もできて、発電しない送電線を作る動機がありません。逆に送電線ができれば再エネが増やせて脱原発の意見が強まると考えれば送電線案を阻止する動機になります。各大手電力会社も送電線がなければ実質地域独占なので送電線案は阻止しようとするはずです。このままでは政治的にいつまでたっても送電線はできません。政府や電力が原発方針を曲げないなら逆にそれを利用して送電線を作ってもらおうというのが根室原発案。根室の人たちさえ了解すれば政府や電力はその提案を拒否する理由がなくなります。
by 田代克 (2017-04-14 05:28) 

ebisu

田代克さん

おはようございます。全原発根室移転案は大容量の全国送電網を作るための餌だとしたら、根室市民は故郷を棄てる覚悟がいるということのようですね。大容量送電ネットワークが完成すれば再生可能エネルギーによる発電が飛躍的増え、電力会社の地域独占他姓が崩せる、そして脱原発が強力に進められる。

見事な論ですね。論としては肯けます。
by ebisu (2017-04-14 08:47) 

田代克

見事に解剖されましたね。そういうことです。論で済まないのは具体的に根室に限定した案なので根室の方には現実問題であることです。もちろん積極的に受け入れない限り実現することはないと思いますが。勝手にこんな案を考え公表してすみませんでした。趣旨をご理解いただきありがとうございます。
by 田代克 (2017-04-14 16:10) 

ebisu

田代克さん

議論はキリがついたようなので、4月12日17:29の投稿以降は続編として後でアップしておきます。楽しい議論ありがとうございます。
by ebisu (2017-04-22 14:55) 

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