#3461 情報収集・整理の仕方と文書作成の基本 Nov.21, 2016 [6. 情報収集・整理と文書作成の基本]
<更新情報>
21日午後2時35分 「余談-2:川喜多二郎」を追記
弊ブログ投稿欄で情報の整理と文書作成の方法について4人で議論がなされました。ハンドルネームで紹介すると、koderaさん、後志のおじさん、ZAPPERさん、ebisuの4人です。論争がなされた場所は次の記事の投稿欄です。47個の投稿がありました。
*「#3454 総合体育館建て替えは必要か:不適切な検討体制」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12-1
koderaさんの方法論をベースにした議論でしたが、それを外して議論したほうがよいことに今朝気がつきました。特定の方法論に焦点を当てると、思考が基本的なところ、本質的な問題から逸(そ)れてしまうことに気がついたからです。
それで、基本的なところに立ち返りたいと思います。情報の整理には前段階があります。情報採集や収集の段階です。わかっている範囲で書いてみますが、わからないところもあるので、そこは(?)として置きます。
情報採集や収集 ⇒ 情報整理 ⇒ (?) ⇒ 文書作成
おおまかに見るとこの4つの段階がありそうです。第一段階の情報の採集と収集は当面の議論から外しておきましょう。
情報整理が終わったところで、いきなり文章にはなりません、なんらかの過程をへて文章になりますが、そこのところがなんであるのかまだわたしにはわかっていませんので、情報整理から文書作成をつなぐ正体不明のリングとして第三段階を定義し(?)で表しておきます。
さて、第四段階の「文書作成」も定義しておく必要がありそうです。文書には、短いもので短歌や俳句があります。詩もあれば小説あり、随筆あり、日記も、作文も、論文もあります。採りあげるのはビジネス文書です、その中でも、企画書、稟議書、提案書などの類に限定します。重要でないものを採りあげるつもりはありません。だから一般的な文書作成の話ではないのです。一部上場企業で課長職や部長職になったときに要求される文書能力と定義してもよさそうです。
わたしはネットでの議論を利用して、協同作業をするつもりです。ネット社会ですから協同作業をするのに場所の制限はありません。一人で考えるより、他の人と議論することで思いもかけないところからスポットライトが当たり、問題が鮮明になることがあります。47個の議論でもそういうことがありました。人はそれぞれ自分の経験をもっており、思考形態もその経験に縛られています。だから、分野の異なる数人で議論するとバランスがとれて、思考もより深いところへ届きそうです。
情報整理法と文書作成は別物であるという指摘が「後志のおじさん」からありました。もう少し敷衍して投稿欄へ再掲をお願いしたいと思います。
この協同作業はネット社会でのひとつの社会実験例になります。ネット社会以前とはまったく異なる方法で場所の制限を越えて同時進行での議論が何をどのように産み出していくのかも興味の対象です。
< 余談-1 >
わたしは「釧路の教育を考える会」や「北海道教育文化研究所」でのボランティア活動を通じて、基礎学力の問題と学力向上に焦点を当てて考えてきました。もちろん、私塾であるニムオロ塾でも「読み・書き・そろばん(計算)」が学力の基本であることを押さえた指導をしています。良書を選択してもう13年間やっている音読トレーニングはそのためのものです。文章読解力が学力の基礎をなしているので、そこに力を注いでいます。
文章の読解とわかりやすい文書の間には大きな川があるように感じています。特定の語彙を使った短文練習や作文の段階から、小論文、そしてある程度のまとまりをもったビジネス文書の間には相当な隔たりを感じます。この点に関する議論が深まると面白いことになりそうです。
わたしの経験では、取締役レベルの文書と部長職や課長職の文書では明らかに文書作成の平均的なレベルが違っていました。若い会社はその点はちょっと別で、知的レベルが低い取締役が1/3くらいいるというケースもありました。風雪に耐え抜いて生き残り、歴史が60年以上ある会社を念頭に置いて考えたいと思います。
< 余談-2:KJ法とPERT Chart >
本棚を「捜索」してみたら、次の4冊が出てきました。
川喜多二郎『発想法』 中公新書 1967年刊
川喜多二郎『続・発想法』 中公新書 1970年刊
川喜多二郎『「知」の探検学』 講談社現代新書1977年刊
加瀬滋男訳『プログラム学習によるPERT入門』 日本規格協会 1964年刊(絶版)
