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#3349 成長中の生徒と横ばいの生徒: 対策  July 1, 2016 [63. チャレンジ(教育)]

  1年も半分が過ぎてしまった。昨日朝7時の気温は17.2度だった。この3日間、根室はぐんぐん気温上昇中。どれくらい涼しいのか関東や関西の人はもちろん、四国の人も九州にお住まいの人もデータを見ないとわからないだろうから、26日から30日までの推移を書いておく。(29日は記録忘れ(笑))
   最高気温 12.7度⇒18.7度⇒21.1度⇒?⇒20.0度
  最低気温  8.1度⇒ 9.1度⇒10.8度⇒?⇒14.3度

 日本で一番涼しい初夏です、夏真っ盛りでも朝晩は13-15度まで気温が下がります。
 郊外では大鷲やオジロワシが飛び、野鹿やキタキツネが散歩するところです。暇とお金のある方はどうぞ3ヶ月間避暑に来てください。地元で獲れる魚介類は放射能の心配の要らない安心・安全なものばかりです。新鮮な真螺(マツブ)やホッキ貝、温根沼の大きいアサリ、湾中の品のよい味わいの牡蠣(カキ)、獲れたてのウニ、開いてフライにしたらおいしいチカやオヒョウ、チカは一夜干しすると香ばしくなるから焼くのもいい、マツカワの刺身、8月になれば獲れたての秋刀魚、日本一味の濃い花咲ガニと薄味のタラバガニや毛蟹、好きな魚介類に舌鼓を打って有意義にそしてふんだんにお金をお使いください。
 軽井沢よりよほど涼しい、いや、さ、寒~い。
 10月になり、寒くなったら、暖かい東京へお帰りください。小さな贅沢に心が和み自然に笑顔がこぼれます。(笑)

 #3347「セルフコントロール(自己抑制)とテストの成績の関係」で中学2年の生徒4名を「できのよい生徒」「成長中の生徒」「横ばいの生徒」の3つのタイプに分けてコメントした。得点通知表が出たので、生徒たちがどのように成長したのか、成長過程を分析してご覧に入れたい。
 スマホの出現によって、この5年間で生徒たちを取り巻く生活環境が大きく影響を受けているので、生活習慣の改善優先順位付けの重要性が増している。そこからおさらいしておこう。


< 負のトライアングル >
 ①過度な部活、②ゲーム中毒、③スマホ中毒の三拍子揃っていたら、学力不振はもちろんのこと、読書時間が取れないので日本語語彙が小学生4年生レベルで止まったままになるケースが増える。
 読書をしてるといっても、アニメのノベライズ小説は語彙が少ないので、いくら読んでも語彙拡張の効果は期待できないのだが、そういうレベルの読書に高校生になってもとどまっている生徒が散見される。
 アニメのノベライズ小説にとどまっている男子生徒は精神の中身がまるで子ども、そういうタイプが増えている。読む本のレベルを上げられず、精神年齢が実年齢よりもずっと低いままだが、草食系男子とはジャンルが異なる。
 語彙の豊かな本は内容も濃いと仮定すると、そういう本をたくさん読むことは精神的な成長を促進する効果がある。だから、年齢相応に読書も年年歳歳レベルを上げていくべきだ。
 中学生にスマホが普及しだして5年経つが、日本語語彙の拡張へも学力へも負の影響が大きい
 ある程度の基本語彙力がないと、授業を理解することすらできなくなる。授業が理解できなければ、学力が上がるはずがない。読む本のレベルを年齢相応に上げながら、語彙力を充実させなければならない。児童書から大人の本への橋渡しがうまくいっていない。「橋渡し」を担える家庭は1割程度だろう。根室では本を読む習慣のない親のほうが圧倒的に多いのだから、学校でも「橋渡し」をやってもらいたいのだが、「朝読書」をやるだけ、あれは指導になっていない。音読させたら読めていないのがわかるし、何を読んでいるのか見れば読んでいる本のレベルに問題のあることやその生徒固有の読書課題がわかるはずだが・・・。どうして手間を惜しむのか理解できない。あれなら、論語の素読と解説を10分程度でやったほうがはるかに効果が大きいだろう。
 とにかく、何が何でも中学3年間で50~100冊くらいは年齢相応のものか、それ以上のものを読ませたい。ニムオロ塾ではやる気のある生徒だけ日本語の良質のテクストを選んで音読指導をやっている。以前は、全員が対象だったが、意欲のある生徒だけに変更した。最近5年くらいでわがままな生徒が増えたことが原因だ。中学生は半分大人だから嫌なことでも必要なことは我慢してやれるようでなければいけないが、我儘し放題で辛抱力の欠如した中学生が増えたということ。いつの時代も子どもの躾は難しいものだが、躾のできない親も増えているのではないか?大人に対する言葉遣いをちゃんと躾けている親の割合は10%あるだろうか?子どもの前で日常乱暴な言葉を使えば、子どもはしっかりコピーしているよ。まず大人がちゃんとしなければいけない。
 ふだん、テレビで野球観戦をしてビールを飲む暇はあっても、本を読む習慣のない大人でも次のことは頷(うなず)いてもらえるだろう。

