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#3493 英語の語彙力の問題:中2年生 Jan. 21, 2017 [47. 語彙力と「読み・書き・そろばん」]

 中2の生徒が中3の英語の問題集をやっているのだが、文法がわからないところがあって不安だという。習った範囲の英文法はほとんど理解しており、学力テストで英語はいつも9割を超えているのだが、それでも文法に不安があるという。話が曖昧模糊としていてどこに問題を感じているのかチェックしたくなった。

 内容語と機能語の説明と音読の話をしようか、五文型を説明しようか、語順の話をしようか、冠詞の話をしようかとメニューをいくつか提示してから、最初の項の説明をはじめた。文法専門用語が中学生には不案内であるから、限定詞とは何か、たとえばthisは名詞を修飾する限定詞と「これ」や「上述のこと」を意味する指示代名詞の二通りの機能があるが、機能の違い、文法用語の概説もしなければならない。説明を途中でやめた。テーマごとにレジュメを渡してやるべきだと気づいた。こういうときは方向を変えたほうがよい。

 何か具体的な質問があるかと訊いた。そこから探ればよい。英作文で手も足も出ない問題があるというので、問題文を見た。

 「太陽は東から昇り西に沈む」

 中学校の教科書にはこういう文は出てこない。太陽がsunであることは知っていたが、定冠詞をつけなければならないことは知らない。「地球人」が太陽といったら、それは毎日見ている太陽だから、定冠詞がつく。冠詞の知識が足りないことがわかった。まだ中2だからあたりまえだ。
 東から上って西に沈むのは毎日繰り返されることだから、単純現在形で表現する。もっと高級な言葉で言うと「普遍的な真理」を高校では習う。これも文法事項だろう。
 「水は百度で沸騰する」"Water boils 100 degrees Celsius."

 「昇る」はrise、これは自動詞で、「持ち上げる」はraise、「raise the Taytanic」という映画があった。沈没した豪華客船を「浮上させる」という意味だ。climbも「のぼる」だが、こっちは「登る」ほうでclimb the mountain 、句をセットで覚えるといい。句とは何か、節とは何か、文とは何か、これも文法用語の定義が必要になる。
 「沈む」はsinkではなくてset。sinkもsetも頻出動詞だから不規則変化である。「(東に)昇るは」 from the east ではなくて、in the east だ。「東の空に昇る」くらいの意味だろうが、これは知らないとできない。こういう語彙や用法を知っていないと「太陽は東から昇り西に沈む」という簡単な日本文も英文にできない。

 学校の教科書を読むだけではインプットがあまりにも貧弱だから、英語の力はたいしてつかぬ。たくさんの英文を読めば語彙力は拡張できる。「読み・書き・ソロバン」である。この生徒はいま斉藤隆著『語彙力こそが教養である』を音読テキストにしてトレーニング中なので、日本語・語彙力の重要性はよく承知しているから話は簡単だ。英語も同じことなのだ。
 日本語で書かれた優れた文をたくさん読めば読解力が育つ。そしてたくさんの文をインプットすることで、用例が蓄積され、書けるようになる。見て書く「視写」のようなトレーニングもやる必要がある。3回英文を読んで、それを書くトレーニングが効果が大きい。日本語も英語もスキルアップの仕方は似たようなものだ。
 「太陽は東から昇り西に沈む」という短い文ですら、中2程度の語彙力では手も足も出ない。
 
 The sun rises in the east and sets in the west.

 「高速道路を時速60マイルで車が走っていた」という問題にもてこずっていた。熟考の末に次のように書いた。

 Car drived on the highway.

 おいおい無冠詞のcarでは具体的なイメージがわかないので困る。ここでは a car だが、carを主語にしたら「車が運転している」というヘンな文になってしまう。driveは不規則動詞で過去形はdroveだが、ここは過去進行形を使う。進行相を使うということがわかっていないようだ。どういう場合に単純現在形を使い、どういう場合に過去形を使い、どういう場合に過去進行形を使うのかという判断があいまいだ。だしかにこれらは文法に関連してはいるが、実はインプット不足が一番の原因だ。正解は次の文だ。

 A car was running on the highway 60 miles an hour.

 解答には along the highway となっていた。along の本義は「(長さのあるものの)最初から最後まで、全体の」が基本義*。along the river では「川沿いに」となるが、along the highway だと「高速道路上を」という意味になる。どちらでもよい。

 「走る」が人間が走るrunningのも車が走るのも同じ単語だというのも語彙知識。日本語でも、「人が走る」「犬が走る」「車が走る」「電車が走る」「川が走っている」とみな同じ「走る」である。

 「何が足りないと思う?」とその生徒に訊いてみた。
 「単語を知らない、そして文法がわかっていないのだと思います」
 「どうすればよいかもうわかっただろう。、たくさん読み、書くことだ。大事なのは「読み・書き・そろばん」、インプットが不足しているから語彙力が貧弱で教科書以外の語彙を使う英作文ができない」

