#3411 年金積立金運用報告書を読む① Sep. 14, 2016 [94.年金]
年金保険料収入額と給付額のバランスがどうなっているのか確認したくて、ネット検索をしていたら、ようやくお目当てのものが見つかった。「平成26年度年金積立金運用報告書」の中にお目当ての数字があるようだ。
バランスが崩れ、保険料収入よりも給付額等の方が多くなったら、運用資産を売却して給付に充てなければならない。保有株式を長期にわたり株式市場で売却し続けたら、株価が下がり続ける。それがいつの時点から始まり、どれほどの損失発生の可能性があるのかシミュレーションしてみたいのである。政府主導で運用資産のポートフォリオを変更し、株式割合を2倍に増やしたが、将来リスクについては言及することがない。アベノミクスに利用された年金資産がどれくらいのリスクを抱えることになったのかは専門家がちゃんと議論すべきだが、素人にもある程度の見当はつけられる。手に入れられる資料を丹念に読んでみたい。
p.46にある「厚生年金・国民年金の収支状況」表の平成26年度欄に次の数字が載っている。
総収入 42.3兆円
総支出 39.5兆円
収支尻 1.7兆円
収支尻がプラスなら、取り崩しは起きないが、これがマイナスになると年金運用資産を取り崩して給付に充てなければならない。
内訳を見ると、興味深い事実が浮かび上がるが、それは次回取り上げたい。
① 年金保険料収入>給付額等
② 年金保険料収入<給付額等
①なら心配要らないが、②の状態になると、足りない分を国庫から補うか、それでも足りなければ運用資産の取り崩しが恒常的に生ずることになる。②に状態が長期的・恒常的に生ずるなら、すでに買い入れた国内株式31兆円は市場で大量の売却圧力にさらされ、株式市場は長期下落が避けられない。海外株式も30兆円ある。
安部総理が運用益が三十数兆円あるから、四半期で5兆円とか年額で10兆円を超える損失があっても大丈夫だと言っているが、はたして本当だろうか?
第2次安倍内閣の成立が平成24年12月26日だったから、アベノミクスで株価操作をした結果の運用益をそれまでの運用益とは切り離して考えるべきで、そうしてみたときにどうなのかということも、この資料を基にして考えることができる。
今月中に平成27年度版が出るので、それも見てみたい。マイカテゴリーに「年金」を設定したので、シリーズで「年金積立金運用報告書」を皆さんと一緒に読み解きたいと考えている。
(商業高校あるいは商業科3年の簿記知識程度で「報告書」は十分読める。「公民」を習っている中学校3年生や「政治経済」を選択している高校生にも読んでもらいたい。年金積立金の運用を通して見えてくる周辺の問題を含めて、中高生の未来にかかわる重大な問題でもあるからだ。)
*「平成26年度年金積立金運用報告書」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei/tsumitate/tsumitatekin_unyou/dl/houkokusho_h26_01.pdf
*#3416 年金積立金運用報告書を読む⑤:シミュレーション Sep. 18, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-09-18-1
70% 20%
上場企業文系人事労務畑経験ですから、
公的年金制度には、人並み以上には知識があるつもり。(zapper さんに意見をいうつもりはないです。相談ならすることがあるかもしれないですが。(笑))
また、貸借対照表と損益計算書は読めているつもり。この領域でもebisu さんは私にとっては先生ですから、どんな分析をされたのか興味津々です。
ebisu 、zapper 両先生の論を合わせて楽しみたいので、私の仮定に基づく愚論も片隅に留めて頂けたらと思います。
現行年金制度は、平均寿命78で制度設計がされているのだろうと。昭和60年大改定はこれが前提だったように記憶しております。
ebisu さんの財務諸表の分析、楽しみです。
by 後志のおじさん (2016-09-14 22:56)
後志のおじさん、コメントありがとう、一緒に貸借対照表を読んだら一人で読むよりも楽しくなりそうです。ぜひ手伝ってください。