どの本も読んですぐに仕事で使ったので全部読んでいます。川喜多二郎のKJ方は知識を平面上で構造化する技法ですが、米国で開発されたジョブのスケジュール管理技法であるPERTと結びついています。一体のものと思ってよいでしょう。PERT(Programable Evaluation, and Review Technique)に関する専門書は当時日本橋丸善に6冊ほどありましたが、これが一番コンパクトで実習しやすい本でした。残念ながら絶版になっています。システム開発ではジョブスケジュール管理に不可欠の方法です。
一から議論するよりも、確立されて部分は引用して説明したほうがわかりやすいので、必要な範囲で抜粋引用をしてみたいと思っています。川喜多の著作は、赤インクの万年筆で随所に線が引かれており、懐かしい気がします。当時(1978-84)はシステム開発技法と3種類のプログラミングの習得、そして統計解析テクニックを身につけるのに一生懸命でした。
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小学生から中学生になると家庭学習時間帯は部活の影響で劇的に変わります。5-7時から9時以降に移ります。部活をやっている生徒の半数は疲れて勉強をする気力が失われ、テレビやライン、ツィッター、ネットサーフィン、ゲームに流れます。部活による生活時間帯の変化、これが中学生の学力にマイナスの影響を与えています。文武両道をやり抜くのは意志の強い生徒に限られます。
ついでにわたしが意識してやってきた思考法を開示していますが、多くの人が似たようなことをやっているのでしょう。情報整理から文書作成をつなぐ第三段階(?)の手掛かりになりそうです、ぜひお読みいただきたい。
*#2167 中学生の生活時間の使い方と基礎学力 Dec. 30, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31
70% 20%
最近は、附箋を用いて思いつくままメモを重ね、後にKJ法を行いまとめるパターン。一方ではマインドマップを用いて記録していくパターン。この二つが多いと思います。
マインドマップの場合、大分類>中分類>小分類での発想とまとめ。前者の場合なら多くの場合、関連性を拾って小分類からのボトムアップ。後者は発想を広げていく。前者は自由な発想を収束させる。その違いがあるのだろうと思います。
というわけで「?」の箇所には「関連性のまとめ」が入るのだろうと思います。単純すぎますかね?^^
by ZAPPER (2016-11-21 15:23)
付箋に書き付けるというのは、その付箋とはポストイットのような付け剥がしのできるものでしょうか。90年代に発売されて普及したので、KJ法をそれでやるケースが増えました。ポストイットに情報を書き付けて、ホワイトボードに貼り付けていきます。関連を考慮しながら、あっちに動かしこっちへもってくる、というような。
要するに、情報の収集と分類・整理を同時にやっているわけです。
マインドマップ法はわたしはやった経験がありませんが、トニー・ブザンの開発した情報整理法ですね。「表現したい概念やイメージを中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージをつなげていく」と書いてありました。(ウィキペディア)
概念やイメージを共有するのに有効な方法です。
これはなかなかよさそうです。
情報の分類整理の段階から、イメージの共有化へ一歩進んでいるように感じられます。
マインドマップだけ、情報の分類・整理の次の段階(?)に「仮登録」してみますか。
どうやら、第三段階の始まりのところが見えてきたようです。終わりのところはイメージの言語化でしょうね。でも、結論はまだ出さずに宙ぶらりんのままにしておきます。確信があるわけではないので。
by ebisu (2016-11-21 16:10)
企画書、稟議書、提案書限定ですか。あまりおもしろくないけど、ebisu さんには面白いと感じられそうな事例は一杯もってますよ。
(社内代書屋でもありましたから。)
文章を書く時には、誰を対象に、どのような反応をしてもらいたいかの目的があります。
稟議書もまた同じ。
決裁者は、大きな案件であれば経営トップ層が当然ですが、彼らにGOサインを出してもらいたいのなら、彼らが安心して任せることのできる文章を書けばいいだけ、
1に、案件を分析しきって、どんな分析をしたか?採用した際のリスク、しなかった際のリスクが検討されているか?