 ハンドルネーム後志のおじさんが、NHKラジオ基礎英語の利用を推奨しているので受け売りしてみた。30回同調音読と書き取りトレーニングである。
 中2だから「NHK基礎英語2」がいい。簡単だったら「NHK基礎英語3」をやればいい。1年間音読トレーニングを積めば内容語や機能語を意識して上手に読めるようになる。
 「数学は楽しいのでいくらでもやれるが、英語のトレーニングは続けられる自信がありません」
 「いいんだ、3ヶ月でもやればやっただけ効果は出るから心配要らない。そして少し期間をおいてまたやったらいい。」
 音読が上手になったら、高校教科書3年分を9ヶ月くらいかけて塾の授業で読む。並行して" Grammar in use Intermediate" か 『マーフィのケンブリッジ英文法』のどちらかをやる。その次のステップは英字新聞ジャパンタイムズの記事だ。
 これくらいで日本国内の難関大学英語二次試験はクリアできる。

 毎日15分間のラジオ講座を録音して、繰り返し音読トレーニングを30分間やり続けるのは男の生徒にとっては結構辛い。男子生徒はこういう単純な繰り返し作業に向いていない者が多い。3ヶ月やっても効果はあるから、1年ではなくてとりあえず3ヶ月がんばってみたらいい。音読のコツがつかめたら、読むものを増やせばいい。とにかく、大量にインプットして、語彙力を拡張することが肝要だ。

 録音装置は最近はいいものがでているので、ネットで調べたらいい。ソニーのレコーダ付きラジオとMP3プレイヤーがよさそうだ。わたしは5年ほど前に買ったサンヨー製のラジオレコーダーICR-RS110Mを大事に使っている。
 ジャパンタイムズの購読をやめたので、NHKラジオ「ニュースで英会話」を聴いている。読むのとは違っていて楽しい。語彙の収集が自然にできて便利この上なし。


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後志のおじさん

問題集の文は素晴らしき迷答ですね。

とある車が(どこかをめざして一目散に)走っている情景が浮かぶ文です。

私なら、
There was the car running on the highway at 60 miles an hour.
ですか。

A car を主語にすると、不特定さが強く感じられてなんだか物語の書き出しみたいです。また、alongは終着点の存在が前提なので、筆者にはわかっている終着点をぼやかして読者に「何処に?」と思わせるような。文法的には間違っちゃいませんけどね。

本文を読んでですが、既視感があって遡って確認しました。フルに私のコメント活用して頂けているようで、何よりです。

♯3013本欄(The sun ……)と♯2661のコメント欄(語彙)のことですが、♯2661では奇しくもebisu さんが本欄で「プロ倫」を紹介しておいでです。

廻り合わせ的なものを感じました。

プロ倫ですが、一時中断してちょっと基礎の復習をしようかなと、阿部謹也先生(元一橋学長)の中世ものを引っ張り出して読んでいるところです。

by 後志のおじさん (2017-01-21 18:42) 

ebisu

There was the car running on the highway at 60 miles an hour.

誰かと会話している場面ならよくわかりますが、冠詞の使い方はこれでOKですか?theでなくてaではないでしょうか。

There was a car running on the highway at 60 miles an hour.

#3013ではずいぶんと中身の濃い議論をしていたようです。なるほど同じ文例がありました。

inの説明で後志のおじさんが自分を中心に円を描いて東の方にと説明をしてくれてありましたが、わたしは天体の半球をイメージして書いていました。扇のような面で方角を考えていたのですね。後志のおじさんはfromとの使い分けにも言及しています。
興味のある中学生は#3013を読んでください。

『プロ倫』を紹介したのは#2446ですね。
「#2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

阿部謹也先生はイタリア留学から戻って実証研究を踏まえて何冊か出版されました。『プロ倫』だけではウェーバーの論を鵜呑みするしかありませんから、迂回が必要ですね。
楽しみにしています。
by ebisu (2017-01-21 22:03) 

後志のおじさん

There was the car でいいんです。
running on the highway という限定する句がありますからね。

関係代名詞の問題で、2文を一文にするものがありますが、冠詞がa からthe に変わってしまう。中学時代から長いこと謎で気持ち悪いものでしたが限定詞の特定するはたらきによるものと理解することで、すっきり解決です。20年くらい謎だったのですが。

There was the 名詞+限定語句は、よく見られます。

theではなくaだと、限定しているのに、不特定となって読み心地が悪い感じがします。








by 後志のおじさん (2017-01-23 22:25) 

ebisu

限定されているからtheでいいのだというのは納得できますが、There was the という用例を見たことがなかったのと、話題をひょいと吊り上げる働きから、a が最適かなと思っていました。細かいところが気になるんです。(笑)
関係節でも 先行詞は「the+名詞」 ですからOKなのでしょう。
ありがとうございます。

There was the car [which was] running on the highway.
by ebisu (2017-01-23 23:21) 

ebisu

面白いので、もう少しやってみましょう。

スーパーアンカー第5版には次の説明と用例が載っています。

There is a storm approaching.嵐が近づいている
(= A storm is approaching.)