当初は検索キーが悪かったのか日本年金機構の損益計算書しかヒットしなくて、公的機関だからB/Sが必ず公表されているはずだと、めげずにキーをいくつか変えてやってみました。そうしたらよやく目的のものを探しあてました。
ネット検索は便利でありがたいものですね。あ、日本年金機構のI/S(Income Statement)にも触れます。これはこれで面白いのです。富士通にいらっしゃったのですから、GPIFから年間どれくらいの金額のシステム関連受注が可能か推測してからI/Sをご覧ください。どの会社が受注しているのでしょうね、興味津々ですが、そんなことはI/Sのどこを見たって出てくるわけがありません。自ずと大きな限界があるということです。
>現行年金制度は、平均寿命78で制度設計がされているのだろうと。昭和60年大改定はこれが前提だったように記憶しております。
31年前のことですね、SRLに入社2年目のことです。びっくりするほど杜撰な「大改定」です。
普通はシミュレーションするときは数本やります。最悪条件のものと最尤条件のもの、楽観的なものの三本です。
昭和54年に産業用・軍事用エレクトロニクス輸入商社に中途入社したときからそうしていました。
民間企業では当たり前のことが、この当時はなされていません。
最近の政府機関の(社会福祉・人口問題研究所)人口推計資料は条件を変えたものが公表されています。ようやくまともになったきました。
ところで寿命78歳の前提が崩れて85歳になるとしたらどうなるのかというのは、平均値で計算すれば負担増が計算できます。人数が十分に大きいから、推計値は実際のものにかなり近いことが期待できます。
小学校6年生で習う比例計算で推計ができちゃうんですね。
アベノミクスにだまされないためには、小学校高学年の算数の学力があればOKです。自分で計算して確かめるという作業が大事なことがわかります。
多少複雑な統計計算でも、高校生の数学知識でおつりが来ます。統計計算で高度なものでも数Ⅲの知識があれば専門書は読めます。
北海道医療大学へ進学した生徒が、統計学がわからないので教えてほしいとSOSメールが来たことがあります。
夏休みの宿題が出ていたのですが、配布されたデータをEXCELで計算して提出するというものでした。
使っていたテクストが、東大教養で使用しているものでした。はっきりいってかなり難しい。遠慮なく数式をふんだんに使って説明してありました。専門家は数式を使うほうが説明が精確で楽なんです。言葉で説明するのはわずらわしい。
大学生は文系理系を問わず統計学もしっかり学んでおいてもらいたい。社会に出てから強力な武器になります。
今回のB/S分析には統計学は必要ありません、小学校6年生レベルの算数知識で十分わかりますから、数字が苦手の人も読んでください。
後志のおじさんの期待値の半分くらいはクリアしてみたいと思います。(笑)
by ebisu (2016-09-15 07:59)
民主党政権下において急浮上した最低保障年金ですが、あれ、やがて近い将来に導入されるのでしょうね…。自民党もまた国民のご機嫌とりに走るのは、時間の問題でしょう。
世界で最も平和・穏健・無気力(?)な社会主義国家の完成になります。で、日本版の人民公社、コルホーズ・ソフホーズが再現。歴史は繰り返す。年金の制度設計も世代間扶養もへったくれもあったものじゃなくなります。働かざる者、食うべからず。その美徳は何処へ…。
by ZAPPER (2016-09-15 22:03)
ZAPPERさん
別の視点の提供ありがとうございます。
最低保障年金が現実になったら、年金積立金の取り崩しが加速的になりますから、株式市場も債券市場も大混乱必須です。そのとき財務省はどうするのでしょう?政府財政破綻を黙認するのかもしれません。
GPIFが保有している株式30兆円を売却すれば株式市場が暴落し、債券(国債)を売却すれば金利が暴騰する。債券市場に買い手は日銀しかいません。
株式が暴落すれば7.7兆円しか純資産のない日銀は債務超過に陥り、金利が上昇して国債が暴落すれば350兆円も国債を抱えている日銀はやはり巨額の損失を計上して債務超過に陥る。
金利暴騰は政府財政も破綻させます。
最低保障年金という選択肢は、すでに不可能になったかに見えます。
