#3347 セルフコントロール(自己抑制)とテストの成績の関係 June 28, 2016 [58. 家庭のしつけ]
ニムオロ塾には中2の生徒が4人いて、先週と先々週終わった期末テストで、1人が過去最高の得点だった。1人は2点届かなかったが学年(60人)順位を一番よかったときよりも5番上げた。
1学期期末テストはテスト範囲が狭いことと、数学のテスト範囲が数量のところで計算問題が多いという二つの理由で、五科目平均点が年間を通して1番高い。
残り二人のうち一人は4月から来た生徒で、1年生のときのデータがないので過去最高かどうかわからない。しかし、4月の学力テスト結果から見ると、4月の学力テストよりも95点アップしているから、学力テストよりも定期テストの難易度がかなり低いとしても、学年順位はやはり最高を記録したようだ。
最高点の生徒は3月の学年末テストが最高点だったが、それを20点更新した。目標値は10点アップの470点だったからよくがんばった。五科目480点超は全学年でトップと言える点数である。
< できのよい生徒 >
この生徒は、ほうっておいても自分でちゃんと勉強するから塾に来てもこなくても大丈夫である。次の目標は学力テストで470点超え。
(高校で受ける進研模試で全国偏差値65ぐらい、駿台模試や河合塾の模試なら偏差値60付近だろう)。
やらなければいけないこと、やるべきことに優先順位を自分でつけることができるのは、小学校低学年での家庭学習や言葉の躾がちゃんとできていたからだろう。
それでも課題がないわけではない、土日は事情があって勉強時間が確保できない点が悩みだ。勉強量は「集中力と時間の関数」だから、このままでは長期的には大きなハンディ(handicap)となることは、首都圏の中学受験生(6年生)の週当たり平均勉学習時間数33時間を例にとって伝えてあるから、自分で解決するだろう。田舎にいたら都会の一流私立中高一貫校の生徒たちがどのようなレベルの勉強をしているか想像できないから、実態を伝えることは塾の先生の役割である。幸いなことにずいぶん昔だが、東京渋谷の個人指導の進学教室での指導経験があるから、「手応え」はわかる。
(難関大学の競争相手は(根室では)同級生にあらず、首都圏で有名私立の中高一貫校で勉強している生徒たちなのである。同級生や同学年の生徒と競って、学年一番を喜ぶのは、「お山の大将」「井の中の蛙」を絵に描いたようなものになりかねないから、学年1位にこだわるなと繰り返し伝えている。2位でも3位でもよい、大事なことは高校1年終了までに数Ⅲを終わっておくこと、英語は新聞英語が読める程度の力を高校1年の終わりまでに獲得しておくことなのである。読解力と思考力を鍛えるために哲学の本も読んでおきたい。日本語の良質の本を選んで音読トレーニングを併行してやっている。国語は一朝一夕には学力が上がらないからだ。受験問題を使ったトレーニングも点数アップには効果があるが、そうしたやりかたは高校3年生になってからで十分だ。国語力アップは中学生と高校2年までの時期は、じっくり時間をかけて基本に忠実にやるのが一番よい。こういうことをクリアして首都圏の有名私立中高一貫校で学ぶ生徒と対等の勝負ができる。)
テストの成績はこれにセンスという変数が加わる。勉強量が少なくてもセンスで問題の解ける生徒は成績が抜群によいことがある。社会人になってからでもセンスは大事だ。
勉強量 = 「読み・書き・そろばん(計算)」速度×集中力×勉強時間
テストの成果 = 勉強量×センス×気力
速度は勉強量に大きく影響する。三つの基礎技能の速度が標準の2倍(「書き」は1.3倍)あればその生徒の学力は学年トップクラスだろう。
この生徒は学年順位はどうでもよいと伝えてあるが、どうしても気になるようだ。(苦笑)
数学は昨日から中3の問題集に入った。予定よりも1ヶ月遅れているが、まあいいだろう。中3を終わるまでに数Ⅱを終わっておきたい、できれば数Ⅲに手をつけておきたい。いまの速度では無理だが、「化ける」可能性はありそうだ。
英語も塾用教材をやり終えたらEnglish Grammar in Useをやりたい。受験英文法参考書や問題集はJapanTimes紙を読むためにはは向いていない。夏休みの1ヶ月間で塾用英語問題集を1冊やり終えることができる。英語は一気呵成にやれば力がぐんとアップする。後は毎日淡々と音読教材を使って短時間のトレーニングに励んだらよい。