There were five Brazilians working in the factory.
5人のブラジル人がその工場で働いている。
(= Five Brazilians were working in the factory.)

分詞あるいは分詞句が続いている場合に、限定を受けているというより形容詞的な感覚の扱いに見えます。だから定冠詞がついていないのだと思います。

GENIUS4版の(3)にはこう書いてあります。
there is S の後に動作動詞の現在[過去]分詞や一時的な状態を示す形容詞を伴うことがある。
There are three people working there.

それで、一つ気になってなっているのは使い分けをどうするのかということです。
There is a storm approaching.
A storm is approaching.

There is a cat under the table.
A cat is under the table.

どちらの言い方もありますが、どのように使い分けるのか、シーンに違いがあったと思うのですが、ご存知だったら教えてください。

by ebisu (2017-01-24 13:17) 

後志のおじさん

先ず、♯3010の(144)の私のコメントを読み返して下さい。

There is の後には必ず、
a 名詞が来ると決まっているわけではありません。

私の結論は未だに出てはいませんが、
ボンヤリと、
共通認識をもつor もってよ、という気分ならthe 名詞

共通認識はない、という前提なら、a 名詞

くらいですか。


There is a storm approaching. なら、
(あんたは知らないだろうけど)嵐になるよ!

There is the storm approaching . なら、
(例の、or 特大の)嵐が来るよ!

と感じます。

There is に引っ張られてa になるのか?限定語句に引っ張られてthe になるのか?私にはグレーゾーンですが、上記の感覚で、今のところ落ち着いています。ちなみに、杉田先生の実践ビジネス英語では頻繁にThere is the が登場します。

あの一連の投稿では、私の英語習得の結晶を極めて密度高く述べさせて頂きました。自らの見解と、引き写しは峻別して述べております。自らの見解を一つ一つ固めるためにどれ程の努力が必要とされるか。指導のプロを自任しているらしい釧路の半端者には、「素直な」「学びの姿勢」というものを身に付けて頂きたいものです。私の英語のレベルは英検2級程度の方には「認める」ことなど出来ません。
(コメント確認のために遡って読み返して、怒りがよみがえってしまいました。苦笑)



by 後志のおじさん (2017-01-25 23:32) 

ebisu

見事なものですね。
There is ~構文などといわずに、冠詞のaとtheの基本から文の機能を見直す。話者と聴き手の間に共通了解事項ならtheを使い、非共通了解事項ならaを使う。だから、aを使うときには聴き手にとって新たな事実を提示することになる。
あまたある嵐の中の一つをイメージしているなら、aを使い、ニュースで声高に採りあげられている台風ならそれを指すのにtheが使われる。

ところで、もう一つの疑問、こちらの使い分けについて、具体的なシーンが思い浮かばないのでなにかご意見があれば、ご披露願いたい。

There is a storm approaching.
A storm is approaching.

There is a cat under the table.
A cat is under the table.

たとえば、最初の方をもう少し長くしてみると、

There is a big storm approching from the Pacific Ocean.

A big storm approaching from the Pacific Ocean.

もちろん、ご指摘のように不定冠詞を定冠詞に換えてもかまわないと思います。
好みの問題ではなくて、ニュアンスや使われる場面の違いがありそうな気がするのです。


by ebisu (2017-01-26 08:30) 

後志のおじさん

このところ、忙しくてコメントする時間がなかなかとれません。

お尋ねの、There is a dog ~とA dog is ~。さらには、The dog is ~の違いですが、まだ仮説ですが、こんな風に感じています。(これも、片鱗を♯3010(144)にチラッと述べましたが)

There is a dog in front of me. なら犬と私の両方を第三者的な目で捉えている。

The dog is in front of me. 前にくる語句が文を条件付けるという英語の性質から犬に焦点がある。訳すなら一例として「その犬なら僕の前にいるよ。」

A dog is in front of me.
A 名詞を文頭に持ってくると、不特定さが前面にでるのと同時にA dog が焦点になっているので
物語やessay の書き出しで「とある犬が私の前にいる。」とか、
犬を拾ってきた子供がドアの外から親に「犬がねぇ、いるんだけど。」とか、

ですか。

まだ、あいかわらず仮説の段階にとどまっている感覚ですのでご了承ください。

by 後志のおじさん (2017-01-31 20:33) 

ebisu

3通りの想定シーン提供ありがとうございます。

具体的でわかりやすいですね。
こういうことは受験参考書には書いてありませんので、疑問が起きる都度、後志のおじさんにぶつけてみるのが楽しい。

仕事も、雪掻きも忙しいのでしょうから、ゆっくりでいいですよ。
わたしも今年はブログの更新をのんびりやるつもりです。

40年ぶりに阿部謹也さんの「中世の窓から」を読み直しています。
by ebisu (2017-01-31 23:22) 

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