どうしたもんかのう。
GPIFが保有国債を売り出し始めたら、日銀が引き取るしかなさそうです。引き取らなければ金利が暴騰します。保有株式はしばらく売らずに我慢する・・・債券が減れば国内株式比率が高まるので、25%ルールに引っかかりますから、このルールを変更しない限り、やはり国内株式の売却は避けられない。現状のポートフォリオを前提にすると、国内債券、海外債券、国内株式、海外株式を均等に売却しなければなりません。ヘッジファンドのいい餌になりそうです。
政府はとっくにルビコン川を渡ってしまったようです。引き返すことができない。崖に向かって追い詰められていきます。
破綻しなければ再生できません。国民の負担で破綻処理することになります。国民が持っている金融資産の半分くらいが一夜で失われます。国家公務員も地方公務員も4割削減、残った人たちの給料も半分、なんてことが起きそうです。
夕張市の先例を見ていてもそれでもあれは一地方の話で、国は話が別だと思いたい。別ですよ、夕張市が破綻しても預金封鎖が起きるはずがない、円に対する国際的な信任が揺らいだわけでもなかった、比較にならぬほどすごいことになる。世の中は厳しい。
何が見えてくるのか、腰を据えて貸借対照表を読みたいと思います。
by ebisu (2016-09-16 00:28)
年金と医療費は同じ社会保障費の括り。その社会保障費トータルの削減という点から珍説を述べたいと思います(笑)。
政府管掌健康保険の利用頻度を区分してですね、利用頻度が低いお年寄り、つまりは病院にかからない元気なご老人。そうした方の本人負担分を0とか1割とかにしちゃうんです。なんなら、健康保険に加えて介護保険からも現金で還付しちゃってもいい(笑)。
そして、その対象年齢をどんどん下げていく。国民が病院にかからなくなれば、それは莫大な医療費が浮くわけですから、そりゃとんでもない効果が…。健康ブームもまたとんでもないことになりそうです(笑)。
by ZAPPER (2016-09-16 12:57)
報道によれば国民年金の納付率はおおむね6割強とのことですが、その数字にはからくりがあります。免除者や猶予者が増えれば分母が減るので、納付率は上がるというからくりです。
保険料納付免除者や学生などの猶予者が増えていますが、分母(納付べき人)から除外することで見かけの納付率を高めているということです。
そうした人々を含めて再計算し直すと、実際の納付率はおよそ4割ほど。当然ながら年齢が若ければ若いほど低く、20代前半(20~24歳)では約2割の納付率しかない!これは驚きです。
で、保険料納付免除(全額・半額等)や猶予に関しての実務。これもまた超テキトーです。市町村役場に出向いて免除を申し出る。すると、「どれにしますか?」といった対応なんですね(苦笑)。実に実にいいかげん。当然、大半の人は全額免除をご指名することに。
滞納分の保険料徴収に関してですが、厚生年金(含健康保険料)保険料だと、問答無用ですね最近は。つい最近もありましたが、なんとこともあろうに会社に乗り込み、手形を担保に持っていったとか…。
一方、国民年金保険料滞納に関してはまさしくザル。強制徴収できるとの規定もありますが完全に空文化しています。思うに、まずはここからでしょう。実質納付率が4割なら、描いた青写真が結果通りになるはずもありませんので。
by ZAPPER (2016-09-16 15:31)
年金財政の財務分析という楽しい話題は、ebisu さんにお任せするとして、
zapper さんの挙げた、
①最低保障年金ですが、40年くらいかけて、生活保護と一体化させる。というのならまあ、いいのでは?どのみち、国民年金保険料の50%は今の時点で国庫負担ですから。生活保護制度のの課題は、生活保護を受け続けるうちに経済的な自立を目指さなくなることと、在日外国人に対する生活保護の支給の可否が自治体の判断に投げられていることでしょうね。
②健康保険のメリット制度は、面白いですね。負担の上限を定めて、やむを得ない人の負担が過大にならないようにした上で、健康増進を促す。ついでに、救急車の利用回数が年に3回以上で5ランク保険料が上がるなんてのもタクシーがわりの救急車利用の抑制にいいかも?