 生活習慣の中に読書時間を確保すること(=読書週間を育むこと)は長期的な学力向上に欠かせない
 どういう本を読むべきかわからなければ、「新潮社の百冊」をキーにググればいい。
 わたしのお薦めは、斉藤隆「音読破シリーズ」6冊(小学館発行)である。『音読破1 坊ちゃん』『音読破2 走れメロス』『音読破3 銀河鉄道の夜』『音読破4 五重塔』『音読破5 山月記』『音読破6 羅生門』、選び抜いた名作が揃っているだけでなく、漢字の右側にルビがふってあり、難解な用語には左側に小さな字で意味が書かれている。その後で「新潮社の百冊」を読破すればよい。次のステップは新書版の本だ。専門書への入門のようなものが多いから、文庫本よりもレベルが少し上になる。高校生で新書版を50冊程度読んでいれば十分な語彙力が確保できるだろう。


< 成長中の二人は学年順位記録を更新した >
 中2の塾生4人中2人が学年順位が過去最高を記録してうれしかった。生徒のがんばりを見れるのはほんとうにうれしい。
 学年順位記録を更新できなかった生徒の片方は480点超で10回連続で学年トップだから、学年順位記録更新は不可能だが、点数は過去最高点を記録したから、しっかり成長している、それもうれしい。「難易度の低いテストでの学年順位はどうでもいいよ、重要なのは大学受験へ向けての戦略だから」と言ってあるのだが、譲る気はないようだ。(笑)
 「成長中の生徒」が二人とも学年順位が過去最高だったところに注目してもらいたい。一人は9ヶ月掛けてスマホ中毒状態を脱し、生活習慣を変えることに成功した。二人とも「勉強が楽しい」ものに変わったという。塾で予習方式で勉強して、学校の授業のほとんどが理解できるようになったからだろう。先生の説明がチンプンカンプンなのに6時間も椅子に座り続けているのは辛い、授業が理解できるようになれば授業は好奇心を満たしてくれる遊びと変わらない。
 「成長中の生徒」二人は「心境が進んだ」というべきだろう。一人は学年順位が過去の最高値よりも5番アップし、もう一人は6番アップした。この次は二人ともベストテン入りを狙っている。五科目で20点アップすれば余裕でベストテン入りだから、気を抜かずにがんばってもらいたい。
 昨年の中3が、11月ころから頑張りを見せ、大幅な学力アップを実現、6人のうち4人が根室から出て行ってしまった。良かったのか悪かったのか、生徒の希望通りではあるが、わたしの心は複雑である。だが、その頑張り屋に変身した昨年の中3に似たような気力をこの二人に感じている。
 ほんとうの「心臓破りの坂」はこれから来るから、そのときにめげずに乗り越えてもらいたい。


< 成績不振の生徒への対策 >
 さて、問題は横ばいの生徒である。前回(4月「お迎えテスト」)と学年順位が同じだった。律儀に同じでなくてもいいのに・・・(笑)
 最近、意欲がアップしているのに横ばいなのは本人としては不本意だろう。数学は連立方程式の応用をやっているが、まだ計算問題がスラスラ解けるようになっていない。2学期は「3章:1次関数」「4章:平行と合同」だから、連立方程式の計算問題はスラスラ解けるようにしておかなければいけない。
 部活と水泳の両方をやっているので、火~土曜日まで忙しい、日曜日は練習試合が設定されることが多く、週3日は部活と水泳が重なる。よほど体力があって気力が充実した生徒でないと、読書時間が取れるはずがない。わたしはやらせすぎと思うが、家庭の方針があるだろうから、補習の提案くらいがわたしのわたしの言える範囲。自分の息子ならで読書時間を確保するために、部活か水泳のどちらかを選ばせる、生活時間割を一週間分それぞれ24時間の帯グラフに描いてみたら、両立が無理であることは一目瞭然。このスケジュールで両立できるような体力と気力を兼ね備えた生徒は稀、百人に一人。長時間のきつい部活に耐えて学年一番を採った生徒は数年に一人くらいの割合で出てくるが例外中の例外だ。学年3番~5番くらいをキープする生徒なら、毎年2~3人いるだろう。そういう生徒は体力と意志の力が抜群に強い、何より我儘(わがまま)を言わないし、言葉遣いもちゃんとしている。ようするに躾ができている。

