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#3363 したたかさ:鳥越さんに求められる能力 Jule 13, 2016 [8. 時事評論]

 7/12の鳥越さんの記者会見をテレビで見て、やはり懸念が当たったように感じた。ジャーナリストとしての能力は認めるが、それで都政がやれるかというととても無理、安易に考えすぎている。
 たとえば、都議会との調整である。自公与党の都議会は反対派となるから、自分の政策実現のためには実務レベルでの粘り強い調整能力が求められる。意見がまったく対立する者とでも具体的な政策で話をして調整しなければ、何一つ実行に移せない。

 民主党政権が大失敗だったのは、政策を実現するための戦略立案が粗雑で、それを担う能力のある実務派の人材がいなかったからだ。
 20代後半から30歳代の大事な時期を「松下政経塾」などというお遊びごとをしていて無為に過ごした者たちが政権幹部に多すぎた。口が達者だが仕事のできない弁護士出身者も政権幹部に複数いた。「直ちに健康に害があるわけではない」と放射能の人体への影響をごまかし続けたのは枝野氏である。弁護士らしく慎重に言葉を選んだところをみると、原発事故による放射能が長期的にどのような健康被害を及ぼすか知っていたのである。どぎつい言い方をすると、職業上の言語スキルを駆使してごまかしたのである。その結果、小児甲状腺癌が百人以上もでている。放射能によって現在も遺伝子が傷害され続けているから小児甲状腺癌だけではすまない。もろもろの癌や遺伝子異常や染色体異常による疾患が出続ける。避難解除になっても子どものいる若い人たちのほとんどが放射能の害を恐れてふるさとに戻らない。幼い子どものいる若い夫婦のほとんどが、東電や政府の安全宣言を信用していない。
 民主党幹部には30歳代で大きな組織の中で仕事を任されて自らを鍛えた者がほとんどいなかったから、政権を奪取してもその後の仕事ができるわけがなかった。できなければどうするか?ごまかすしかないから、嘘をつき、自己正当化の言い訳に終始する。そういうことが量産されたのが民主党政権だった。高学歴でオレがオレがと、自己過信の輩が多すぎた。言動と人物への信頼を根こそぎ失ったから、議席が用意に回復しない。
 民主党は看板を架け替えて民進党になったが、政権奪取後になぜ躓いたのかを総括していないし、誰も責任を取っていないから、またぞろ同じことをはじめそうだ。一度は希望を託したからこそ腹を立てている、鳥越さんの隣でニコニコ顔の枝野民進党幹事長を見るだけでわたしは胸糞が悪い。
  政治家が嘘をつくのは当たり前、選挙公約なんて信じるほうが馬鹿、人の言辞にも、人物にも信頼を置くことのできぬ時代なのだろう。鎌倉武家政権誕生時、室町幕府の誕生前夜、どちらもなんでもありだった。日本列島の1万2千年の歴史ではじめての人口縮小時代を迎えている。ひょっとしたらわたしたちは鎌倉時代前夜や室町時代前夜をはるかに越える激動の時代に突入しているのかもしれない。渦中にいるから大きな渦が見えない。

 鳥越さんは他の候補よりも誠実そうに見えるから、きっと都知事の座を射止めるだろう。
 鳥越さんが都知事になったときには、能力不足の彼を支える副知事が数名どうしても必要なのである。ジャーナリストとして働いてきた彼の能力の範囲を超えている仕事がまっているから、現実を直視できなければ、対応を誤る。何ができて何ができないのか、自身でしっかり棚卸しすべきだ。
 そして健康面でいくら大丈夫だといっても76歳と高齢だし、何度も手術を繰り返した癌患者である。健常人のようなわけにはいかない。考え続ける力も体力の一部であることは十年前の七月にスキルス胃癌を手術したわたしの感想である。ありていに言うと、スタミナが続かない。自分に足りないものを素直に認めるところから大きな力が生まれる。

 重要課題の一つ一つに、一人で具体的な政策指示を、それぞれの関係分野の都の幹部職員にできるわけがない。報告・連絡・相談を頻繁に繰り返し、微調整を密にして、時に大鉈を振るわなくてはいけないからだ。
 オリンピック、築地市場の豊洲移転問題、急激に増える老人人口に対して介護・医療への備えの問題、直下型震災への備え、富士山大噴火への備え、インフラの急速な老朽化と更新の問題、都政は急いでやらなければならない問題だらけである。
 記者会見の様子から判断すると、何ができて何ができないのかが、鳥越さんには見えていないようだ。見えていないから、初体験の分野の仕事でも自分にこなせると、自己過信してしまっている。政権奪取時のころの民主党幹部たちと同じである。自分にできない範囲が具体的に見えないまま実務が始まってしまえば大混乱は必定、危うい。
 記者会見ではまったくお気楽に考えているように見えた。このままでは民主党政権が政権奪取のあとにやらかした大失態の二の舞になる。個々の重要問題に対する適切な人材の備えがないからだ。

 会社があるとしよう。現在の業績はよいが、問題山積み。問題点を分析するにも、どうすれば問題解決が可能かという視点から分析しなければならない。具体的な経営改善をするというのが都政の長の役割である。そこがジャーナリストとの大きな違いで、ジャーナリストは問題点をあげつらうだけでよいが、都知事の主要な仕事は問題解決である。
 70歳も半ばを過ぎ、頭の固くなってしまった人間が、まったく未経験の分野の仕事を柔軟にこなせることは考えにくいし、期待するほうが無理である。だから、それを補完する人材がどうしても必要なのだ。自分の能力の限界を見極め、不足を補うに足る能力の人材を副知事に登用して、したたかに事に当たるべきだ。


< 余談 >
 増田寛也氏は岩手県知事時代に就任前の6000億円の公債残高を3期12年知事をしている間に1兆2千億円まで増やした張本人である。その行政手腕はマイナスの実績しかない。
 岩手で、小沢一郎しとタッグを組んで公共事業を増やした彼が、ミニ小沢一郎が何人もいる自民党都議団を相手に、同じことをやるのが目に見えるようだ。どうして自民党はこんな男を担いだのかさっぱり理由がわからぬ。オリンピック関連で大型発注が目白押しだから、増田氏が付き合いやすいと値踏みしたのだろうか?
 深刻化が予想される首都圏の老人医療問題では、あろうことかふるさとに戻せとまるでポンコツになった機械を棄てるような物言いだった。東京の繁栄は団塊世代が田舎から東京へ出てきて働いて築いたのだが、老いたら御用済みで東京から出て行けという人情味のないことを堂々と公言し、その後訂正すらしていないようだ。自民党都連は自らにふさわしい人を推薦したのだろう。
 安倍総理にたてつくと議員の身分が危うくなるので、増田擁立に反対したくてもできない自民党国会議員が少なくないだろうから、代弁しておこう。
  「下種のきわみを推薦してしまった」
 だんだん中国や北朝鮮に似てきている、どこが自由で民主的な党だ?看板に偽りあり、看板通りの健全な保守主義を標榜する勢力が自民党内に台頭することを望む。 
  (政党助成金を廃止しないと、いつでも独裁政権へと変わる危険性がある。党を除名されたら、選挙資金が枯渇するからだ。)

*http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20160711-00059867/
 
http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-4488.html
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160712-00000239-sasahi-pol&p=2


*#3361 <野次馬> 都知事選が面白くなってきた:鳥越俊太郎氏出馬表明  July 12, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-07-12

*猪瀬直樹が語る東京のガン (ブログ「オータムリーフの部屋」)



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