③zapper さんのご意見を聴いてみたいのですが、
第3号被保険者制度そのものについて。
第2号被保険者が、20才未満と60才を超えた場合保険料は変わらないのに基礎年金に反映されないって、
制度としては、精緻であるとは思いますし、多くの人が、こんなこと知らないから問題にはなっていませんけど、私としては納得しきれないものがあるのです。zapper ならどうお考えかな?と思いまして。
by 後志のおじさん (2016-09-16 22:37)
年金と医療費を合わせて社会保障費という括りで抑制しようという視点から、政府管掌健康保険に区分を設けて、医療費を使わない人には還付するというのは、面白いアイデアですね。保険料収入が減少することになるので、しばらくは政府財政で補填することになるのでしょうね。長期的に見れば抑制になるのでしょう。
時間軸上どのあたりにスケジュールするのかでずいぶん話が違ってきますが、そのあたりの議論のベースつくりを本欄でやりたいと思います。
「年金運用報告書」は公的会計ですから、貸借対照表も損益計算書もありません、収支報告書があるだけです。これでは実態がつかめません。企業会計基準で統一すべきです。上場企業と同じ会計基準を適用すべきで、そうすれば簿記会計知識のある人ならだれでもその実態がどうであるのか理解できます。
それぞれにお持ちのアイデアや問題点の指摘は本欄で関連するところで取り上げたいと思います。
さすが、人事労務畑ですね、「第3号被保険者制度」「第2号被保険者」、わたしには??です。追っ付け調べてお二人の話が理解できるようにしておきます。
ebisu用のメモ--------------
1号被保険者:自営業と学生、無職の人
2号被保険者:サラリーマン
3号被保険者:第2号被保険者の配偶者で20歳以上60世未満の人
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先ほど「年金運用報告書を読む②」をアップしました。
by ebisu (2016-09-16 23:20)
後志のおじさん
3号被保険者については、これはもう強烈なまでにお得な制度だと思っております。現在は離婚時の年金分割が制度として確立していますので、まさに鬼に金棒。熟年離婚を奨励するかのようで、男性陣から見たなら実に怖い(笑)。
さて、厚生年金からは基礎年金(国民年金)部分に対して拠出金(基礎年金拠出金)が拠出されているわけですが、1号被保険者の未納者・免除者が増えると、その負担は厚生年金にしわ寄せされる。そのような構造になっているのが、やはり納得できません。GPIFの運用の如何が、ひいては拠出金ともリンクしてきますので。
1号被保険者に関しては国民年金基金(地域型・職能型)がオプションの2階建てとして用意されているものの、そのようなことを知っている国民は皆無に等しいですし。
他方、標準報酬月額が低ければ、厚生年金・健康保険加入は実に実にお徳です。夫婦二人で国民年金、加えて国民健康保険となれば月額7・8万円はざらでしょうけれど、厚生年金・社会保険加入だと思いっきりの圧縮が可能です。
しかしながら任意加入には事業主は含まれず。このあたりの法改正があればと個人的には思っています。1号被保険者のうち自営業者に関しては事業主を含めた任意加入を認めるとか、健康保険料も絡めての「お得感」を打ち出すべきだと思ったりします。
by ZAPPER (2016-09-18 13:06)
さて、3号被保険者ですが、これは「無料」とはせずに標準報酬月額に上乗せ徴収する形で、例えば介護保険と同様の形で費用徴収するのがよろしいかと思います。
離婚時の年金分割は、所得も年金も世帯合算で見ているわけですから、保険料もまた専業主婦(主夫)の有無で見ても問題ないのではないかと…。
そうそう、私も若い頃の保険料未納付で、国民年金の満額受給は不能であります。その以外の分、厚生年金から別に出るとしましても、これはちょっと心穏やかではないですよね(苦笑)。
by ZAPPER (2016-09-18 13:15)
厚生年金からの基礎年金拠出金は、何を基準に計算されているのですか?