こちらは、客観的データや情報分析をベースとする領域です。
2に、自分が案件実現のために、どれだけ真摯であるかを行間に滲み出させること。
zapper さんのほうでわざわざ「信管を抜いて」と書いておいたのに、ebisuさんは長々書くから昨晩は「信管を装着」しました。本欄設置は、今日から「起爆」しろ!とおっしゃているも同然ですから場合によっては爆発しますのでご了承ください(笑)。
稟議などを題材にするのがつまらないと感じられるのは、会社内という内輪の世界の文書ですから、仕事の実績があり決裁者とのコミュニケイションが良好な人が起案者であれば文章ではなく「あいつが書いたのなら、」で承認印が押されるケースが多分に想定されるからです。
Kodera - Tuguo なる人物が、たかだか300ページの英文仕様書程度に押し潰されるはずはありません。
中学生の時から、「外語大の院生の英語の家庭教師」がついて、中学生の時点で映画「第三の男」をみて英語の勉強ができたほどの方ですから、私など足下にも及ばない高いレベルの英語力の方です。
私程度の英語力の者でも、得意分野なら300ページ程度の英語なら2日もあれば充分ですから。
何か別のところに、原因があったのでしょうね。
文章を書く時には、目的に応じて手持ちの情報を取捨選択しながら書けばよいだけのことです。
宛先人だけではなく、読むかもしれない不特定の多くの読み手にも配慮した文章を書けば、格調の高い文章になります。
それだけのことです。
by 後志のおじさん (2016-11-21 23:11)
後志のおじさん
さすが「社内代書屋」さんです、格調高い文書であっさり片付けてくれましたね、終わってしまいました。
たしかに、稟議書は、誰が書いたか、それまでの仕事の信用でOKがでるということはありますね。
社外への提案書でも提案書を書いた人間がそれまでの仕事で信用を築いていれば、採否の判断には人が第一、文書は二次的な材料。
ビジネスでは信用が大事ですから、文書はほどほどの格調でわかりやすければいいだけですね。
別のジャンルで、なにか面白そうなものはありますか?
あれば続けますが、とくになければこのテーマは手仕舞いでよさそうです。
特別な才能をもった者を除けば、文章能力は読書や視写の量で決まります。
良質のテクストを選び、音読してリズムを身体に刻み、それを視写すればいいだけ。文体模写が面白い。
ほかに書くことはなさそうです。
#3462は蛇足になりました。(笑)
by ebisu (2016-11-22 00:03)
夜中に読んだので、あらためて後志のおじさんのコメントを読みました。
鋭い分析とわかりやすい解説、リズムのよい文章、コンピュータメーカであるF社の「代書屋さん」は凄腕だったようです。(笑)
意味深な文が差し込まれています。なかなかの手練れだなあ。これだけで十分ですよ。
いっしょに仕事をしてみたかった。F社のメインフレームを使っていた関係で、会社同士ではお付き合いがありましたが、担当で来た人たちに、これほどの手練れはいなかったし、いくつも受け取った提案書(その中でわたしが見たのは二つだけ)はレベルの低い杜撰なものでした。
ひとつは、システム部員のWが稟議書添付資料を見せてくれました。SRLのシステム部員が作成したのか尋ねると、F社の入社3年ほどの社員が3日がかりほとんど徹夜で書いたものだと教えてくれました。そんな程度のものをいかにもSRLシステム部で作成したように稟議書添付資料としてそのまま利用していました。システム部が関与するとトラブルが多かったのです。
もうひとつはわたしが兼務で担当した仕事にかかわりがありました。「投資および固定資産管理システム」開発をメインフレームでやるというものでした。それまでのシステムはわたしがラボ内の固定資産管理全部を実地棚卸しして、機器や備品の分類をして、分類コードを付番して作り直したものでした。上場用件をクリアするために予算減価償却費の計算精度を一桁上げるものでした。そのために計画投資案件データベースをもったユニークなものでした。1984年から1085年にかけて、外部設計をわたしがやりそれまでにお付き合いのあったソフト開発会社のプログラマーに作らせたものでした。
データ容量もアルゴリズムも承知していたので、NTサーバーで十分だというのがわたしの判断でした。95年終わりから96年はじめごろの話です。
F社の担当者が作成したメインフレームでの開発提案書をもってきたSRLのシステム部員にNTサーバーを使って、会計情報システムとインターフェイスするまったく別の案を提示したら会議の席上で血相を変えてました。固定資産関係業務にも会計情報システムにも不案内な担当者でしたから、相手になりません。敵対視され、システム部内で騒ぎになりました。
