#3492 基礎計算トレーニング開始:C中学校 Jan. 18, 2017 [71.データに基づく教育論議]
C中学校の理科と数学の先生が相談して、基礎計算トレーニング補習を始めた。
理科の計算問題には、小数や分数が混じる計算が多いが、分数計算や小数の乗除算の位取りが怪しい生徒が少なくない。基礎計算力が脆弱では理科の計算問題をいくら教えてもできるはずがない。分数や小数の基礎計算力がアップできれば理科の計算問題の正解が増える。
10問中、8問正解できれば合格だそうだ。
授業前の朝やっているのか放課後やっているのか確認していないが、生徒が教えあえるし、たった10問だから短時間でできる、いい取り組みだと思う。
そこで、わたしも2題問題をつくり、その日に来た7人の中学生にやらせてみた。
作成した2題の問題は分数の乗除算と小数乗除算の位取りを理解していれば小6年生でも正解できる簡単なもの、それでも市街化地域の中学校でこの2題の問題で両方正解できるのは2~3割程度だろう。それほどお寒い数学の学力の現実がある。放置しておいたら、根室高校ではこういう基礎計算はいままで教えたことがないので、赤点でもお目こぼしで高校を「形式卒業」させることになる。自分の担当する科目で、生徒が落第あるいは退学するのは大きな心の負担になるから、進級・卒業させてしまうのが常だ。
しかし、こんな簡単な計算もできないまま高校を卒業してどういう社会人になるのだろう?高校を卒業した時点で就職がおぼつかないから、専門学校へ「進学」することになる。企業では専門学校の成績証明はあてにならないので、高校の成績証明書提出を義務付けているところが増えている。
職業選択の幅が極端に狭く、きつい人生がまっていることはまちがいない。
①1/2÷0.3-0.3÷1/2
②2÷0.1-0.3×0.2
①は小数を分数に直してから計算すればよいだけ。割り算は除数を逆数にすれば掛け算になる。②は小数位取りの問題だ。2を0.1で割ると、10倍になる。0.3と0.2を掛けると0.06になるが、この計算で躓く生徒が多い。20-0.06も、苦手な生徒が多い。ゼロがいくつも入ると引き算をミスする者が多くなる。小学校2年生の範囲の計算があやしい。[100-15]はできても、[1000-15]やさらにゼロを増やして[10000-15]になると計算を間違える生徒が増える。小学校での計算トレーニングが十分でないからだ。
3桁×3桁の乗算を加えてもらいたい。小学校でやっていないので、できない生徒が3割くらいいるかもしれない。桁数が増えてもやり方は同じなのだが、違うものに見えてできない生徒がいる。桁数が増えることで計算が複雑になり正解できない者も増える。やったことがなければ、不器用な生徒は案外できない。
7人の中学生にやらせて、できなかったのは一人だけ、あとの6人は2題とも正解。
ミスしたのは中3の生徒だが、学力テストの数学の得点は30点前後だから、平均の16点よりはずっとよい。ミスはしたが、すぐにやり方を習得したから、問題なしだ。
7人中、数学の成績が現在5あるいは5だったことのある者が4人いる。基礎計算力に瑕(きず)があれば5は取れない。
平均点の2倍近くの得点の生徒ですら2題正解はきついのが実情。だから、学校でこの問題を生徒全員にやらせたら、2題正解できるのはC中学校では2割程度だろう。
7割の生徒が、分数と少数の混合算が不得意だが、何度か計算練習を繰り返せば、7割の生徒はマスターできる。7割の内の7割だから、およそ全体の半分が何度か補習を繰り返すことで、基礎計算力をアップできる。
願わくば10問全部が正解できるまでやらせてもらいたい。簡単な基礎計算だから、10問全問正解で当たり前。市街化地域の3中学校全部がこういう取り組みをやったら、根室高校の授業のレベル低下を防ぐ効果があるだろう。
高校数学には分数計算が頻出する。確率、ベクトル、数列、積分など、分数計算を素早く精確にやらなければいけない。高校数学では基礎計算力が問われる。
C中学校の学力テスト総合Cの数学の得点階層別度数分布表が#3485に載っている。60点満点のテストで、52人中33人が20点以下である。簡単な文章題と計算問題で35点ほどあるから、6割の生徒が基礎計算能力に問題を抱えているとみなしてよい。
*#3485 数学の学力別クラス編成は機能しているか? Dec. 20, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
#3484 学校別学力テストデータ比較分析 Dec. 19, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-18
#3483 学力テスト教科別分析 Dec. 18, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17-1
#3482 問題消化スピードの差の現実 Dec. 17, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17
#3477 負の相乗効果と学習権の侵害 Dec.9, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09
#3476 学力崩壊危惧ラインは学力テスト平均点でどの辺りか?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
70% 20%