保険料に応じて拠出されていれば、加入者が減ると減少するということになるし、受給にかかわりがあるなら、受給者数が増えれば、拠出金が増えるという理屈ですが、どっちでしょう。
年額20兆円近くあるので、取崩額に大きな影響があります。
いま、一通りシミュレーションをし終わったのですが、基礎年金拠出金と基礎年金交付金が何を基準になされているのかがわからず、調べようかと思っています。
教えていただけたらありがたい。
by ebisu (2016-09-18 17:19)
基礎年金拠出金は2号・3号被保険者の給付をベースに算定されるのですね。
厚生年金の給付額が増えれば、基礎年金拠出金も増えるという理解でよろしいのでしょうか。
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このうち、基礎年金拠出金は、以下の計算式で求められます。
保険料・拠出金算定対象額×(第2号+第3号被保険者数)/被保険者総数
計算の内訳
保険料・拠出金算定対象額とは、基礎年金の給付に要する費用のことです。つまり基礎年金拠出金とは、基礎年金の給付に要する費用のうち、第2号・第3号被保険者への給付に相当する額ということになります。
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http://sharoshiw.blogspot.jp/2015/05/blog-post_68.html
by ebisu (2016-09-18 17:51)
厚生年金における基礎年金拠出金の計算方法です。いくらなんでもどんぶりすぎです…。
http://www.office-onoduka.com/nenkinblog/2007/04/post_34.html
by ZAPPER (2016-09-18 20:56)
国民年金事業に要する費用は、第1号被保険者の保険料、基礎年金拠出金、国庫負担、積立金の運用収入でまかなっています。
ですから、厚生年金給付額自体は基礎年金拠出金の多寡を左右するものではありません。補足でした。
by ZAPPER (2016-09-18 21:25)
ZAPPERさんへ
わたしが引用した説明のどこがまちがいなのかわたしにはよく飲み込まないのですが・・・
2号と3号被保険者の1階部分の基礎年金部分を拠出するのが「基礎年金拠出金」だとするなら、受給者数に比例すると考えてもいいのではないですか?
H26年度のGPIFの基礎年金拠出金(支出)は19.7兆円あります。これが2号被保険者と3号被保険者の「1階部分」に相当する基礎年金拠出金です。
個々の事例の受給額とは比例しないというのはわかります。基礎年金部分は固定ですから。
わたしの論点は、受給者の人数が増えたら、基礎年金拠出金もそれに比例して増えるということです。
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基礎年金拠出金の額は、保険料・拠出金算定対象額に当該年度における被保険者の総数に対する、当該厚生年金の加入者である第2号被保険者及び、その配偶者である第3号被保険者の合計数に相当する比率を乗じて得た額とする。
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これはZAPPERさんが示してくれたURLにある説明です。
この説明でも受給者数が増えれば、分子が大きくなるので基礎年金拠出金が増えることになりませんか?