(ほんとうに頭のよい者は例外なしにセンスがよいのだが、そういう生徒は百人に一人以下、千人に3人程度しかいない。センスがよいと3を聞いて10理解できてしまうから、努力のできない性格になって実力を発揮できない傾向が強くなるのも事実だから、指導上は要注意だ。
センスがよくて、知的好奇心から夢中になって自らやる生徒が学力の点では一番強い、夢中になってご飯を食べることすら忘れてしまうような生徒は稀だがたしかにいる。世の中は広い。大好きな遊びが集中力を飛躍的にあげる、よくできる子はよく遊んでいる例が少なくない。)
< 成長中の生徒 >
最高点に2点届かなかった生徒は「青春してる!」とうれしそうな顔で言った。家でも勉強するようになったし、塾では予習方式だから学校の授業がわかるし、成績も上がるからうれしいというのだ。「とっても充実している」とも言った。こんなに変わったことにこちらのほうが驚いている。
この生徒は昨年9月から入塾した生徒であるが、スマホ漬け、テレビ漬けで1時、2時まで起きていて生活習慣に問題があった。そこで入塾時に、「3ヶ月だけ様子を見るけど、スマホを漬けのままだったり、テレビを1時過ぎまで見る習慣をやめられなければ成績は上がらないから、4ヶ月目はありません」と言っておいた。
生活習慣を改めるのは難しいことだ、大人が酒やタバコをやめるのと同じこと。スマホは1時間勉強してから触るように約束した。ときどき約束違反があったようだが、おおむね切り替えに成功したから無事「4ヶ月目」を通過できた。(笑)
英語の音読トレーニングを毎日「5分×3回」課している。そして勉強の方式を予習方式に切り替えたことで学校の授業が聞いているだけで理解できるので楽しくなった。ちんぷんかんぷんな授業を聞いているのは辛いだけだから、この点でも学習意欲は見違えるほど改善できた。
この生徒は優先順位を変えることで、生活習慣を変えることができた例である。スマホをやってから勉強は実際には勉強しないことになるから、それを逆にしただけ。大事な勉強を先にしてから、余った時間でスマホやテレビという風に優先順位を変えた。
< 横ばいの生徒 >
一人だけ、成績が上がったり下がったりの生徒がいる。少しずつ上がってきてはいるが、顕著な変化が見られないのは、生活習慣を変えられないからだ。変えなければいけないと自覚が芽生えてきていることは事実だが、悪戦苦闘中でなかなか勝利できない。運動部と水泳の掛け持ちはよほど体力のある子でないと、家庭学習時間に影響する。疲れ切ってしまう子もいる。このあたりは自分の子どもの体力をしっかり見極めなくてはいけない。
4月にあるきっかけがあったので、自分の力でなんとかできたら、一皮向けるだろう、じっと成長をまってみたい。
< 学力は健全な生活習慣と躾に支えられている >
ここまで書いたら、書いた理由がお分かりいただけたのではないか。ひとつは小学校低学年での家庭の躾、家庭学習習慣と大人に対する言葉遣いとちゃんとすることに成功したら、中学生になったら子どもは親が何も言わずとも自ら勉強し、成績もよいということ。
そして、小学校低学年でこれら二つのことに失敗しても、中学校で優先順位を意識して生活習慣を変えられたら、成績はぐんぐん伸び、学年順位は上がっていくということ。これら二つのことが言いたかった。
< 実績データから言えること >
大概の生徒は学年60人なら、40番でも10番以内に入る潜在的な力がある。10-15番の生徒なら3番以内に食い込める。そのことを知ってもらいたくて書いた。
実績データが示しているのだが、入塾時にそんなことを言っても生徒は信じない。過去の悪しき実績が思考を縛っているからである。それを外すことも塾先生の役割だ。
先生との相性の問題もあるから全員がうまくいくわけがない。いろんな経営方針の塾があり、タイプの異なる先生がいたほうがよい。生徒のタイプもさまざまだから。
< 言い訳無用:真剣勝負で得たもの >
初めて480点を越えた生徒は、風邪気味だった。試験前日に「具合が悪いことは言い訳にはならない、こういう時こそ最高点を更新して来い」、そう言い渡した。試験のプレッシャーで体調が狂う生徒は少なからずいるが、大学入試は年に一度だから、そのときに体調が悪くても全力で戦わなくてはならない。そうなったときに今回のことを思い出せば自信につながる、よい経験をした。テストの後で38.5度の熱がでたという。
< 余談 >