 話を戻そう、この生徒は最近、数学の復習を家でとやるようになったが、やり方がまずいのか同じパターンで躓(つまず)くことがちょくちょくある。性質は素直である。
 成績が下位の生徒は予習方式に切り替えると、学校の授業が嘘のように簡単に理解できて、学習意欲が劇的に改善できる。一番最初に入塾してくれた生徒のうちの一人は入塾時に数学48点、英語14点だった生徒が予習方式に切り替えると、半年後に数学がクラス1位、3ヶ月ほど遅れて英語が1位になった。数学は2回に一度くらいだったが、英語はほとんど1位に変わった。もちろんこの生徒の潜在能力が高かったということはあるが、予習方式での学習は効果が大きいのである。
 「予習効果」が働いて、授業が理解できるから、授業を一生懸命に聞くようになるし、塾で予習、学校で復習というサイクルが好循環を生み出し「プラスの相乗効果」が働いて学力が上がる、当たり前の話なのだ。勉強が楽しいと本気で感じてしまった生徒は、あとはほうっておいてよい。楽しいから家庭学習集時間も自然に増えていく。学力を上げるのに何も秘密はないのである。

 いいチャンスだから、お母さんへ電話して2~3ヶ月ほど水泳を休めないか奨(スス)めてみた。補習を週に2回やりたいので、時間の都合がつくように水泳を2~3ヶ月休むことを提案したのである。水泳関係者からの紹介だったので、ちょっと心苦しくはあったが、わずか数ヶ月のことだから我慢してもらいたい。
 快諾してくれたので、調整がつき次第、週2回程度の補習をすることにした。いま計算力をアップしておけば、数学は落ちこぼれずにすむ。本人にやる気が見えているいまがチャンスだ。本人にやる気が見えないときに、こういう提案をして承諾してくれても徒労に終わるから、本人の気持ちに見極めがつかないと、短期(3ヶ月)集中型の補習提案はしない。必要だからと何度もやってみたが、その気がない生徒には効果がない。迷惑顔で補習を受けてもらっても時間の無駄になるだけ。いろいろ言い訳をして次第に来なくなる。水を飲みたくない馬の手綱を引いて池に連れて行っても水は飲まぬということ。呑みたくなるまで待つしかないのである。やる気というのはじつに結果を大きく左右するものだ。


< 成績上位10%の生徒の理解の速度はおよそ10倍 >
 初めて480点を超えた「よくできる」生徒の得点通知表の階層別五科目分布表をみたら、2位とは50点弱離れていた。テスト問題の難易度が高ければもっと点差が開いただろう。数学は昨日から中3の問題集をやっている。
 「多項式の乗法」のところの「乗法公式」の説明を5分ですませた、この生徒にはこれで十分。あとはさまざまなタイプの問題をやらせて、たまに出てくる質問を捌くだけでよい。次の「因数分解」も説明は5分の予定。学校の授業ではそれぞれ50分掛けるところだが、成績上位10%の生徒たちは、1/3の量の説明で、3倍速で教えるのが彼らの理解力に見合っている。
 上位10%の生徒たちは、標準速度の授業がのんびりすぎて退屈に感じている。標準速度に慣れてしまうと、伸びるべき芽が伸びることをやめてしまうから要注意だ。成績上位層を上手に育てることが、根室という地域の課題である

(地域の活性化は優良な人材なくして達成できない。浜中農協の石橋組合長を見よ、と言いたい。浜中農協のホームページを見てくれたらいい、根室には未来を見つめて適切な手を打てる人材がいなかった。弊ブログでも昨年11月に釧路で開かれた全国教育シンポジウムの紹介記事で採り上げている。石橋組合長がパネラーの一人として出席していた。)

 授業参観を何度も見たが、数学だけでなく、英語も上位10%の生徒の興味を引くものではなかった。下位の生徒に計算問題をやらせている間に、高度な題材を時折すこし混ぜるだけでも退屈しないですむはずだから、改善の余地がある。


< 心の底からの笑顔がこぼれる授業を目標にしよう >
 学校の先生は「知の職人」だから、他の職種の職人たちと同様に、仕事(授業)を通して日々自分のスキルを磨くことが大事だ。楽しくて仕方がないと教えている先生から自然に笑顔がこぼれるような授業が理想だね。10回に一度でいいからそういう授業ができたらいいね。
 わたしも、そういう授業を心がけるから、学校の先生たちも努力しよう。


*#3347 セルフコントロール(自己抑制)とテストの成績の関係  June 28, 2016 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-28



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