分子と分母が同数増えれば、分数の表す値は大きくなります。
引用部分を読んでも、わたしの理解は間違っていないと思うのですが・・・
わたしの理解が間違っている場合は、H36 年の基礎年金拠出金を推計する方法があればご教示ください。
ところで、
「政府A(国民年金部門)に対して政府B(厚生年金部門)が基礎年金拠出金という財源費用を払うイメージです。」
この説明だと、国民年金区分に、厚生年金部門の「基礎年金拠出金」がそっくりそのまま国民年金部門の収入欄に載っていなければいけないと思うのですが、ありません。おそらくまだわたしには見えていない部分があるのでしょう。
簿記上は内部振替処理になるはずですが、公的会計は民間企業で仕事をしてきたわたしにはなかなかわかりにくいのです。
by ebisu (2016-09-18 22:52)
問題をシンプルに提示してみます。
老人人口がH26年には3308万人、H36年には344万人増えて3652万人となりますが、基礎年金拠出金が10%ほど増えませんかということです。
2号と3号被保険者の実際の受給者数がわかればいいのですが、そういう資料はありませんから、老人人口推計値を利用したということです。
1兆円も誤差が出る懸念はないでしょう。大雑把なところが抑えられたらいいのです。
by ebisu (2016-09-18 23:10)
厚生年金の支給はこのように生年月日別、男女別の違いがあります。舌足らずで失礼しました。ですから65歳以上の方の一階部分に関して、ということで理解しておりました。
http://allabout.co.jp/gm/gc/24983/
by ZAPPER (2016-09-19 08:23)
ZAPPERさん
朝早くからコメントありがとうございます。
うれしくて、早速お示しのURLを覗いてみました。
1階部分、「老齢厚生年金(定額部分)」が年齢によって受給開始時期が違っているということですね。解説では「タイムサービス年金」と表現しています。
細かいことを言えば、こういう部分もシミュレーションに反映させるべきだとわたしも思いますが、推計精度全体に大きな影響があるようには思えません。
基礎年金拠出金は受給者数が増えれば、それに比例して増えると考えて、大きな問題はないということでよろしいのですね。
GPIFのコンピュータを使って大規模なシミュレーションをすれば精度の高いデータが得られるでしょうが、社会保障・人口問題研究所の生産年齢人口や老人人口の推計値を利用して、簡単なシミュレーションをやっても、推計結果全体を覆すような大きな誤差は出ないというのがわたしの判断です。
専門的な立場からのご協力感謝します。
by ebisu (2016-09-19 08:57)
マクロ経済スライド、厚生年金保険料率アップ、厚生年金支給年齢の後ろ倒し、高額所得者における老齢年金支給停止措置(廃案)。こちらのサイトが分かりやすいです。がしかし、出生率が高まらない限りはジリ貧は必至ですね。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20130913/365190/?ST=p_bizboard&bzb_pt=0
by ZAPPER (2016-09-19 22:49)
さすがは本職、zapper さん!
打てば響くように私の疑問に応えて頂きまして有り難うごさいます。まさか、こんなにどんぶり勘定で被雇者年金から国民年金に金が動いているとはねぇ。
実務では、直接は役には立たない部分でも情報収集を怠らない。プロの矜持でしょうね。zapper さんにコメント頂いて勉強になりました。
年金保険制度を活用する私の老後の備え。
すさまじく合理的ですよ!
脱サラして、農家の真似事を始めた時に、カミサンに就職してもらい、私が「第三号被保険者」になった。(カミサンの厚生年金保険料で7000円で、二人分の国民年金保険料をまかなった。)
子育ても終わった時に、形式離婚して年金分割した。遺族年金は、「子のない女性」には薄いから。
特別支給の年金は受給するけれども、「本来の」年金は、70まで裁定請求はしないで、40%超の増額を図る。
極端すぎると思われるでしょうが、完璧にトク。なんてえげつない!と我ながら思いますが、なんと合法的なものか!