塾の先生の指導技術も大切だが、塾に来ている時間はすくない、週2回でたった3時間である。
生徒の生活時間の大半は学校であり、家庭だ。だからそこをおろそかにしたらもったいない。基本はそこにあるから、成績が上がらなければ両方をチェックしてみることだ。①家庭が自ら変えることのできるのは子どもの生活習慣である。②何を最優先してやるべきかは躾の問題で、親がやらずに誰がやるかと思う。③1日10分間でいいから、なにか話題を見つけて子どもと話す機会をつくってもらいたい。そのときに大人に対する言葉の躾をしよう。話題がなければ、国語辞書か漢和辞典をパッと開いて、そこに出ている漢字を話題にしよう。十字形に枡を作って、上下左右に漢字を入れて一緒に熟語を作って遊んでみてもよい。
本を読まない子は、ボキャ貧である。中学生の15%くらいは「極端なボキャ貧」で先生が授業で使う言葉が理解できない。発話を頭の中で適切な漢字に置き換えができないのできなければ、授業が理解できるはずがない。ゲームとスマホの影響力は恐ろしい、ほうっておいてはいけません、家庭での躾の問題です。
昨日、高校2年生に教科書『Vivid Ⅱ』を教えていたら、ボキャブラリーの問題が出てきたので、次の稿で説明したい。
Including the Bonin flying fox, 57 endangered species live on the island
この文の'live'はボキャ貧だと適切な日本語に置き換えられない。日本語語彙がある程度なければ高校英語の攻略は無理。辞書を引いて、訳語を並べても、意味の通じる日本語にはならないケースは多い。
会話重視&読解軽視が文科省の方針のようだから、日本語ボキャ貧でも入試英語の攻略にはセンター試験レベルまでは困らないようにできている。
次回のアップまで、適訳を考えてください。もちろん、投稿欄へ書き込んでくれていい。
この文は、英語の先生は日本語のボキャブラリーがしっかりしていないといけないという好例かもしれません。適切な日本語語彙を使ってペケにされたらたまりません。生徒の中にはとっても語彙のセンスのよい者がたまにですがいますから、ご油断めさるな。そういう場合はペケにするのではなく花丸をつけて、加点してあげましょう。(笑)
*#3348 英文和訳にはたしかな日本語ボキャブラリが必要 June 29, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-06-28-1
70% 20%
2016-06-28 08:56
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初めまして
高校1年生の子共が幼稚園時代を根室で過ごしました。
3年程でしたが、根室の自然に癒やされたり励まされたり、地元の人には大変よくしていただきました。
この3年間は親子共々思いっきり遊びました。良い思い出です。
EBISUさんの記事で今の根室を知ることが出来、懐かしく嬉しく感じることも多いのですが、心配なことも多々あり・・・
なので、今日の記事はとても嬉しかったのです。
根室の教育環境は、良いとは言えず、根室の小学校に入学した生徒に、担任から勉強が疎かになるので、早く戻った方が良いといわれて、実際にご主人を根室に残して札幌に戻った人もいました。小学校の勉強ぐらい親が教えれば良いのにと思ったり、このようなことを言う担任がいることにも驚きました。
根室にも子共のために一生懸命なお母さんを見てきました
のでEBISUさんの私塾は希望の光ですね。
今日の記事に出てくる生徒さんが増えることを願っています。
うなずく記事が多く、勉強になります。
これからも楽しみにしています
by ななかまど (2016-06-28 14:25)
ななかまどさん
初投稿ありがとうございます。
根室はいいところです。
魚は①安全で②生きがよく③おいしい、三拍子揃っています。
>根室にも子共のために一生懸命なお母さんを見てきました
のでEBISUさんの私塾は希望の光ですね。
10年前にスキルス胃癌オ手術をして体力が落ちたので、わたしのほうが生徒たちから元気をいただいています。生徒たちの笑顔がなければ、気力がなえて寿命は尽きていたのではと思います。生徒一人一人がわたしの希望の光ですから、逆ですね。生徒たちの笑顔で生かしてもらっているのです。(笑)
by ebisu (2016-06-28 23:13)