理科の計算問題には、小数や分数が混じる計算が多いが、分数計算や小数の乗除算の位取りが怪しい生徒が少なくない。基礎計算力が脆弱では理科の計算問題をいくら教えてもできるはずがない。分数や小数の基礎計算力がアップできれば理科の計算問題の正解が増える。
10問中、8問正解できれば合格だそうだ。
授業前の朝やっているのか放課後やっているのか確認していないが、生徒が教えあえるし、たった10問だから短時間でできる、いい取り組みだと思う。
そこで、わたしも2題問題をつくり、その日に来た7人の中学生にやらせてみた。
作成した2題の問題は分数の乗除算と小数乗除算の位取りを理解していれば小6年生でも正解できる簡単なもの、それでも市街化地域の中学校でこの2題の問題で両方正解できるのは2~3割程度だろう。それほどお寒い数学の学力の現実がある。放置しておいたら、根室高校ではこういう基礎計算はいままで教えたことがないので、赤点でもお目こぼしで高校を「形式卒業」させることになる。自分の担当する科目で、生徒が落第あるいは退学するのは大きな心の負担になるから、進級・卒業させてしまうのが常だ。
しかし、こんな簡単な計算もできないまま高校を卒業してどういう社会人になるのだろう?高校を卒業した時点で就職がおぼつかないから、専門学校へ「進学」することになる。企業では専門学校の成績証明はあてにならないので、高校の成績証明書提出を義務付けているところが増えている。
職業選択の幅が極端に狭く、きつい人生がまっていることはまちがいない。
①1/2÷0.3-0.3÷1/2
②2÷0.1-0.3×0.2
①は小数を分数に直してから計算すればよいだけ。割り算は除数を逆数にすれば掛け算になる。②は小数位取りの問題だ。2を0.1で割ると、10倍になる。0.3と0.2を掛けると0.06になるが、この計算で躓く生徒が多い。20-0.06も、苦手な生徒が多い。ゼロがいくつも入ると引き算をミスする者が多くなる。小学校2年生の範囲の計算があやしい。[100-15]はできても、[1000-15]やさらにゼロを増やして[10000-15]になると計算を間違える生徒が増える。小学校での計算トレーニングが十分でないからだ。
3桁×3桁の乗算を加えてもらいたい。小学校でやっていないので、できない生徒が3割くらいいるかもしれない。桁数が増えてもやり方は同じなのだが、違うものに見えてできない生徒がいる。桁数が増えることで計算が複雑になり正解できない者も増える。やったことがなければ、不器用な生徒は案外できない。
7人の中学生にやらせて、できなかったのは一人だけ、あとの6人は2題とも正解。
ミスしたのは中3の生徒だが、学力テストの数学の得点は30点前後だから、平均の16点よりはずっとよい。ミスはしたが、すぐにやり方を習得したから、問題なしだ。
7人中、数学の成績が現在5あるいは5だったことのある者が4人いる。基礎計算力に瑕(きず)があれば5は取れない。
平均点の2倍近くの得点の生徒ですら2題正解はきついのが実情。だから、学校でこの問題を生徒全員にやらせたら、2題正解できるのはC中学校では2割程度だろう。
7割の生徒が、分数と少数の混合算が不得意だが、何度か計算練習を繰り返せば、7割の生徒はマスターできる。7割の内の7割だから、およそ全体の半分が何度か補習を繰り返すことで、基礎計算力をアップできる。
願わくば10問全部が正解できるまでやらせてもらいたい。簡単な基礎計算だから、10問全問正解で当たり前。市街化地域の3中学校全部がこういう取り組みをやったら、根室高校の授業のレベル低下を防ぐ効果があるだろう。
高校数学には分数計算が頻出する。確率、ベクトル、数列、積分など、分数計算を素早く精確にやらなければいけない。高校数学では基礎計算力が問われる。
C中学校の学力テスト総合Cの数学の得点階層別度数分布表が#3485に載っている。60点満点のテストで、52人中33人が20点以下である。簡単な文章題と計算問題で35点ほどあるから、6割の生徒が基礎計算能力に問題を抱えているとみなしてよい。
*#3485 数学の学力別クラス編成は機能しているか? Dec. 20, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-19
#3484 学校別学力テストデータ比較分析 Dec. 19, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-18
#3483 学力テスト教科別分析 Dec. 18, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17-1
#3482 問題消化スピードの差の現実 Dec. 17, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-17
#3477 負の相乗効果と学習権の侵害 Dec.9, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09
#3476 学力崩壊危惧ラインは学力テスト平均点でどの辺りか?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06
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2017-01-18 22:59
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