実行するかしないかは別にして、わかる人には使える、制度のアナを利用できる「学力」を利用しています。(誰もがこんな発想、あくまで発想、やるかやらないかは自己責任ですが、が出来ればいいのに!と思いますけど。)
ebisu さんにはすみませんが、今日はzapper さんへのお返しということでご勘弁ください。
by 後志のおじさん (2016-09-19 23:34)
ZAPPERさん
SAFTY JAPAN の「いよいよ始まる「年金減額」。いくら減るのか、何が問題なのか」は、年金保険制度改革が高齢者に遠慮しすぎという論調でした。
選挙で当選したいがために、政治が多数派の老人によって捻じ曲げられているというのはあるでしょうね。
H36年の取崩額を半分の4.4兆円にするには、給付水準を約10%段階的に切り下げていくという方法がありますが、決められないでしょうから、事態は悪化するほかない。
制度設計のまずさがあって、団塊世代よりも以前の世代が膨大に得をしているということを脇において、それくらいは受け入れるべきでしょうね。
H36年以降は20%減額をすれば十分に凌げます。
それらが簡便なシミュレーションから定量的に言えることです。
全データがあるのですから、GPIFや厚生労働省はちゃんとシミュレーションして前提条件とデータを公表し、国民のコンセンサスを醸成すべきです。
同時に年金にかかわる諸々の「既得権益」はすべて廃止の方向でいくべきでしょう。
後志のおじさん
専門知識があるというのは強いものですね。とっくに手を打っている。(笑)
世帯別に年金受給の上限額を設定するとしたときに、問題になるのは形式離婚の増加です。
政府は搦め手も用意していますね。労働力人口を増やして、年金保険料収入の増大もやろうとしています。配偶者控除の廃止がその手段の一つです。さまざまな圧力で伝統的な家族制度が壊れていきます。
「むかしむかし、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。・・・」
30年後の子供たちは「へんなお話だね」と感想を漏らすのでしょうか。
by ebisu (2016-09-20 08:12)
<基礎年金拠出金についての疑問>
H13年⇒35.5%
H20年⇒41.5%
H26年⇒44.5%
どうして総支出に対する基礎年金拠出金割合が年々増えているのでしょう?
「タイムサービス年金」は逆に作用するのですから、理由がわかりません。
メカニズムがわかれば、推計に反映できます。
by ebisu (2016-09-20 10:09)
ebisuさん
第1号被保険者における免除申請が増加し、それがために空洞化が進んでいると解しておりますが、いかがでしょうか。
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/0486.pdf
by ZAPPER (2016-09-20 10:31)
後志のおじさん
おみごとです!離婚は別にしまして(笑)、実は私も同じことを考えておりました。繰り下げ請求です。現在、厚生年金の標準報酬月額は30等級(620千円)が上限ですから、仮にそれ以上の役員報酬をもらっても厚生年金には反映されません。(健康保険料の分だけ割を食いますね)一方、高在老にも引っかかる。ならば繰り下げの申請を出して70歳とか75歳まで引っ張り…。
配偶者を非常勤役員にし、扶養の範囲内で報酬を支払う(定番)とか、個人事業と法人経営を分離するとか、不動産所得を分離させるとか、様々な方法が考えられます。そうしたことの提案型をもって営業としたいのですが、怠けてばかりなのでことはなかなか進まずにいます。「頭」を使えば、中小零細企業だってまだまだ色々とやりようはあるのですけれどねぇ(笑)。
by ZAPPER (2016-09-20 10:39)
年金の話とはずれてしまいますがご容赦を。例えば国は、企業の倒産を防ぐべく、こうした強力な助成金を用意しています。がしかし、これを知らずに倒産する企業の多いこと多いこと…。他方、この助成金はまた不正受給の温床でもあります。知っていれば助かる。知らなければ倒産必至。微差で結果は裏と表に。基礎学力問題のその先にあるように思えてなりません…。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
by ZAPPER (2016-09-20 10:49)
ZAPPERさん
表を見ましたが、第1号被保険者(非就業・不詳34%、自営業24%、年間130万円未満のフルタイム21%、パート13%、その他アルバイト8%)で、免除申請者数が増えれば厚生年金側の基礎年金拠出金が増える、そういう計算方式になっています。
実態として、生活費を稼ぐためにアルバイトに追われている学生のほとんどが免除申請、非正規雇用のうち年収の低い層に免除申請が増える、そういう構造になっているのですね。
労働法制の改悪が続いているので、今後も免除申請は増える傾向にありそうです。
お蔭様で厚生年金側から、基礎年金拠出金が増えている理由がわかりました。ありがとうございます。
雇用調整助成金が中小企業の緊急避難用にあるのですね。こうした制度を知っているのと知らないのでは大きな違いです。
中小零細企業こそ、学力優秀な人材が必要ですね。いい実例でした。
by ebisu (2016-09-20 12:26)