SRLのシステム部員は業務系のシステムだけで能力不足、統合会計情報システムの開発時にはノータッチでしたから、統合システム内の各サブ間のインタフェイスを1週間でわたしが設計したことや経理および支払い管理システムの外部設計を担当して8ヶ月で本稼動に持ち込んだことなど知っている者が二人しかいませんでした。
当時のシステム部長は癒着がひどかった前任者から替わって1年ほどでした。単なる「パソコン小僧」、病理医でど素人だったので、F社の言いなりでした。結局、わたしの案でいくことになりましたが、システム部長のS田さん、お冠。ラボ内の機器担当時代のわたししか知らないので、システム屋としてのバックグラウンドをご存じなかった。2年くらい後に誰かに訊いたのでしょう、社内であったパーティの席上でそばによってきて、「あの折は大たいへん失礼しました、何も知らなかったので申し訳ありませんでした」と謝罪、彼が病理検査をやっていたころは関係がよかったのです。元に戻りました。
F社は大企業ですから、やはり人材はいるのですね。対SRLの歴代担当者たちが能力不足だっただけのようです。
それにしても、会社同士のお付き合いでも人を選ばないといけません。SRL側の二人のシステム部長も部員も専門知識や技術レベルが低かったのは事実です。類は友を呼んだのでしょう。
人事系には凄腕の人材がいたのですね。あらためてF社に敬意を表したいと思います。(笑)
by ebisu (2016-11-22 12:37)
過分なお誉めの言葉、有難うございます。
あの~、同時期の投稿だったので交ざってしまったのだと思いますが、元富士通はamandaさんでして、私は新宿に本社のある富士通ユーザの上場会社に勤務していた者です。
せっかくですから、報告書に関する笑える話しを一つご披露します。
ある取締役が、客先に随行して海外視察旅行に行って報告書を書かなければならない。
たぶん来るな!と予想して、上書きの一枚と技術的な詳細は、取締役の出発前に私は作っておいた。
帰国して数日後、「○○君、今日一杯付き合わないか。」(来たぞ、来たぞ。と思いつつ、)「はい、ご一緒させて頂きます。」
よほど、楽しかったのでしょう、ご自分の失敗まで含めて旅行のあれこれを事細かく語る。最後に、「○○君、報告書書いてくれないかな。」
「わかりました。明後日までお待ちください。」
翌日、「お客様との交流」という章を上書きに追加し、「マンボウ航海記」ばりの文章を5枚書いて、添付資料に追加してその取締役の文書トレーに入れて帰りました。
その取締役、上書きだけみて判子をついて回しちゃったのです。
後日その方が苦笑いしながら私のところにきて、
「今日の役員会でねぇ、□□取締役は意外に文才があるなぁ、と社長がにやッとしてね。他の役員の人達も頷いてるんだよ。何のことかわからなかったんだけどあの報告書のことみたいなんだな。何を書いたの?」
プリントアウトしてお渡ししたら、暫くして取締役席から笑い声が聞こえて来ました。
実話です。(笑)
by 後志のおじさん (2016-11-22 16:09)
後志のおじさん
元の勤務先は新宿本社の上場企業でしたか。混戦してました、失礼しました。
人のこと言えませんが、そそっかしい取締役がいたんですね。
そういう失敗は実害がありませんから、その取締役は周りから面白いやつだと思われたでしょう。
わたしたあとで、取締役席から笑い語が聞こえてきたのですか、楽しい思い出ですね。
by ebisu (2016-11-22 21:52)
ebisuさん
有難うございます。
ここ数年では珍しく11月中の根雪となりました。明日から12月。私は、冬季シフトに入りますのであまりコメントできなくなると思いますが読んではいますのでご了承の程、お願い致します。
先日、根室からのお客様をニセコ駅まで送った時の会話です。
(前略)
「私は、根室には3回行きましたけど、夏涼しくていいところですねぇ。市街地ですか?」
「市街地です。」
「そうですか。根室の方とはちょっと縁がありまして、廃校する学校がいくつもあるみたいですね。」
「そうなんですよ。私の出身中学も高校もなくなるんですよ!」
「ケイウンチュウですか?」
「えぇ!なんでわかるのぉ?」
ebisu さんのブログのお蔭とは言わず、楽しい時が過ごせました。
TUG さんのコメントは、突っ込みどころ満載ですが流しておきます(笑)。
by 後志のおじさん (2016-11-30 23:43)
後志のおじさん
世の中広いようで狭いものですね。弊ブログの情報が会話の種になり結構でした。(笑)
農業は冬季シフトですか、冬は冬でやることが別なのでしょう。冬季シフトではありませんが、わたしもこの数日新しいこと始めてます。楽しみがひとつ増えました。
切り替えたら暇を見つけてまた書き込んでください。
by ebisu (2016-12-01 12:16)