SSブログ

#3480 宿題:「隠れたカリキュラム」  Dec. 15, 2016 [56. 2010年から子どもたち何が?]

 ある中学校3年生の学力テスト総合Cデータを使って宿題の出し方の適否を論じてみたい。
 数学の階層ごとの得点分布は次のようになっている。

 0-12点  24人
 13-18点  9人
 19-36点 17人
 37-48点  2人
 49-60点  0人
  合計   52人

  43点以上はたったの2人である、50点台はゼロ。この数学能力の低下はどうしたことだろう?
 3年生の学力テストは60点満点だから、18点未満は百点満点換算だと30点以下である。問題が10題あれば、3題しかできない。市街化地域の3中学校ではどの学校でも教科書準拠問題集を宿題にしているから、定期試験の前に提出を義務付けている。18点以下の33人は、ほとんどの問題が解けないから、丸写しすることになる。37点以上の2人の生徒はちゃんと勉強してそこそこの得点が取れているから宿題の必要がない。ましてや、学力テストで満点を取るような生徒に宿題を課す必要はない。難易度の高い問題集を使って勉強していなければ満点など取れるわけもないからだ。
 そういう生徒の側の事情を無視して、全員に宿題を課している。低学力の生徒には解答見て丸写しを勧め、高学力の生徒にはどんなに理不尽でも「先生様の命令」には逆らうなと教えているのだ。

 こういう非教育的、いや、反教育的なことが市街化地域の3中学校でまかり通って、改善される気配がない。
 低学力の生徒には教科担当が教科書準拠問題集を使って放課後補習をすべきだし、高学力の生徒には難易度の低い問題問題集を強要する必要はない。高学力の生徒はこんなに難易度の低い問題集は使わない。学力が上がらないからだ。教科書準拠問題集の難易度が合っているのは、19-36点の17人のみである。たったの32.7%にすぎない。

 無理を通せば道理が引っ込む、こういうルーズな宿題の出し方は、高学力の生徒の自主的・自立的な学習を阻害し、低学力層には丸写しという不正を教えてしまう。「意図しない教育=隠れたカリキュラム」である。教育現場でこんなことがやられていいわけがない、早急に改めるべきだ。教育行政はどうして何も言わないのだろう。指導主事は学校へ行って何を見ているのか?

 今回のテーマはブログ「情熱空間」と阿吽の呼吸の協同企画である。とくに打ち合わせたわけではないが、同じ問題を論じている。釧路と根室のネット上での協同開催花火大会のようなもの。
 釧路も根室と同じ状況にある。

*「不正のすすめ(丸写しの奨励)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8686485.html

  「外道である(そこは不正とカンニングを教える場なのか?)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8687018.html


<余談:仕事に誠を貫く>
 教科担任が自分の仕事を全うしなければ、どこかに歪がでる。クラス担任がそれをフォローしているケースがある。自分のクラスの生徒がかわいいから、各教科が苦手な生徒たちを集めて放課後補習授業を繰り返している、五教科全部おやりになっている。問題プリント(理科)とそれに解説をつけた解答がなかなか優れもので驚きました。単位系を計算式に組み入れて理解を促すような解説になっていました。一時期授業をサボり、ついていけなくなってこの先生の放課後補習に救ってもらった生徒を教えたことがあるが、高校を卒業してからもう4年くらいたったのではないだろうか。どの学校へ転任しても、やっていることは同じ。教育に誠を貫く姿がなんともかっこよい。ちょっと太って、最近肉離れを起こしたとか、FBに載っているのをみました。(失礼!)
 先週、教科書全範囲をやり終えた社会科の先生がいます、進捗管理の鬼です。授業はDVDや実物投影機を上手に使っています。ベテランなのに、新しいものを次々に使いこなすのに抵抗がない。これからゆっくり復習に入るようです。授業の進捗管理をしっかりやる先生が増えてきたのは喜ばしい。
 3年生は1月中の教科書全部をやり終えなければならない。遅れている先生たち、しっかり仕事をして間に合わせよう。間に合わないようなら土曜補習をいれてもやるべきだ。部活は二の次、本業は授業、優先順位をしっかりつけられる、それがプロフェッショナルというもの。

======================
*#3479 授業の雰囲気は生徒が創る(2) Dec.14, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-13

 #3478 授業の雰囲気は生徒が創る Dec, 13, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-12
 
 #3477 負の相乗効果と学習権の侵害 Dec.9, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-09

 #3476 学力崩壊危惧ラインは学力テスト平均点でどの辺りか?(中学) Dec. 6, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-06

 #3473 頑なな人ほどストライクゾーンが狭くなる Dec. 4, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-12-03-1

 #3469 根室市内の高校と中学校:生徒一人当たりの年間コストを試算してみる Nov. 27. 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-11-27

  #2641 創立138年花咲小学校新入生たったの39名 Apr. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-12-1
======================



      70%       20%      
 日本経済 人気ブログランキング IN順 - 経済ブログ村教育ブログランキング - 教育ブログ村


nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 4

ta

コメントへのお返事ありがとうございます。
長年のモヤモヤを吐きだすことが出来ただけでもありがたいことです。

中学時代にお世話になった先生から頂いた言葉は「向上心」です。色紙に書かれた言葉は今でも忘れられません。

その先生は部活の顧問で、受け持ち学年も違ったのですが、各部員の毎回のテストの点数を各教科把握されていました。(そのことで私も何度か校内放送で呼び出しが…)まさに部活と学問の両立。

最終的には総合ABCの平均点も、偏差値上のランクも良いところまで導いていただきました。こうした教師が増えることを祈るばかりなのですが…

別海町は指導主幹+指導参事という2名体制で学校現場を管理・指導していると聞きました。別海町は学校数が多いことも関係しているかもしれませんが、こうした取り組みは評価されるものと考えます。
by ta (2016-12-16 20:30) 

ebisu

taさん

別海町の中学校はA坂先生がやっています。前任の厚床でも学校ホームページの改善や、学力向上のための取り組みにとても熱心でした。
今年度の全国学力テストでも全国平均をクリアしています。
学力向上に顕著な実績を上げている校長が根室管内には何人かいらっしゃいますが、そういう人を教育長に迎えたらいいのだと思います。

文武両道を25年も前に実践して指導した板先生が、色紙に残した言葉は「向上心」ですか、その通りの方だったようですね。
生徒たちに尊敬される先生が増えることを祈ります。
by ebisu (2016-12-16 21:57) 

ZAPPER

前任は上西春別ですね。野付小〜上西春別中〜別海中央中。ブログを見て感動し、野付までお会いしに伺ったのが懐かしいです。スーパー校長でいらっしゃいます。ああいう方を教育長に据えると、地域の学校教育はすごいことになりますね!
by ZAPPER (2016-12-16 23:21) 

ebisu

ZAPPERさん

訂正ありがとうございます。
思い出しました、野付小学校のホームページを見て、すごい人がいると感動しました。
根室管内には教育長にしたい校長が数人いらっしゃいます。
かれはその中の最有力の一人です。
by ebisu (2016-12-17 00:34) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0